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2008年2月 1日 (金)

山羊の頭のスープ

 寒い日が続いている。暦の上では1月下旬の大寒から2月初旬の立春までの約2週間が一年の中で一番寒い日々といわれている。
 実際、今日の最高気温も5℃だったし、暦の上だけでなく現実にも寒かったのだ。

 昔、こんな寒い日によく聴いていたアルバムがあった。ローリング・ストーンズの「山羊の頭のスープ」である。それにしても、よくまあこんなタイトルをつけたものだと思う。一体どういう意味があるのだろうか。

山羊の頭のスープ(でかジャケ) Music 山羊の頭のスープ(でかジャケ)

アーティスト:ザ・ローリング・ストーンズ
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2006/03/15
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 昔のレコードの内袋には、山羊の頭が入ったスープの写真があったが、廉価盤のCDにもジャケットの裏側に大きく写しだされている。
 しかし若い人たちには少々インパクトが強すぎるのではないだろうか。R-15指定かもしれない。さすがローリング・ストーンズである。

 このアルバムのイメージとしては、タイトルのような“おどろおどろしさ”と“夢幻的な美しさ”だと思う。
 “おどろおどろしさ”については、どうにもこうにもならない、ストーンズがはじめから内包していた要素のひとつだと思うし、それを音として表現しているような感触である。

 たとえば1曲目の"Dancing with Mr.D"はミックの妖しい声やバックの演奏、特にリズムとギターの音がこの“おどろおどろしさ”一層盛り上げている。中学生の頃、この歌を聴いてびっくりした。何を歌っているのかさっぱり分からなかったが、こんな歌があっていいのか、許されるのか、存在してもいいのか、という疑問符で頭の中がいっぱいになった。

 ロックのリズムなのだが、妖しい歌だった。"Doo Doo Doo Doo Doo(Heartbreaker)"である。何しろタイトルからして何だか意味不明だし、バック・コーラスの“ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドー”とファンキーなホーンが相乗効果で、彼らが持っている胡散臭さを見事に表現していると思った。

 その妖しさがいい意味でコマーシャルな効果を発揮したのがシングル・カットされて世界的に大ヒットした"Angie"である。はたしてデヴィッド・ボウイの当時の妻のことを歌ったのかどうかはわからないが、切々とした歌唱法や哀切感溢れる表現方法は中学生にも充分理解できたのだ。
 当時30歳のミック・ジャガー、まさにこれから脂の乗る時期である。久々にアメリカでもNo.1を獲得し、ストーンズここにありを示したシングルでもあった。(個人的に思うに、甲斐バンドの“安奈”はこの歌がモチーフになったのではないだろうか)

 当時中学生の自分にも、やっぱりミックは妖しかった。男のくせに女装するし、デヴィッド・ボウイと同じようにバイ・セクシャルだということも雑誌で知った。本当かどうかは分からないけれども・・・
 このアルバム・ジャケットにも化粧をしたミックが写されているし、そのステージの動き方もとても知性ある人には見えなかったのである。

 CDでは音がクリーンになっていて、この“おどろおどろしさ”の魅力は半減していると思う。その点レコードでは充分味わうことができる。

 もうひとつの“夢幻的な美しさ”は、まさに夢を見ているような、あるいは夢と現実のはざまの半覚醒状態にいるような不思議な美しさのことである。
 3曲目の"Coming down again"は、そういう美しさを表していると思う。スロー・バラードの曲だが、ここでのキースとミックのボーカル・ハーモニーは美しいの一言に尽きる。約6分近い彼らにとっては長い曲だが、自分にとっては長くは感じられなかった。

 そして8曲目の"Winter"。まさに今の時期に聴くべき曲である。5分30秒とこれも長めの曲なのだが、ミック・テイラーとキース・リチャーズの演奏が“冬景色”を演出しているし、後半のストリングスがさらにそれを高めている。最初から最後までタイトル通りの曲なのである。

 そして次の曲、"Can you hear the music"はアジアン・テイストに満ちた不思議な曲だ。笛やパーカッション部分が夢か現実か判断しかねるような雰囲気を醸し出している。またバックでかすかに聞こえるミックのささやき声みたいな音も効果的だ。
 自分にとってこれらの曲は“夢幻的な美しさ”を体現しているように思えたのである。

 もちろん"Silver train"や"Star star"などのストーンズ流ロックン・ロールも健在である。当時のNHKの“ヤング・ミュージック・ショー”ではこの頃のストーンズのビデオ・クリップ集みたいなものが放映された。
 その中で"Angie"や"Silver train"、"Dancing with Mr.D"このアルバムにはないが"It's only rock'n'roll"そのほか数曲が演奏されたが、いまだに印象深いシーンとして私の脳裏に焼き付いて離れないのだ。

 私が初めて買ったストーンズのアルバムがこのアルバムだった。季節は冬だったのか秋だったのか分からないが、寒い時期だった。そういう意味でも非常に印象深いアルバムになのである。
 そしてこのアルバム・タイトル「山羊の頭のスープ」の意味はいまだに私にとってミステリアスなのである。


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