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2007年10月17日 (水)

ヴァン・モリソン(2)

 個人的には、ヴァンの90年代以降の作品で一番のお勧めは「エンライトメント」である。Photo_2 何しろ楽曲がいい。"Real real gone"はアップ・テンポで最初から飛ばしてくれる。歌詞の中にサム・クックやウィルソン・ピケット、ジェームス・ブラウンなどが出てきて、ヴァン自身のブラック・ミュージックへの思い入れがひしひしと伝わってくるのである。

 2曲目はミドル・テンポの曲でモリソン流の悟りの境地が歌われている。夜に聴くといいと思われるのが、3曲目である。時間的にも6分以上あるし、ピアノの流れるような調べと淡々としたリズム陣を背景にして、時に切々と、時に情熱的に歌うヴァンの姿が浮かび上がってくるようだ。"So quiet in here"というタイトルにふさわしい歌である。

 次の曲"Avalon of the heart"はバラードでこれもまた素晴らしい。人間というのは本当に感動した場合は、何もいえなくなってしまう。言葉を失うとはまさにこのことである。
 だから本来はもう少し違う表現で、この楽曲の素晴らしさを伝えないといけないのだろうが、いいものはいい、素晴らしいものは素晴らしいとしかいえないのである。とにかく一度聞いてみてほしい類の歌だ。

 続く"See me through"も静かな曲。秋の夜長に聴いてみたい曲である。これもモリソン流のバラードなのかもしれない。

 "Youth of 1000 summers"では、まだまだ自分は元気だというようなことを歌っている。
「彼は1000の夏の若さだ
彼は1000の夏の若さだ
甘くささやく若鳥のように
甘くささやく若鳥のように
私の心の中で 私の魂の中で

彼は光り輝くように見える
太陽のように光り輝き
地球を照らしている」(訳:プロフェッサー・ケイ)
 年はとってもまだまだ精神は若くて元気だとでもいいそうである。なかなかやるじゃないか、ヴァン・モリソン。

 7曲目の"In the days before rock'n'roll"は語りかけるように歌っている。こういう歌い方はヴァン・モリソンの得意とするところである。8分もあり長い。このアルバムは、たぶんこの曲を中心にして構成されたのではないかと思う。

 8曲目"Start all over again"はミドル・テンポの曲で、恋人にやり直そうと歌っている。そしてアコースティック・ギターに導かれて"She's a baby"が始まる。これも静かなバラード系である。サビの歌詞の部分はどこかで聞いたような気がするのだが、思い出せない。似たような曲があったと思うのだが不明である。R&Bなんていうものは似たような歌詞が多いからかもしれない。

 そして最終曲"Memories"なのである。アルバム全体の雰囲気がさきほど7曲目から徐々にゆったりとなってきて、ヴァンは、最後の曲を情感豊かに歌って締め括る。何しろタイトルが"Memories"なのだから、聴く方の感情がいやがうえにも高まってしまう。バックのアコーディオンとアコースティック・ギターが美しい。名曲だと思う。

 このアルバムを聴きながら目を閉じれば、たぶんぐっすりと眠れるのではないだろうか。そんなアルバムなのである。

 それにしても全て作曲、一曲を除いて作詞しているヴァン・モリソンはすごいと思う。結構作曲能力が高いのである。こんなに曲がかけるとは思えなかった。
 とにかく日本では知名度が低いのだが、海外では有名なミュージシャンであり、いまだに一度も来日経験のないアーティストである。最後の大物といわれているが、理由は極度の飛行機嫌いとも、単なるわがままとも言われている。

 ちなみにヴァンは、73年に離婚して以来ずっと独身を通してきたが、現在は元ミス・アイルランドのミッシェル・ロッカと結婚している。
 また彼女の写真は95年に発表された「ディズ・ライク・ディス」の表ジャケットに写っている。ヴァンは、奥さんの写真をアルバム・ジャケットに載せるのが好きなようである。Photo


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