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2008年12月

2008年12月26日 (金)

大掃除に…

 日本には年末になると、一年の締めくくりと来るべき新しい年に期待を込めて?、どの家庭でも大掃除を行うという習慣がある。最近ではこの習慣もだんだんと薄れてきているようであるが、それでもこの時期に急に周りの整理整頓を行う人は結構いると思う。

 かく言う自分自身も、CDの整理をしたり本の整頓をして、不要なものはセコハンのお店に持っていって、少しでもいいから金銭に換えようとしたりする。年の始めくらいはリッチにいたいからだ。

 それで柄にもなく大掃除を行うわけだが、そんなときにやはりBGMがほしいと思うわけで、それで自分なりに何がふさわしいか考えたわけだが、いろいろと試してみてやはり一番いいのはジャーニーの「グレイテスト・ヒッツ」だと思っている。

Greatest Hits Music Greatest Hits

アーティスト:Journey
販売元:Columbia
発売日:1996/04/04
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 掃除がはかどるには段取りが第一であり、次にどれだけ時間をかけたかという労力である。その時間をどれだけかけられるかは、やはりノリだと思う。この場合の“ノリ”とは、気分的なものも含まれている。

 それでジャーニーの「グレイテスト・ヒッツ」がふさわしい理由は、音楽的にリズミカルでテンポがよいからである。まさに“ノリ”を出させる高機能な楽曲が目白押しだからである。
 しかもベスト盤だから、どこを切っても金太郎飴のように、ポップで聞きやすいために、どこから聞いても思わず体が動いてしまう。

 それでは例えば、ドゥービー・ブラザーズでもノリのよい楽曲はあるからいいのではないかと思う人もいるかもしれないが、確かにドゥービーでも悪くはないのだが、彼らのベスト盤はジャーニーよりも黒っぽいので、段取りを必要とする作業には不向きだと思っている。特にマイケル・マクドナルドが加入した後期の曲が収められているベスト盤はよくない。掃除がはかどるどころか、逆に欲求不満に陥ってしまうから厄介である。

 逆に考えれば、ドゥービーの初期から中期の曲は基本的なロックであり、78年以降のジャーニーの曲はアダルト・コンテポラリー・ロックいわゆる産業ロックという違いから来るのかもしれない。
 だから何も考えないで、ただ体を動かすだけなら産業ロックのほうが万人向けなのだろう。

 ところでこの時期に、個人的にはもう1枚聞くアルバムがある。それはジェファーソン・スターシップ(以下JSと称す)の1975年のアルバム「レッド・オクトパス」である。自分にとってはこのアルバムこそ大掃除の真打ちといっていいアルバムなのだ。

Red Octopus Music Red Octopus

アーティスト:Jefferson Starship
販売元:RCA Legacy
発売日:2005/09/13
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 なぜふさわしいのかというと、それはよくわからない。ひとつは曲が良いということはいえるだろう。"Miracles"、"Ai Garimasu(愛ガアリマス)"、"Play on love"という非常に“ノリ”のよい曲が多いということはいえるだろう。

 また当時58歳だったパパ・ジョン・クリーチの演奏するヴァイオリンもいい味を出している。この時期のJSは8人編成だった。ロック・バンドで8人は多すぎると思うのだが、このアルバムでは8人がそれぞれの役割を十分に果たしていて、非常に優れた完成度を誇っているものになった。

 だからJSの前身であるジェファーソン・エアプレイン時代から後身の"シスコはロックシティ"のシングルヒットを生んだスターシップ時代を含めて、唯一の全米No.1を記録したアルバムになっているのであろう。
 しかも200万枚以上を売り上げ、4回にわたってアルバム・チャートNo.1に返り咲いたのだから、やはりそれにふさわしい魅力を持ったアルバムなのである。

 とにかく言葉で説明するのは難しいのだが、摩訶不思議な魅力を持っているアルバムであり、それが大掃除にフィットしている。
 だから自分が掃除をするときはいつも、このアルバムを大音量で流している。もし疑うなら自分でやってみるといい。きっと普段よりも能率よく掃除をしている自分の姿を発見することだろう。

 欧米では悪魔の使いとまでいわれている“タコ”だが、少なくともこの「レッド・オクトパス」はその逆で、このジャケットを見ればわかるように、ハートの形をした赤いタコが私たちに“LOVE”をもたらしてくれるのである。

 年末のあわただしい時期ではあるが、そういうときこそ心の余裕をもたらしてくれる“MUSIC”が必要になってくるのではないだろうか。みんなもそれぞれ自分なりの“大掃除の曲”を見つけてみたらどうだろう。

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2008年12月25日 (木)

トルバドール

 本当にイギリスという国は日本より小さいのに、文化的な面、特に音楽については世界をリードしていると思う。とにかく雨後のたけのこのように、次から次へと新人バンドやミュージシャンが誕生しているのだ。
 しかも新人とはいえ、それなりに音楽的な力量も備えているのだから、いかにイギリスの音楽レベルが高いかがわかると思う。

 このブログでもその一部を紹介してきたが、とてもすべてを紹介しきれるものではない。それでも何とか自分の気に入ったものについては紹介していきたいと思っている。

 それで今回は、イギリスはリヴァプール出身の4人組ザ・トルバドールズである。もうこの“リヴァプール出身の4人組”というキャッチフレーズだけで、ロックの歴史に刻まれているあの超有名な4人組と比較されてしまいがちだが、このザ・トルバドールズは、なかなかどうして、その比較に耐えうるものを持っているのである!

 彼らが今年の秋に発表したアルバム「ザ・トルバドールズ」には、キャッチーでメロディアスなロックやポップな曲が詰め込まれている。

ザ・トルバドールズ Music ザ・トルバドールズ

アーティスト:ザ・トルバドールズ
販売元:BMG JAPAN
発売日:2008/09/24
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 特に2曲目"Superstitious"や4曲目"Surrender"、シングルカットされた"Gimme Love"を聞けば、その意味するところがすぐにわかると思うのである。

①3部のコーラスを聞かせてくれる
②残響空間処理が60年代している
③サビのメロディが覚えやすい
④バラエティにとんだ楽曲で占められている
⑤'60s、'70sの雰囲気がよく出ている

 世界で最も有名な4人組といくつかの共通点があるが、とにかくそのソングライティングの巧みさは近年出た新人バンドの中では群を抜くものだと勝手に思い込んでいる。

 特に"The Scene, it keeps changin'"のようなスローなバラードタイプの曲や"Con Edison"のようなアップテンポの曲を聞くと、本当に21世紀のバンドなのだろうかと思ってしまった。まるでホリーズやハーマンズ・ハーミッツのような60年代のビート・グループを思い出させてくれるからだ。

 アルバムには11曲収められているが、そのすべてを作詞作曲しているのが、ギター&ボーカルを担当しているマーク・フリスという人である。

 イギリスの大物プロデューサーであるジョン・レッキーは、彼のことを“10年に1人の逸材”と評して早速彼らのシングルのプロデュースを買って出たし、あのポール・ウェラーも彼らのことをいたく気に入ってしまい、自分たちのツアーのオープニング・アクトに起用してしまったということらしい。

 そういうことで既に伝説は着々と作られているのである。確かに今までの“第2の~”と言われてきたグループは、確かにメロディはポップで、甘く切ない印象を与えてきたが、このグループはそれだけでない多様性というものを持っている。
 
 よく1stアルバムを聞けばそのグループの方向性や将来性が図られるといわれるが、このザ・トルバドールズは先人たちの二番煎じだけでは終わらない技巧的な側面を持っているのだ。

 確かによくプロデュースされているアルバムなので、新人としての若々しさやロックとしての疾走感には欠ける面はあると思う。だから彼らの真価が問われるのはこの次のアルバムからになると思う。

 しかし、それにしてもこのメロディセンスはそれらを補って余りある素晴らしいものがある。願わくば日本だけでなく、イギリス本国でも彼らの実力が認められて、“リヴァプール出身のあの4人組”のように、国民的人気バンドになってほしいものである。

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2008年12月22日 (月)

ザ・スクリプト

 ついに出たというか、やっぱり出たというべきか、とにかくアイルランド出身の3人組、ザ・スクリプトはアメリカのマルーン5の焼き直しなのである。

 彼らが今年の夏に発表したアルバム「ザ・スクリプト」は母国アイルランドやイギリスでは初登場1位を記録している。それほど素晴らしいアルバムなのであるが、でも自分の耳にはどうしてもマルーン5のクローンとしてしか聞こえないのだ。

ザ・スクリプト(2ヶ月限定スペシャル・プライス) Music ザ・スクリプト(2ヶ月限定スペシャル・プライス)

アーティスト:ザ・スクリプト
販売元:BMG JAPAN Inc.(BMG)(M)
発売日:2008/10/22
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 ①ボーカルの声質が類似している。
 ②メロディの起伏が激しく、曲に起承転結がある。
 ③同時に美しいサビの部分を持っている。
 ④またメロディが特長的で覚えやすい。
 ⑤演奏にストリングス等を使って厚さを加えている。
以上の点から、これはヨーロッパのマルーン5と言っていいだろう。

 でも逆にそれがどうした、と言うことはできる。確かに曲想や展開が似ているとはいえ、良いものはいいのである。車の中で聞いていると、とにかくついつい聞いてしまうのだ。そういう磁力のような力を秘めているのであるザ・スクリプトというグループは。

 3人の中の2人は若いうちからアメリカに渡って、R&Bのソングライティング・チームの中で活動していたらしい。だから彼らの音楽は黒人音楽の要素が詰まっており、黒っぽい音を出している。
 1stシングルだった"We cry"や"The end where I begin"を聞くと、ヒップホップやラップのリズム感覚を上手に取り込んで、うまく自分たちの音楽に溶け込ませている。そういう点ではマルーン5より優れているといえるだろう。

 中にはエンゲルベルト・フンパーディンクの"A place in the Sun"のようなメロディラインを持った曲もある。また、シングルカットされなかったけれど、"Before the worst"や"Talk you down"、"Fall for anything"などの曲の方がシングルよりも良いできではないかと思うのは私一人だろうか?

 とにかく彼らの曲を聞くと、本当に耳をそばだててしまい何度も何度も繰り返し聞いてしまう自分がいるのは確かである。とにかく曲の展開が見事なのである。1曲の中に2~3のサビのフレーズが含まれているのだ。このつなぎというか展開が見事なのである。

 たとえクローンだろうが、二番煎じだろうが、それが彼らのオリジナリティなのである。もっとブラック・ミュージックからの影響を前面に出した音楽を作っていけば、さらに彼らの音楽観が確立されて、もっと素晴らしい心に残る音楽が生まれてくるだろう。

 そういう意味では次作の作品が勝負かもしれない。久々に出たアイルランドからの新人バンドである。できればU2のように歴史に残るバンドになってほしいものである。

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2008年12月20日 (土)

アーティクル・ワン

 久しぶりのカナディアン・ロックである。カナダはオンタリオからデビューした新人バンド、“アーティクル・ワン”である。新人といっても地元カナダでは昨年に1stアルバムを発表しているのだが、日本では2ndアルバムが国内盤としては初めてになる。

 彼らのアルバム「カラーズ・アンド・サウンズ」は新人としてはかなりのよい出来である。新人ならではの疾走感とともにメロディにも工夫されていて、聞いてて飽きない。

カラーズ・アンド・サウンズ Music カラーズ・アンド・サウンズ

アーティスト:アーティクル・ワン
販売元:EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
発売日:2008/09/03
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 それは4人組という基本的なロックのフォーマットにヴァイオリンというリード楽器が組み込まれているので、音に厚みがあるからだ。
 全15曲というヴォリュームで、中には数曲インストゥルメンタルだけの曲もある。時にはそれが次の曲のイントロにもなっている。だから似たような曲調にならないように避けようとする彼らの姿勢が伺えるのである。(幾分同じような曲調の曲はあるのだが、サビのメロディ部分は違っている)

 また詩の内容を見ても、単なるラヴ・ソングだけではない彼らのメッセージを受け取ることができる。

「みんなはそれぞれ自分の
問題で疲れている
そして誰も理解する時間がない
だけどできるだけたくさん
答えを抱えながら
俺は自分の手を責めている
愛はそれぞれの決断の合計だ
明日は今日の行いで決定される
俺は自分の人生の歴史の中で
進路を選択する
それぞれのページを繰るたびに」
("Colors and Sounds"より)訳プロフェッサー・ケイ

 彼らのメッセージは生きる希望といってもいいかもしれない。どんなにつらくても愛や希望を忘れずに生きていこうと呼びかけているようだ。そういう意味ではコールドプレイやU2のDNAを受け継いでいるのかもしれない。

 何しろ彼らのグループ名からしてかなりのものである。アーティクルワンとは世界人権宣言の第1条のことを意味するからだ。
「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等である。人間は理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神を持って行動しなければならない」

 これが世界人権宣言の第1条の内容であるが、こういう理想主義的でストイックな姿勢が音楽面にも表れているのではないだろうか。
 青臭いといってしまえばそれまでであるが、それができるののが若さの特権であり、そしてその青臭さがどういうふうに成熟していくかがまた楽しみでもある。

 それにしてもニール・ヤングといい、ザ・バンドといい、ブルース・コバーンといいカナダには現実を冷静に見つめながら、問題点を提起するグループやミュージシャンが多いように感じる。
 それはカナダという特色なのかもしれないのだが、アメリカという世界の理想国家が腐敗し崩壊していくさまを横目で見ながら自分たちの方向性を探らないといけないという現状がそうさせているのかもしれない。

 ただデビューしたてでこれだけの作品を作り上げたとなると、これからどう音楽的に(人間的にも)成長していくかが難しくなるかもしれない。周囲からはこの作品以上のものを期待されるだろうから、次の作品が彼らの試金石になるだろう。ただこの若々しさはキープしていってほしいものである。

 

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2008年12月16日 (火)

ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ

 数年前にテキサス州のヒューストンに出かけたとき、驚いたことがあった。それは空港内のアナウンスのことで、飛行機が到着するとまず最初にスペイン語で、次に英語で案内をしていたからだ。

 ここはアメリカ、ならば英語が先に来ると思いきや何とまあスペイン語なのである。これはやはり白人の人口が減少傾向で、かわりにプエルトリコ人やメキシコ人、パナマなどの中南米からの移住者、いわゆるヒスパニック系の人が増加しているからではないかと勝手に思ったりもしたのだが、あながち見当違いでもないだろう。

 ニューヨークやボストンなどの東海岸ではそんなことはないだろうが、西海岸やメキシコ湾岸では日常的にスペイン語が使用されているのだろう。

 それで最近はスペイン語にはまっているのであるが、これがまあなかなかユニークな言葉である。発音自体はローマ字式に読めば読めるので、その点では日本人にはわかりやすいのだが、hを発音しないので、Hondaをオンダと読んだりする。またなぜかMexicoはメヒコと読んだりもする。

 それでスペイン語の影響のせいで、スペインの音楽とくればやはり熱狂的なフラメンコであり、そのフラメンコに欠かせないスパニッシュ・ギターに興味を持ってしまい、1枚のCDを手に入れたのである。それがロドリーゴ・イ・ガブリエーラの「激情セッション、Live in Japan」であった。

激情セッション Music 激情セッション

アーティスト:ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ
販売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
発売日:2008/10/08
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ロドリーゴという男性とガブリエーラという女性の2人組ギター・デュオであるが、この2人のアコースティックによる演奏はフラメンコなどという枠を通り超えて、圧倒的な音の質感と迫力を伴って迫ってくる。

 もともとこの2人はメキシコでヘヴィー・メタルのロック・バンドに加わっていて、今でも彼らのフェイヴァレットはメタリカやパンテラ、スレイヤーなどのスラッシュ・メタルらしい。だから使用しているのは6弦のアコースティック・ギター2台だけなのだが、演奏方法はヘヴィメタの高速ピッキングやタッピングなども使用しているから、伝統的なスパニッシュ・ギターより音に広がりがある。

 このライヴ・アルバムは今年の3月に東京で録音されたものであるが、聞けば聞くほどその凄さに驚いてしまうし、できればDVDでその演奏している姿を目にしてみたいと切実に思えてくる。それほどどういう風に弾いているのか、なぜこんな音が出るのか興味がわいてくるのである。

 基本的には男性の方がリードで、女性の方がパーカッシヴな音を担当しているようだが、ライヴのときはお互いがリードを取り合ったり、リズムを重ねていって、まさに“激情”という雰囲気を醸し出すことに成功している。普通のアコーステック・ギターがここまで変わること自体が何か魔法でも見ているかのように思えてならない。

 前作の「激情ギターラ!」というアルバムは全世界で50万枚以上売れたというし、日本国内でも輸入盤だけで2万枚近く売れたという。インストゥルメンタル・アルバムでこれだけ売れたのは近年まれに見る快挙といっていいだろう。

激情ギターラ! Music 激情ギターラ!

アーティスト:ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ
販売元:SMJ(SME)(M)
発売日:2008/03/05
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 だから国内盤が発売されたのだが、それも店頭ではほとんど売れ残っていない。発売枚数自体が少なかったせいもあるのだろうけれど、やはり噂が噂を呼んで、それだけ売れていったのだろう。

 というわけで、この2人組、アルバムではゼッペリンの"Stairway to Heaven"も演奏しているが、これがなかなかコンパクトにまとまっていて、曲自体の骨格が明らかになっている点が面白い。曲の主旋律とリズムがはっきりとしていて、聞いていてよくわかるのである。

 寒いときにはこのアルバムを聞けば、ホットな気持ちになれるそんな音楽なのである。ちなみに“ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ”の“イ”というのは、英語の"and"に当たる単語である。これもスペイン語の入門書を読んでいてわかったものである。

 もしあなたがアメリカの西海岸や中南部に行くのなら、やはり少しのスペイン語の挨拶くらいは知っておいたほうがいいだろう。ちなみにPocoは“少し”、Los Lobosは“狼たち”という意味である。そういう点でもロック・ミュージックを勉強するとスペイン語にも役に立つ場合があるのである。

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2008年12月14日 (日)

時の征者

 年末だというのに、週末になると佐賀の唐津に行ったり、大分の中津に行ったりして、結構忙しくしている。本業以外の趣味の世界だから行かなくてもいいのだけれども、やはりついつい体が動いてしまうのである。

 しかも貧乏だから、泊まるところは安いところと決まっている。佐賀は民宿だったし、中津は3500円のビジネスホテルである。ただ佐賀の民宿は4500円という値段の割には、綺麗で立派な建物だった。たまにはこういう当たりもあるというのがうれしい。
 だから不況で日本経済が悪化しているいま、世の中の金回りをよくしようとする努力をそれなりにしていると思えば、少しは自分の行動も役に立っているのかもしれない。

 それで金食い虫のCD収集家としては、最近も数枚CDを購入してしまった。そのうちの最初に聞いたのが、アメリカのSSWであるジャクソン・ブラウンの「時の征者」である。

時の征者 Music 時の征者

アーティスト:ジャクソン・ブラウン
販売元:SMJ(SME)(M)
発売日:2008/10/01
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 オリジナル・アルバムとしては6年ぶりとなる作品だそうであるが、一聴したところでは、確かに昔一緒によく遊んだ友人に再会したような気持ちになってしまった。
 
 特に1曲目のアルバム・タイトル曲や2曲目の"Off of Wonderland"などは、いわゆる“70年代のウェストコースト風”になっている。つまり女性のコーラスやオルガンで味付けられ、アコースティック・ギターのシンプルなリフが使われているような音なのである。

 これら以外にも"Just say yeah"、"Far from the arms of hunger"など昔を髣髴とさせる曲はあるのだが、全体的な曲調としてはやや地味というか、暗い印象を受ける。

 それはたぶん歌われている内容からきているのではないだろうか。さすがジャクソン・ブラウンと思えるような政治的な歌や平和を求める個々人の姿勢を問うような内容のもので占められているのである。
「たとえ君がどんな進路を
選択するにしても
それは敵を確認するために
誰を信じるのかによるのだ

誰が戦争のドラムを
叩いているのだ
平和が失われる前でも
誰かが利益を得ているのだ
そしてそのコストに
耐えているのは誰だ
国が戦争への道を
歩もうとしているときに」
("The Drums of War")

「僕たちは証拠という
真実をつかんでいる
エアフォース・ワンから
彼は悲惨な状況を眺め
ひげをそり、目を休め
下を見下ろしていた
彼は休暇からの帰り道に
上空を2回旋回したんだ
君はどこにいたの
その写真を見つけたとき
君はどこにいたの
通りが黒い水でいっぱいに
なっていたとき」
("Where were you")
[訳プロフェッサー・ケイ]

 いずれもイラク戦争やハリケーン・カトリーナの様子を歌っているのだが、相変わらず政府の態度や施策について痛烈な批判を加えている。また政府だけでなく、一人ひとりの内面や行動面にまでその追及の手を休めようとしない。さすがジャクソン・ブラウン、カリフォルニアの良心はまだ健在なのである。

 そういうわけで全体的にやや暗めではあるものの、じっくりと聞かせる問題作になっている。アメリカ人や英語のわかる人にはかなりシリアスなアルバムではないだろうか。

 だからアルバム自体は売れないと思うし、アメリカ経済の活性化にはつながらないと思うのだが、ファンにはジャクソン節健在という知らせにはうれしい限りである。願わくば60歳になった今も、そしてこれからも6年ぶりになどといわずに、良質な音楽を提供し続けてほしいものである。

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2008年12月 9日 (火)

ダフィー

 最近、奥歯の詰め物が取れたので、かかりつけの歯医者に行った。この医者とはかれこれ20年近くの付き合いになるのだが、医者と直接話を交わしたことはなかった。何しろ人間嫌いというか、人と話すときに直接目を見ないで、横を向いて話すようなタイプの医者であった。

 自分にとっては、逆にそういうベタベタと客に媚を売らないというか、あっさりとドライに接してくれる人のほうが良かったので、いつの間にかズルズルと付き合っていたのである。それに歯科技工士に可愛い女の子もいたし・・・

 しかし今回ばかりは頭に来たのである。詰め物はつい1年以内に処置されていたもので、もちろんこの歯医者である。
 さらにここの営業時間が午後5時30分までに受付というではないか、職場の周りの人に聞いたところ、ほとんどの人が自分のところは午後7時までが受付で、治療が終わる頃は8時を過ぎることもあるといっていた。

 そして実際に治療が終わったら、さっさと自宅に戻ってしまい、詳しい説明もなかった。最近は説明責任ということがうるさくいわれているのに、この医者はそれさえも行わなかったのである。代わりに新顔の看護士が説明をしてくれたのだが、そんなことはどうでもいいことだった。(それにここの看護士は頻繁に替わっていく。やはり医者の仕打ちに耐えられないのだろうか)

 私の中で何かが音を立てて崩れていった。もうこんなところには来ないようにしようと。別に恩や義理があるわけでもなく(逆に今まで途中何年も顔を見せなかったことはあったが)、むしろこちらが患者として今まで儲けさせてやったのだから、感謝されてもいいくらいである。

 本当はそういうサービス業に値しないへぼ医者を実名で公開してやろうかとも思ったのだが、威力業務妨害などで訴えられても困るので、実名だけは勘弁してやろうと思う。田中町のN歯科、そういうことだ。もう永遠に会うこともないだろう。バイバイangry

 永遠に会わないといえば、昔聞いた曲や音楽にはもう再び耳にすることはないだろうと思っていたのだが、21世紀の現在に再び耳にすることができた。それがイギリス出身の女性シンガー、ダフィーである。Photo

 この手の音を聞くと、今が本当に2008年なのかと思えてくるほどである。これは絶対に1960年代のモータウン時代のシュープリームスやフィル・スペクターの奥さんだったロネッツがウォール・オブ・サウンドをバックに歌っている時代の音である。

 特にストリングスの音使いやメロディの展開など、まさに半世紀も前の音なのだ。しかしなぜか新鮮で、どことなく懐かしい微妙な感覚でブレンドされているのである。
 さらにまた一番の特長は、彼女の声である。この手の音に一番似合う声質なのである。
まさにこの手の音楽を歌うためにだけ存在するようなシルキー・ヴォイスなのである。彼女のデビュー・アルバムが全世界で300万枚以上売れているのもそういう理由があるように思えるのだ。

ロックフェリー(初回生産限定特別価格) Music ロックフェリー(初回生産限定特別価格)

アーティスト:ダフィー
販売元:UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
発売日:2008/09/24
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 彼女は18歳で田舎町からロンドンに出てきたのだが、その彼女の最大の理解者がラフ・トレード・レーベルの創設者のジャネット・リーと元スウェードのギタリスト、バーナード・バトラーであった。
 特にジャネットは同じ女性という立場もあったのかもしれないが、公私にわたって彼女をサポートしている。普通なら売れると判断したならすぐにプロデュースして、アルバムを作ってコンサート活動を行い、消耗したらすぐに捨てるのだが、ジャネットはサポート・チームを作り、時間をかけて彼女の才能が開花するまでじっくりと待ったのである。

 彼女のデビューアルバムには、そういう周りの協力と彼女の実力がうまくかみ合ったものになっている。楽曲的にも申し分なく、当然のことながら彼女の声は非常に美しくマッチしているのである。

 特に"Warwick Avenue"、"Serious"、"Stepping Stone"、"Syrup&Honey"、"Mercy"、
"Distant Dreamer"などは素晴らしいできである。彼女の声質を十二分に生かしきっている楽曲と演奏を背景に、その表現力を遺憾なく発揮している。まさに10年に一度の逸材といってもいいだろう。

 彼女は本年度のグラミー賞にノミネートされる予定である。だからTVでそのパフォーマンスを見ることができるかもしれない。
 しかし、エイミー・ワインハウスといい、アデルといい、ジョス・ストーンといい、60年代に流行したような音楽を自分流に解釈し、表現しているシンガーがイギリスにはうようよしている様だ。彼女たちに共通しているのは、その類まれな才能とそれをサポートする人たち、そして決して美しくないその美貌のようである。

 さてこういう美しい音に身を委ねながら、今度はどこの歯科医に行こうかと考えている自分である。ネーミングで選ぼうか、場所で選ぼうか、電話での対応で選ぼうか、いづれにしてもそういう選択権がこちらにあるというだけでも、何となくプチ楽しくなってくる。やはり音楽と同じように、自分の人生は自分自身に決定権があるのである。

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2008年12月 3日 (水)

北極の猿たち

 日本語にするとヘンだが、英語でいうとなかなかカッコいい人たちがいる。イギリスはシェフィールド出身の4人組、アークティック・モンキーズである。

 2006年に発表された彼らの1stアルバム「ホワッタエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット」を聞くと、まさにロック・ミュージックというのは焦燥感や疾走感、反骨心や妥協との戦いというのがよくわかる。

Whatever People Say I Am, That's What I'm Not Music Whatever People Say I Am, That's What I'm Not

アーティスト:Arctic Monkeys
販売元:Domino / Hostess
発売日:2006/01/19
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 ギター2本に、ベースとドラムスというシンプルで基本的なフォーマットながら、そこから流れ出す音楽は、まさに21世紀のイギリス音楽界や日常の若者の世界を描き出すことに成功していると思う。

 当時のイギリスではオアシス以来のスーパー・グループと賞賛されていたが、確かに一本調子ではなくて、曲ごとの違いがよく表れていると思う。
 また、どうでもいいことだが、曲のタイトルが長いのも特長かもしれない。"I bet you look good on the dancefloor"や"Red light indicates doors are secured"など、"Perhaps vampires is a bit strong but..."、極めつけは"You probably couldn't see for the lights but you were staring straight at me"だと思うのだが、こういうところにも既成の価値観を打ち破ろうとする彼らの意思が伺われるのである。

 とにかくこのアルバムは本国イギリスではよく売れた。100万枚以上売れたと思う。だからその年の新人賞だけでなく、アルバム・オブ・ザ・イヤーも獲得している。(本国イギリスだけでなくアイスランド、アイルランドや日本でもアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得している)

 ただ自分はつい最近になってこのアルバムを手に入れた。前々から購入したかったのだが、あとであとでと、どんどん伸ばしていって聞きそびれてしまったのだ。
 ところが最近、廉価盤が発売されていたのを知って、それならばと買ったのである。同じ内容で約800円ぐらい違うのだから、どう考えてもお買い得であった。やっぱり貧乏性のプロフェッサー・ケイなのである。

 これもどうでもいい話だが、アルバム・ジャケットに写っている人は、バンドのメンバーではなく、バンドのメンバーの友人ということらしい。写真撮影前の7時間くらいから酒を飲んでいたというから、撮影当時はすでにべろんべろんの状態だったという。確かに目がイっている。バンドメンバーが写っていなくて、その友人だけが写っているジャケット写真も珍しいのではないだろうか。

 彼らは翌年に2ndアルバム「フェイヴァリット・ワースト・ナイトメア」を発表しているが、これも全英1位、全米7位を獲得している。生き馬の目を抜くようなイギリス音楽界において、ここしばらく彼らの勢いは止まらないかもしれない。

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2008年12月 2日 (火)

フィル・マンザネラ

 フィル・マンザネラをプログレッシヴ・ロックのミュージシャンと判断していいのかわからないのだが、自分の音楽を追求していったということでは、確かに"Progressive"と言っていいかもしれない。

 フィルはご存知、ブライアン・フェリー率いるイギリスのロック・バンド、ロキシー・ミュージックのギタリストであった。ロキシー・ミュージックについては、彼らのアルバム「アヴァロン」について触れたことがあるので、今回は省略するが、とにかくデビュー当時は“シャナナとピンク・フロイドの合体”といわれていた奇妙な音楽集団だった。

Roxy Music Music Roxy Music

アーティスト:Roxy Music
販売元:Virgin
発売日:2000/02/25
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 ブライアン・フェリー自身が美術学校出身だったので、耽美主義的というか、むしろナルシシズムの塊のような人だったので、その傾向がバンドの音楽にも反映していたのである。

 それはともかく、フィルは最初はそのバンドのギタリストの募集を見てオーディションを受けたのだが、見事に落選。結局、サウンド・ミキサーとして雇われた。
 ところが運とは不思議なもので、ギタリストの候補だった人がいなくなったせいで、最終的にギタリストとしてメンバーになったのである。ここから彼の音楽人生が大きく開かれるのであった。

 彼は1951年にイギリス人の父親とコロンビア人の母親の間に生まれた。しかも生まれた場所はキューバということで、これだけをもってしてもなかなか刺激的な誕生である。当時のキューバは(今もそうであるが)、カストロの指導の下、政権打倒を目指していたからである。(キューバ革命は1959年に成立した)
 その後、キューバから、ハワイ、ベネズエラとどちらかというと赤道付近の国々を転々として、15歳のときにイギリスに帰ってきた。ギターを覚えたのはベネズエラ時代だという。

 だから彼のギター演奏に関しては“無国籍”というキャッチフレーズが付けられるのである。基本はロックンロールなのだが、幼い頃に聞いた南米諸国やハワイ音楽などがかなり影響を与えているようだ。
 実際、彼はキューバ革命時代に聞いた無名戦士が歌う反戦ソングに一番影響を与えられたといっている。

 そんな彼が1975年に発表した1st・ソロ・アルバムの「ダイヤモンド・ヘッド」はそういう彼の音楽性がよく表現されているアルバムである。

Diamond Head Music Diamond Head

アーティスト:Phil Manzanera
販売元:Plan 9/Caroline
発売日:2001/02/13
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 アンディ・マッケイやポール・トンプソン、ブライアン・イーノらのロキシー組からジョン・ウェットン、エディ・ジョブソン、イアン・マクドナルド、ロバート・ワイアット等々、錚々たるメンバーが集って制作された。

 1曲目の"Frontera"を歌っているのはロバート・ワイアットだし、3曲目はブライアン・イーノが歌っている。この1曲目や3曲目の"Big day"は非常にポップな曲で、シングルカットすればかなり売れたのではないかと思えるほどの出来栄えである。

 逆に2曲目の"Diamond Head"は、もちろベンチャーズの曲とは同名異曲であるが、伸びのある彼のギター・トーンが強調されている曲になっている。何となく聞いているこちらまでがゆったりとした気持ちになってくるから不思議である。
 また、このアルバムでは歌入りの曲と演奏のみの曲が交互に配置されている。中にはアンディ・マッケイのサックスが強調されているロキシー風の曲もあれば、コンガなどのパーカッションが使用された黒人音楽風な曲もある。こういうところが“無国籍音楽”と呼ばれる所以なのだろう。

 このアルバムの中で一番プログレッシヴでかつアヴァンギャルドなのが"East of Echo"だろう。この曲と"Big day"を演奏している人が同一人物とは思えないような印象を持った曲である。
 はっきりとしたサビのメロディはなく、キーボードやギター、バグパイプが順にリードをとっていく様子がまさに彼の真骨頂をあらわしているといっていいだろう。

 その後のフィルは、一人であるいは2人で、あるいはグループでとアルバムを制作していることになる。中にはヒットしたものもあるし、全然話題にものぼらなかったものもある。しかし、フィルはそんなことは意に介せずに21世紀になってもアルバムを発表し続けている。そういう彼の信念が素晴らしいと思う。

50ミニッツ・レイター Music 50ミニッツ・レイター

アーティスト:フィル・マンザネラ
販売元:ビデオアーツ・ミュージック
発売日:2005/12/21
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 音楽の内容は多国籍かもしれないが、音楽に対する姿勢は常に一貫しているのではないだろうか。

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