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2008年5月21日 (水)

マリアンヌ・フェイスフル

 マリアンヌ・フェイスフルのアルバムを買った。2002年に発表されたもので、もちろん中古CDであるが、タイトルを「キスィン・タイム」という。なかなか洒落た名前ではないか。

Kissin' Time Music Kissin' Time

アーティスト:Marianne Faithfull
販売元:EMI
発売日:2002/03/12
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 ご存知のように、マリアンヌ・フェイスフルほど浮き沈みの激しい人生を送っている人は滅多にいない。日本でいうと、古いところでは内藤やすこ、新しいところでは元モー娘の加護亜依のようだ。加護亜依はこれからどんな人生を送るのか目が離せない。

 ちなみに内藤やすこは、浪曲師の両親を持つ歌手で、1975年にデビューし、その独特のハスキー・ヴォイスと歌唱力で一躍有名になったが、2年後の77年に大麻所持で逮捕され、芸能活動を一時自粛した人である。自粛後、NHK紅白歌合戦にも出場した。現在57歳だが、2006年脳内出血で倒れて以来リハビリ中である。

 マリアンヌも彼女の歌よりも、その人生の方に常に注目されてきた。アラン・ドロンとも共演した映画「あの胸にもういちど」でのマリアンヌは、ルパン3世に出てくる峰不二子のモデルになったとも言われている。その映画を見ていないのでなんともいえないのだが、確かに美しさでは峰不二子以上かもしれない。

 彼女は1941年にロンドンで生まれた。父親は大学教授で、母親はオーストリアの貴族の家系を継ぐ人であったらしい。だからデビューしたての彼女は、そのイメージが先行していて、さらにまたその清楚な印象と清らかな歌声のせいで、一躍アイドル界のトップに躍り出た。

 しかし実際は、幼い頃に両親が離婚し、彼女自身は修道院で育てられたらしい。だから決して裕福な子ども時代ではなかったのである。また、芸能界に入る前の17歳の時には、すでに結婚していたから、汚れを知らぬ少女というわけではなかったのだ。

 当時の彼女の夫とローリング・ストーンズのマネージャーであるアンドリュー・オールダムとが知り合いであり、それがきっかけとなって彼女はデビューした。

 最初のシングル曲"涙あふれて"は、もちろんジャガー=リチャーズの曲であり、ストーンズ自身も歌っている曲であるが、これがヒットして、TVや映画に出演するようにもなった。1964年のことであった。

Marianne Faithfull Music Marianne Faithfull

アーティスト:Marianne Faithfull
販売元:Deram
発売日:2000/05/02
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 彼女はローリング・ストーンズの恋人といわれていて、最初はミック・ジャガーと付き合っていたのだが、彼の子どもを流産したり、精神的に不安定になったりして酒とドラッグにハマってしまってしまい、ミック以外のメンバーやグループ外の男性とも付き合ったらしい。
 そういう自堕落な生活が続いたせいか、精神的にも追い詰められてしまい、自殺未遂やアルコールとドラッグ中毒と入院を繰り返すようになった。そしてミックと別れてからも、人間不信が続いたりしたという。

 ストーンズのアルバム「スティッキー・フィンガーズ」に収められている曲"シスター・モーフィン"(モーフィンとはモルヒネのこと)は、マリアンヌ・フェイスフルのことを歌っていて、つまりモルヒネにまで手を出してしまって、現実社会に戻って来れない彼女のことを偲んで作った曲である。(と勝手に解釈しているのだが、もう一度歌詞カードを見てみようと思う)

 それで60年代後半からの約10年間は忘れ去られた状態だった。また思い出されても“堕天使”とか“汚れた少女”、“天使の顔をした娼婦”とまで言われる始末で、スキャンダラスなイメージが常につきまとっていた。

 それが1979年のアルバム「ブロークン・イングリッシュ」で一躍脚光を浴び、再び奇跡的にも芸能界に復帰することができた。ドスのきいたしわがれた声とともに…

Broken English Music Broken English

アーティスト:Marianne Faithfull
販売元:Island
発売日:1990/06/15
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 実際は60年代後半から彼女の声は変容してきていて、あの天使のような歌声は消えてしまっていた。もちろんアルコールとドラッグ、精神的なダメージからである。だからアルバムを聞く前は、ルー・リードとスティーヴィー・ニックスを足して2で割ったような印象を持っていた。

 最近の彼女は映画「マリー・アントワネット」の女帝マリア・テレジア役やフランス映画「パリ・ジュテーム」にも出演しており、音楽界だけでなく映画界でも活躍している。

 ところでアルバム「キスィン・タイム」であるが、これが意外と聞きやすくてよかった。もっとおどろおどろしいダークなイメージを抱いていたのであるが、"Like being born"、"I'm on fire"、"Wherever I go"など、かなりポップな曲が多かった。

 このアルバムではベック、ブラー、スマッシング・パンプキンのビリー・コーガン、元パルプのジャーヴィス・コッカー、ユーリズミックスのデイヴ・ステュワートなど英米のミュージシャンが参加して、彼女とコラボレートしている。
 特にビリー・コーガンやジャーヴィス・コッカーとの共演では、マリアンヌ自身の生き生きとした歌声、ただしドスのきいた声は相変わらずだが、を聞くことができて、よかった。60歳を超えたいまでも現役として活躍していることが、特に昔を知るものにとってはうれしさ2倍以上ではないだろうか。

 とにかくこのアルバムを聞いて、マリアンヌ・フェイスフルに対する認識が変わったようだ。彼女は貫禄がついて、野太い声をしていても、歌に対する感情はピュアなままなのかもしれない。


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