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2008年3月20日 (木)

ダイヤモンドの犬

 以前、デヴィッド・ボウイの「アラジン・セイン」について書いたことがあった。今回はそれに引き続いて、1974年に発表されたアルバム「ダイヤモンドの犬」について記したい。

51au8mg9tl Music Diamond Dogs

アーティスト:David Bowie
販売元:Virgin
発売日:1999/09/28
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 前回のブログでも書いたのだが、「アラジン・セイン」と「ダイヤモンドの犬」の2枚については本当によく聞いた。
 ただ、大学生になってから聞いたので、発表されてから5年以上たっていたような気がする。

 今回このブログを書くにあたり、再び耳にしたのであるが、本当によくできたアルバムである。
 ボウイのファンならよく知っているように、このアルバムはイギリス人作家ジョージ・オーウェルの「1984年」を下敷きにしたコンセプト・アルバムだった。

 ただオーウェルの未亡人からは“1984年という言葉を大々的に使ってはいけない”、“「1984年」をミュージカル化してはいけない”という制約がつけられたらしい。

 そういう制約があった割には、"1984"という歌が入っているが、これは大々的に使用してはいないということなのであろうか。

 それはとりあえず置いといて、この頃のアルバムの構成は見事である。「ジギー・スターダスト」もそうであったが、どの曲もその場所にふさわしく配置されていて、まさにコンセプト・アルバムをよりいっそう際立たせている。

 当時のレコードでは、Aサイドの曲が流れるような組曲形式になっていた。1曲目の"未来の伝説"から"ダイヤモンドの犬"までは普通の曲なのだが、それ以降の"美しきもの"、"キャンディディット"、"美しきもの(リプリーズ)"の3曲は切れ目がなく、一つの曲のように聞こえた。

 今回、これを書くにあたって聞いたのだが、あっという間にAサイド最後の曲"愛しき反抗"になってしまった。単純なリフを持ったこの曲は、単純だからこそ、いつまでも記憶に残るものになった。いま思えば、ストーンズの"サティスファクション"のような曲だと思う。

 参加ミュージシャンについていうと、前作「アラジン・セイン」(正確にいうと前々作なのだが)にも参加していたのはピアノのマイク・ガーソンだけで、それ以外は一新されている。
 またギタリストも不在で、1曲を除き全てボウイが弾いている。("1984"のギターはアラン・パーカーだ)かつての盟友ミック・ロンソンもいないのだ。

 またピアノのマイク・ガーソンも前作で見せたようなエキセントリックな演奏を聞かせてくれてはいない。結構おとなしくなっていて、本当に一バック・ミュージシャンになったような演奏を聞かせてくれている。それはそれでいいのだが、何か物足りない。

 後半は"ロックンロール・ウィズ・ミー"で始まるのだが、アメリカ南部のサザン・テイストを持った曲で、いい曲なのだが、あまり印象に残らなかった。
 そして後半も"1984"から"ビッグ・ブラザー"、"永遠に周り続ける骸骨家族の歌"と立て続けに曲が並んでいる。

 確かに"1984"はいい曲である。メロディ自体もいいし、トニー・ヴィスコンティがアレンジしたストリングスが緊張感を醸し出していて、聞くものに焦燥感を与えてくれる。日本ではシングルカットされたのではないだろうか。ラジオで聞いたことがあったように思う。

 しかしアルバム全体を通して38分あまりというのは短い。確かに当時のボウイはクスリと精神的なプレッシャーからくる体調不良で参っていたのは分かるが、それにしてもという感じである。

 それに「ジギー・スターダスト」(1972年)「アラジン・セイン」(1973年)「ダイヤモンドの犬」(1974年)という一連のアルバムには共通点がある。
 ひとつは架空のキャラクターによるコンセプトなアルバムであるということと、もう一つはアルバム構成である。

 先ほど見事なアルバム構成と書いたが、よく考えたら後半(レコードでいうとBサイド)は最初がピアノをメインにした比較的静かな曲("レディ・スターダスト"、"タイム"、"ロックンロール・ウィズ・ミー")で始まり、中盤に盛り上がる曲を用意し("サフラジェット・シティ"、"ジーン・ジニー"、"1984")最後に締めの曲("ロックンロールの自殺者"、"薄笑いソウルの淑女"、"永遠に周り続ける骸骨家族の歌")をもってくるという配置である。

 この形式はこの時期のアルバムに共通なことに気がついた。やっぱりこの時期のボウイは才能が溢れていたと同時に、マンネリ化も迎えようとしていたのだ。

 だからこの“ダイヤモンド・ドッグス・ツアー”の途中からアメリカのソウル・ミュージックに傾倒していったのだろう。それは“このままではいけない”というボウイらしい危機意識だったのかもしれない。

 いずれにしてもこれ以降のボウイはソウル・ミュージックに傾倒していくのだが、絶えず変化することを意識付けたボウイの70年代は、まさに万華鏡のようにカラフルにその様を変えるのであった。


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コメント

このブログでジャケットを見るのも楽しみですね。
 今日は中古ショップで今井美樹のPRIDEを見つけてラッキーでした。
彼女の素敵な笑顔に癒されます。こんな笑顔だせたら・・・大声で笑う私には見習いたいジャケットでした。
 今井・布袋のコンビ・・・。山下達郎・竹内まりや・・連想ゲームみたいに色々と追及したくなりますね。山下達郎の「ずっと一緒さ」テレビドラマの主題歌・初めて聞いたとき・これはイケル!!と予感どうりヒットです。

投稿: ハッピー里ちゃん | 2008年3月23日 (日) 21時20分

デヴィッド・ボウイねぇ~~~。そうですか?私は彼を非常に評価したのは1977年のイーノとの共作の「ロウLow」ですね。あれはよかった。そしてその後すぐ出した「ヒーローズHeroes」もね。あのあたりが最高だなぁ~~>最近映画にもよく出てますね。先日「プレステージ」というちょっと風変わりの映画で、なかなか面白い役どころをこなしていました。又最近のステージ・アクトではギルモアのライブにゲスト出演して、ロジャー・ウォーターズの役所を唱ってましたが、ロジャーのまねでなくて、”さすが”と思わせました。

投稿: *floyd(風呂井戸) | 2008年3月24日 (月) 23時32分

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