« ジミ・ヘンドリックス | トップページ | ダーク・ホース »

2008年11月18日 (火)

甲斐バンド

 先日、甲斐バンドのDVDを見ていたらゲストで中島みゆきが登場して一緒に歌っていた。何という曲かはわからなかったが、そういえば彼らは仲が良かったのを思い出した。中島みゆきのアルバム「36.5℃」では甲斐よしひろがプロデュースを部分的に担当していた。

36.5℃ Music 36.5℃

アーティスト:中島みゆき
販売元:ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2001/04/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 このDVDは1986年の彼らの解散コンサートの模様を収録したもので、CD化もされている。DVDでは全16曲だが、CDでは14曲になっている。DVDの方が雰囲気をよく伝えているし、コンサートの流れもほぼ忠実に捉えているような気がする。

HERE WE COME THE 4 SOUNDS DVD HERE WE COME THE 4 SOUNDS

販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2005/09/14
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 甲斐バンドは甲斐よしひろが中心となって結成されたバンドで、九州は博多出身のバンドである。博多出身といえば海援隊や長渕剛などが有名だが、ライブハウス「照和」出身の甲斐と長渕は仲が良かったらしい。

 自分は彼のことを知ったのは、NHKFMの水曜夜の番組「サウンドストリート」を聞いてからである。知り合いが甲斐はなかなかカッコいい。見かけではなくて言う事が男らしいと言っていたのを聞いて、それじゃと聞いてみたところ、確かに骨太の正論を吐いており、へえこんな人だったのかとびっくりしたのと同時に、改めて彼らのことを気に入った。

 福岡駅に着くといつも思い出すのが、彼らのシングル"裏切りの街角"である。フォークのようなロックのような中途半端な曲だったのだが、耳になじみやすいポップなメロディと思春期特有の甘酸っぱい思い出がこもった詩は、福岡のような“都市化した田舎”にはよく似合っていると思う。

 そういう意味で、最初は彼らのことを甘く見ていたのだが、実際は才能あるミュージシャンということがわかってからは、彼らの動向に注目していた。

 デビューは1974年だったから実質12年間の活動だった。地元福岡では有名だったが、全国的にはまだまだ知名度も低く、78年の"Hero(ヒーローになる時、それは今)"がシングルでNo.1になるまでは地道にコンサートやアルバムのプロモーションに精を出していた。

 この曲はTVCMとタイアップしたものだったが、このヒットのおかげで彼らはメジャーになった。このあと曲の冒頭が印象的な"感触(タッチ)"、ストーンズの"Angie"に似たような内容の"安奈"、これも某化粧品会社とタイアップした"ビューティフル・エネルギー"などのように、次々とヒットを連発していった。

 ヒットを出したのはいいのだが、曲調がだんだんとマンネリ化していって、ロック・バンドというよりも歌謡曲ロックを歌う4人組になってしまったようだった。"ビューティフル・エネルギー"なんかは、エッ、甲斐バンドがこんな曲やるの、やっていいの、みたいな感想がファンの間、といっても私の周辺だけだったが、を駆け回ったものだ。

 また甲斐自身も某ミュージック・ライフの当時の編集長高橋なんとかと結婚したものの、生活のすれ違いのせいか、数ヶ月で離婚してしまった。(と記憶している)その女性は秋田県出身で秋田美人と九州男児の組み合わせがうまくいくかどうか興味津々だったのだが、そうならず失望した思い出がある。

 そういうわけでヒットが出ていい気になってたわけでもなかったのだろうが、このときの甲斐バンドはロックからは程遠かった。

 しかし、そこは甲斐よしひろ、普通の人ならこれで沈んでいくのだが、彼はそうならずにもう一度原点に戻って音作りを始めた。そしてニューヨーク三部作が生まれるのである。

 ニューヨーク三部作とは、彼らがアメリカのニューヨークに渡って録音したアルバム群のことである。実際はニューヨークだけではなく、ハバナのナッソーなどでも録音したらしいのだが、最終的なミキシングを、当時超有名だったニューヨーク在住のミキサー、ボブ・クリアマウンティンに依頼して制作された。タイトルは「虜-TORIKO-」「黄金/GOLD」「ラヴ・マイナス・ゼロ」の三作である。

GOLD(紙ジャケット仕様) Music GOLD(紙ジャケット仕様)

アーティスト:甲斐バンド
販売元:EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
発売日:2007/12/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 だから音質がよく、今聞いても彼の名前のようにクリアである。当然のように売れて、オリコンでもそれぞれ2位、8位、3位を記録している。第2の彼らの黄金時代であった。

 しかしこれで燃え尽きたかのように、その後彼らは解散に向けて進んでいった。「ラヴ・マイナス・ゼロ」は1985年の作品だったから、この翌年には解散することになった。やはりいい作品を作ろうとした結果、それだけエネルギーの消耗が激しかったのだろう。

 甲斐よしひろの作品で一番印象的なのは"安奈"だが、その次に印象的なのは松田聖子に提供した"ハートをROCK"である。あの骨太の甲斐よしひろが松田聖子が歌えるようなポップでキュートな曲を書けるとは思えなかったからだ。

 彼女の1983年のアルバム「ユートピア」では甲斐の曲を2曲聞くことができる。"ハートをROCK"と"赤い靴のバレリーナ"である。前者はアップテンポな曲で、後者はバラード系の曲である。いずれも歌詞は松本隆が担当しているので、女の子のデリケートな心理がよく表現されているのだが、曲は甲斐よしひろなのである。はっきりいってかなりの名曲である。

ユートピア Music ユートピア

アーティスト:松田聖子
販売元:ソニーレコード
発売日:1990/10/15
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 だから甲斐には昔からメロディメーカーとしての才能があったことがよくわかる。この当時は確かに売れていたのだが、決して天狗にはならずにあくまでも自分たちの道を進んでいきながら、個人としては曲を提供するというある意味潔い姿勢を貫いていった。甲斐よしひろには学習機能が付いているのだ。

 最近は甲斐バンドを再結成して、コンサート活動を行っているようだが、旧曲のヒットパレードで終わるのではなくて、55歳となった今でも新しい道を進んでいってほしいものだ。 
 甲斐よしひろはストーンズのミック・ジャガーにあこがれて、ロックを始めたようだが、ミック以上に新作完成→ツアー→DVD(映画)という路線を歩んで、若いミュージシャンとは格の違いを見せつけてほしいのである。

THE甲斐バンド(紙ジャケット仕様) Music THE甲斐バンド(紙ジャケット仕様)

アーティスト:甲斐バンド
販売元:EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
発売日:2007/12/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する


« ジミ・ヘンドリックス | トップページ | ダーク・ホース »

日本のミュージック」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
福岡というのは確かに大きな田舎ですね。
九州では大都会でも東京から見れば地方都市ですから、照和育ちのミュージシャン達が東を目指すのは当然だと思います。
ただ地方出身者には東京育ちにはない、ちょっと屈折した感性があることが強みかな?

投稿: music70s | 2008年11月18日 (火) 22時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 甲斐バンド:

« ジミ・ヘンドリックス | トップページ | ダーク・ホース »