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2007年4月

2007年4月30日 (月)

ロンドン・タウン

 この時期になると思い出すのは、ポール・マッカートニーのアルバム「ロンドン・タウン」である。1978年に発表されたものであるが、この春ののどかな時期に、頻繁に聞いていた思い出がある。Photo_4

 このアルバム自体の評価はまちまちで、いいという人もいれば、いま一歩という人もいる。確かにあのポールがつくったからという理由で見れば、もう少しメリハリをつけてほしいとかいう人もいるかもしれないし、あの名作「バンド・オン・ザ・ラン」から見れば、曲数は多い割には、曲自体の水準が下がるのかもしれない。

 しかし、1曲目の「ロンドン・タウン」のゆったりとした曲調から、2曲目のロック調への転換などは、いかにもポールらしいし、3曲目「アイム・キャリング」、6曲目「チルドレン・チルドレン」11曲目「デリヴァー・ユア・チルドレン」など覚えやすいメロディの曲も多い。

 さらに9曲目の「ウィズ・ア・リトル・ラック」はシングル・カットされ、全米1位になったほど売れた曲である。

 このアルバムの録音は、ヴァージン諸島で行われ、3隻のヨットのうち1隻を”フェア・キャロル号”と名づけ、船内にスタジオを特設してレコーディングをしたといわれている。
 そのせいか、アルバム全体にゆったりとした雰囲気が漂っているのであろう。

 しかもそれを聞いた時期が今頃なので、なおさら春っぽい雰囲気を感じさせたのだろう。
タイトルからして、イギリス人ポール・マッカートニーのアイディンティティを感じさせるものになっている。こういったイギリス人らしいアルバムを出して、なおかつ外貨を獲得したのだから、イギリス王室もその功績を認めて、サーの称号を与えたのだろう。

 最近の私生活のゴタゴタに負けずに、いい音楽を作り続けてほしいものだ。

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2007年4月27日 (金)

アラン・パーソンズ・プロジェクト

 数日前に中古CDショップで、アラン・パーソンズ・プロジェクトの「ガウディ」を買った。まあまあの出来かなと思う。彼の水準からしてみれば、むしろそれほどいいものではないようだ。

 アラン・パーソンといえば、ビートルズの「アビー・ロード」やピンク・フロイドの「狂気」でエンジニアを務めていた人である。その後もアル・ステュワートの「イヤー・オブ・ザ・キャット」やパイロットのアルバムのプロデュースに携わったりもしていた。

 そんな彼が始めたプロジェクトがアラン・パーソンズ・プロジェクトなのである。最初のアルバムの邦題が「怪奇と幻想の物語~エドガー・アラン・ポーの世界~」なのだから、充分にマニアックである。(1976年作品)

Tales of Mystery and Imagination Music Tales of Mystery and Imagination

アーティスト:The Alan Parsons Project
販売元:Universal
発売日:2007/04/30
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 基本的に彼の作品は、トータル・アルバム志向である。最初のエドガー・アラン・ポーからロボット、ピラミッド、運命、エジプト文明などなど、これもまたプログレッシヴ・ロックだと思うのだが、彼の作品はプログレッシヴ・ロックのジャンルには入っていないようである。
 いま手元にある何冊かのプログレ関連の本を見ているのだが、彼の名前や作品はその中にはない。あまりにもポップすぎるからであろうか。欧米ではヒット・メイカーとして見られているのではないだろうか。だからプログレと思われていないのであろう。残念なことだ。

 彼の作品でベストは、やはり「運命の切り札」「アイ・イン・ザ・スカイ」ではないかと思っている。「運命の切り札」は後半の流れるような組曲が圧巻だし、「アイ・イン・ザ・スカイ」でもインスト曲と歌唱入りの曲との対比が見事である。

Eye in the Sky Music Eye in the Sky

アーティスト:The Alan Parsons Project
販売元:Sony Legacy
発売日:2007/03/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 そして初期の頃の演奏はほとんどパイロットのメンバーが務めていた。ギターがイアン・ベアンソン、ベースがデヴィッド・パットン、ドラムスがステュワート・トッシュ、キーボードがビリー・ライオールである。彼らはもともとはベイ・シティ・ローラーズのように、アイドル・バンドとして売り出されたのだが、数曲のヒットの後、実力派バンドに変更した。
 クィーンをプロデュースしたロイ・トーマス・ベイカーのもと、「モーリン・ハイツ」というアルバムを作成したが、イマイチ売れなかったようである。私は好きなのだが・・・

Magic Music Magic

アーティスト:Pilot
販売元:See For Miles
発売日:1998/01/05
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 しかしそのアルバムを聞く限り、結構音作りに凝っており、テクニックのあるバンドだということは分かる。それがアラン・パーソンに声をかけられて参加するようになったのだろう。今までの売り上げを考えれば、彼らはグループとして成功するよりも儲かったのではないだろうか。それくらいアラン・パーソンズ・プロジェクトは売れたのである。

 2000年以降は、彼らは新しい作品を出していないようである。もう引退したのだろうか。もし出すのなら、バリバリのプログレッシヴな組曲で出してほしいのだが、無理なのだろうか?

 

 

 

 

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2007年4月25日 (水)

アーロン・ネヴィル

 ネヴィル・ブラザーズの次男であるアーロン・ネヴィルのCDを買った。といっても発売されたのは1995年だから、12年も前である。

 「タトゥード・ハート」というタイトルのアルバムなのだが、これがまた良いのである。今まで数枚の彼のアルバムを買った。その中で91年発表の「ウォーム・ユア・ハート」とこのアルバムが双璧をなすのではないだろうか。

Warm Your Heart Music Warm Your Heart

アーティスト:Aaron Neville
販売元:A&M
発売日:1991/06/11
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 とにかく曲がいいのである。口の悪い人は、ソウル界のAORというかもしれないが、それでもいいものはいい。ヒーリング・ミュージックだと断言してもいいと思う。それぐらい一度でも聞けば、心が癒されるし、和やかな気分になる。現代人の心のオアシスともなる曲である。

 もともと彼の声は、微妙にビブラートがかかるソプラノ・ヴォイスであり、(個人的には天使の歌声と思う)失礼ながら写真での印象と180度違う歌声は、官能的でさえある。
 白人のブライアン・フェリーをもう少し黒っぽくしたような感じである。アーロンは黒人なので、ブラック・ミュージックの範疇に入るのだが、何と言っていいのか、ラップなどの現代的なブラック・ミュージックではなく、もっと黒人の伝統的な音楽にのっとったものである。

 もともとネヴィル・ブラザーズは、ニュー・オーリンズ出身の4人兄弟であり、ジャズやリズム&ブルースの伝統に深く根ざした音楽性を発揮していた。その根本にあるのは、白人と黒人との軋轢や衝突であり、もっと具体的にいうと奴隷問題である。

 その歴史が彼らの音楽性の中に脈々と流れているのだと思う。だからいたずらに流行に走ることなく、趣味性に流されることなく、自分たちの音楽性を追求しているのだと思う。
 さすがネヴィル・ブラザーズである。そんな彼らの才能が凝縮されているのが、1989年発表の名作「イエロー・ムーン」だと思う。

Yellow Moon Music Yellow Moon

アーティスト:The Neville Brothers
販売元:A&M
発売日:1990/10/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 このアルバムのテーマは、ずばり公民権運動である。1曲目の「マイ・ブラッド」から平和への闘いと自由への希求が込められているのである。
 「アメリカに正義を与え、血の大陸を自由に、先住民の居留地にも私の血は流れている、できることなら彼らを助けたい、なぜなら世界中に私の血は流れているから、ニカラグアにもエルサルバドルにも、そしてアイルランドのベルファストにも」

 こう歌われる「マイ・ブラッド」から「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」黒人公民権運動のきっかけをつくったローザ・パークスについての歌「シスター・ローザ」、ボブ・ディランの「神が味方」「ホリス・ブラウンのバラッド」などなど、どの曲をとっても横暴な権力との闘いやそれを支える人たちへの愛情に満ちている。

 もし時間があるのなら、これらのアルバムを手にとって耳を傾けてほしいと思う。つらくて苦しくても、もう少し生きていこうと思わせる気持ちになるはずである。

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2007年4月19日 (木)

ニール・ヤング

 ニール・ヤングの新譜が出るそうである。新譜といっても、1971年のカナダはトロントでのライヴ録音盤で、「ライヴ・アット・マッシー・ホール」という聞きなれない名前の会場で録音されたものである。

Live at Massey Hall 1971 Music Live at Massey Hall 1971

アーティスト:Neil Young
販売元:Reprise / Wea
発売日:2007/03/13
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 当時25歳のニール・ヤングは、腰を悪くしていたそうでエレキ・ギターを持つことができずに、アコースティック・ギターで歌っているとのこと。あの名盤である「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」発売時期なので、その原曲たちを聞くことができるはずである。

 昨年も「ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト」が発売されたので、これはもう毎年続いていくのかもしれない。あっぱれニール・ヤングである。

 やはりニール・ヤングの70年代は圧倒的に神がかっていたように思う。70年発表の「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」から始まって、72年の「ハーヴェスト」あたりは、アコースティックなサウンドを中心とした素朴な音作りだったように思う。

After The Gold Rush Music After The Gold Rush

アーティスト:Neil Young
販売元:Reprise
発売日:1990/10/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 アコースティックなだけに、そのメロディの美しさが目立つのである。ニール・ヤングの声は、いわゆる蓄膿症のような、はっきりしないキーの高い声質で、決して美声ではない。ボブ・ディランでも同じようなことがいえるが、でも聞く者をひきつける摩訶不思議な魅力が満ちている。いったんハマってしまうと、ズルズルとその魅力に絡め取られてしまう。

 その後はエレクトリックな作風に立ち返るのだが、75年の「ズマ」の「コルテス・ザ・キラー」、77年の「アメリカン・スターズ・アンド・バーズ」での「ライク・ア・ハリケーン」などは涙ものである。彼のギター奏法は、技術的なものよりも、感情が込められた情熱的な演奏で感動を誘ってくれる。

 そのあともベスト盤やフォーキーな作品を挟んで、79年の「ラスト・ネヴァー・スリープス」では「ロックン・ロールは死んではいない」と高らかに宣言した。
 このアルバムは、アコースティック・サイドとエレクトリック・サイドに分かれており、イギリスのパンク・バンド、セックス・ピストルズのジョニー・ロットンに捧げた「ヘイ・ヘイ、マイ・マイ」でさっきのセリフが出てくるのである。

ラスト・ネヴァー・スリープス Music ラスト・ネヴァー・スリープス

アーティスト:ニール・ヤング&クレイジー・ホース
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2005/09/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 結局、彼はその姿勢がぶれていない。終始、首尾一貫しており、その本質は反戦・反権力だと思う。アメリカは、ベトナム戦争、湾岸戦争そしてイラク戦争と、常にその国外で戦争をしてきた国だが、国外といえども出征していくのは、アメリカ人しかも一般庶民なのである。

 それに対する彼の怒りや憤りが歌となって結実したのが70年代ではないだろうか。もちろん、昨年出た「リヴィング・ウィズ・ウォー」でもその心情が表れていると思う。
 戦争は無くなってほしいけれど、彼の歌は永遠に流れてほしいと思っている。その名前の通りに、いつまでも若くいてほしい。

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2007年4月17日 (火)

リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

 ジョージ・ハリソンといえば、元ビートルズのメンバーで、4人の中では最も若かったギタリストである。インド音楽や哲学に傾倒し、バングラディシュ・コンサートなどのチャリティ活動にも積極的だった。
 そのジョージが、ビートルズ解散後に出した2枚目のソロ・アルバムが「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」である。

 最初のソロ・アルバムである「オール・シングス・マスト・パス」は当時のLP3枚組、CDでは2枚組で、「マイ・スイート・ロード」や「イフ・ナット・フォー・ユー」などの名曲が目白押しで、ジョンやポールの陰に隠れていたジョージの才能がついに開花したと、当時は評判になったそうである。

オール・シングス・マスト・パス 〜ニュー・センチュリー・エディション〜 Music オール・シングス・マスト・パス 〜ニュー・センチュリー・エディション〜

アーティスト:ジョージ・ハリスン
販売元:東芝EMI
発売日:2001/01/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 そんなジョージの最も脂の乗り切っていた頃に制作されたのが、前述の「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」だった。
 私が初めて聞いたのは、中学3年生の春先だったように思う。「オール・シングス・マスト・パス」の成功の余波を受けてか、一曲目の「ギヴ・ミー・ラヴ」が全世界的にヒットしていて、日本のラジオ局でもよくかかっていたように思う。

リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド Music リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

アーティスト:ジョージ・ハリスン
販売元:東芝EMI
発売日:2000/04/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 この曲だけでなくて、2曲目の「スー・ミー、スー・ユー・ブルース」をはさんで、3曲目の「ザ・ライト・ザット・ハズ・ライティッド・ザ・ワールド」や4曲目の「ドント・レット・ミー・トゥー・ロング」など、このアルバムにも名曲が数多く含まれている。
 アルバムの後半にもフィル・スペクターが参加した「トライ・サム、バイ・サム」やインド哲学の影響が強い「ザ・デイ・ザ・ワールド・ゲッツ・ラウンド」など力強い曲が見られる。

 また全般にわたって、ジョージのギター、特にスライド・ギターがフィーチャーされていて、当時は知らなかったのだが、ジョージはビートルズの後期からスライド・ギターに凝っていたようである。

 第3のビートルといわれていたジョージが、堰を切ったようにその才能を発揮した時期がこの頃だったのではないかと思う。
 その後のジョージは、ジョージらしく世間の評判に左右されること無く、自身のレーベルを立ち上げたり、映画のプロデューサー業に専念したりなどマイ・ペースに活動を続けていった。

 そのジョージも今はもういない。天国で散りゆく桜でも見ながら、あらたな創作意欲をかきたてているのかもしれない。

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2007年4月16日 (月)

エルトン・ジョン

 エルトン・ジョンといえば、イギリス王室から外貨獲得に貢献したということで、勲章をもらい貴族の称号サーまでもらったという立志伝中の人である。

 その外見と行動から、チビ、デブ、ハゲ(実は植毛)、ホモという四重苦にもめげず、次々と立派な楽曲を発表し、アメリカビルボード初登場No.1などの偉大な記録を打ち立てたアーティストである。

 特に1972年から76年の間は、7枚連続でアルバムがNo.1になり、そのすべてがプラチナ・ディスクになったし、シングルは16曲連続トップ20ヒットとなり、そのほとんどがトップ10に入ったのである。
 特に73年の「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」や74年「カリブ」、75年キャプテン・ファンタスティック&ザ・ブラウン・ダート・カウボーイ」の3作は、そのメロディの豊かさや緩急をつけた作風で、今でも決して色あせていない。

Goodbye Yellow Brick Road Music Goodbye Yellow Brick Road

アーティスト:Elton John
販売元:Universal International
発売日:1996/02/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 この「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」は当時2枚組のレコードで、最初の葬送曲風のイントロからマリリン・モンローを悼んだ曲を経てグラム・ロック風の人物を歌った曲まで一気に聞かせてくれて、まるで映画を見ているようである。
 音楽がこんなに絵画的であるアルバムは、そんなにないであろう。まさに歴史的名盤である。2枚組でもNo.1になった理由は、ここにあると思われる。

 そして「キャプテン・ファンタスティック」もすばらしいアルバムである。ここでいう「キャプテン・ファンタスティック」とは、エルトン・ジョンのことであり、「ザ・ブラウン・ダート・カウボーイ」とは作詞家のバーニー・トーピンのことである。
 無名時代の2人が苦労しながら栄光をつかむというコンセプト・アルバムだが、作曲家エルトンと作詞家バーニーの自伝的作品なのである。特に「僕を救ったプリマドンナ」は名曲である。この曲だけでもこのアルバムを買う価値はあると思う。

Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy Music Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy

アーティスト:Elton John
販売元:Rocket/Island
発売日:1996/05/14
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 そのエルトン・ジョンが昨年出したアルバムが、「ザ・キャプテン&ザ・キッド」である。これは先述した「キャプテン・ファンタスティック」の続編といわれるもので、その後の2人のことを描いている。その歌詞の一部を紹介すると・・・
 『そして君はもどることはできないし、頑張っても失敗してしまう。前を見れば錆びたくぎが見える。「真実を発売中」という宣伝広告が、そこからぶらさがっている。そしてそれは僕らがやったことだ。うそなんかまったくないし、あるのはもうひとつの物語、キャプテンとキッドの物語なのさ』

キャプテン・アンド・ザ・キッド Music キャプテン・アンド・ザ・キッド

アーティスト:エルトン・ジョン
販売元:ユニバーサルインターナショナル
発売日:2006/10/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 このアルバムは、以前の「クロコダイル・ロック」や「土曜の夜は僕の生きがい」のようなジャンプ・ナンバーはないが、その代わりに淡々としたミディアム・テンポの曲やバラードが中心になっている。いまのエルトンにはとてもよく似合っていると思う。

 彼も今年で60歳である。やはりいい意味で成熟していると思う。以前のようなNo.1は無くても、心の中にしみわたる曲だけで充分だと思う。

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2007年4月15日 (日)

イギー・ポップ

 イギー・ポップについては、あまり多くを語ることはできない。なぜならよく知らないからだ。よく知らないのに、何でコメントするのかというと、彼の77年のソロ作品「ラスト・フォー・ライフ」が傑作なのである。

 もともと彼は68年にイギー・ポップ&ストゥージズというバンドでデヴューした。デトロイトの出身である彼は、工業都市デトロイトに相応しく、ロックというよりもパンクやサイケデリックな爆音サウンドだった。1stアルバムのプロデューサーがヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルだったせいもあると思う。でも意外とスマートな音作りだった。

イギー・ポップ・アンド・ストゥージズ(デラックス・エディション) Music イギー・ポップ・アンド・ストゥージズ(デラックス・エディション)

アーティスト:イギー・ポップ&ザ・ストゥージズ
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2005/10/12
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 やがて彼は有名になるとともに、ドラッグに溺れすさんだ生活を送るようになった。そんな彼を支援したのが、デヴィッド・ボウイである。彼は77年発表の「イディオット」と「ラスト・フォー・ライフ」の2枚のアルバムをプロデュースしたことで、イギーは復活できたのだ。

Lust for Life Music Lust for Life

アーティスト:Iggy Pop
販売元:Virgin
発売日:1992/06/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 このアルバムの中で歌われた「チャイナ・ガール」や「トゥナイト」「ネイバフッド・スレット」などは、のちにボウイのアルバム「レッツ・ダンス」や「トゥナイト」で歌われることになる。
 ちなみに「ラスト・フォーライフ」ではベースやドラムにハント兄弟が参加しており、彼らはやがてボウイと組んでティン・マシーンを結成することになった。こうやってみるといろいろなつながりが見えてくる。

 このアルバムの特徴としては、かなりポップで聞きやすいという点である。べつに名前がポップだからということではないだろうが、デヴュー当時のイメージとは大違いである。しかもジャケットではイギーが微笑んでいる。これもビミョウである。やはり怒れるロッカーであってほしかった。イギーには笑顔は似合わない。

 こうやって見ると、デヴィッド・ボウイはイギー・ポップを物心両面からサポートしていたのがよくわかる。やはり持つべきものは親友ということだろうか。
 しかし、イギーも今年で60歳。還暦を迎えた。もうボウイのサポートも必要ないだろう。ストゥージズも再結成され、ますます老いて盛んなのである。ガンバレ、イギー・ポップ!

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2007年4月14日 (土)

リレイヤー

 イエスというグループは、60年代末にイギリスで結成されたプログレッシヴ・ロックの代表格のひとつである。
 リーダーはボーカルのジョン・アンダーソンだが一時グループを離れたこともあった。ギターはスティーヴ・ハウのちにASIAのメンバーになったり、ジェネシスのスティーヴ・ハケットと組んでGTRというグループを結成するが、アルバム1枚で解散。結局イエスに戻ってくることになる。

 ドラムはあのビル・ブラッフォードでのちにキング・クリムゾンに加入した。そう考えると、最初から最後までグループにいたのは、ベースのクリス・スクワィアだけである。イエスを支えていたのは彼だったということか。

 彼らの代表作品といえば、「危機」だが、何度聴いても緊張感のある音作りで、20分近くの音楽を一気に最後まで聞かせてくれる。最初に聞いたときは、本当に背筋にぞくぞくくるような興奮を覚えたものだった。

Close to the Edge Music Close to the Edge

アーティスト:Yes
販売元:Wea International
発売日:2007/03/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 「危機」が発表されたのは1972年で、その2年後に「リレイヤー」が発表された。このアルバムではキーボードがリック・ウェイクマンからスイス生まれのパトリック・モラーツに交代している。リック・ウェイクマンはそれまでのオルガン主体のサウンドをシンセサイザーやメロトロン、その他のキーボードの音に代えて、イエスを世界的なグループに仕立てあげた功労者でもあった。
 しかし、人間的にはわがままで自己主張が強かったようで、メンバー間の軋轢もあったようである。そういう彼が、イエスで名が売れたせいか、ソロ・アルバムも売れたので、ソロに転向することになった。その代わりに来たのがパトリック・モラーツだったのである。

 彼が加入している唯一のアルバムが「リレイヤー」である。彼はもちろんウェイクマンと同じくらいかそれ以上のテクニシャンであったが、彼以上に繊細でクラシックよりのサウンドであった。このアルバムに「錯乱の扉」という20分くらいある曲があるが、それを聞くと目立たないようで、曲全体を支えているキーボードの音に気づくはずである。

リレイヤー Music リレイヤー

アーティスト:イエス
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2003/09/10
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 このアルバムを聴くと4月を思い出す。ちょうど聴いたのがそれくらいだったのかもしれないが、もやのかかったような幻想的なサウンドがこの季節にあっているのだと思う。
 また、この曲の最後3分くらいをジョン・アンダーソンがソロで歌うのだが、これがまた名曲である。のちにシングル・カットされたそうであるが、それくらいの価値はあると思う。
 2曲目の「サウンド・チェイサー」はギターとキーボードのバトルが聞けるし、この掛け合い漫才のような、もしくはジェット・コースターのような目くるめくサウンドが、当時の私には悶絶ものであった。

 そして最後の曲が「トゥ・ビー・オーヴァー」であり、これがまた4月の春かすみにぴったりとくる曲なのである。2曲目の緊張感から一気に解放された音であり、ゆったりと川を下っていくような調べである。この曲だけ聴くと、イエスというよりもキャメルムーディー・ブルースのようでもある。

 でも時代はもうパンク・ロックの時代であったためか、リック・ウェイクマンの印象が強かったためか、この1作でパトリック・モラーツは脱退、そのムーディー・ブルースに加入し
全米No.1アルバム「ボイジャー」など次々と名作を発表した。

Long Distance Voyager Music Long Distance Voyager

アーティスト:The Moody Blues
販売元:Mercury
発売日:1990/10/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 でも決して喧嘩別れではなく、その後もパトリック・モラーツはメンバーのソロ・アルバムに参加している。少なくともウェイクマンよりは人間的に立派ということか。

 とにかく4月といえば「リレイヤー」を思いだす。今年の春もまた何回か聞くだろうなあ。 

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2007年4月11日 (水)

ピンク・フロイド

 思えば、2年ほど前に「ライヴ8」というイベントがあって、いわゆる先進国首脳会議がロンドンで行われるのをきっかけにして、世界の難民や飢餓、紛争に直面している人たちを助けようと、世界の主要都市でロック・コンサートが行われました。

 メイン会場であったロンドンでは、ピンク・フロイドが約20年ぶりに再結成されてコンサートが行われました。これは画期的なことでした。

 ピンク・フロイドは60年代の末に、ロンドンのサイケデリック・シーンから現れたグループで、照明や音響装置に工夫を凝らしたポップなビート・グループでした(と思う。何しろ直接体験したわけではないので・・・いま聴くとそんな印象がするのです)

 結成当時のリーダーであったシド・バレットが精神的な病で脱退すると、グループのリーダーはベース担当のロジャー・ウォータースになり、あらたなギタリストとして、フランスではモデルもしていたというデヴィッド・ギルモアが加入しました。
 確かに当時の写真を見るとロングヘアーでスラリとした美形ギタリストです。いまは正反対の道をまっ逆さまに落ちていっていますが・・・

 73年に発表された「ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン」(邦題:狂気)は全世界で2500万枚以上を売り上げる大ベストセラーになり、ビルボードでも200週以上チャートに入っていたといわれています。これは確かに名盤で一家に一枚必携のアルバムです。単なるロックを超えたひとつの時代の遺産と言ってもいいと思います。ビートルズの「アビー・ロード」のBサイド以上の印象があるかもしれません。

The Dark Side of the Moon Music The Dark Side of the Moon

アーティスト:Pink Floyd
販売元:EMI
発売日:1990/10/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 だからこそ数年前のライヴでは「狂気」丸ごと1枚を演奏していたのだと思います。45分の時間が全然気になりませんから。

 私のお気に入りは「おせっかい」です。これはプロレスの入場シーンである選手が使って有名になりましたが、「吹けよ風、呼べよ嵐」があるからという理由ではなく、後半の「エコーズ」がトリップ感覚満点だからです。部屋を暗くして、酒飲んで聴くと、なかなかの気分になれます。

Meddle Music Meddle

アーティスト:Pink Floyd
販売元:Mobile Fidelity
発売日:1990/10/25
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 でもピンク・フロイドは長い曲をやるだけではなくて、意外とアコースティック・ギターを使って、いわゆるフォーキーな曲も演奏するので、そのバランス感覚も好きです。ギルモアさんは、かなりのテクニシャンだと思いました。

 そのギルモアはベースのロジャーと仲たがいをするのは、83年以降のことです。ロジャーが脱退して、今度はギルモア中心のバンドになりましたが、まるで80年代のジェネシスのように、それでも売れ続けました。ただ、ジェネシスと違うところは、そこそこにかつてのピンク・フロイドの面影を残しながらも売れていったという点でしょうか。

 冒頭に戻って、この2人が再結成コンサートを開いたというのは奇跡的なことだったのです。ひょっとしてこのまま再結成してアルバムでも出すのかと思ったのですが、残念ながらというか予定通りというか、そのままもとの2人に戻ってしまいました。

 ポリスのようにはならなかったのです。ちなみに、ギルモアは、いまだに再結成はありえないといっています。よほどのことがあったのでしょう。そしてギルモアは容色が衰え、髪も薄くなり、若い頃とは別人のようです。ピンク・フロイドのたどってきた音の移り変わりのようです。

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2007年4月 9日 (月)

The sails

 最近は、イギリスのバンドといっても個人ユニットであるが、The Sailsをよく聞いている。このアルバムは、基本的にはマイケル・ガリアーノという人が恋人?もしくはワイフらしき人と2人組で作成したものである。

ドラム・ロール・プリーズ Music ドラム・ロール・プリーズ

アーティスト:ザ・セイルズ
販売元:メディアファクトリー
発売日:2007/03/07
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 とにかくポップ・アルバムである。金太郎飴のように、どこを切ってもポップなのである。特に1曲目「ベスト・デイ」はフィル・スペクターふうで、2曲目「チョコレート」はザ・バーズであり、3曲目「イエスタディ・アンド・トゥディpart1」はビーチ・ボーイズふうなのである。

 つまり60年代後半から70年代の、あのキラキラと川面に光が反射しているような、12弦ギターをストロークしたような、往年のポップ・ソング満載のアルバムなのである。

 今の時代にこんな音楽が聴けるなんて、夢にも思わなかった。その夢が叶ったようである。
 人によってはアナクロニズム(時代錯誤)と言われるかもしれないが、好きな人にはたまらないのであり、何度聞いても飽きない音楽である。

 アルバム解説によると、マイケルはビートルズのコピー・バンドとして来日経験もあるそうで、そういわれると、なるほど、やっぱりと納得してしまう音作りでもある。

 それで、こういうアルバムこそが、脚光を浴び、日の目を見るようになってほしいのだが、ラップやダンス・ミュージックが主流の今日では、やはり無理なのであろう。
 本当に残念なことである。それでも一部マニアの間では売れて欲しいと切に祈るしだいである。がんばれ、The Sails!

 アルバム名を出すのを忘れていた。「ドラム・ロール・プリーズ」である。2100円だ。はっきりいって、お買い得である。

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2007年4月 8日 (日)

アイルランド

 アイルランドといえば、伝説と妖精の国を思い出すかもしれないけれど、やはりここはロックの母国と考えないといけないのかもしれない。

 アイルランドのケルト・ミュージックが海を越え、アメリカにわたり、そこでカントリー・ミュージックに変わった。さらに南部の黒人霊歌と混交することで、ロックン・ロールが誕生したのだ。

 したがって、アイルランドはロックの母国である。その証明として、昔から現在まで多くの優秀なミュージシャンが誕生している。
 例えば、70年代では、シン・リジィーのフィル・ライノット、ギタリストのロリー・ギャラガーやゲイリー・ムーア、80年代のシンニード・オコナー、クラナド、U2は今でも現役で、90年代のコアーズ、00年代のケルティック・ウーマンなどなど。

ワイルド・フロンティア Music ワイルド・フロンティア

アーティスト:ゲイリー・ムーア
販売元:東芝EMI
発売日:2002/10/30
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 その他にもルーツ的にアイルランドといえば、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、オアシスのギャラガー兄弟、エルヴィス・コステロなど枚挙に暇がない。

 国土は小さいが、その音楽性は豊かである。では、なぜアイルランドはそういう音楽性を抱いているのか。
 その理由は、どうも歴史的に見て、イギリス本国から抑圧されてきたからではないかと思うのである。

 もともとロックとは現実への不満や怒り、フラストレーションの発散である。また現状体制への反抗という意味合いもあるだろう。60年代末、ベトナム戦争への反対やブッシュ支持への反対行動を見ても分かると思う。そういう不満や憤りを形を変えて、音楽に昇華させてきたのではないだろうか。

 日本でいうと、沖縄である。中曽根美樹から始まり、フィンガー5、南 沙織、ロックバンドの紫、最近では安室奈美恵、オレンジ・レンジまで。
 そして沖縄は琉球王朝のときから薩摩藩から支配され、太平洋戦争では唯一の国土戦を経験し、その後はアメリカに駐留され、現在でも日本のようで日本でない状態、米兵が事件を起こしても起訴されない、あるいは軽く処理される、といった歴史的事実がある。

 だから沖縄は日本のアイルランドである。アメリカ軍基地がある限り、優秀なミュージシャンが沖縄から誕生し続けるだろう。皮肉な歴史でもある。

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2007年4月 7日 (土)

マイク・オールドフィールド

 久しぶりに聞いたのが、あの「チューブラー・ベルズ」でおなじみのマイク・オールドフィールドである。彼の1996年の作品「遥かなる地球の歌」(原題:The Songs of the Distant Earth)で、1回通して聞いた印象は、はっきり言ってギターやパーカッションを交えたヴァンゲリスであった。

 1953年生まれの彼は、ギターやキーボード、ドラムスなどすべてを器用にこなすマルチ・ミュージシャンで、73年に発表した「チューブラー・ベルズ」が無断で映画「エクソシスト」に利用されたおかげで、世界中で大ヒットした。ただし彼は激怒したそうである。

 私なんかは、このアルバムのおかげで、チューブラー・ベルズという楽器を知ることができたし、オカルト映画というのが、これほどまでに影響力を持つのかという驚きと、「エクソシスト」という英単語の意味を知ることができて、うれしかったという記憶がある。のんきなものである。

Tubular Bells Music Tubular Bells

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 その後、彼は「ハージェスト・リッジ」「オマドーン」といわゆる三部作を発表し、ミュージシャンとしての地位を確立した。いまだに時々引っ張り出しては聞いているが、この3作は非常に心地いいものがある。時間を忘れさせて、桃源郷に遊ぶような感じである。
 まちがっても車の中で聞いてはいけない、深夜一人部屋の中で聞くべき音楽である。音楽がこれほどまでに深く覚醒させてくれるのか、感動もののアルバムである。

Hergest Ridge Music Hergest Ridge

アーティスト:Mike Oldfield
販売元:Virgin
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 ある人に言わせると、マイク・オールドフィールドは初期三部作で十分だ、とあったが、言われてみれば、そんな気もする。でも、だからといって「遥かなる地球の歌」は駄作だとは言えないのである。

The Songs of Distant Earth Music The Songs of Distant Earth

アーティスト:Mike Oldfield
販売元:Warner
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 充分水準以上の作品であるのだが、初期三部作のインパクトが強すぎるのである。70年代はアナログ機器を使って、ダビングを繰り返していたのだが、現在ではデジタルやコンピューターを使っての録音である。その分、音質はいいのだが、記憶に残るのかというと、そうでもないのである。いまだに「エクソシスト」を越える作品が出ないのもそのせいであろうか。

 ちなみに最初はヴァージン・レコードからアルバムを出していたが、今はワーナー・ブラザーズに移籍している。これはヴァージンが「チューブラー・ベルズ」の続編を作るのに反対したためといわれており、事実、ワーナーに移籍してからは、「チューブラー・ベルズⅡ」「チューブラー・ベルズⅢ」「ミレニアム・ベルズ」などを発表している。

 彼の音楽はテーマとなるフレーズを反復しながら展開していくクラシックのようなものだが、彼の作品も同じように繰り返しながら、発展していくのであろうか。

 どうでもいいことだが、彼にはサリー・オールドフィールドというお姉さんがいて、一緒にアルバム作りを行っていたが、彼女自身もソロ・アルバムを出している。しかし、異様にポップなのである。弟マイクも一時、ポップなアルバムを出していたが、兄弟で競っていたのだろうか。

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アーティスト:Sally Oldfield
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2007年4月 3日 (火)

Good-by, Best Hits U.S.A.

 というわけで、3月いっぱいでTV朝日系列の看板番組?「Best Hits U.S.A.」が終了した。たぶん他の地域、東京などの大都市では放映されるのだろうけれど、田舎では視聴率が取れないせいか、放映中止になってしまった。Photo_2

 なにしろこちらでは、土曜日の朝6:00から45分間放送されていたのである。朝早い時間帯だから、番組中の左上には時間が表示されていたのである。こればっかりはどうにもならなかった。

 80年代はまだまだ頭髪があった小林克也氏も、時の流れとともにだんだん薄くなってしまった。でも、ホット・メニューやタイム・マシーンのコーナーなどは昔のままだったので、当時を知るものにとっては、懐かしさとうれしさが入り交じった気持ちだった。Photo_3

 昨年の9月から一ヶ月ごとに、DVDに録画していて保存している。これからTVでは見れないけれども、DVDの中では何度も同じものが見れるわけだ。

 こうして自分も年をとっていくのであろう。ロックとは若者だけの特権ではなく、お年よりも楽しめるものなのである。

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2007年4月 2日 (月)

ボストン

 ボストンといっても、松坂のいるレッド・ソックスのことではない。70年代の半ばから活動しているアメリカのバンドである。

 そのボーカリストであるブラッド・デルプが先月自宅で亡くなっていたらしい。享年55歳であった。死因は自殺のようで、遺書があったそうである。
 詳細にいうと、浴室に木炭を持ち込んで閉め切り、一酸化中毒になったということである。動機は心因性の鬱病による発作的な出来事といわれている。

 ボストンは76年に「幻想飛行」でデヴューし、リーダーのトム・シュルツはMIT出身で、(MITというのはマサチューセッツ工科大学のことで、日本でいうと東京大学工学部くらいのレベルにある大学らしい)、アルバムのエンジニアからプロデュースまで一人でスタジオにこもって作り上げた作品であった。

 初期のクィーンと同じように、「ノー・シンセサイザー」とクレジットされており、ギターの音を何度も何度も重ねて、分厚くスペイシーなサウンドを出していたのが印象的だった。しかもタイトでメロディアス、今でいう産業ロックのはしりのような音だった。

幻想飛行 Music 幻想飛行

アーティスト:ボストン
販売元:ソニーミュージックエンタテインメント
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 そのせいか、前出の1stアルバムは全世界で1000万枚以上売れて、その印税でトムは、スタジオを作り、そこにこもって2ndアルバムを作り、これも800万枚以上売れたそうである。

 個人的には、ボストンは第3作目の「サード・ステージ」までがいいアルバムだと思っている。でもその中で1stと2ndは突出していると思う。何を買うか迷ったらまずこの2枚のうちのどちらかであろう。

 結局、約30年の活動の中で、オリジナル・アルバムは合計5枚という自宅録音マニアなら泣いて喜ぶような数字を残している。
 ベースやドラムはメンバーが変わっても、トムが自分で担当するか、他のミュージシャンを起用していたが、ボーカルはこのブラッド・デルプがずっと担当していたので、これから先、何年後に6枚目のアルバムが出るかはわからないが、ボーカリストが変わるとイメージも変わるような気がする。
 伸びやかな、つやのある声質で、メロディアスなハード・ロックにはよく似合っていたと思う。残念なことである。

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2007年4月 1日 (日)

4月1日といえば

 エイプリル・フールである。この日は、一般的に嘘をついてもいいといわれている日である。

 うそといえば、「うそつきケイティ」というアルバムを思い出した。歌っているのは、スティーリー・ダンというアメリカの音楽集団である。集団といっても最初はグループだったのだが、実質はウォルター・ベッカードナルド・フェイゲンの2人組であり、様々な一流ミュージシャンを起用して、優れたアルバムを次々と発表していたのだ。このアルバムは75年の作品だ。

うそつきケイティ(紙ジャケット仕様) Music うそつきケイティ(紙ジャケット仕様)

アーティスト:スティーリー・ダン
販売元:ユニバーサルインターナショナル
発売日:2000/05/03
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 このアルバム自体も、結構なレベルなのだが、やはり何といっても「幻想の摩天楼」「Aja」「ガウチョ」は突出している。聴くとひんやりとした冷気を感じるのだ。本当にクールでカッコいいアルバム群である。

 次に思い出したのが、イーグルスの「Lying eyes」である。邦題は「いつわりの瞳」で、75年に発表された「呪われた夜」もしくは76年の「グレイテスト・ヒッツ」にも収録されている曲である。
 そんなに優れた曲というわけではないのだが、何となく思い出した。

呪われた夜 (紙ジャケット仕様) Music 呪われた夜 (紙ジャケット仕様)

アーティスト:イーグルス
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2004/10/06
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  そしてロック界最大の嘘と思われるのが、ジェスロ・タルの72年のアルバム「Thick as a blick」(ジェラルドの汚れなき世界)である。

ジェラルドの汚れなき世界 Music ジェラルドの汚れなき世界

アーティスト:ジェスロ・タル
販売元:東芝EMI
発売日:2005/04/20
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 8歳の天才少年ジェラルド・ボストックが詩のコンテストで優勝した作品をグループのリーダーであるイアン・アンダーソンが曲をつけて、当時のアナログ盤のA面、B面を通して1曲約44分にまとめたものであった。

 しかもジャケットにもジェラルドが優勝のトロフィーを受け取っている新聞の写真が準備されたり、アルバム自体が12ページの新聞仕立ての変形ジャケットだったりして、用意周到、実に手が込んでいたのである。
 実際は、すべてまったくの嘘っぱち、そんなコンテストや少年は存在せず、詩はすべてイアン・アンダーソンが書いたものであって、新聞記事もすべて創作、ようするに嘘だったのだ。

 私は再発のCDの解説を読むまでわからず、約20年近く騙されていたわけである。う~ん。これが英国流ジョークというものなのか。
 でも実はそんなイアン・アンダーソン、ジェスロ・タルが大好きなのである。

 

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