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2008年4月 7日 (月)

クリミナル・タンゴ

 今となっては入手できるかどうか分からないが、マンフレッド・マンズ・アース・バンド(以下、MMEBと略す)の1986年のアルバム「クリミナル・タンゴ」は、名盤だと思っている。

 MMEBについては以前このブログでも触れた。確か昨年の8月頃だと思う。夏休みによく聴いた彼らのアルバムを紹介させてもらったのだが、春先になるとこの「クリミナル・タンゴ」を思い出してしまう。Photo

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 理由は簡単で、初めて彼らのアルバムを買ったのが1986年だったし、季節も桜の花が散った後ぐらいだったと思う。だからこの時期になると彼らのこのアルバムを思い出してしまう。

 このバンドのことを果たしてプログレッシヴ・バンドとして呼んでいいのかわからない。確かに70年代にはプログレッシヴなロックをやっていたこともあったのだが、その後様々な音楽を経てきているので、トータルな意味ではプログレッシヴ・ロックとはいえないのだと思う。

 しかし自分にとってはプログレッシヴなのである。このアルバムもよく聴いてみると、やはり80年代を象徴とする薄っぺらなシンセサイザーが鳴っていたり、デジタルなドラムの音処理が耳に残ったりするのだが、でも気にしないのである。それを上回るほどの楽曲が詰め込まれていて、聴いていて気持ちが高揚するのである。

 いま調べていて分かったことなのだが、このアルバムには、ジョニ・ミッチェルの"バンケット"という曲がカヴァーされているし、ビートルズの"ブルドッグ"もカヴァーされている。

 もともとこのバンドのリーダーであるマンフレッド・マンの選曲の能力やカヴァーの秀逸さには余人にまねのできないほどの素晴らしさがある。
 以前にも書いたが、ブルース・スプリングスティーンの"光で目がくらみ"やボブ・ディランの"マイティ・クイン"、ランディ・ニューマンの"リヴィング・ウィズアウト・ユー"などアメリカのSSW系の楽曲を頻繁に取り上げてアルバムに発表している。

 マンフレッド・マンの興味関心の強い曲を取り上げているのであろうが、その処理の仕方がまた原曲よりも上手で、メロディはあまり変わりないものの、リズムの取り方やアクセントの付け方が見事である。

 このアルバムでも"ブルドッグ"は原曲よりもよりハードに、よりリズミカルになっていて、80年代という時代を感じさせてくれる。

 もう1曲"ドゥ・エニシング・ユー・ウォナ・ドゥ"という曲があって、これは70年代に一時人気があったエディ&ホット・ロッズというグループの曲をアレンジしたものである。これもまた非常に軽快でかつポップ、聞くだけでドライヴにでも出かけてしまいそうな雰囲気を持った曲である。

 残念ながら自分はこの原曲は知らない。70年代のパンク・ブームに便乗して有名になったイギリスのバンドらしいのだが、もともとはパンクというよりはパブ・ロック・バンドのようだ。

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 だからクラッシュやジャムとは違って、どちらかというとグラハム・パーカー&ザ・ルーモアやエルヴィス・コステロにちかいのだと思う。この辺は自分の専門外のことなので、詳細は音楽鑑定団のK氏に聞かなければならない。彼ならたちどころに答えてくれるであろう。たぶん手持ちのレコードから音源も探ってくれるはずだ。

 それはともかく1曲目の"ゴーイング・アンダーグラウンド"と続く"フー・アー・ザ・ミステリィ・キッズ"はテンポもよく、プログレッシヴというよりはポップなサウンドになっている。また"ドゥ・エニシング・ユー・ウォナ・ドゥ"と"レスキュー"のノリは見事である。

 いま聞けば80年代当時のアメリカのバンド、スターシップやハートのような音なのだが、当時はそんなことも意識せずによく聞いていた。今となってはなぜあのアルバムは売れなかったのだろうかと不思議に思っている。

 思うにマンフレッド・マンという人もジェネシスの残った3人のように、60年代のイギリスのビート・バンドの影響を強く受けた人である。だから彼には時代の音に敏感な感性が宿っているのだろうし、音楽の傾向が時代とともに変化することにも抵抗はないのだと思う。

 だから人によっては、売れることを執拗に求める人、日和見主義、金儲け目当てなどと彼を非難する場合があるのだ。決してそんなことはないのだろうが、残念である。とにかく彼の音楽を聴けば、金儲けであろうがなかろうが、Good musicはGood musicだからだ。

 最後に、このバンドにはもとポール・マッカートニー&ウィングスに在籍したドラマー、ジェフ・ブリットンやジェスロ・タルのオリジナル・メンバーだったクライヴ・バンカー、のちにジミー・ペイジとポール・ロジャースのバンドに加入したクリス・スレイドなどがいた。

 在籍したメンバーの顔ぶれを見ても分かるように、やはりMMEBはポップからプログレッシヴまで幅広い音楽性を持っていたということがわかるような気がする。

 とにかく春は自分とMMEBの出会いの季節なのである。今となってはどうやってこのアルバムのことを知り、なぜ購入までしたのかよく覚えていないのだが、とにかく気持ちよくさせてくれる1枚であることは間違いないのである。


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