« アメリカ西海岸ミュージシャンの人脈 | トップページ | ユーライア・ヒープ »

2007年6月 2日 (土)

第3期ディープ・パープル

 第3期のディープ・パープルのメンバーを確認しておくと、Vo.デヴィッド・カヴァーディル、Gr.リッチー・ブラックモア、B.グレン・ヒューズ、Key.ジョン・ロード、Dr.イアン・ペイスである。

 黄金時代といわれた第2期からVo.のイアン・ギランとB.のロジャー・グローヴァーが脱退して、新メンバーが入ってきた。
 73年当時イアン・ギランとリッチー・ブラックモアの仲違いが激しくなってしまった。リッチーは自分が脱退しようとして、シン・リジーのフィル・ライノットとバンドを組もうとセッション活動をしていたそうである。

 しかし結局は、イアン・ギランの方が脱退して、76年にイアン・ギラン・バンドを結成した。1stアルバムのタイトルが「チャイルド・イン・タイム」というのだから、彼は昔から一貫して自分たちの焼き直しを売り物にしていたようである。当然のことながら売れなかった。

 またバンドは、ボーカルを元フリーのポール・ロジャースに頼んだが、断られたそうだ。

 それで最終的に第3期のパープルは、74年に「紫の炎」を発表。これは「イン・ロック」「マシン・ヘッド」と並び称されるくらいの名盤だと思う。

Burn Music Burn

アーティスト:Deep Purple
販売元:Rhino
発売日:2005/05/16
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 特に1曲目の「バーン」は、今ではハード・ロックの名曲としてギター小僧の腕試しの対象にもなっている。ただ、「ハイウェイ・スター」や「スモーク・オン・ザ・ウォーター」と比べると難易度は高いようである。

 また7曲目の「ミストゥリーティッド」はバラードというよりは、むしろソウル・ミュージック+ハード・ロックのようであり、マーヴィン・ゲイスティーヴィー・ワンダーをフェイバレットととするデヴィッド・カヴァーディルの資質がよくあらわれている。
 この曲をライヴ盤で聞くと、感動のあまり震えがくる人もいるようだ。特に解散前に録音された「メイド・イン・ヨーロッパ」でのこの曲は、圧巻である。

Made in Europe Music Made in Europe

アーティスト:Deep Purple
販売元:Emi
発売日:1990/07/01
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 その好調さの中で、74年の11月に続くアルバム「嵐の使者」が発表された。しかしこれはセールス的には失敗する。でも個人的にはとても好きなアルバムなのである。

Stormbringer Music Stormbringer

アーティスト:Deep Purple
販売元:EMI
発売日:2009/04/14
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 だいたいこのアルバム・ジャケットからしてこの時期の季節にふさわしいのだ。それこそ嵐の前触れのような雲行きの怪しい空に、竜巻に乗ろうとするペガサス。いま考えれば、この当時のバンドの状況を表していたのかもしれない。でも梅雨時期前に、似合うジャケットだと思う。

 ところで肝心の中身の方だが、解説などを読むとファンキーな音などと書いているが、むしろレーナード・スキナードのようなサザン・ロックに近いものがある。これはグレン・ヒューズが前作「紫の炎」の成功を受けて、さらにその種の音楽に近づいたものだと思われる。

 そしてここで、リッチー・ブラックモアと対立するのだ。またグレン・ヒューズも元トラピーズというバンドのベース兼リード・ボーカリストだったから、デヴィッド・カヴァーディルとも対立していたのであろう。

 2曲目の「ラヴ・ドント・ミーン・ア・シング」や3曲目「ホーリー・マン」(この曲はグレン・ヒューズがリード・ボーカルである)6曲目「ユー・キャント・ドゥ・イット・アゲイン」などはアメリカのひなびた田舎の納屋の前で弾いている音楽のような感じである。
 さらに7曲目「ハイ・ボール・シューター」はカヴァーディルとヒューズのツイン・ボーカルを味わうことができる。結構いい曲である。

 さらに最後の2曲「ザ・ジプシー」「幸運な兵士」はメロディアスな曲である。「幸運な兵士」の方は、バックになんとリッチーのアコースティック・ギターが流れるのである。どこにもエレクトリックな音は聞こえず、印象に残るようなギター・リフもない。
 しかしリッチーがアコースティック・ギターだけを演奏する曲がディープ・パープルのそのほかのアルバムにもあったのかどうか。あったとしても第1期の時代だろう。

 ギター・リフといえば、全体的に残るようなリフは見られない。シングル・カットされた「嵐の女」も印象的なメロディに欠けるし、おもわず口ずさむようなギター・リフがないのが、このアルバムの印象無さを裏付けているようだ。

 たぶん制作過程で、リッチーがやる気をなくしたのだろう。でもディープ・パープルとして聞くのではなく、いちロック・ミュージックとして聞くと、前述のようにすばらしい曲もある。車の中で聞くと、結構いいBGMとしても機能する。 個人的には何度もいうが好きなアルバムなのである。

 だからリッチー脱退後、バンドがとった道は、このファンキー路線をさらに踏襲するべく、アメリカ人ギタリスト、トミー・ボーリンを加入させた。彼らが発表したアルバム「カム・テイスト・ザ・バンド」も名盤である。

Come Taste the Band Music Come Taste the Band

アーティスト:Deep Purple
販売元:Wea Japan
発売日:1998/06/30
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ディープ・パープルと聞くと、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハイウェイ・スター」といったハード・リフをもった曲を思い出し、どうしてもそういう印象が強くなってしまい、パープル=ハード・ロックというラベルを貼ってしまうのだが、もともとはサイケデリックなバンド、アート・ロックだったのだ。だからファンキーな路線に変更したとしても、それはそれでバンドの成長過程と思えばよかったのでる。しかしやはり熱心なファンは、それを許さなかったのだと思う。

 ところで速弾きのルーツはリッチー・ブラックモアだったという。彼が最初に一音一音きちんとピッキングをして演奏した最初のギタリストだそうだ。それまでのギタリスト、アルヴィン・リーやトニー・アイオミなんかはピッキングはあまりしなかったといわれている。

 そのリッチーも今はアコースティックな中世音楽に走ってしまい、というか若い女に走ってしまい、もう彼の速弾きを聞くこともない。残念なことである。


« アメリカ西海岸ミュージシャンの人脈 | トップページ | ユーライア・ヒープ »

ブリティッシュ・ロック」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アメリカ西海岸ミュージシャンの人脈 | トップページ | ユーライア・ヒープ »