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2008年11月16日 (日)

ジミ・ヘンドリックス

 ジミ・ヘンドリックス(以下ジミ・ヘンと称す)はアメリカ出身のギタリストである。本来ならアメリカン・ロックに分類されてもおかしくないはずだが、個人的にはソウル・ミュージックに所属するのではないかと思っている。

 黒人だからという理由だけではない。やはりブルーズやジャズに影響されたその音楽性はソウル・ミュージックだと思うのである。

 アメリカの新しい大統領は白人と黒人のハーフであるが、ジミ・ヘンも白人の母親と黒人の父親の間から生まれている。白人の母親といってもネイティヴ・アメリカンでチェロキー族の流れを汲んだ女性だったといわれているから、彼の遺伝子には黒人と白人とネイティヴ・アメリカンが入り交ざっている。

 しかも生まれてまもなく母親は出奔してしまい、彼は祖母から育てられた。彼の曲に"Little wing"というものがある。その歌詞に“妖精”や“蝶”、“雲の上”などが出てくるが、そういう幻想的なものは、もちろんドラッグの影響もあったのかもしれないが、やはり幼少期に祖母が物語ったネイティヴ・アメリカンの伝承の影響もあったのだろう。

 自分がジミ・ヘンを知ったのは、彼の死後のことだった。彼は1970年9月に27歳で亡くなっているので、物心ついたときにはもうこの世にはいなかったのである。
 だから写真や映像でしか彼を知らない。映像といってもウッドストック・コンサートとモンタレー・ポップ・フェスティバルでしか見たことがなかった。(のちにワイト島でのコンサート映像は某国営放送で放映された)

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 だから彼の死の直後から、彼のことはすでに伝説となっていったのだと思う。彼の歯でギターを掻きむしる演奏や背中にまわして弾く姿などは子ども心にも印象的だったし、最後に火をつけてギターを燃やすところなんかは、まさに人間業ではないと思っていた。

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 そういうトリッキーなところが凄かったし、また右利き用のギターをそのまま弦を付け替えずに持ち替えて、右手でフレットを押さえ、左手でピッキングするところは何と器用な人なのだろうと素朴に思ってしまった。
 のちに野村義男が背中で弾いたりしていたが、あれはジミ・ヘンのまねだったのだろうか。また甲斐バンドの甲斐よしひろも右利き用のギターをそのまま持ち替えて弾いているという話を聞いたのだが本当だろうか。この点については真偽のほどはよく分からない。

 ジミ・ヘンのギター奏法は実はそんなに凄くはないらしい。テクニック的には他のジャズ・ギタリストやブルーズ・ギタリストの方が上といわれている。
 彼が素晴らしいのはその曲に伴うグルーヴ感を上手に表現しているところであり、曲やソロを聞けばすぐに彼とわかるところであろう。そういう独特の個性や音楽性が素晴らしいのである。

 また当時の時代背景も彼を後押ししたのであろう。ベトナム戦争を背景に若者の革命意識の高揚やその反対に厭世的な雰囲気、いわゆるヒッピー文化に象徴されるサイケデリックなサブ・カルチャーなどが時代のヒーローとして彼のような存在を求めていたのではないだろうか。

 さらにまた単なるハード・ロックやブルーズ・ロックに収まりきれない彼の才能というのもまた彼の特長である。彼が残した最大の功績だったのかもしれない。
 どこで見かけたのか忘れてしまったのだが、彼には普通の人には聞こえない音が聞こえてきたのであろう、という一節があったのだが、まさにその通りだと思う。

 彼はそういう自分だけの音や音楽を求めるために、あるいは逆にそういう音から逃れ、平穏で安逸な生活を求めるためにドラッグに手を出していったのだろう。そしてそれがうまく音源としてまとめられたのが、「アクシス:ボールド・アズ・ラヴ」であり「エレクトリック・レディランド」だったのだろう。

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 彼が生きていたら、どういう音楽をやっていたのだろうかと、よく言われるが、たぶん彼は自分にのみ聞こえる音を追及していたに違いない。そしてそれは世界中に影響を与えていったであろう。当然のことながら、ソウルやファンクやロックという範疇を凌駕していただろう。そういう意味で彼はまさに唯一無二の存在だったのである。

 しかし音楽性は様々なジャンルのものを追い求めていても、彼の心の拠りどころになっていたのは、ソウルフルな家庭であり、祖母から聞かされていた“フェアリー・テイルズ”だったのではないだろうか。
 だから自分にとっては、彼はロック・ミュージシャンというよりは、偉大なソウル・ミュージシャンと呼んだほうがしっくりくるのである。


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