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2007年4月25日 (水)

アーロン・ネヴィル

 ネヴィル・ブラザーズの次男であるアーロン・ネヴィルのCDを買った。といっても発売されたのは1995年だから、12年も前である。

 「タトゥード・ハート」というタイトルのアルバムなのだが、これがまた良いのである。今まで数枚の彼のアルバムを買った。その中で91年発表の「ウォーム・ユア・ハート」とこのアルバムが双璧をなすのではないだろうか。

Warm Your Heart Music Warm Your Heart

アーティスト:Aaron Neville
販売元:A&M
発売日:1991/06/11
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 とにかく曲がいいのである。口の悪い人は、ソウル界のAORというかもしれないが、それでもいいものはいい。ヒーリング・ミュージックだと断言してもいいと思う。それぐらい一度でも聞けば、心が癒されるし、和やかな気分になる。現代人の心のオアシスともなる曲である。

 もともと彼の声は、微妙にビブラートがかかるソプラノ・ヴォイスであり、(個人的には天使の歌声と思う)失礼ながら写真での印象と180度違う歌声は、官能的でさえある。
 白人のブライアン・フェリーをもう少し黒っぽくしたような感じである。アーロンは黒人なので、ブラック・ミュージックの範疇に入るのだが、何と言っていいのか、ラップなどの現代的なブラック・ミュージックではなく、もっと黒人の伝統的な音楽にのっとったものである。

 もともとネヴィル・ブラザーズは、ニュー・オーリンズ出身の4人兄弟であり、ジャズやリズム&ブルースの伝統に深く根ざした音楽性を発揮していた。その根本にあるのは、白人と黒人との軋轢や衝突であり、もっと具体的にいうと奴隷問題である。

 その歴史が彼らの音楽性の中に脈々と流れているのだと思う。だからいたずらに流行に走ることなく、趣味性に流されることなく、自分たちの音楽性を追求しているのだと思う。
 さすがネヴィル・ブラザーズである。そんな彼らの才能が凝縮されているのが、1989年発表の名作「イエロー・ムーン」だと思う。

Yellow Moon Music Yellow Moon

アーティスト:The Neville Brothers
販売元:A&M
発売日:1990/10/25
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 このアルバムのテーマは、ずばり公民権運動である。1曲目の「マイ・ブラッド」から平和への闘いと自由への希求が込められているのである。
 「アメリカに正義を与え、血の大陸を自由に、先住民の居留地にも私の血は流れている、できることなら彼らを助けたい、なぜなら世界中に私の血は流れているから、ニカラグアにもエルサルバドルにも、そしてアイルランドのベルファストにも」

 こう歌われる「マイ・ブラッド」から「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」黒人公民権運動のきっかけをつくったローザ・パークスについての歌「シスター・ローザ」、ボブ・ディランの「神が味方」「ホリス・ブラウンのバラッド」などなど、どの曲をとっても横暴な権力との闘いやそれを支える人たちへの愛情に満ちている。

 もし時間があるのなら、これらのアルバムを手にとって耳を傾けてほしいと思う。つらくて苦しくても、もう少し生きていこうと思わせる気持ちになるはずである。


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