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2008年1月 9日 (水)

僕と布団とパンク・ロック

 もともとパンク・ロックが苦手であった。若いときからパンクに対して拒否反応が強かったのである。なぜだろうか?

 好き嫌いという個人的感情を論理的に説明することは難しい。スター・トレックのDr.スポックではないが、何か微妙な雰囲気を醸し出してしまいそうになり、自分の気持ちを正確には言い表せそうにないからだ。

 それでも何とか考えてみると、
①ポップでない。
②ボーカルや演奏が下手。
③ガチャガチャうるさい曲か、極端に音数が少ない曲が多い。
④社会性や思想性が強く、芸術性が見られない。
⑤誰でもできることを平気でやっている、等々。いくつか思いつくことができた。

 しかし、当時はそう思っていたのは確かだが、今となっては、それこそがパンクの生命線であり、存在理由でもあるのだと考え方を改めた。

 パンク・ロックは最初、当時の社会状況と密接に結びついていたと思う。それこそ“怒れる若者”の声を代弁する音楽という感じで、70年代の半ばに出現してきた。あるいは当時の社会的閉塞状況を打破する音楽としても機能していたと思っている。

 その代表が、アメリカではテレヴィジョンやパティ・スミス、ラモーンズ、イギリスではセックス・ピストルズであり、ザ・ジャム、ザ・クラッシュ、ザ・ダムドなどではないだろうか。

 そして例えば、セックス・ピストルズなどは一聴した印象では単純そうだが、よく聴けば曲構成はしっかりしており、サビの部分は覚えやすく歌いやすい。またギターのスティーヴ・ジョーンズは結構テクニシャンであり、昨日今日覚えた演奏ではなかった。だからパンク・ロックを一概に演奏が下手とか、芸術性がないとはいえないのである。

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 そのパンク・バンドの中で、リアル・タイムで好きだったのはザ・ストラングラーズとポリスとパティ・スミスだった。ポリスをパンク・バンドと言っていいかどうかは疑問であるが、当時はそういう風に認識していたのだった。

 ポリスの「白いレガッタ」については、以前このブログで扱ったので、今回は割愛させていただく。またザ・ストラングラーズの「ノー・モア・ヒーローズ」についても同様に省略させてもらいたい。
 パティ・スミスについては次回に譲りたい。次回があればの話であるが・・・

 とにかくこの3枚は、自分でお金を払って買ったアルバムであった。パンク・ロックのアルバム(レコード)を買ったのは、後にも先にもこのときだけである。就職してお金に余裕ができたときには、セックス・ピストルズやバズコックス、ウルトラヴォックスなども買ったが(もちろんCDだが)学生の時には全くそんな余裕もなかった。

 余裕もなかったし、寒いときは布団にくるまってこれらの音楽を聴いたものだった。何しろ今も昔も貧乏だったのである。

 そのストラングラーズであるが、確かに「ノー・モア・ヒーローズ」はとにかく飽きるほど聞き込んだが、それ以降のアルバムについてはなぜか急に聞かなくなった。なぜだろうかと今回これを書くにあたって考えたところ、やはり尖がったところがなくなり、丸くなってきたと判断したからではないかと思っている。

 個人的に「ノー・モア・ヒーローズ」以外で好きなアルバムは、「オーラル・スカルプチュアー」である。これは1984年に発表されたアルバムで、パンク・ロックから芸術至上主義に変化しており、デヴュー時の荒々しさはすでに見られない。

 Photo_2 それが逆に自分にとってよかったのかもしれない。エッ、これがストラングラーズ?という感じで、少なからずの衝撃とともによく聴いたものだ。

 今聴いても充分鑑賞に耐えうる音だと思う。当時はヨーロッパ流芸術主義とか耽美主義とかいわれていたが、確かにデヴュー時と芸風は180度違っているのだから仕方ない。

 何しろシンセサイザーからホーン・セクション、女性コーラスまで出てくるのである。また1曲1曲がよく練られていてメロディがしっかりしており、ポップな雰囲気を湛えている。

 出世魚は大きくなるにつれて名前が変わるが、このストラングラーズは、名前は変わらなくても中身が大きく変わってきた。今ではイギリスを代表するグループにまで成長してしまったのである。

  日韓サッカー・ワールド・カップのとき、アディダスのCMにストラングラーズの曲"ピーチズ"が使用されていたが、これはCM出演したデヴィッド・ベッカムの希望だったといわれている。
 ベッカムも好きなストラングラーズである。たいした出世である。これからも中高年の星として頑張ってほしいものだ。

 ここで訂正がある。以前キーボードのデイヴ・グリーンフィールドの年齢が60歳以上というようなことを書いたが、その後の調査でデイヴではなく、ドラムスのジェット・ブラックの年齢であったことが判明した。ここにお詫びして訂正したい。
 ちなみにジェット・ブラックはデヴュー時に37歳であったという。デヴュー・コンサートが1975年に行われているので、今年は・・・


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コメント

はじめまして、williamといいます。
俺も自分のブログで、パンクについて書きました。
俺の場合は、パンクが好きな立場からですが(^^)、
よかったら見てください。
ストラングラーズは「ノー・モア・ヒーローズ」
しか聴いたことないんですよね。
パンクで1番芸術性を感じるのは、
テレビジョンの「マーキー・ムーン」かな。

投稿: william | 2008年1月12日 (土) 14時30分

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