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2007年11月23日 (金)

オペラ座の夜

 どうもイギリスのバンドには伝統的に音楽と演劇をミックスしたシアトリカルなステージ演奏を披露するのが多いようで、その中には、結構国民的な人気を博しているものもあるようだ。
 例えば、このブログでも紹介したジェスロ・タルをはじめ、センセイショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド、デヴィッド・ボウイ、最近ではロックではないものの、アンダーワールドやダフト・パンクなどのダンス系も斬新な映像を駆使したステージ展開をしているので、その系統に入れてもいいだろう。
 また、ニュー・ヨーク出身のシザー・シスターズは本国よりもイギリスで人気が出て、世界的に有名になっていった。それもユニークなステージが受けたというのも一因だといわれている。

 やはりシェイクスピアの時代から国民の中に演劇に対する親近感というか、それだけ浸透していると思うのである。
 それで、クィーンであるが、彼らもこれだけいまだに人気があるというのも、当然のことながら楽曲の良さもあると思うが、4人の個性が共鳴し、高まりあうそのステージにもあると思う。

 その中で、やはりボーカルのフレディは群を抜いている。というか、ボーカリストとしての歌のうまさだけでなく、そのコスチュームやパフォーマンスがユニークなのである。何しろ4オクターブの声と胸のはだけた白や黒のバレエのタイツ、もちろん胸毛がモジャモジャなのだが、それでオペラティックに歌い、華麗な?ステップをするのだから、どう考えても普通は変である。
 また80年代以降はゲイ的な衣装でも歌ったりしていた。(もちろん本人がゲイだからそれはそれで理由があるのだろうが)

 それを不自然とは思わせずに最後まで聴かせてしまうのだから、さすがフレディである。ボーカリストとしての技術だけでなく、自分に対する自信がそうさせているのであろう。

 1stから出すアルバム出すアルバムがヒットして行き、世界的に人気が出てきた彼らが満を持して発表したのが、4thアルバム「オペラ座の夜」である。1975年の11月(日本では12月)であった。

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 これはクィーン版“ホワイト・アルバム”というべきもので、ハード・ロックからバラード、アコースティック、ボードヴィル調など様々なジャンルの音楽が、それこそ万華鏡のように輝いているのである。

 彼らの音楽の特徴として"No Synthesizer music"と1stアルバムからずっとクレジットされているが、シンセサイザーを使わないでギターやピアノを中心としたキーボード類を中心に音を重ねたその音楽は、驚異的でもあった。

 そしてこのアルバムで、俺たちはハードなロックだけではないのだぞ、こんなこともできるんだと高らかに宣言したのがこのアルバムだと思うのである。
 その1つがベーシストのジョン・ディーコンが作曲した"You're my best friend"である。聞けばわかるが、ポップ・ソングである。あの「クィーンⅡ」で見せたロックンロールはこの曲では聴くことができない。

 そして世紀の名曲"ボヘミアン・ラプソディ"が含まれているのも、このアルバムである。6分近いこの曲で、彼らは初めて全英No.1を獲得した。アルバムも初めて全英でNo.1になった。(アメリカでは4位だった)
 この曲を録音するだけで180回のオーヴァーダヴィングを繰り返し、完成させるまでに約3週間かかったという。確かにオペラのようなコーラス部分は昔からのクィーン・ファンもビックリしたに違いない。
 しかし静~動~静という曲展開は見事だし、フレディのピアノやブライアンのギターもドラマティックに盛り上がっていき、最後のロジャーの銅鑼の音まで聞き手を離さない。本当に名曲である。

 このあとアルバムは英国国歌"God save the Queen"で幕を閉じる。このアルバムもまたトータル・アルバムであった。

 翌年、彼らはこのアルバムの対になるニュー・アルバム「華麗なるレース」を発表した。前作が白っぽいアルバム・ジャケットだったのに対して黒を基調としたアルバムだった。また内容も前作と同じく多彩な音楽性を発揮したものだった。

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 唯一の違いはプロデューサーのロイ・トーマス・ベイカーと袂を分かったということだろう。

 この頃のクィーンはそれだけ創作意欲と創造性がピークに向かいつつあったということかもしれない。このあと彼らは世界の頂点を極めながらも、折からのディスコ・ブームや黒人音楽に肩入れを始めてしまった。そのせいか徐々に失速していったのである。

 ともかく12月も近くなると、クィーンやフレディがやたらと恋しくなるのであった。 


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