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2007年10月30日 (火)

クリス・スペディング

 ウィッシュボーン・アッシュのアンディ・パウエルは通常“フライングV”というギターを使用している。これは文字通り“V”の字の形をしているギターで、見た目もカッコいいということで日本人には人気のあるモデルである。

Photo_3 Music Hurt

アーティスト:Chris Spedding
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 それでフライングVつながりということで、本来ならマイケル・シェンカーあたりが登場するのであろうが、へそ曲がりの自分としてはここでクリス・スペディングを登場させるのである。

 クリス・スペディングは日本でも意外に人気のあるギタリストである。ブライアン・フェリーのツアー・メンバーとしても、ソロ活動としても来日経験がある。
 個人的には1枚しか彼のアルバムを持っていないのだが、それを聞く限りは、50年代のロカビリーを髣髴させるような音作りだと思う。

 またバディ・ホリーの作品やロックン・ロールの古典"Route 66"などを意欲的に取り上げるなど、彼のルーツは50~60年代のロックン・ロールだということがわかる。
 彼の唯一の?ヒット曲である"Motorbikin'"を聞くと、やはりノリのいいロックン・ロールであり、歌自体は上手とは思わないが、さすがにギターは上手である。("Motorbikin'"は1975年の全英チャートでNo.14であった)

2_2 Music Motorbikin'

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 歌い方は何となくJ.J.ケールに似ているような気がする。ケールをもう少しハッキリさせたような歌い方だと思う。
 ただ、当然ながら歌よりはギターの方が評価が高く、ブライアン・フェリーをはじめ、プリテンダーズ、元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイル、SSWのロイ・ハーパーなどと一緒にツアーを行っているし、スタジオ・セッションではエルトン・ジョン、ポール・マッカートニー、ニナ・ハーゲン、ジャック・ブルース、ブライアン・イーノ、最近では女性SSWのケイティ・メルーアなどのアルバムに参加しており、本当に全体を把握するのは困難である。

 またロックのアルバムだけでなく、その昔はジャズ・ロックにも取り組んでいて、モントルー・ジャズ・フェスティバルではNo.1ジャズ・ギタリストに選出されたという話も残っている。

 さらにはパンク・ロックにも造詣が深く、セックス・ピストルズの最初のデモ・テープをプロデュースしたのはクリスだった。
 ミック・テイラーがローリング・ストーンズを脱退したときに、当然のことながら彼にもお声がかかったが、彼は辞退したそうである。

 ところで彼の一番の人気曲は"Guitar Jamboree"ではないだろうか。これは古今東西の有名なギタリストのフレーズを拝借してきて、次々と演奏してみせるという曲である。

3 Music Guitar Jamboree

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 スタジオ盤とライヴ・バージョンでは若干違いが見られるが、スタジオ盤ではアルバート・キングから始まり、チャック・ベリー~ジミ・ヘンドリックス~ピート・タウンゼンド~キース・リチャーズ~ジョージ・ハリソン~エリック・クラプトン~ジミー・ペイジ~ジェフ・ベック~ポール・コゾフ~レスリィ・ウェスト~デヴィッド・ギルモアが登場し、たとえばジミ・ヘンなら"紫のけむり"、クラプトンなら"愛しのレイラ"のような超有名フレーズを演奏するのである。

 ライヴではデヴィッド・ギルモアの代わりにロバート・フリップになったりする場合もあったということで、まるでお菓子の宣伝ではないが、一粒で何度でも楽しめるという超豪華な曲なのである。当然のことながらライヴでは総立ちになるそうである。

 クリスは1944年の6月生まれだが、もともとはピーター・ロビンソンという名前だったが、父親がオーストラリア空軍の兵士で、任務遂行中に事故で亡くなってしまった。それで生後3ヶ月で養子に出され、そこでクリストファー・ジョン・スペディングという名前に変わったのである。

 養父母のジャックは音楽の素養があり、ピアノなどの演奏もできたし、母親のムリエルはアマチュアの歌手だったこともあった。
 それでクリス自身も9歳からヴァイオリンを習い始めたという。彼の音楽のキャリアはそうやって始まったのである。

 クリス自身はまだまだ現役で、今年もアメリカのライノ社から「イッツ・ナウ・オア・ネヴァー」というアルバムを出している。イギリスにはこういう職人肌のミュージシャンが多いようで、地味だけどいい仕事をしているこんな人にこそ頑張ってほしいと思うのである。


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