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2008年10月13日 (月)

清志郎のこと

 最近、有名人の訃報に接する場合が多い。アメリカでは「スティング」、「明日に向かって撃て」のポール・ニューマン、日本では「復讐するは我にあり」、「楢山節考」の緒方 拳、ついでにロス銃撃事件の三浦和義被告などである。

 三浦被告はともかく、他の二人は日米を代表する俳優であった。本当に惜しい人を亡くしたものである。

 こう不幸が続くと、不幸の連鎖というか、次はあの人かなあと思ってみたりもする。しかも実際に危ない人がいるから余計に心配になってしまう。

 その代表的人物は、吉田拓郎と忌野清志郎である。拓郎は当初、気管支炎という話だったが、それが肺炎になり胸膜症と発表されている。62歳だからまだまだ現役だが、だんだん診断内容が変わっているのが気になる。

 一方、清志郎の方はこれはもう喉頭癌と発表されている。広く世間に公表されたのは2006年7月で、その直後に入院、治療に専念した。
 そして治療の結果からか、2008年2月には「完全復活ライヴ」を敢行し、追加公演まで行って復活のアピールをしている。

 一ファンとしても、これで一安心と思っていたのだが、残念なことに左腸骨への癌転移が見つかったということで、再び入院してしまったのである。
 喉頭癌だったので、癌細胞を切除してしまうと歌を歌えなくなるということで、切除せずに放射線治療を中心に行ったらしい。あの時切除してしまえば転移はなかったかもしれないが、そうなると歌手生命を絶たれてしまう。清志郎にしてみれば、当然の選択だったのかもしれない。

 相手は癌である。しかも再発とくれば、これはもう他にも転移する進行性の癌ということがわかる。2年以内の再発だから、存命率はそれほど高くないはずだ。だから次に来るのは清志郎か、などと不遜なことを考えてしまうのである。

 自分が初めて清志郎のことを知ったのは、井上陽水の名曲"帰れない二人"を聞いたときである。
 これはあの歴史的名盤「氷の世界」に収められているのだが、この曲は陽水との共作としてクレジットされている。またもう1曲"待ちぼうけ"という曲も一緒に作っている。

氷の世界 Music 氷の世界

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販売元:ユニバーサルJ
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 それまで清志郎のことは全く知らなかった。苗字に葬式のときによく見る“忌”という文字があったため記憶に残ったのである。
 むかし自分の子どもに“悪魔”という名前をつけようとした親がいたが、普通苗字にこういう字は使用しない。それをあえて使用しているのだからどんな人なのだろうと興味を持った。

 しかも“忌野”という苗字と"帰れない二人"の美しいメロディとが完全にミスマッチだったから、余計驚いた思い出がある。

 その後RCサクセッションを知り、すっかり虜になってしまい、いまだにアルバム「ラプソディ」やタイマーズのアルバムなどは愛聴している。

 最近の愛聴盤は1992年に発表された「メンフィス」と98年に発表された「レインボウ・カフェ」である。両方とも中古盤で購入したというのが悲しいが、清志郎のアルバムは店頭には置いていないから、ネットで注文するか、手っ取り早く購入するのなら中古店めぐりをするしかないのだ。

 それで「メンフィス」では、かの有名なブッカー・T&MG'sやメンフィス・ホーンと競演している。ブッカー・T&MG'sは、オーティス・レディングやサム・クックなどアメリカのソウル・ミュージシャンと競演している世界一有名なバック・バンドといってもいいだろう。

Memphis(紙ジャケット仕様) Music Memphis(紙ジャケット仕様)

アーティスト:忌野清志郎
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2008/07/23
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 ギタリストのスティーヴ・クロッパーやベーシストのドナルド・“ダック”・ダンは、ロッド・スチュワートやエリック・クラプトンともレコーディングしているほど世界中のミュージシャンから憧憬を受けている。

 このアルバムの中には名曲が多く、"Boys"はアルバム冒頭を飾るにふさわしいアップテンポの曲、次の"雪どけ"は逆にバラードになっている。
 また、"カモナ・ベイビー"は"Come on, a baby"と"かもなべ(鴨鍋)"をシャレで掛けている。しかしこれもまた名曲で、一度聞いたら忘れないほどインパクトが強い。

 他にも"ぼくの目は猫の目"はNHKの“みんなの歌”で放送されていたし、"石井さん"は不遇時代に彼を支えてくれた今の奥さんのことを歌ったものである。
 彼はまたメンフィスの名誉市民でもあり、そのことを歌った曲"MTN"がアルバム最後に配置されている。

 しかしこの人の書くバラードは本当にすばらしい。"帰れない二人"もそうだが、RC時代の"ラプソディ"や"エンジェル"、"スロー・バラード"、このアルバムの中の"雪どけ"などマイナー・コードで書かれた曲には思わず耳をそばだててしまうほどだ。

 ともかく日本が生んだ偉大なロック・シンガーでありエンターティナーでもある清志郎のことだ。もう一度復活のライヴを期待しているのは私一人ではないはず。まだ57歳である。名前は“忌野”だが、“忌まわしく”なるのはまだまだ早すぎるのである。


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