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2008年8月

2008年8月28日 (木)

グローブシュニット

 それでドイツのプログレッシヴ・ロックについてであるが、ほとんどなじみのない名前だと思うけれど、グローブシュニットという5人組のグループがあった。
 「あった」という過去形になってしまったが、最近の再結成ブームのあおりを受けて、2007年あたりから何人かのオリジナル・メンバーが中心となって、再びライブ活動を行っているようである。

 このグループ、ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループの中で、意外に聞きやすい音楽を奏でている。
 自分が持っているアルバムは「Jumbo」というタイトルのもので、1976年に発表されている。面白いことに、これは英語とドイツ語の両方のヴァージョンが収録されており、もともと6曲入りのアルバムが12曲に倍増している。

Jumbo Music Jumbo

アーティスト:Grobschnitt
販売元:SPV
発売日:2007/11/06
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 英語版の曲目を見ると、①"Jupp"(0:13)②"The excursions of Father Smith"(9:37)③"The Clown"(6:47)④"Dream and Reality"(5:25)⑤"Sunny Sundays Sunset"(11:30)⑥"Auf Wiedersehn"(0:54)となっている。(カッコ内は時間)

  曲の時間を見れば一目瞭然だが、大作が中心になっていて、このアルバムの聞きところは②③④⑤であろう。
 全体的にいえることだが、ドイツのイエス、それもトニー・ケイが在籍していた初期のイエスという感じに近いと思う。ただし、キーボードはオルガンだけでなくシンセサイザーも積極的に使っているので、明るくスペイシーな雰囲気を漂わせている。

 ②は短い序曲のあとに始まるのだが、穏やかに淡々と演奏が進んでいく。各楽器のバランスもよくとれており、ギターやキーボードの1種類の楽器だけが目立つという感じではない。
 逆にいうと、一人が目立つほどのテクニックを持っているというわけではないということであろう。ただパーカッションの通称エロックという人は、手数の多い人で全編を通じて、たたきまくり歌いまくっている印象がある。

 このバンドのリーダーは彼なのだが、さすがリーダーという貫禄を発揮しているようだ。②はポップで聞きやすい曲であり、③は彼ら流のバラードである。
 ④はこのアルバムの中で一番長い曲であるが、組曲形式のようで起承転結がはっきりしている。

 全体的に聞きやすいと表現したが、イエスのような流れる曲展開とジェネシスのような叙情的な印象を与えてくれるのだ。

 彼らは1970年にデビューして89年まで活動を続けた。最初はサイケデリックなプログレをやっていたが、この「Jumbo」あたりからシンフォニックな内容に変わってきたようである。
 一般的に彼らの最高傑作はこのアルバムの後に発表された4作目「御伽の国へ」だといわれている。ジャケットが何となくロジャー・ディーンを髣髴とさせるものになっている。

Rockpommel's Land Music Rockpommel's Land

アーティスト:Grobschnitt
販売元:SPV
発売日:2007/11/06
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 結局、70年代から80年代のドイツのプログレッシヴ・ロックはタンジェリン・ドリームやクラフトワークのような電子楽器を中心にした進歩的なものと、ノヴァリスやこのグローブシュニットのような叙情的なものとに大きく大別されるのではないだろうか。

 個人的にはどうしても聞きやすいものを志向してしまうのだが、さすがドイツ観念主義を生み出した国だけあって、音楽面でも感性より論理や思考を優先しているような気がしてならない。必然的に生まれたというよりも、こういう音楽をやろうという考えがあって、そこから作られた気がするのだ。

 それでも聞くのはリスナーなのだから、リスナーにとってよいものはよいのである。このグローブシュニットのような聞きやすいものがこれからも生まれてほしいと願っている。

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2008年8月26日 (火)

ヘルダーリン

 どうもドイツのプログレッシヴ・ロックは好きになれない。ハード・ロック・バンドならスコーピオンズやマイケル・シェンカー・グループ、ハロウィーン、フェア・ウォーニング、ブラインド・ガーディアンなど結構好きなグループはあるのだが、プログレに関してはイマイチ好きになれないのだ。

 ドイツのプログレといえば、カンやアモン・デュール、グル・グルなどが有名だが、いずれも実験音楽的というか、現代音楽というか、前衛的すぎてじっくり聞くことができなかった。
 その中で、唯一聞いたのがタンジェリン・ドリームの「浪漫」であった。

 タンジェリン・ドリームもシンセサイザーを中心とした実験音楽的手法が強い3人組グループだったのだが、このアルバムでは意外にもギターやベース、ピアノなども使用している。
 彼らは1967年に当時の西ドイツで結成され、70年にデビューした。代表作には1974年の「フェードラ」や75年の「ルビコン」などがあるが、いずれも電子音楽機器を多用した実験音楽、瞑想音楽である。

Rubycon Music Rubycon

アーティスト:Tangerine Dream
販売元:Virgin
発売日:1995/02/01
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 中学生のとき初めて彼らの音楽を聞いて、これが音楽なのかとびっくりしたした。何しろシンセサイザーのピコン、ピコンという音がずっと続いていたからだ。たぶん最後まで聞けば、もう少し起承転結があったと思うのだが、落ち着きのない中学生だったせいか、最後まで聞き通すことができなかった。

 その点、76年に発表されたアルバム「浪漫」は、シンセサイザーだけでなくピアノやギター、メロトロンまでもが使用されていたので、聞きやすかった。ただし、それでも数回しか聞かなかったけれど。

Stratosfear Music Stratosfear

アーティスト:Tangerine Dream
販売元:Virgin
発売日:1995/02/01
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 次に聞いたドイツのプログレ・グループは、大学生のときに聞いたノヴァリスと、社会人になって聞いたヘルダーリンという名前のグループだった。

 ヘルダーリンの1970年に発表された1stアルバム「ヘルダーリンの夢」は、たとえていうと、女性ボーカルを中心としたフォーク・グループがフルートやメロトロンをバックに歌っているという感じであろうか。

 Holderlin/Holderlin’s Traumヘルダーリンの夢 Holderlin/Holderlin’s Traumヘルダーリンの夢
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

 だからそこはかとなく浮かんでは消えていくような、アルバムタイトル通りの音楽なのであった。
 最近もこのアルバムを引っ張り出して、聞いてみたのだが、やっぱり途中で眠ってしまった。

 ただこのアルバムを非難しているわけではない。ロックの初期衝動とかノリとはまったく無縁の世界が広がっているわけで、その中で美しさを女性ボーカルやメロトロンを使って表現しようとしているだけなのである。

 だから最初からそのつもりで聞いていけば、それなりに楽しめると思うし、特に寝る前にこれをかけると、安眠できるはずである。
 そういう意味では、寝苦しい夜や眠れない場合には催眠効果のある音楽なのかもしれない。ただし悪夢になるかもしれないが…

 だから、結局タンジェリン・ドリームやヘルダーリンなどは、自分にとっては真正面から向き合うよりもちょっと何かをしながら、あるいは何もしなくて聞く音楽だったと思うのである。

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2008年8月23日 (土)

ノヴァリス

 昔々、学生のころ当時のレコード店に行って、ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ、ノヴァリスのアルバムを買い求めたことがあった。夏の日のことで、その日も暑かったことを覚えている。

 アパートに帰り、さっそくそのアルバムを聞いた。ドイツのグループだけあって、全編ドイツ語で歌われていた。どのみち英語で歌われようが、ドイツ語で歌われようが、アラビア語で歌われようが、理解不能なのだから、歌詞は特に問題ではなかった。

 そのアルバムはライヴ盤でオリジナル・タイトルは「Konzerte(LIVE!)」というものだったが、結構気に入っていた。確かにライヴ・アルバムだったが、50分近かったことを覚えている。今では廃盤だろうが、できれば復刻してほしいと願っているのだった。

 何でそんなアルバムを買ったかというと、“ミュージック・ライフ”という雑誌のアルバム評に、なにやらよさそうなことが書かれていたからであった。
 昔から女とアルバム評には何度もだまされて来たのだが、このときは予想外によかったという気がした。だから今でも覚えているのであろう。
 それにそれまでドイツのプログレッシヴ・ロックのアルバムなんか聞いたこともなかったので、興味津々だったのかもしれない。

 残念ながらこのアルバムは、度重なる引越しや別居でどこかに紛失してしまった。あるいは小銭欲しさに、処分したのかもしれない。昔は中古レコード店では買い取ってくれていたから、まとめて売ったのかもしれない。

  ノヴァリスというグループ名は、ドイツを代表する18世紀の詩人の名前から取られていて、ロマンティックな作風をポリシーとしている彼らにとって、最適だからという理由で採用されたらしい。

 彼らが1975年に発表したセカンド・アルバム「銀河飛行」では、その詩人ノヴァリスの詩が引用されている歌詞も見受けられる。

Novalis Music Novalis

アーティスト:Novalis
販売元:Universal
発売日:2007/06/05
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 アルバム最後を飾る"宇宙絵画"というタイトルの曲であるが、この歌詞の一部に詩人ノヴァリスの“青い花”という作品から一部が引用されている。

 彼らのサウンドの特徴は、クリアなギター・サウンドとそれを支えるキーボード群、リズム・セクションだと思う。基本的にはアンディ・ラティマーが活躍するキャメルのようなギター・バンドである。

 ちなみにバンドの構成メンバーは、5名で、ギタリストが2人、キーボード、ドラムス、ベース担当がそれぞれ1人というものである。

 ロマン派のプログレッシヴ・ロック・バンドを標榜しているだけあって、曲自体もなかなかメロディがはっきりしていて、聞きやすいものになっている。ときどきギターやキーボードが前面に出るものの、起承転結がはっきりしているから、盛り上げ役に徹しているという感じだ。
 特にこのアルバムの"銀河賛歌"というインストゥルメンタル曲は秀逸である。彼らの充実した演奏が楽しめるし、特にギターとキーボードのバランスがよく、彼らの求めるロマン主義風の曲展開が楽しめるのである。

 それで初めて彼らのアルバムを聞いた後、気に入ったので他のアルバムを買おうと思ったのだが、残念ながらあまり売り上げがよくなかったのか、それ以降彼らのアルバムを目にすることはなくなった。

 アルバムの解説によると、70年代の終わりに所属レーベルを移ってからは、日本ではアルバムが発売されなくなったらしい。だから彼らの名前を聞くこともなくなっていった。

 数年前、通信販売で彼らのベスト盤を購入したのであるが、80年代以降の編集盤だったせいか、異常にポップになっていて、聞いていてこれがあのノヴァリスか、同じバンドなのだろうかと驚いた記憶がある。

 彼らが本当のプログレッシヴ・ロックといわれるのは70年代と80年代の始めまでであって、82年以降は完全なポップ・バンドに変化していったようである。そして90年代には自然消滅したようだ。

 ということで、青い空に浮かぶ積乱雲や、暑い空気とセミの声を見聞きすると、このノヴァリスのアルバムのことをつい思い出してしまう。
 暑い夏にはプログレは向かないと思うのだが、自分にとっては爽やかな夏をイメージできるアルバムなのである。

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2008年8月22日 (金)

ハード・キャンディ

 車のカー・ステレオの調子が悪くて、CDがすぐに止まってしまう。CDクリーニングをしても、どうもうまく行かない。たぶん温度が高くなりすぎると止まってしまうのではないだろうか。
 DVDは全然問題ないのだが、CDは機能しないのである。また春や冬の冬季になると、これまた問題はない。だから温度の高さではないかと判断したしだいである。

 しかたないので、CDはMDに録音して聞いている。久しぶりにMDを買って使っているのだが、でもそのMDは録音してはまた違うCDを入れているので、ラベル印字をしていない。だから時々どのMDに何を録音したのか分からなくなってしまう。

 それで最近はMDの入れ物がカラーのものを買うようにしている。だから渋い銀色はヴァン・モリソンを、緑色はコールド・プレイを録音した。そして情熱の赤はマドンナの「ハード・キャンディ」なのである。

ハード・キャンディー Music ハード・キャンディー

アーティスト:マドンナ,ジャスティン・ティンバーレイク,カニエ・ウェスト,ティンバランド
販売元:Warner Music Japan =music=
発売日:2008/04/30
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 最近はこのアルバムをよく聞いている。春先に発売されたので、結構遅れて購入した。もう世間的には流行遅れかもしれないのだが、自分的には気に入っているのだ。

 何しろ前作の「コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア」が全世界で1000万枚以上売れた。それから3年後、同様なコンセプトを持つニュー・アルバムが届けられた。

コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア Music コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア

アーティスト:マドンナ
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2005/11/16
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 80年代の終わりから彼女のアルバムが全世界的に売れるようになって、ますます意欲的に最先端の音楽を導入するようになった。一時はテクノやハウス・ミュージックと呼ばれるような音楽を取り入れて、個人的にはちょっとついていけないときもあった。

 特に90年代のアルバム「エロティカ」、「ベッドタイム・ストーリーズ」、「レイ・オブ・ライト」はどうも受け付けることができなかった。ポップでもないし、だからといって踊れるほどダンサンブルな音作りでもなかった。
 当然のことながら、売り上げにも響き、この3枚のアルバムは全米No.1にはなれなかった。(英国では「レイ・オブ・ライト」がNo.1になっている)

レイ・オブ・ライト Music レイ・オブ・ライト

アーティスト:マドンナ
販売元:ダブリューイーエー・ジャパン
発売日:1998/02/22
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 2000年以降は最先端の音と商業的な売り上げの両方を狙うかのように、バランスのよいアルバム作りを行っているように思う。
 特に前作の「コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア」ではスウェーデンのアバの楽曲をサンプリングしたこともあり、本当によく売れたし、ツアーも大成功だった。

 新作もジャスティン・ティンバーレイクやカニエ・ウエスト、ティンバーランドなどのダンス、ラップ系のミュージシャンを起用し、相変わらず流行に敏感なところを見せてくれている。
 内容的にも最初の2曲"キャンディー・ショップ"、"4ミニッツ"はそういう流行の音楽になっている。"4ミニッツ"の方はアメリカのダンス・チャートとイギリスのシングル・チャートで1位を記録した。

 しかしこのアルバムのすばらしいところは、この2曲だけでなく、それ以降の"ギヴ・イット・2・ミー"や"マイルズ・アウェイ"、"インクレディブル"、"デヴィル・ゥドゥント・レコグナイズ・ユー"などの80年代の彼女の楽曲を髣髴とさせるようなポップでメロディアスで踊れるいい曲が詰まっているのである。

 だからこのアルバムも売れている(はずである!)。全英・全米ともにアルバム・チャートNo.1を記録した。前作の影響だけでなく、今回は以外に?いい曲が収録されたアルバムだったからだと思うのである。("マイルズ・アウェイ"は木村拓也主演のTVドラマの主題歌にもなった。マドンナの曲がTVドラマの主題歌になったのは世界初である)
 
 8月16日で50歳を迎えたマドンナであるが、相変わらずメジャーの野球選手とラヴ・アフェアを行ったり、夫とアツアツぶりを見せたりして私生活でも充実している。
 この調子で60歳を過ぎても歌って踊れる世界最高の女性ミュージシャンになってほしいものだ。マドンナならそれが可能だろうし、それが許せるのである。

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2008年8月19日 (火)

ハムナプトラ3

 また映画を見に行ってしまった。よほど暇なのだろうか。それにしてはあまり面白くない映画ばかり見に行っているような気がする。
 今回も「ハムナプトラ3呪われた皇帝の秘宝」を見に行ったのだが、あまりにも子ども

 ハムナプトラ 3 呪われた皇帝の秘宝/Mummy: Tomb Of The Dragon Emperor ハムナプトラ 3 呪われた皇帝の秘宝/Mummy: Tomb Of The Dragon Emperor
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する
だましの内容にがっかりしてしまった。

 何がガッカリかというと、とにかくありえないことの連続なのである。エジプトのミイラなら“ツタンカーメン王の呪い”などに代表されるように、まだありえそうな気がする。確かにミイラがよみがえって人間を殺したりはしないのだが、それでもまだ許せる。

 しかし今回は最初から最後までありえない。まず秦の始皇帝らしき人物が兵馬俑みたいになって、そこから復活するという設定に無理がある。どう考えても皇帝自身が兵馬俑になったりはしないと思うだ。

 それから永遠の生命を得た人物(女性)が登場するのだが、永遠の生命自体が無理な設定である。それができるならなぜ自分の最愛の男性に永遠の生命を与えなかったのであろうか。
 その女性はシャングリラという楽園でその生命を得られたそうであるが、皇帝にかけた呪術を最愛の男性にかけていれば、時を経て助け出せる可能性もあったろうにと思う。それにどうやって永遠の生命を得たのかはっきりしなかった。

 また雪男(イエティ)までも登場する。こうなったら何でもアリの世界である。ついでにエジプトのミイラも登場させればよかったのにと思ったくらいだ。
 最後の戦闘シーンも「ロード・オブ・ザ・リング」のミニチュア版のようだった。戦闘シーンに限っていうなら、「ロード・オブ・ザ・リング」や「パイレーツ・オブ・カリビアン、ワールド・エンド」の方がよほど優れていたし、迫力があった。それらに比べれば、ちゃちなものである。

 パイレーツ オブ カリビアン / ワールド エンド/Pirates Of The Caribbean / At World’s End パイレーツ オブ カリビアン / ワールド エンド/Pirates Of The Caribbean / At World’s End
販売元:HMVジャパン
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 それにせっかくのジェット・リーのアクションを期待していたのに、それもあまり見られなかった。もう少し頑張ってほしかったのだが、これまた残念なことであった。
 そしてレイチェル・ワイズが登場しない。今までの2作品には出演していたのに、今回は違う女性が演じているのである。だから戸惑ったし、イマイチ作品に感情移入ができなかった。

 そもそもシリーズ作というのは、第1作がヒットしたからシリーズ化されたわけで、そういう意味では第1作を超えられるか超えられないかが一つの基準となる。
 また、シリーズ化されると段々と規模が大きくなってしまい、当初の目的というか狙いがぼやけてしまう傾向がある。

 たとえばチャールトン・ヘストンが主演した「猿の惑星」などは、反戦映画、反核映画としても優れた文明批評になっているが、シリーズ化されるとそういう面が薄らいでいき、単なる娯楽映画に成り下がってしまった。

 シルベスター・スタローンの「ロッキー」もそうである。チャンピオンになれそうでなれないところに、涙させられるところがあったのだが、チャンプになったりロシア人ボクサーと対戦するようになると、これはもう商業主義の何者でもない。

 むしろ「ロード・オブ・ザ・リング」や「スター・ウォーズ」シリーズのように、最初から見通しを持って企画されているか、「007」シリーズのように最初からエンターテイメントとして割り切っている映画の方が、見ている方としては飽きが来ないのである。

 そういう観点から言うと、「ハムナプトラ1失われた砂漠の都」の方が面白かったと思う。変な期待や先入観もなく見に行って、意外と面白いと思ったからだ。ロマンスあり、サスペンスあり、笑いありで十分に楽しめる娯楽作品であった。だからシリーズ化されたのだろうけれど・・・

 ハムナプトラ 失われた砂漠の都 デラックス・エディション ハムナプトラ 失われた砂漠の都 デラックス・エディション
販売元:TSUTAYA online
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 この作品もさらにシリーズ化が続くのかもしれない。最後の方で次は南米だというから、アステカ文明の古代ピラミッドに行って、またまたミイラと格闘するのであろうか。

 ともかく映画の展開は「インディ・ジョーンズ」シリーズの方が優れているし、実際に存在している“クリスタル・スカル”を登場させるなど芸が細かい。さすがスピルバーグ監督である。
 もしこの次「ハムナプトラ4」ができるのなら、もう少し内容を絞って、それなりのリアリティを持たせてほしいと思うのである。

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2008年8月18日 (月)

ハプニング

 ハプニングといっても何かあったわけではない。いや実際には正確にいうと、高速道路で右車線から左車線に入って、前のトロトロ走っている車を追い越したら、それが覆面パトカーで、追い越された腹いせか、左車線から追い越してはいけないなどと恫喝してきて、青切符を切られ罰金9000円を徴収されたということがあったのだが、国家権力に楯突くとろくな目にはあわないので、金持ち喧嘩せずということでこれくらいにしておこう。

 そういうハプニングはあったが、そのことではない。映画「ハプニング」のことである。監督はあの有名なナイト・シャマラン監督で、「シックス・センス」の最後のどんでん返しや「ザ・ヴィレッジ」の最後のオチなど、一ひねりある作品で有名な人の最新作である。

シックス・センス (竹書房文庫) Book シックス・センス (竹書房文庫)

著者:ジム デフェリス
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 インターネットで鑑賞した人の感想を見てみると、どうも否定的なものが多いようである。確かにストーリー展開的には「シックス・センス」には遠く及ばないかもしれない。しかし、少なくとも「サイン」や「レディ・イン・ザ・ウォーター」よりはよかったのではないか。

 ある映画評にもあったが、この映画の一番の怖さは“風”である。“風”がざわざわとそよぐことで、その恐怖がだんだんと近づいてくるのである。その恐怖とは人間がレミングのように、集団自殺していく怖さである。

映画『ハプニング』ポスター (M・ナイト・シャマラン) [REG-DS] 映画『ハプニング』ポスター (M・ナイト・シャマラン) [REG-DS]
販売元:FAMOUS Sign and Posters
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 要するにシャルマン監督は環境破壊について警鐘を鳴らしたいと思って、この映画を制作したと思うのだが、果たしてその意図が汲み取られたかというと、そこまでいっていないということだろう。

 その理由は人間がそうなった原因究明が焦点化されていないということであろう。植物が何らかの危機に陥ったとき、ある化学物質を出してお互いに知らせあうことは昔から知られているが、それがどうして人間の自殺病にまで発展するのかイマイチよくわからなかった。

 また主人公たちが生き残るのも、ハッピー・エンディングでそれはそれとしていいのだが、あまり説得力のある展開ではなかったように思う。工夫すれば、もう少しスリリングな展開になったのではないだろうか。たとえば、自殺一歩手前で、逆風になったとか、脅威が過ぎ去って一命を取り留めるとか・・・

 だからあまりこの映画の評判は芳しくない。田舎に住む老婆が出てくるのだが、はっきりいって映画「サイコ」のパロディとしか思えなかった。次作は何とか名誉挽回を図ってもらいたいものである。

 ところでこの映画には主人公がドゥービー・ブラザーズの"Black Water"を口ずさむシーンが出てくる。主人公たちが都会から逃れ、田舎の家にたどり着いて、怪しい人間ではない、普通の人であると証明するときに歌うのであるが、なぜドゥービーなのか、なぜ"China grove"ではなくて"Black Water"なのか、はっきりとした説明はなかった。

 たぶん"Black Water"が全米1位になったから、それだけ有名なのでみんな知っているだろうと思って歌ったのであろう。あくまでも推測であるが、そんな気がする。

 ということで、今回のシャマラン監督の作品は星3つ中、ひとつ半というところであろうか。監督には次作にがんばってほしいと書いたが、それは次作があればの話であって、次が正念場になるだろうし、その挙句の監督自身更迭などのハプニングは期待していないのである。

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2008年8月17日 (日)

ソーンズ

 お盆も終わった。ツクツクボウシも鳴き始めた。また、夕立も頻繁にある。こうなるともう夏も終わりかなと思ってしまう。thunder今年の夏は映画も見たし、旅行にもいったしまあそれなりに充実はしていたと思う。ただパソコンが壊れたのは想定外だった。おかげで仕事が1週間ほどずれ込んでしまった。

 7年間使ったパソコンだったので、もう寿命だったのかもしれない。代わりに旧式のノートパソコンを中古で購入したが、自分にとっては昔のワープロのようなものだから、昔のものでも使えればいいと思っている。このパソコンがあと何年持つかわからないが、できるだけ長持ちさせようとは思っている。

 それで夏の終わりにふさわしい音楽はないかなと考えていたのだが、ふと思い出したグループがいた。アメリカ出身の3人組の「ザ・ソーンズ」というグループである。

 このグループの名前を聞いて、ああ、あれかと思い出せる人は果たしてどれほどいるのだろうか。そういうグループなのである。
 というのも彼らは2003年に1枚しかアルバムを出しておらず、そして今後も出す予定はないと最初から公言していたのだ。だから多分これが最初で最後のアルバムになるのではないだろうか。

The Thorns Music The Thorns

アーティスト:The Thorns
販売元:Sony International
発売日:2003/05/20
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 3人組とはマシュー・スウィート、ショーン・マリンズ、ピート・ドロージのことであるが、この中で日本でも名前が知られているのは、マシュー・スウィートであろう。

 何しろ彼はアニメおたくで、左腕に“うる星ヤツら”のラムちゃんの刺青を入れていることでも有名だからだ。また自分の家が洪水で浸水してしまって、機材が水浸しになって損害をこうむったという可哀想な人でもある。

 音楽的にもポップ職人として名前が売れており、ほとんど一人で作ったというアルバムもあるくらいだ。ジャンル的には、いわゆるギター・ポップという部類に入るのだと思う。

 残りの2人はよく知らない。アメリカでは結構売れたアルバムも発表している2人のようであるが、日本では無名に近い存在ではないだろうか。ただ3人に共通していえるのは、いわゆるシンガー・ソングライター、自作自演歌手ということである。

 それでこの「ザ・ソーンズ」というアルバムであるが、これがまたまるでCS&Nを聞いているかのような音楽なのである。21世紀によみがえったCS&Nである。3声の和音と覚えやすい主旋律、アコースティック主体の音楽とくれば、CS&Nといっても過言ではないと思う。

 特にシングルカットされた"I can remember"などはグラハム・ナッシュがメインで歌っていそうな美しいメロディラインを持つ佳曲である。こういう曲を聴きながら過ぎ行く夏に思いをはせるのもまた一興ではないだろうか。

 またそれ以外にも涙が溢れるくらい印象的な"Blue"や"No blue sky"、カントリー調の"Think it over"など本当に誰が聞いてもいい曲と思うのが多い。中には"Long, sweet summer night"というタイトルを持つ曲もあって、いかにもこの時期に聞いてみたいと思ってしまう。

  またバック・ミュージシャンも豪華で、ドラムスは有名なスタジオ・ミュージシャンのジム・ケルトナー、ピアノはブルース・スプリングスティーン&E・ストリート・バンドのロイ・ビタンが参加している。これだけで購入しようかなと思う人もいるはずである。

 とにかくこの1枚で終わりというのは非常に残念なことである。できればこのあと2枚目、3枚目と続けて発表してほしかったのであるが、そうしないところがこのユニットの潔さを表しているのかもしれない。

 とにかく、自分にとっては夏が終わりに近づくと無性に聞きたくなる音楽である。もしどこかで彼らのアルバムを見つけたならば、そしてあなたがCS&Nのファンであるならば、絶対に損はしない。まさに幻のグループの幻のアルバムなのである。

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2008年8月 7日 (木)

ジャック・ジョンソン

 2日前にパソコンがクラッシュしてしまった。ハードディスクが完璧にやられてしまったのだ。もう7年以上も使っている東芝のダイナbookだったのだが、ブログを毎日書いたせいで酷使しすぎたのかもしれない。

 使用している最中に、パソコンの中からカリッ、カリッと小さく音が聞こえてきたのだったが、これはひょっとしてと思っていたら、あっという間に画面が黒くなってしまった。
 当然のことながらバックアップを取る暇もなかった。重要なものはほぼ保存していたのだが、最近作成した文書等は当然のことながら消えてしまった。

 以前にもパソコンのリカバリーを経験したことがあったので、この後どうしないといけないかというのがわかっていたのだが、使っていたソフトを再インストールする手間を思うとウンザリしてしまう。
 必要なものを入れて、不要なものを削除することは日頃の生活でも苦手とするところである。しかもそれまでのデータも復旧できずに消滅してしまった。専門店に見てもらってもデータの取り出しは不可能ということであった。

 こうなったら県警に頼んで、データを取り出してもらおうとも考えた。何しろ消去したデータでさえも呼び出せる力を持っている国家権力である。不正採用された人もたちどころにわかるのならば、自分のデータも簡単に呼び出せるはずだと思っていたが、ああいう国家権力は、犯罪性がないなら個人の問題にはかかわらないはずなので、やめることにした。

 こうやってブログが復活したのでよかったのだが、それでも何となく違和感があるのも事実である。やはりパソコンの形は同じでも、使い勝手はどことなく違うので変な感じなのだ。

 同じようなものでもどことなく違うものは、ロックの世界にも存在する。たとえばサーフ・ミュージック。60年代はビーチ・ボーイズ、70年代~80年代はパブロ・クルーズやカラパナがその代表格であった。ここまでは太陽と浜辺とサーフィンと恋愛がテーマだった。

 いわゆるロック・バンドとしての表現形態としてはだいたい似たようなものであった。ところが90年代の後半から新しいサーフ・ミュージックの旗手が現れた。その名をジャック・ジョンソンといい、アメリカはハワイ出身のミュージシャンである。

 1975年生まれなので、今年で35歳。自身もプロ契約を結ぶほどの優秀なサーファーだったらしい。何しろ家がオワフ島の浜辺にあるということで1,2歳のときから父親の背中に結び付けられてサーフィンをしていたというつわものである。

 ところが17歳のときサーフィン中に、珊瑚礁に叩きつけられて頭部を100針ほど縫う大怪我をしたことをきっかけに、それまで興味があった音楽を始めたらしい。天は二物を与えずどころかその優に倍は与えているようだ。

 2003年に発表された彼の2ndアルバム「オン・アンド・オン」はビルボード初登場3位を記録した。

On and On Music On and On

アーティスト:Jack Johnson
販売元:Universal
発売日:2003/05/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 内容はアコースティック・アルバムである。ちょうど音数を増やしたはっきりとした声で歌うJ・J・ケールを想像すればわかりやすいと思う。確かにハワイの大自然の中で聞くにふさわしいアルバムだ。

 今まではバンド形態だったが、このサーフ・ミュージックはSSWのサーフ・ミュージックである。基本的にはアコースティック・ベースとドラムス、パーカッションでほとんど余計な音は、ない。
 歌詞も従来のサーフ・ミュージックとは違い、恋愛のことを歌ったものもあるが、自然保護や人の生き方など固い内容のものも少なくない。そういう意味では今までとはちょっと違う感覚が残る音楽かもしれない。

 ただ彼はサーフ・ミュージックという限定された音楽をやっているという意識はないと思う。むしろハワイ出身のアーティストとして自分を規定しているのではないだろうか。

 彼は音楽とサーフィンだけでなく、映像クリエイターとしても優秀で、サーフ映画を制作しては映像に合うように自作曲を挿入するという才能を発揮している。
 そういう意味で、音楽はアーティストとしての表現手段のひとつとして考えていると思うのである。

 今年発表された最新アルバム「スリープ・スルー・ザ・スタティック」は全英・全米ともにアルバム・チャート初登場1位を記録した。

Sleep Through the Static Music Sleep Through the Static

アーティスト:Jack Johnson
販売元:Universal
発売日:2008/02/05
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 とにかく出すアルバム出すアルバムすべてアルバム・チャートの上位に顔を出している。

 結局、21世紀のサーフ・ミュージックも形やテーマを変えながら、流れていくのだろう。それを違和感と思うのかそうでないのかは個人の感性の問題であるが、受け入れていくのが正しいポジションなのかもしれない。
 ロック・ミュージックとはそういうもので、“歌は世につれ、世は歌につれ”というのは、ある意味、この種の音楽の真理を突いているのである。

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2008年8月 6日 (水)

カラパナ

 先日、海水浴に行った。もちろん一人で行った。夏休みというのに相変わらずひとりで、というより友だちがいないので必然的に単独で泳がざるをえないのだ。

 近くのビーチで泳ごうと思ったのだが、着いてみたら何と“赤潮警報”が出ていて遊泳禁止であった。仕方なくちょっと離れたビーチに行ったのだが、そこは普通に営業していた。距離的に数キロしか離れていないのに、何でこういう差が出てくるのか不思議だった。

 毎年年に一回は泳ぎに行く。目的は日常生活から離れ、煩悩も切り捨ててボケーとした数時間を過ごすためである。そのときばかりは水着ギャルも気にならない。ワイワイ騒ぐ中高生も目に入らない。
 500円で大型トラックのタイヤサイズくらいの浮き輪を借りてその中に入ってボ~とするのである。これが自分にとっては一番の癒しになるのだ。浮き輪に背中を入れて、入道雲を眺め、今までの来し方を振り返りながら、これからの人生を思い描くのである。一種の禊みたいなものであろうか。

 ところが今年は運が悪く、馴染みでないビーチなものだから、1000円札はどこかに落すし、磯で足の裏や手のひらを切る始末。両手の手のひらだけでも9箇所も切ってしまった。足の裏も6箇所以上も切ってしまった。ここが西海岸ならさっそく自分の周りにはジョーズのようなホオジロサメが集まってきただろう。日本に生まれてよかったと安心した次第である。

 それでホット・ロッドと昔は言われた音楽は70年代に入ってその呼び名をサーフ・ミュージックと変えた。だから60年代はビーチ・ボーイズがその手の音楽の代名詞であり、70年代はカラパナがその代表格になった。

 カラパナはハワイ出身のミュージシャンで結成されたグループで、その名前はハワイ島の地名から取られたようだ。その地は火山活動のせいで、ちょうどイタリアのボンペイのように、今では地中に埋もれてしまったという。その今はなき土地を愛するかのように自分たちのバンド名にした。

 彼らは1972,3年ごろに結成され、75年に1stアルバムを発表した。ハワイといえばサーフィンの本場でもあるが、彼らの音楽はサーファーに愛好され、77年ごろから日本でも有名になった。

カラパナI(K2HD/紙ジャケット仕様) Music カラパナI(K2HD/紙ジャケット仕様)

アーティスト:カラパナ
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2006/02/18
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 特に2ndアルバムは"ジュリエット"のようなAOR的ミディアム・バラードもあれば、"ブラック・サンド"のようなフュージョンみたいなインストゥルメンタルもあって、非常にバラエティに富んだ名盤であった。
カラパナII(K2HD/紙ジャケット仕様) Music カラパナII(K2HD/紙ジャケット仕様)

アーティスト:カラパナ
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2006/02/18
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 めまぐるしくメンバー・チェンジを繰り返しながら、彼らはその後もヒット・アルバムを出し続けた。ハワイという土地柄もあるせいか、日本との交流も深く、サザンオールスターズの曲を英語で歌ったアルバムを発表したり、杉山清貴が彼らのアルバムに参加したりと積極的に行っていた。
 特に1986年からは佐野健二という人がベーシストとして参加している。こうなるとますます日本人にとっても忘れられないグループになった気がする。

 彼らの音楽はアメリカ西海岸風の爽やかなボーカル・ハーモニーと美しいメロディ・ラインが特長で、一度聴くと忘れられない印象を与えてくれる。彼らの音楽を聴くと、70年代は美しいメロディを持ったグループが何と多かったのだろうかと心底思ってしまう。

 彼らは今でも現役で活躍している。FM名古屋のキャンペーン・ソングまで作っていることから、日本人ベーシストが参加してからますます日本と結びつきが深くなったのではないだろうか。

 彼らのアルバムは、どれをとってもある一定の水準以上はあるので、どのアルバムでも安心して聞けると思う。とりあえずベスト盤ならば、収録曲もたくさんあるのでお徳ではないだろうか。

Many Classics: Kalapana Plays Their Best Music Many Classics: Kalapana Plays Their Best

アーティスト:Kalapana
販売元:Tokuma
発売日:2008/09/09
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 カラパナを聞きながらアロハ・シャツでも着ていると、なんとなくハワイにでも行った気分に浸れるかもしれない?

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2008年8月 5日 (火)

パブロ・クルーズ

 邦楽で夏といえば、サザンとかチューブとか定番の音楽というものがある。それらの音楽で共通項とは何だろうかと考えてみた。

 邦楽の場合はやはり歌詞の占める割合は大きいと思う。“海”や“浜辺”など歌詞の中に夏のイメージを喚起しやすい言葉が使われることが多い。
 またリズムが夏向きであること。特にコンガやスティール・ドラムのようなパーカッションが多用される。
 さらにスティール・ギターが使われることもある。ハワイアンなどでもよく聞かれる。一人のボーカルだけでなく、それにコーラスなどが加わると爽やかな印象になる。こういう条件を揃えている音楽が夏向きであるといえないだろうか。

 それで洋楽、ロックの分野にもそういう条件を揃えているグループがいた。70年代後半にアメリカでブレイクしたパブロ・クルーズである。彼らはサンフランシスコで1973年に結成された4人組のグループだった。

 基本的にはロック・バンドであるが、その音楽性のせいかサーフ・ロックと捉えられていた。要するにサーフィンをする人たちの間で人気が高かったのである。

 70年代後半のアメリカ西海岸ウエストコーストの音楽は、最初に述べたように爽やかなコーラスが多用され、重苦しくない軽快なものであった。ちょうど日本の夏がじめじめと湿度が高いように、その反対の軽くてサラッとしたものと考えればわかりやすいかもしれない。

 彼らが1975年に発表した1stアルバムはジャケットは変だけれど、隠れた名盤だと思う。

Pablo Cruise Music Pablo Cruise

アーティスト:Pablo Cruise
販売元:Lemon
発売日:2004/11/09
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一般的に彼らのベスト作は77年に発表された3作目「ア・プレイス・イン・ザ・サン」や78年の4作目「ワールズ・アウェイ」だといわれている。実際にそれらはプラチナ・ディスクを獲得したのだが、でも彼らの本来の持ち味は1stアルバムにあると思うのだ。

 このバンドの中心人物はピアノ、キーボード担当のコリー・レリオスとギター担当のデイヴ・ジェンキンスである。
 この2人が曲を引っ張っていくのだが、まずコリーのピアノはリック・ウェイクマン的な雰囲気を携えたリリカルなものである。結構クラシックの素養が感じられる正統的なフレーズを奏でている。

 一方のデイヴの方は、非常に艶のある音色を出しているし、曲によっては軽快な音色を出すこともできる芸達者なギタリストである。当時の西海岸を代表するグループには必ず上手なギタリストがいたものだが、パブロ・クルーズもその例に漏れず、器用なギタリストを抱えていたのである。

 このアルバムはもっと売れても良かったと思えるほど、いい曲が多い。1曲目の"アイランド・ウーマン"や4曲目の"ホワット・ダズ・イット・テイク"ではデイヴの軽やかで艶のあるギターを堪能することができるし、5曲目"ロックン・ローラー"ではタイトルとは180度違うパブロ・クルーズ流のバラードを味わうことができる。この曲ではコリーのハモンド・オルガンを聞くことができるが、なかなか味のある演奏なのである。

 2曲目の"デニー"ではコリーの流麗なピアノを聞くことができるし、7曲目"イン・マイ・オウン・クワイエット・ウェイ"ではアコースティック・ギターとピアノのコラボレーションとバック・コーラスが印象的なものになっている。こういう曲を聴くと、何となく心がゆったりとしてくるのである。

 そしてこのアルバムのハイライトは何といっても12分以上もあるラスト曲"オーシャン・ブリーズ"ではないだろうか。
 コリーのピアノに導かれて、徐々にストリングスやベース、ドラムス、ギターがジョイントしていくのである。しかしここでのコリーのピアノはリック・ウェイクマンからテクニックを外したような美しさがあると思うのだが、こんなことを思うのは私一人だけだろうか。(きっと一人だろう)

 この曲はまさにプログレ的でもある。何しろ8分以上もインストゥルメンタルが続き、やっとボーカルが始まるのが8分40秒過ぎなのである。
オーシャン・ブリーズ
私の帆を満たし、自由にしてくれ
私を必要としないところに
どこでもいいから連れてってくれ
太陽に向かって旅立たせてくれ

お前の謎とともに
私を満足させてくれ
お前が知っているすべてのことの
一つにしてくれ
お前が家に連れて帰る前に
夢の中にいさせてくれ

(訳プロフェッサー・ケイ)

 この曲がアメリカのサーファーの間で人気になったそうである。そこから彼らがサーフ・ロックの分野に位置づけられたのではないだろうか。だから彼らの3作目のアルバム・ジャケットから椰子の木が登場するのである。

A Place in the Sun Music A Place in the Sun

アーティスト:Pablo Cruise
販売元:A&M
発売日:1990/10/25
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 一番売れたのは4作目の「ワールズ・アウェイ」である。200万枚以上売れて、全米6位まで上昇した。ただ内容的にはサーフ・ロックというよりは、まるで当時のTOTOのような音であった。売れ線で、アコースティック感覚は薄れ、シンセサイザーなどの機械を利用したR&B路線だったのである。

 もっというとTOTOとマイケル・マクドナルドが参加しているドゥービー・ブラザーズを足して2で割ったような感覚であった。実際このアルバムにはマイケル・マクドナルドが参加した"アウト・トゥ・ルーズ"という曲もある。

Worlds Away Music Worlds Away

アーティスト:Pablo Cruise
販売元:A&M
発売日:1990/10/25
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 だからそのせいかは分からないが、このアルバム以降、彼らの人気は下降していった。

 彼らは1985年に一旦解散したが、2004年にオリジナル・メンバーのコリー、デイヴ、ドラムス担当のスティーヴ・プライスと新メンバーのベーシストとともに再結成し、西海岸を中心にライヴ活動を行っている。
 願わくば変な色気を出さないで、現在も爽やかな西海岸特有の音楽を演奏していてほしいものである。それが彼らの巡洋航海(Cruise、クルーズ)だと思うのである。

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2008年8月 4日 (月)

ジョージ・ベンソン

 真夏のジャズの祭典ではないのだが、最近ジャズ・アルバムについてブログしている。それで今回はジョージ・ベンソンである。なぜジョージ・ベンソンなのかは深い理由はない。
 以前、レオン・ラッセルのところで彼の代表曲"マスカレード"のことに触れたのだが、そのときにジョージ・ベンソンのことを思いついて、いつか機会があれば紹介したいと思っていただけである。

 もう彼も65歳になると知って驚いた。65歳といえば還暦をとうに越えているではないか。最近の彼の写真を見た事がないので、どんな様子かわからないが、以前の彼は若くてそれなりにハンサムであった。

 彼の1976年のアルバム「ブリージン」のジャケット写真を見れば分かると思うのだが、その時の印象がいまだに残っていて、65歳のジョージ・ベンソンをイメージすることができない。
 彼はペンシルバニア州ピッツバーグで生まれた。3歳頃からプロの道を志したといわれているが、どう見ても3歳からは早すぎるのではないだろうか。
 一説では7歳のときに叔父さんから買ってもらったウクレレに興味を持ち、そこから音楽の道に足を踏み入れたといわれているが、この話の方が信頼できる。

 10代の頃からギターの腕前は達者だったそうで、高校も中退して音楽活動を始めている。レコード・デビューは21歳のときで、最初は普通のジャズ・ギタリストだったらしいが、70年代はじめより、いわゆるフュージョンといわれる分野で活躍始めた。

 日本で彼の人気を決定付けたのが、先ほど紹介した1976年のアルバム「ブリージン」である。本国アメリカでもこの年のグラミー賞“ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス”と“レコード・オブ・ジ・イヤー”を獲得している。

ブリージン Music ブリージン

アーティスト:ジョージ・ベンソン
販売元:Warner Music Japan =music=
発売日:2008/03/19
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 とにかくアルバム冒頭を飾る"Breezin'"はタイトル通りの爽やかな印象を与える曲である。
 彼の持ち味は、正確無比なピッキングと華麗なフレージングといわれているが、この曲でもその持ち味が充分発揮されているようだ。特に途中の3連符の速弾きは曲のアクセントにもなっていて、一度聴くと忘れられない印象を残している。

 続くレオン・ラッセルの"This masquerade"ではこのアルバムで唯一彼のボーカルを聞くことができる。彼のボーカルもなかなか渋いものがあるが、この曲のヒットで彼も自信をつけたのか、のちにボーカル入りのアルバムを何枚も出すようになった。

 彼はギタリストで、当然のことながら上手なのだが、ジャズ・ギタリストはいずれも華麗にサラリと超絶技巧のテクニックを奏でる印象があって、ここでも白熱したインタープレイとは程遠いバカテクを聞くことができる。
 特にアルバムの5曲目"So is this love?"は7分以上の長い曲なのだが、かなり見事なギター・ソロを聞かせてくれる。

 これがロック・ギタリストなら、ディストーションやサスティーンを使って大音量で迫ってくるのだろうが、ジャズではそういう機械に頼らないことをよしとしているのであろうか。ロックとジャズの違いはこんなところにもあらわれているような気がする。

 そういえばジョン・マクラフリンやアル・ディ・メオラも一時はエレクトリック・ギターで演奏していたが、最近はアコースティック・ギターを使ってアルバムを発表しているようである。やはり名人は機械ではなく、人間業で勝負するのであろう。そういう意味ではジャズの方が人間味があるのかもしれない。

 その後もジョージ・ベンソンは多くのアルバムを発表している。最近もR&Bボーカリストのアル・ジャロウと共演したアルバムを発表しているし、今年の5月にはホイットニー・ヒューストンと一緒にモロッコでライヴ活動も行っている。

 とにかく76年以降は彼の人気がかなり続いた。77年に発表されたライヴ・アルバム「メローなロスの週末」は時代の影響のせいか、ロックの雑誌でも扱われていた思い出がある。

メローなロスの週末(ライヴ) Music メローなロスの週末(ライヴ)

アーティスト:ジョージ・ベンソン
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2007/06/27
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 超素晴らしいテクニックを披露していても決して熱くならない音楽がジャズである。だからこの暑気払いを行うためにも彼のようなアルバムは必要なのである。

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2008年8月 3日 (日)

シャカタク

 いよいよ8月になった。夏真っ盛りである。sunこんな夏をクールに過ごすためにはクールな音楽をということで、ジャズである。music

 ジャズは専門外なので、ジャズ・アルバムは数が少ない。だから内容より演奏者の知名度で選んでしまう。
 たとえばチック・コリアがいたリターン・トゥ・フォーエヴァーとか、ジョン・マクラフリンがいたマハビシュヌ・オーケストラなど、どちらかというとロック畑よりのジャズ・ミュージシャンのアルバムを選んでしまう。

 他にはジャコ・パストリアスが所属していたウェザー・リポートなどもロック寄りのジャズ・バンドではないだろうか。ジャコはジョニ・ミッチェルと恋仲になり、彼女のアルバムにも参加した。
 またハービー・ハンコックもウェザー・リポートのアルバムにゲスト参加したり、ミック・ジャガーやカルロス・サンタナ、ポール・サイモンなどとコラボレートしている。

 それで前回はUS出身グループ、スパイロ・ジャイラだったので、今回はUK出身のグループ、シャカタクについて紹介したい。

 彼らは1980年にデビューし、1982年に発表したアルバム「ナイト・バーズ」のヒットで世界的に有名になった。いまだに現役で活躍しているグループである。

 ナイト・バーズ(紙ジャケット仕様) ナイト・バーズ(紙ジャケット仕様)
販売元:TSUTAYA online
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続くアルバム「インヴィテーション」(83年)も大ヒットを記録して、トップ・ジャズ・バンドの仲間入りを果たした。
 インヴィテイションズ インヴィテイションズ
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 当時は彼らのような音を"フュージョン"と呼んでいて、彼らのようなバンドを"フュージョン・バンド"と言っていた。今も同じような呼び方をしているのであろうか。
 
 彼らの特徴は、こういうフュージョン・バンドには珍しくボーカル(女性ボーカル)入りであるということ、“軽薄短小”という当時の流行を反映してか、明るくて軽いライトなノリであるということだろう。
 特にキーボード担当のビル・シャープの演奏するエレクトリック・ピアノは特徴的で、華麗で爽やかな印象を与えてくれる。

 とにかく聴いていて、汗臭さがない。癖もなくサラッとしている。じりじりと照りつける灼熱の太陽とは正反対の北極の白熊がシャーベットを食べているようなクールネスさなのである。
 だからいつでも安心して聞いていられる。もちろん全身を傾けて聞くような聞き方はしなくてよい。高度なBGMとして機能する音楽なのである。したがって車の中で聞いてもいいし、家の中で聞いてもいい。本を読みながら聞いてもいいし、ブログを書きながら聞いてもいい。

 彼らは1981年の1stアルバムから2007年まで数多くのアルバムを発表している。中には日本限定発売のものまである。また頻繁に来日してはコンサートを行っている。まるでジャズ界のベンチャーズである。そういう地道に活動している点もまた日本人の関心をひくのであろうか。

 とにかく真夏の暑いときにこういうアルバムを聞くと、スーと汗もひいていく感じがするのである。それで彼らのアルバムをとにかく1枚選べといわれれば、迷わずベスト盤を推奨する。ベスト盤も何種類か出ているので、とにかく何でもいいから1枚あれば事足りると思う。

アルティメイト・ベスト Music アルティメイト・ベスト

アーティスト:シャカタク,アンディ・ロス,アル・ジャロウ
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2008/06/04
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 BGMとして割り切るのであれば、選択する必要はないと思うのであるが、どうであろうか。

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2008年8月 2日 (土)

スパイロ・ジャイラ

 暑い夏にふさわしい音楽ということで、今回はジャズを聴いてクールになろう。それでスパイロ・ジャイラが1979年に発表した2ndアルバム「モーニング・ダンス」についてである。

Morning Dance Music Morning Dance

アーティスト:Spyro Gyra
販売元:Infinity
発売日:1994/05/01
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 基本的にジャズはほとんど聴かない。聴いてもよく分からないからである。確かにテクニック的には凄いと思うし、各楽器がアドリブを聞かせるところも他の音楽分野、クラシックやロックにはない特徴である。
 それはそれで凄いとは思うのだが、あまりにもスマートすぎて面白みがないというか、もう少し肉感的な、人肌のようなものが感じられるものの方が個人的には好きなのである。

 それでこのアルバムが真夏に聴くものとしてふさわしいと思うのは、通常のジャズに加えて、アルトサックスとマリンバやビブラフォンのソロが加わっているからであろう。
 特にマリンバやビブラフォンは涼しげな印象を与えてくれる。ジャズの分野で、ポップやロックの分野でも同じなのだが、マリンバやビブラフォンが使われる音楽はあまり多くはない。だから新鮮に聞こえてくる。

 またメロディがポップである。よく練られているのであろう。確かCMでも使用されたのではないだろうか。また各人がかなりのテクニシャンなのだが、それをサラリと聞かせているところも凄いと思う。(この辺はジャズバンドとしては最低限の必要事項かもしれない)

 彼らは1975年にニューヨーク州バッファローで結成された。中心人物はサックスのジェイ・ベッケンスタインとキーボーディストのジェレミー・ウォールだった。のちにジェレミーはグループを離れたが、プロデュースなど一緒に仕事は続けているようである。

 このセカンド・アルバムはとにかく売れた。70万枚以上売り上げ、ジャズのチャートだけではなく、ビルボードのポップ部門でもチャートの上位に顔をのぞかせている。
 特にアルバム・タイトル曲の"Morning Dance"や"Little Linda"、"Starburst"などメロディがはっきりしたものが多く、確かに売れる要素は備えていると思う。

 彼らはメンバー・チェンジを繰り返しながらもコンスタントにアルバムを発表し続けて、2007年までに20枚以上発表している。また売り上げも1000万枚以上とジャズ・グループにしては最も成功したグループの一つに挙げられるだろう。

 自分はこのグループを知ったのは大学2年生のころくらいで、ジャズ好きの知り合いから紹介されたものだった。暑い時期に聴いた覚えがあるので、この時期になるとときどき引っ張り出しては聴いたものである。
 でもあの頃はこんなに暑くはなかったと思うのだが、どうだろうか。地球は年々暑くなっていくのだが、このグループの音はいつ聴いてもクールなのであった。

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2008年8月 1日 (金)

オール・アバウト・イヴ

 最近は口を開けば“暑い”、“暑い”としか言えないような、そんな日々が続いている。そんなことをいっても仕方ないのだが、でもそんなことでも言わないと気がおさまらないのだ。

 いま「徒然草」を読んでいるのだが、その五十五段に“家の作りようは、夏をむねとすべし 冬はいかなる所にも住まる 暑きころ、わろき住居はたへがたきことなり”(家を建てるには夏を基準にした方がいい 冬はどこでも住めるものである 暑い頃に住みにくい家は耐え難いものがある)〔訳プロフェッサー・ケイ〕という箇所があった。

 確かに今となって考えれば、北側に窓を作るべきだったと思うのだが、後の祭りである。こうなったら誰かさんのように豪華マンションでも買って、最上階近くにでも住もうかと思っている。儚くもヒルズ族にあこがれる今日この頃なのである。

 それで暑気払いの音楽についてだが、やはりこういうときはジャズや女性ボーカル入りの方が涼しく感じられて良いと思うし、逆に“暑いときは暑いものを”ということで、ガンガンのハードロックもいいかもしれない。サザン・ロックなんかも適しているように感じられる。

 ということで前回はコクトー・ツインズだったが、今回も女性ボーカルということで、コクトー・ツインズとほぼ同時期に活躍したイギリスのグループ、オール・アバウト・イヴについて紹介したい。

 このグループは女性ボーカリストのジュリアン・リーガンを中心とした4人組バンドだった。バンド名は50年代の映画のタイトルから借用したらしい。「イヴのすべて」という20世紀フォックス配給の映画だったらしい。
 見たことはないのだが、その年のアカデミー作品賞をはじめ6部門を受賞した名作である。主演はベティ・デイヴィス、若き日のマリリン・モンローも端役で出場しているという。監督と脚本を担当したジョセフ・マンキーヴィッツは前年もアカデミー監督賞と脚本賞を獲得しており、2年連続して4部門を獲得した人は後にも先にもこの人しかいない。

 内容はハリウッドの裏側を描いたもので、女優たちがお互いを尊敬し、なおかつ牽制し、蹴落としながら這い上がっていくというものである。

 このグループはプログレッシヴ・ロックの一派とも考えられているが、自分はやはりブリティッシュ・ロックの範疇だと思っている。1985年に結成され、88年に1stアルバム「オール・アバウト・イヴ」が発表された。

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 基本はジュリアンのクリアなボーカルとボーカル・ハーモニー、エレクトリックな面もあるが、どちらかというとアコースティックでトラディショナルな楽曲である。特にアコースティックな曲はこちらまで気持ちが和らいでしまうような曲展開を持っていて、なかなかよい。

 "Gypsy Dance"や"Like Emily"などはヴァイオリンが効果的に使用されているし、"Martha's Harbour"ではギタリストのティム・ブリチーノ一人をバックに歌っている。なかなか聞かせどころの多いアルバムに仕上がっていると思う。

 また"Apple tree man"、"Lady Moonlight"も彼女の透明感溢れるボーカルを聞くことができる名曲だと思う。こんな曲を夜中にひとりで聴いていると、思わず夢心地になってしまう。そんな曲なのである。

 よく1stアルバムは、そのグループや個人の音楽性やその他すべてが凝縮されているといわれるが、確かにこのアルバムを聴くと、彼らの方向性がよくわかる。
 1991年に発表された彼らは3作目、「タッチト・バイ・ジーザス」にはピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアが参加して話題を集めた。こういうところがプログレッシヴ・ロックの範疇で語られた理由であろうか。

 オール・アバウト・イヴは1993年まで活動するが、まもなく解散した。しかし99年になってミッションのサポート・バンドとして復活し、以後、リイシュー盤や編集盤、アコースティック・アルバムなどを発表している。

 1stと2ndには元ヤードバーズのポール・サミュエル=スミスがプロデュースやストリングス・アレンジメントに参加している。この辺もこのアルバムが売れた原因だったのかもしれない。

 それにしてもコクトー・ツインズといいオール・アバウト・イヴといい、イギリスには幽玄な雰囲気を持ちながら、哀愁味溢れる優秀な女性ボーカリストがたくさんいるものである。今回あらためて感心してしまった。暑い夏も彼女たちの歌を聴きながら、せめて心の中は涼しくありたいものである。

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