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2008年3月25日 (火)

キャメル

 キャメルはイギリスのプログレッシヴ・ロック・グループで、1973年にデヴューしている。前回のブログ、ゲイリー・ムーアのところで、彼がキャメルの曲をもじって作ったということを書いたが、その曲が含まれていたのが彼らの代表作といわれている「スノー・グース(白雁)」だった。

The Snow Goose Music The Snow Goose

アーティスト:Camel
販売元:Polygram Int'l
発売日:1998/09/22
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 1975年のこの作品はポール・ギャリコの短編小説を音楽化したものである。ちなみにポール・ギャリコは映画“ポセイドン・アドベンチャー”の原作者でもあった。
 この作品はオール・インストゥルメンタルで、全16曲が流れるような感じでつくられている。
 一般的にこのアルバムが彼らのベスト・アルバムであるといわれているが、確かにメリハリのある構成で、映画のサウンドトラックのような印象を残してくれる。特に"醜い画家ラヤダー"なんかは特徴のあるメロディで、印象に残る音楽だと思う。
 しかしベストアルバムかどうかといわれると、ちょっと違うんじゃないかなあと思うのである。正直に言って…

 確かにアンディ・ラティマーのギターは流れるように美しく響き、ピーター・バーデンスのキーボードもときにリードし、ときにバッキングに徹し、曲構成を根底から支えているのはわかるが、でも聴き続けていると、ときに眠り込んでしまうのである。

 プログレッシヴなサウンドなのは分かるが、やはり軟弱というかバンドとしての演奏力ならキング・クリムゾンやイエスの方が上手だし、メロトロンならムーディ・ブルースの方が聴き応えがある。また、インストゥルメンタルなら圧倒的にピンク・フロイドの方がトリップ感覚に満ち溢れている。

 だから個人的にも昔は女、子どもが聞くプログレッシヴ・ロックの代名詞としてキャメルの名前を挙げていた。

 それで自分が一番好きなのは「ブレスレス」である。その理由は次回に譲りたいが、少なくとも「スノー・グース」よりは1974年のアルバム「ミラージュ(蜃気楼)」のなかの"レディ・ファンタジー"や76年のアルバム「ムーンマッドネス」の"永遠のしらべ"、"転移"、"水の精"、"月夜の幻想曲"の方がはるかに緊張感があり、プログレッシヴ・バンドとして機能していると思うのであるが、どうだろうか。

 しかもジャケットのデザインが好きである。女、子どものロックとして活動するのであれば、ここまで徹してほしいと思えるような素晴らしいジャケット・デザインだと思った。

Moonmadness Music Moonmadness

アーティスト:Camel
販売元:Decca
発売日:2002/06/25
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 私の大好きなアルバム「ブレスレス」を1978年に発表したあとは、ピーター・バーデンスがラティマーとの軋轢から脱退し、ヴァン・モリソンのバンドに加わった。後任に元キャラヴァンのヤン・シェルハース、さらにツアーメンバーとしてやはり元キャラヴァンのデイブ・シンクレアが参加している。
 それ以前にベーシストのダグ・ファーガソンが元キャラヴァンのリチャード・シンクレアに代わっていたために、オリジナル・キャメルより元キャラヴァンのメンバーの方が多くなり、キャラメル(Caramel)とあだ名されるようになったらしい。

 さすがユーモアと伝統の国イギリスを髣髴とさせるエピソードではある。この後、キャメルはギタリストのアンディ・ラティマーのバック・バンドとして活動するようになってしまい、ますますその存在意義を失ってしまっていった。

 ただ決して非難しているわけではないのだ。もともとアンディとピーターのいい意味でのエゴや競争意識というものが、このバンドを支えていたわけだから、ピーターがいなくなってしまってからは、アンディのバック・バンドになるのも時間の問題だったともいえるだろう。

 それにアンディのギタリストとしての腕前は見事だし、演奏中にフルートに持ち替えて、清涼感溢れる音を奏でてくれるのだから、たいしたものだと思うのである。

 以前、私の師匠であるK・K氏の自宅でキャメルのライヴを見せてもらった。レーザーディスクからのライヴ演奏だったが、たぶんこれは“プレッシャー・ポインツ、キャメル・ライヴ・イン・コンサート1984”ではないかと思われる。

 1984年5月11日のライヴでは、オリジナル・メンバーだったピーター・バーデンスと元メンバーのメル・コリンズが共演しているからだ。ピーターは2002年1月に亡くなっており、今となっては貴重なライヴ映像だと思う。できればもう一度見てみたいものである。

 とにかく70年代のキャメルは確かにプログレッシヴ・ロックだったことは認めるものの、その代表作が「スノー・グース(白雁)」とは言い難いのである。


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コメント

こんばんわ。

確かに、スノーグースが代表作ではないと思うのは私も一緒です。なんとゆうか、イマイチ。ムーンマッドネスの方が、よりガチッとしていて、でもとってもメロディアス。こっちの方が好きです。でも、私はやっぱりセルフタイトルの1stが一番好きですね。初期衝動の荒々しさって大事だと思うんです。
ラティマーみたいなギターが弾けたらいいなぁ…頑張るでー┗|∵|┓

投稿: ┗|∵|┓ | 2008年3月26日 (水) 02時53分

こんばんは。僕もスノーグースを最初に買って、一時ご無沙汰で、後に雨のシルエットを買ったらすごく気に入りました。ブレスレスと雨のシルエットがお気に入りです。

投稿: いちろう | 2008年3月26日 (水) 21時18分

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