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2007年10月31日 (水)

バッドリー・ドローン・ボーイ

 いきなり21世紀に飛んで、イギリスのSSWであるバッドリー・ドローン・ボーイ(以下BDBと称す)について書きたい。

 最近、2002年に発表された彼のアルバム「恋を見ていた少年」を中古CD販売店で購入した。これは初回生産限定スペシャル・エディションで2枚組だった。
 正規のアルバム+オフィシャル・ブートレッグ(公式海賊盤、ようするにアーティストが認めたライヴ・アルバムのこと)の2枚組なのである。

恋を見ていた少年 Music 恋を見ていた少年

アーティスト:バッドリー・ドローン・ボーイ
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2003/01/29
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 このアルバムを最初、通して聴いたときは、何といっていいか分からないほど、奇妙な気がした。ポップ・アルバムのような、しかし1分10秒や中には45秒の曲もあって、一筋縄ではいかなかったのである。

 それで1回通して聴いたあとは、しばらく放っておいて、時間を置いてからまた聴いてみた。すると何となくいいような気がしてきたのだ。

 もともと貧乏性の自分は、1,280円も出して買ったのだから、無意識のうちに何とかしていいところを見つけようとしたのかもしれない。

 すると3回目に突入したとき、ふと頭に閃いたのである。これはBDB流の「ホワイト・アルバム」ではないのか、と。
 「ホワイト・アルバム」といえば、あのザ・ビートルズの「ホワイト・アルバム」である。2枚組でロックン・ロールからレゲエ、ボードヴィル調、バラード、ハード・ロック、アヴァン・ギャルド(前衛音楽)までビートルズの音楽性の全てをさらけ出した歴史的名盤である。

ザ・ビートルズ Music ザ・ビートルズ

アーティスト:ザ・ビートルズ
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:1998/03/11
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 しかもアルバム・ジャケットが白一色で統一されていたので、通称「ホワイト・アルバム」といわれているのだ。

 その「ホワイト・アルバム」にBDBの音楽性がよく似ているのである。基本的にはSSWなので、フォーク調なのだが、それにミュージカル、60年代のロネッツのようなウォール・オブ・サウンド、ロックン・ロールなどが混合していて、聴いていて飽きさせない。

 45秒の曲"Imaginary lines"も歌詞があり、しっかりとしたメロディもついている。ちょうどポール・マッカートニーがソロ・アルバム「マッカートニー」の中で披露したような曲である。

 アルバムでは5曲目"All possibilities"から急に浮上してくる感じだ。ここから彼の本領発揮という感じである。この曲からポップになり、一気に聴かせてくれるのである。
 特に"I was wrong"、"You were right"、"How?"、"The futher I slide"、"Tickets to what you need"、"What is it now?"、ボーナス・トラックの"Last fruit"などは優れていると思う。

 SSWというとフォーキーなイメージがあるが、このアーティストはその対極にある。結局ひとりで何でもするというマルチ・ミュージシャンなのだろう。
 その証拠にオフィシャル・ブートレッグを聴くとわかるように、ほとんどアコースティック・ライヴに近いのがわかるはずだ。

 これは2002年のグラストンベリー・フェスティバルでのライヴ録音である。最初はギター一本での弾き語り、途中でささやかなドラムとベースが入り、終わりはピアノでの弾き語りという構成である。
 こういうアコースティックになると、曲の骨格というものがはっきりしてくるので、曲のよさが手に取るように分かる。

 全16曲のライヴであるが、秋の夜長に聞くとなかなか心に染み渡るのである。スタジオ録音は様々なテクニックやエフェクトを使って、効果を高めようとしているが、このライヴ盤ではそういった装飾が剥ぎ取られているので、じっくりと曲自体を聴きこむことができる。

 ある意味スタジオ盤よりもライヴのほうがいいかもしれない。そういう意味ではお買い得感のあるアルバムだったと思う。
 数曲はスタジオ盤と同じ曲であるが、3分の2は知らない曲ばかりであった。それでも統一感があり、何曲かは今すぐにでもシングル・カットできそうなものであった。ある意味SSWの本領発揮という感じのライヴ・アルバムであった。

 彼の本名はデーモン・ゴフといい、1969年マンチェスターの出身である。BDBというのは、テレビ番組"Sam and his Magic ball"の登場人物から取ったようである。
  またニット・キャップをいつでもかぶっていて、彼のトレード・マークにもなっている。これも例のテレビ番組の登場人物を真似しているということらしい。

 彼自身はブルース・スプリングスティーンに憧れ、彼のファンだというが、彼の声質は少しジョン・レノンに似ているような気がする。

 それで、結局BDBにハマってしまったプロフェッサー・ケイなのである。


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