« スティッキー・フィンガーズ | トップページ | ニッキー・ホプキンス »

2008年5月25日 (日)

ミック・テイラー

 ローリング・ストーンズの黄金時代を築いた名ギタリスト、ミック・テイラーのことについて記したい。
 ミック・テイラーは1948年1月生まれなので、今年でちょうど還暦を迎えた。子どもの頃から音楽好きで、9歳からギターを始めたと言われている。なるほど彼のプレイは幼いときから磨かれてきたもののようだ。

 彼のことを語るときに避けて通れない話がある。それはイギリスの伝説的バンドであるジョン・メイオール&ブルースブレイカーズに参加するきっかけになった逸話である。

 ある日、ジョン・メイオール&ブルースブレイカーズがライヴを行ったのだが、バンドの中心的人物であるギタリストのエリック・クラプトンが出演していなかった。理由はよく分からないが、彼抜きで演奏を始めたらしい。
 第1部が終わって、2部の始まる前に楽屋にある少年が現れて、自分にクラプトンのパートを弾かせてほしい、彼の演奏なら完全コピーできるといったらしい。
 それで実際に弾かせてみたところ上手にできたので、第2部は彼をギタリストに据えて演奏を行ったそうである。

 この話が本当かどうかは分からないが、確かにジョン・メイオールならそれくらいのことを許す度量があるだろうし、ミック・テイラーなら実際に可能だと思わせてくれる実力を持っている。

 そして17歳でミック・テイラーは、ピーター・グリーンの後を受けて、ブルースブレイカーズに参加したのであった。
 この後、約3年間はブルースブレイカーズの一員として活動したのだが、このときが彼の修行時代だったのかもしれない。

 そして1969年に脱退したブライアン・ジョーンズの代わりに、ローリング・ストーンズに参加したのであった。このときまだ若干21歳。あの天下のストーンズから参加要請があったのだから、天にも上る心持ちだっただろうことは想像に難くない。

 そしてストーンズでの活躍は以前のブログでも述べたのでここでは割愛をする。とにかく1969年から74年までの5年間はストーンズのリード・ギタリストとしてレコーディングに、ライヴ活動にと充実した時期だったに違いないし、ストーンズ・ファンも音楽的にはこの時期が一番優れていたと認めるに違いない。

 彼がストーンズを脱退して5年後に発表したソロ・アルバムがある。「ミック・テイラー」という自分の名前を冠したアルバムであった。

ミック・テイラー ミック・テイラー

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する


 ここで聞かれる彼の音は、非常にリラックスして、彼自身が求める音をパッケージングしたような印象を与えてくれる。
 1曲目の"Leather Jacket"はウェストコースト風の軽いタッチの曲で、充分ヒットも狙えるようなポップな曲作りになっているし、続く"Alabama"はアコースティックなミディアム・テンポのブルーズ・ロックである。

 彼の豊かな才能をこれでもかと見せ付けている点では優れたアルバムといえるが、残念ながらブルーズからフュージョン風までと幅が広く、焦点化されていない。もう少し絞って、曲をまとめていけば、もう少し売れたに違いないと思うのである。

 特に後半になるにつれて、当時流行っていたジェフ・ベックの「ワイアード」っぽくなって行くのには、少し閉口した。ファンが彼に求めているのは、やはりストーンズでのカッコいいリード・ギター・プレイであり、ブルージィなロックだと思うからだ。

 彼としてはそういうストーンズの幻影から逃れたくて、こういう幅の広い趣味性を開示して見せたと思うのだが、周りの見方と違っていたのではないだろうか。

 そんな彼が20年の沈黙を破って1999年に発表したアルバムが「ア・ストーンズ・スロー」である。Photo
 はっきり言って、これは隠れた名盤である。まさに最初から最後までブルーズに立脚したロック・ミュージックを楽しむことができるからだ。

 3曲目の"Never fall in love again"のスライド・ギターは感動もので、曲自体も70年代のポップなストーンズのような雰囲気を漂わせてくれている。
 全体的に、アルバム「ミック・テイラー」よりもギターを弾きまくっているし、歌いまくっている。結構彼のボーカルも面白い。そんなに上手ではないのだが、一生懸命歌っているのが、聞き手に伝わってくる。

 ゲストにはキーボードにジェフ・ベックと共演したマックス・ミドルトン、ドラムスには元イースト・オブ・エデンのジェフ・アレン、ベースにはマイケル・ベイリーとスノーウィ・ホワイトとも共演した日本人のクマ原田が参加している。なかなか渋い人選である。

 そしてこのアルバムは焦点が絞られているので、聞いていて彼の音楽と一体感を味わうことができる。だから彼のファンなら安心して聴くことができるのだ。

 またボブ・ディランの1983年のアルバム「インフェデル」発表時の未発表曲だった"Blind Willy Mctell"はなかなか秀逸な曲である。ディランの作品だから悪かろうはずがない。

 日本盤のボーナス・トラックには、ミックがストーンズ時代にキースと共作した曲"Separately"とジミ・ヘンドリックスの"Red house"のライヴ・ヴァージョンが収められている。
 前者はオシャレな雰囲気を持つものであり、アルバム「刺青の男」の後半の雰囲気によく似ている。
 後者の曲ではジミ・ヘンというよりも、クラプトンのように弾きながら歌っている。

 ミック・テイラーの公認スタジオ録音アルバムは今のところこの2枚だけで、これ以外のは彼が認めていないものだそうである。それにしても寡作である。
 確かにライヴ活動はジャック・ブルースと共演したり、日本にも来日公演に来たりと結構頻繁に行っている。ライヴで忙しくてスタジオにこもれないのだろうか。

 いずれにしても元ストーンズのメンバーとして、まだまだ頑張ってほしいものである。ミック・ジャガーやキースのようにもう少し体を絞っていけば、彼もまだまだイケると思うのだがどうだろうか。


« スティッキー・フィンガーズ | トップページ | ニッキー・ホプキンス »

ブリティッシュ・ロック」カテゴリの記事

コメント

ミック・テイラーのセカンド、出てたの知りませんでした(笑)
記事を拝見しているうちに、聴きたくなってきました。
ファーストは地味で散漫ですが、そんなところが結構好きで愛聴してました。

投稿: white | 2008年5月25日 (日) 22時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ミック・テイラー:

» MICK TAYLOR/MICK TAYLOR [ホーム&ヒューマン・ナビ]
今日は水曜日。本当なら休日なのだがGW休み過ぎたので今日はONなのです。午前中最後の仕事が電機工事の現場調査。はやりのセキュリティー機能付きのインターホンシステムを設置するのです。録画機能はもちろんの... [続きを読む]

受信: 2008年5月25日 (日) 22時51分

« スティッキー・フィンガーズ | トップページ | ニッキー・ホプキンス »