« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »

2009年2月

2009年2月27日 (金)

P.F.M.(3)

 P.F.M.は、1974年に「甦る世界」を発表したあと、北米ツアーに出かけた。“北米”とは具体的にはカナダ、アメリカであった。そしてこのときにレコーディングされたのが、アルバム「クック」である。

 実は自分はこの時期の彼らのライヴ演奏をレコーディングしたアルバムがあるとは知らずにいた。中学生の頃からリアル・タイムでP.F.M.を聞き続けていたのだから、知っていてもよさそうなのに見たことも聞いたこともなかった。

 このアルバムが発表されたのは1975年だから、その前後のアルバムは知っていても、このアルバムだけは知らなかったのである。不思議な事もあるものだが、それほど有名ではなかったのか、それとも地方の田舎にまではそのニュースは届かなかったのか、よくわからない。店頭でも見た覚えはなかった。

 それでそのアルバムを実際に聞いたのは、おとなになってからである。紙ジャケとして再発されたCDとして聞いた。
 まずそのジャケット・デザインの“品”の悪さに驚いた。何でイタリアのバンドなのに、宇宙空間で数匹の薄気味悪い蛇が鍋の中にいるのか理解できなかった。「クック」というタイトルからして“料理”しようとするのだろうが、何で蛇を料理するのか理解不能だった。そして今だに理解できないでいる。

クック(K2HD/紙ジャケット仕様) Music クック(K2HD/紙ジャケット仕様)

アーティスト:P.F.M.
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2008/06/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 音の方はというと、これがまた素晴らしいライヴになっている。ダイナミックな演奏が楽しめる"Four Holes in the Ground"から始まり、叙情的な"Dove...Quando...(何処...何時...)"でしっとりと感傷に浸り、フランコ・ムッシーダのアコースティック・ギターでさらに空中を浮遊するような感覚に襲われてしまう。

 このギターに誘われるかのように"Just Look Away(通りすぎる人々)"が始まる。スタジオ・アルバムとほとんどアレンジは変わっていないようであるが、ライヴのせいか多少ラフな印象が残る。それでも原曲がいいだけあって、ライヴでも他の曲と遜色ない出来栄えである。

 そして4曲目はビートの効いた"Celebration"で、攻撃的なP.F.M.を堪能することができる。曲の終わりで"The World Became the World(甦る世界)"のフレーズがでてくる。あくまでもフレーズが数回繰り返されるだけなので、曲全体とまでは行かないのが悲しい。できればこの曲の完全版を聞きたかった。
 また1枚6曲ではなく、2枚組完全実況録音盤として発売してほしかった。当時の日本ならきっと売れたに違いない。

 アルバムの後半は、"Mr. Nine till Five"~"Alta Loma Five till Nine"で、あわせて20分を超える白熱した演奏を繰り広げている。
 それにしてもメンバー各自は凄腕のテクニシャンである。特にギター担当のムッシーダはアコースティックもエレクトリックも両方巧みだし、キーボード担当のフラヴィオ・プレモーリはキース・エマーソンばりの早弾き、テクニックを披露してくれる。またマウロ・パガーニはフルートだけでなく、ヴァイオリンまで器用に扱うことができる。まるでイアン・マクドナルドとダリル・ウェイを合体させたようだ。

 それがよく表れているのが、"Alta Loma"で、白熱したアンサンブルはお見事の一言に尽きる。それにドラム担当のフランツ・チョッチョやベースのパトリック・ジヴァスのリズム陣も本家クリムゾンに負けず劣らず、バンドをしっかりと支え、ときとして緩急つけた展開を披露している。
 最後にイタリア生まれのロッシーニが作曲した"ウィリアム・テル序曲"がパガーニのヴァイオリン・ソロに導かれて演奏され、アルバムは幕を閉じるのである。
 

 この北米ツアーで自信をつけた彼らは、さらに自分たちの人気を決定付けようとして、英語の堪能なイタリア人ボーカリストを加入させて、6人編成になった。そして発表したアルバムが「チョコレート・キングス」であった。

 ジャケットを見てもわかるように、アメリカをチョコレートに見立てそれをかじりつくすというコンセプトは、彼らのアメリカ制覇の願望を表している。

チョコレート・キングス(K2HD/紙ジャケット仕様) Music チョコレート・キングス(K2HD/紙ジャケット仕様)

アーティスト:P.F.M.
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2008/06/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 また内容も「甦る世界」に負けず劣らず素晴らしい内容だと思う。専任ボーカリストが加入したせいで、演奏にだけ集中できるようになったせいだろうか。
 ところでこのボーカリスト、ベルナルド・ランゼッティの歌い方は、どことなく酔っ払ったピ-ター・ガブリエルもしくはフィル・コリンズといった感じである。

 とにかく曲がよい。1曲目の"From Under"から彼のボーカルが全開し、歌いまくっている。バックの演奏もフルート、ギター、キーボードがリードをとりながら、リズム陣は堅実にリズムをキープするという理想的な展開だ。ただ追求する音楽がクリムゾンからジェネシスに変わったような感じがしてならない。特にキーボードの音色がジェネシスっぽいと思う。

 2曲目の"Harlequin"は静から動の展開が素晴らしい。ムッシーダのアコースティック・ギターにあわせてランゼッティが歌い、続いてバックの演奏が彼の歌を支えながら徐々にアップテンポになっていく。またそれにからむフルートやキーボードがカラフルな彩を添えていく。

 3曲目はアルバム・タイトルでもある"Chocolate Kings"である。当時のイタリアから見たアメリカ観を表しているようだ。
「とても残念だ
彼女のスーパーマンはファンを失いつつある
とても残念だ
彼らは荷物をまとめ
旗を降ろしつつある

彼女のスーパーマーケットの王国は
崩れつつあり、戦争の機械は売り出し中だ
誰も英雄に尊敬の念を示さないし
TVという神は失敗している
帰り道に彼女が鏡をのぞくことを
願っている

チョコレート・キングスは死につつある
あなたはチョコレートの天国のために
時間を無駄にしようとは思わない」

(訳プロフェッサー・ケイ)

 このときアメリカはベトナム戦争の泥沼にはまっていたから、アメリカ人にはさぞかし耳が痛かったに違いない。

 後半は長い曲が2曲続くのだが、似たような傾向のせいか少々食傷気味になってしまう。しいていえば最後の曲"Paper Charms"は緩急がよく付けられていて見事だと思う。またマウロ・パガーニのヴァイオリンがフィーチャーされていて、曲を印象深いものにしている。
 しかし残念な事に、パガーニはこのアルバム発表後に脱退してしまい、以後急速に彼らの人気も下がってしまった。P.F.M.がパガーニのバンドというわけではないのだが、曲作りやバンドのケミストリーには彼の存在が欠かせなかったのであろう。

 だから彼らの全盛期は1973年から75年くらいではないかと思うのである。しかしわずか数年の輝きだったにしろ、彼らの残した足跡は素晴らしかった。
 イタリアにもクリムゾンなみのテクニックと曲作りに巧みなバンドがいるということを世界に知らしめた点は評価できるし、彼ら以降、バンコやゴブリンのような新しいバンドが次々と世界に飛び出していくことができたのも、P.F.M.が道を拓いたからこそである。

 彼らはその後低迷して行き、80年代にはポップ・バンド化してしまったようである。ときにはディスコ・ナンバーを演奏していたというから驚きである。
 しかし90年代の後半から再びプログレッシヴなサウンドを目指し、2002年と2006年には来日コンサートを開いている。

 単なる懐メロバンドで終わらずに、再び世界進出を目指してファンタジックなアルバムを制作してほしいものである。今こそイタリア人としての情熱を発揮するときだと思うのであるがどうだろうか。

| コメント (1) | トラックバック (0)

2009年2月24日 (火)

P.F.M.(2)

 前回はP.F.M.の「甦る世界」を取り上げたのだが、あくまでも個人的に好きなアルバムであり、名盤だと思って載せたのである。
 しかし、一般的には、雑誌のアルバム評などを見ると、「甦る世界」よりも、1973年に発表された「幻の映像」の方が評価が高いようなのだ。

幻の映像(K2HD/紙ジャケット仕様) Music 幻の映像(K2HD/紙ジャケット仕様)

アーティスト:P.F.M.
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2008/06/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 確かに「幻の映像」は彼らが世界的にデビューするきっかけになったアルバムでもある。元クリムゾンのメンバーでもあったピート・シンフィールドが全面的にバックアップまでして制作したのだから、もともともっていた彼らの才能にはすばらしいものがあったのだろう。

 この英語盤のアルバムは、1曲を除いて基本的には彼らの1st及び2ndアルバムからから選曲され、構成されたものである。もちろん原盤はすべてイタリア語で歌われていた。(この英語盤では1曲だけそのままイタリア語で歌われている曲がある)

 使用された言語はどちらでも構わないのだが、やはり世界進出を視野に入れるなら、英語の使用と英米での進出、成功は必須の条件だろうと思う。もちろんそれだけの楽曲や能力がないと成功はおぼつかないだろうが…

 それでこの「幻の映像」なのだが、確かに一家に一枚の歴史的な名盤だと思う。1曲目の"River of Life(人生は川のようなもの)"は“静-動-静”という構成がいかにもプログレ的でよい。
 イントロのフルートから攻撃的なリズムの入り方、挿入されるメロトロンの音などは、当時の時代状況を考えれば、クリムゾンの幻影を追い求めている人や新しいムーヴメントを探している人にとっては、惹かれるものがあったに違いない。

 そして名曲"Celebration"。わずか3分50秒しかない曲にもかかわらず、もっと長く聞こえる。P.F.M.的ハード・ロックではないだろうか。メンバーそれぞれの聴かせ所も満載だし、確かにライヴでは映える曲だと思う。

 しかし、このP.F.M.も見事にクリムゾンの影響を受けているバンドである。1曲目や3曲目の"Photos of Ghosts(幻の映像)"を聴くとそれがよくわかると思う。叙情的なボーカル・パートと扇情的なインスト・パート、静と動を巧みに配分する曲構成、効果的なメロトロンやフルートの使用法など、1stではそのよい部分がよく表れている。

 違いはP.F.M.の方がボーカルのコーラス面で充実しているということぐらいだろうか。ただ、まだこの段階では、はっきりとした差異は出ていないように思える。

 4曲目の"Old Rain"は、このアルバムでは唯一のインストゥルメンタルであり、アコーステックな楽器がメインに使用されているため、幻想的な雰囲気を醸し出してくれる。独立した曲なのだが、前後を通して組曲形式のようでもある。ちょうどクリムゾンの1stアルバムの中の"Moonchild"のような感覚である。

 レコードでは5曲目の"晩餐会の三人の客"からサイドBが始まっていた。この曲だけイタリア語で歌われているのだが、言葉の壁を感じさせないほど素晴らしい。何しろハープをはじめ、ピアノやアコースティック・ギターなど様々な楽器が入れ替わり立ち代り演奏され、まるで絵巻物を見ているかのような錯覚を覚える。しかもただの絵巻物ではなく、豪華な王朝絵巻である。

 一転して"Mr. 9' till 5"ではジャズ的展開が繰り広げられ、彼らの表現力の豊かさが披露されている。チャーチ・オルガンまで使用されているのでびっくりした思い出がある。
 そして、フルート、ピアノ、ハモンド・オルガン、エレクトリック・ギター、などが交互に演奏をリードしていく"Promenade the Puzzle"でアルバムは幕を閉じる。この曲のフルートを聞くと、まるでジェスロ・タルのような気もする。しかしこのボーカル・パートを聞くと、何となくもっとまじめにやれよと言いたくもなるのだ。

 初期のライヴではジェスロ・タルの"ブーレ"やキング・クリムゾンの"21世紀のスキッツォイド・マン"、"冷たい街の情景"などを演奏していた。だからこの1stアルバムでは、フルートの音色やメロトロンの使い方、リズム陣の切り込み方などで影響を引きずっているのがわかると思う。

 だから初期の段階では、まだまだそういうバンドの影響を強く受けていたと思われるのだ。個人的にはいいと思うのだが、最初に聞いたアルバムが発売順序とは逆に、「甦る世界」であったために、どうしても「幻の映像」の方の印象が薄いのである。

 またこのアルバムの中間部、曲でいうと"OldRain"、"晩餐会の三人の客"のあたりにくるとダレてしまい、時々眠ってしまうのであった。緊張感が続かないのである。
 その点、「甦る世界」では曲がコンパクトにまとまっており、いい意味で最後まで耳を傾ける事ができるのであった。

 だから自分としてはP.F.M.の最高傑作は?と聞かれれば、どうしても「甦る世界」と答えたくなるのである。

| コメント (1) | トラックバック (0)

2009年2月22日 (日)

P.F.M.(1)

 イタリアのプログレッシヴ・ロック界を代表するグループは、何といってもP.F.M.であろう。正式名称は“プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ”といい、どうやらこれはイタリアに実際に存在したパン屋の名前から拝借したものらしい。“銀行”といい、“パン屋”といい、イタリアのプログレ・グループにはユニークなものが珍しくない。探せば他にもあるかもしれない。

 彼らは1970年に結成されたのだが、彼らの名前を世界的に知らしめた作品が1973年に発表された「幻の映像」であった。何しろこのアルバムの英語の歌詞は、あのピート・シンフィールドが手がけていたからだった。(プロデュースもピート・シンフィールドである)

 P.F.M.はイエスやディープ・パープルがイタリア公演をするときに、その前座を務めていた。そして1972年にエマーソン、レイク&パーマーがイタリアに来たときにも前座を務めていて、そのとき彼らを目にしたピートが、自分たちのレーベル、マンティコアから売り出そうとした。そしてイギリスに連れてきて、ライヴ活動やレコーディングを行わせたようである。

 ということは、そのときすでに彼らは世界的な水準にあったということであろう。ピート・シンフィールドの引き立てがなくても、おそらく遅かれ早かれ彼らは、世界的に注目されていたに違いない。

 自分が初めて彼らの音に接したのは、もう少しあとだったと思われる。最初に聞いた彼らのアルバムは「甦る世界」だった。これもシンフィールドが英語詞を担当している作品で、英語盤はイギリスで、イタリア語盤はイタリアのミラノで制作されている。

 甦る世界(紙ジャケット仕様) 甦る世界(紙ジャケット仕様)
販売元:TSUTAYA online
TSUTAYA onlineで詳細を確認する

 これも“師匠”の家の2階で聞いて、カセット・テープに録音してもらった覚えがある。何しろ当時は“テレコ”と呼ばれていて、純粋にテープ・レコーダーとしての機能しかなくて、録音するときはマイクから直接音を拾って録音していた。

 だから録音がすむまで周りの人は、じっと沈黙を守らなければならなかった。感想を言おうものならもう一度録音しなおさなければならなかった。一度、“師匠”の母上が階下から“師匠”を呼び給うことがあったのだが、当然のことながら取り直しとなった。
 また、2~3分の曲なら我慢できたのだが、イエスのように20分近い曲にもなると、途中で苦しくなることもあり、無事に録音が終わると、みんな一斉にホ~と息を吐き出すのであった。

 そんなことはどうでもいいのだが、とにかくこの「甦る世界」は確かに名盤だと思った。1曲目の"Mountain"は10分を超える大曲で、当時はメロトロンから作られていると思っていた壮大な男声女声のコーラスから始まるのである。(コーラスは実際のミラノの合唱団の声だった!)
 叙情的なボーカルと扇情的な演奏を途中に挟んで、6分過ぎからクリムゾン並みのテクニカルなインスト・パートが始まる。これが一段落したあと、またメイン・フレーズが繰り返されるのである。ギターの音階は全然メロディックではなく、どちらかというとロバート・フリップ的なのだが、それがまたこの曲には絶妙にマッチしているのである。

 この壮大な曲の次には4分あまりの非常にメロディアスで聞きやすい、まるでムーディ・ブルースのような佳曲"通りすぎる人々"が続く。マウロ・パガーニの演奏するフルートの音が優しい。春風の囁くかのようである。

 そして3曲目がタイトル曲"The World Became the World(甦る世界)"である。とにかくこの曲にはノック・アウトされてしまった。サビの部分のメロトロンが素晴らしいし、ボーカル・パートと演奏部分の対比が鮮やかな印象をもたらしてくれる。
 実際は5分もない曲なのだが、聞いたときは7~8分くらいはあるような気がした。それほど印象が強かったということか。

 残念な事は、ライヴ盤でこの曲の全編が収録されているものはないのである。サビの部分はあるのだが、フル・バージョンはほとんどない。2002年に来日したときには演奏していたので、全部聞くことはできるのだが、彼らの全盛期のライヴを収めた4枚組CD「P.F.M.ライヴ」では聞くことができなかった。

Live in Japan Music Live in Japan

アーティスト:PFM
販売元:Sony/BMG Italy
発売日:2004/03/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 逆にこのアルバムの4曲目"Four Holes in the Ground"は頻繁にライヴで演奏されている。やはりメンバーそれぞれの見せ場のある曲だからであろうか。テンポも軽快でノリのよい曲でもあるし、印象的なフレーズも備わっている。
 逆にボーカル・パートは静謐なところやアグレッシヴなところもあり、彼らの表現力の豊かさをまざまざと見せつけてくれる。確かにライヴでは映える曲だと思う。

 アルバムは続いて幻想的な曲"困惑"へと続く。ジャズ的なテイストも垣間見せてくれる曲でもある。
 そして最後は、"望むものすべては得られない"というインストゥルメンタルで締めくくられる。イタリア盤では"ルミエール通り"というタイトルが付けられている曲でもある。こういうインストを聞くと、やはり彼らはテクニシャンの集まりであるという事がよくわかると思う。

 彼らがアレアやバンコと違って、世界的に名前が売れ、評価を得たのも演奏技術の確かさだけでなく、曲作りの巧みさや表現力の豊かさなど総合的に優れていたからだと思うのである。
 自分にそれを教えてくれたのが、このアルバム「甦る世界」だったのだ。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月19日 (木)

バンコ

 “バンコ”とはその発音から見て、英語の“Bank”のイタリア語にあたる。このバンドの正式名は、“バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ”といい、日本語の“共済銀行”のような意味らしい。

 初めて聞いたのはいつの事だったのだろうかはっきりしない。たぶん中学生の頃に“師匠”の家で聞いたような気がするが、バンコよりもP.F.M.の方に走ったために、真剣に向き合う事はなかった。

 その後かなり月日がたって、彼らのベスト盤が紙ジャケで発売された。それは1975年頃にマンティコア・レーベルから発売されたアルバムの再発ものであった。P.F.M.を意識してか、世界に向けて発売されたもので、全編英語で歌われていた。

バンコ/イタリアの輝き〜バンコ登場(CD) バンコ/イタリアの輝き〜バンコ登場(CD)
販売元:ぐるぐる王国CD館 ヤフー店
ぐるぐる王国CD館 ヤフー店で詳細を確認する

 しかしそれを聞いただけでは、どうもイマイチ好きになれなかったのである。ベスト盤といいながら、そんなにいい曲がなかったように思えたからだ。

 ところが2004年に復刻盤ということで、彼らの1stアルバムが紙ジャケで再発されたのである。しかもこれがつぼ型の貯金箱のような形をしている特殊ジャケットだったので、これは貴重品すぐになくなると思い、内容は大して吟味もせず即購入したのであった。2

バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ/ファースト
販売元:新星堂ショッピングサイト
新星堂ショッピングサイトで詳細を確認する

 だから音楽作品というよりも、飾り物やインテリアに近いものがあった。それに英語盤のアルバムを聞いていたので、どうせ大したものではないだろうと高をくくっていたところ、何のどうして、これが素晴らしい内容だったのである。
 特に2曲目の"安息の鎮魂歌"と4曲目の"変身"は特筆すべき作品であった。"変身"はベスト盤のアルバムにも収録されていた。しかし、その時聞いた感じではあまり大したものではなかったようだった。ところがあらためて聞くとこれがまたタイトル通り変幻自在、様々に曲の感じが変わっていくのだ。
 
 基本的にこのバンドはダブル・キーボードにギター、ベース、ドラムスとボーカルの6人編成で、ピアノやハモンド・オルガン、シンセサイザーが中心の音つくりになっている。
 彼らの真価が問われたのが、2作目の「ダーウィン」であった。

バンコ/ダーウィン(初回生産限定盤)(CD) バンコ/ダーウィン(初回生産限定盤)(CD)
販売元:ぐるぐる王国CD館 ヤフー店
ぐるぐる王国CD館 ヤフー店で詳細を確認する

 驚くことにこのアルバムは彼らがデビューしてから半年後に発表されている。ということは、1972年に彼らは2枚アルバムを発表したというわけで、いかに創作意欲が高かったかがわかる。

 このアルバムは、タイトル通りダーウィンの進化論をモチーフにしたトータル・アルバムであり、生物の進化を音にして表現している。
 いきなり1曲目から14分近い曲"革命"ではじまるのだが、いかにも進化していますといわんばかりに展開が激しい。あのイエスも真っ青の転調に次ぐ転調である。しかも一糸乱れぬアンサンブルなのだから、プログレ・ファンにはまさに垂涎もののアルバムだと思う。

 またプログレ・ファンだけでなく、"75万年前の愛"ではカンツォーネ・ファンをもうならせるほどの名唱を聞かせてくれる。前半はピアノ1台をバックに、途中で重々しいシンセの音とフルートの音が絡み合い、再びピアノに戻って切々と歌っているのである。おそらくバンコ・ファンの多くは、この曲で涙するに違いない。そういう曲なのである。

 ローマ法王がダーウィンの進化論を認めたのが1996年のことだから、それより20年以上も前に進化論をテーマにして発表するということは、特に法王のお膝元であるイタリアで大っぴらにすることは、かなり勇気のいることであったに違いない。まさにその精神や方法論がロックン・ロールなのである。

 しかしバンコの素晴らしい点は、これだけではなかった。彼らは翌年にも名盤を発表したのである。それが3作目の「自由への扉」であった。3
 今までの2作ではギター・パートが少し弱かったのだが、ここではゲスト・ミュージシャンとしてギタリストやパーカッショニストが参加していて音に厚みを出している。

 このアルバムもいきなり15分以上もある"政治反逆者の歌"で始まる。ここでもボーカル・パートは優しくエレガントで、インストゥルメンタル・パートでは激しくアグレッシヴに展開している。また途中で聞こえてくるアコースティック・ギターが繊細な雰囲気を醸し出している。

 1作目,2作目では曲の展開や攻撃性でグイグイと押し切る感じがしたのだが、このアルバムでは少し余裕を持って演奏しているかのようである。特にアコースティックな雰囲気についてはP.F.M.っぽい気がしてならない。

 2曲目の"私を裏切るな"は、そんなタイトルとは真逆の印象を与えてくれる。ちょうどP.F.M.の「甦る世界」に収められていた"通りすぎる人々"のような感じである。非常に聞きやすい佳曲でもある。

 これ以外にもジャズ・ピアニストがE,L&Pの曲を弾いているような雰囲気を持ったクラシカルな曲もある。そして最後は2分あまりの短いインストで締めくくられている。

 バンコは初期の3部作が注目されているようだが、確かにこの3枚は名盤である。しかも短期間に発表したのだから、大したものである。もっと彼らのことを評価してもいいと思うのだが、どうだろうか。

 彼らは80年代に、ポップな曲やディスコのようにビートのきいた曲を発表しながら、現在は再びプログレに戻って活動中である。一昨年には来日して素晴らしい演奏を繰りひろげたそうである。

 特に彼らのウリであるボーカリストのフランチェスコ・ジャコモのファルセット・ヴォイスは往年の輝きを失ってはいなかったらしい。またジャコモは当初から巨漢で肥えていたのだが、キーボード担当のヴィットリオ・デ・スカルツィの方がでかくなっていたらしい。いかにもイタリア人らしい話である。

 とにかく今になっては、なぜもっと世界的に注目されなかったのか不思議なのである。ひょっとしたら世に出るのが早すぎたグループなのかもしれない。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月16日 (月)

グラミー賞09

 グラミー賞というのは基本的にアメリカ人の評論家や音楽関係者が投票で選出するものである。正確に言うと、グラミー賞は“NARASアチーブメント・アワーズ”といい、このNARASという団体の会員が決める賞なのである。

 だからどうしても身内びいきというか、保護主義というか、アメリカ人のほうがアメリカ人以外よりも選ばれやすいし、商業的に売り上げた楽曲よりも評論家受けする音楽の方が好まれる傾向がある。

 だから最近のU2やコールドプレイ、エイミー・ワインハウスなどのイギリス勢の受賞というのは本当に立派な事なのだ。

 それで本年度のグラミー賞では本命はコールドプレイと言われていた。アルバム「美しき生命」が全世界的にブレイクしたからであり、ビルボードでもNo.1、日本のオリコンでも洋楽チャートで年間No.1になったからである。

 それがふたを開けてみると、コールドプレイは最優秀楽曲賞など3部門で受賞しただけだった。

グラミー・ノミニーズ 2009 Music グラミー・ノミニーズ 2009

アーティスト:オムニバス,ジャズミン・サリヴァン,ダフィー,M.I.A.,アデル,ケイティ・ペリー,レオナ・ルイス,P!NK,ナールズ・バークレイ,ワンリパブリック,マルーン5
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2009/02/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 そして最優秀アルバム賞や最優秀レコード賞などコールドプレイを上回る5部門で受賞したのが、ロバート・プラント&アリソン・クラウスのデュエット・アルバム「レイジング・サンド」だったのである。

 1971年生まれのアリソンは、アメリカのイリノイ州生まれ。5歳からバイオリンを習い、8歳でブルーグラスを演奏し始め、16歳でデビューした。そして19歳で最初のグラミー賞を受賞しているから、アメリカでは押しも押されぬビッグ・スターなのである。

 ブルーグラスとは、もともとアイルランド系の音楽だったのがアメリカで育っていったものである。だからアイリッシュ・ミュージックやカントリー&ウェスタン、フォーク・ミュージックの要素も持っている。日本でいうと民謡にフォーク・ソングが合体したようなものである。

 その女王がレッド・ゼッペリンのボーカリスト、ロバート・プラントとデュエットしたのだから、例えていうなら、坂本冬美と沢田研二がデュエットするようなものである。これならわかりやすい譬えだろうか。

 それでアルバム自体については、これは未聴なので何ともいえないのだが、賛否両論らしい。それはそうだろう。ゼップ・ファンからは嫌悪されているのはわかるし、アリソンサイドからは、アルバム・チャートトップ10に入ったのだから、うれしい悲鳴が聞こえただろう。

レイジング・サンド Music レイジング・サンド

アーティスト:ロバート・プラント&アリソン・クラウス
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2007/11/07
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 いずれにしても売り上げなどから考えれば、確かに受賞に値する作品とは思う。しかし確かにいえることはコールドプレイのアルバムよりは売れてないはずである。
 だからグラミー賞は売れ上げ高や人気で左右されるものではなく、あくまでもアメリカ人の、アメリカ人による、アメリカ人のための賞なのである。だから日本人が受賞できないのは当然なのだ。
 ただしハリウッド製作の映画が売れた場合、そのサウンドトラックが日本人の手によるものだと受賞できるのである。やはりうがった考え方をすれば、アメリカに貢献しないとだめなのであろう。

 というわけで今年のグラミー賞は、アメリカ人からすれば至極当然な結果になったのではないかと思われる。また最優秀新人賞はイギリス人のアデルなので、これもまた公平な結果だと思う。昨年のエイミー・ワインハウスといい、最近はイギリス人の新人の方が威勢がいいようである。

 ところで最優秀レコード賞というのは、その年の最も優れた録音曲に与えられる賞で、そのほとんどはシングル曲である。
 一方、最優秀楽曲賞というのは、その年の最も優れた楽曲を作詞・作曲した人たちに送られるものであり、それをパフォーマンスした人(たち)は対象外だそうである。はたして来年はどんな作品やミュージシャンに贈られるのだろうか。また来年が楽しみである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月13日 (金)

アレア

 自分は昔からジャズについては疎い。ジャズのよさがよくわからない。確かに時にクールで、時に技巧的、音楽的には高度な要素を備えているとは思うのだけれど、やっぱりロックの方が好きなのだ。

 基本的には感覚の問題、好みの問題だろうから、誰がどういう音楽が好きだろうと関係ないのだろうが、自分の中ではジャズは高度な音楽で難解なものというイメージが強い。だからロックの中でもジャズっぽいものやジャズよりのロックを展開する輩はちょっと敬遠してしまうのである。

 プログレッシヴ・ロックというのは、文字通り“進歩的な”ロックであり、ロックと他の種類の音楽、クラシックや民俗音楽などとの融合を積極的に進めてきた経緯がある。だから当然のことながら、ジャズをやっていこうとするミュージシャンも出てきた。

 イタリアン・プログレッシヴ・ロックの中でもジャズ寄りの音楽を演奏しようとするグループもいた。それがアレアである。
 彼らのアルバムはベスト盤「栄光と革命」1枚しかもっていなかった。それを聞いたときの印象は、やっぱりちょっとついていけないと、正直思った。何しろ印象的なメロディやフレーズが少なかったから、確かにテクニックはあるとはわかったけれど、数回聞いて仕舞い込んでしまった。

歓喜と革命~ベスト・オブ・アレア(紙ジャケット仕様) Music 歓喜と革命~ベスト・オブ・アレア(紙ジャケット仕様)

アーティスト:アレア
販売元:ストレンジ・デイズ・レコード
発売日:2007/08/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 それでベスト盤ではなくて、フル・アルバムを聞いてみよう、そうすればまた認識も変わるかもしれないと思って、彼らの2ndアルバム「汚染地帯」を購入して聞いてみた。

汚染地帯(紙ジャケット仕様) Music 汚染地帯(紙ジャケット仕様)

アーティスト:アレア
販売元:ストレンジ・デイズ・レコード
発売日:2007/07/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 1974年に発表された「汚染地帯」は、オペラティックなボーカルで始まる。それからジャズっぽい演奏が伴奏していくのだが、この曲は2曲目と一続きになっている。

 ジャズっぽいロックというと、手数の多いドラミング、断片的に鍵盤を叩きつける音、テクニック満載のギター演奏などが渾然一体となって駆け回っている印象がある。
 3曲目ではエレクトリック・ピアノが全体的にリードしていくのだが、終わりの方でオペラのような台詞とも歌とも判別し難いボーカルが飛び込んでくる。

 後半の2曲も似たようなもので、おどろおどろしい雰囲気を醸し出したり、ジャズの要素を見せたりしてくれる。でもやっぱり自分のようなロック信奉者からすれば、やっぱりちょっとついていけないなあと感じてしまった。これはもう体質みたいなもので、Aメロ、Bメロ、サビのような構成がないと駄目なのである。

 このアルバムの中の"赤い彗星"、"ロボトミー"などはベスト盤にも収められていたのだが、これらの曲がベスト盤に収録されているという事は、人気や評価が高いということだろう。

 確かに演奏力は優れているし、世界水準だと思う。またボーカルのデメトリオ・ストラトスはオペラ歌手になっても大成したと思う。そういう面では優れているのであるが、やっぱり自分はついていけなかった。

 メンバーには、エジプト生まれのギリシャ人やフランスとギリシャのハーフ、ベルギー国籍そしてもちろんイタリア人たちがいた。だから国際色豊かなのだが、そういう多国籍人を結びつける要素がジャズだったのかもしれない。

 そしてボーカリストのデメトリオは1979年に白血病で亡くなってしまった。またドラマーのジュリオ・カピオッツォも2000年に亡くなっている。だからこのグループには再結成という言葉は存在しない。そういう意味では唯一無二のイタリアのジャズ・ロック・グループだったと思うのである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月11日 (水)

ニュー・トロルス

 "When I was younger so much, younger than today~"、といきなり"Help"の歌詞からで申し訳ないのだが、確かにずっと昔、世界歌謡祭か東京音楽祭というような名称のコンサートのような、コンテストのようなものが、日本の首都、東京で毎年開催されていたように思う。

 そのなかで、イタリア出身の歌手、ジリオラ・チンクェッティという人が"雨"という歌を歌っていたような薄っすらとした記憶がある。何でそんなことを覚えているのかというと、もう少し年をとってFM放送を聴きだしたときに、昔の曲ですという紹介のあとに彼女のその曲が流れてきたからだ。

ベスト・オブ・ジリオラ・チンクェッティ Music ベスト・オブ・ジリオラ・チンクェッティ

アーティスト:ジリオラ・チンクエッティ
販売元:イーストウエスト・ジャパン
発売日:1993/04/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 つまりそんな昔からの付き合いだったのである、私とイタリアン・ミュージックとは。それでそんなときに友人からPFMを初めて聞かされ、その華麗でドラマティック、繊細で重厚な曲展開などにノックアウトされてしまった。
 そしてそこからゴブリンやバンコなどを聴くようになった。ただしこれはもう少し後年の話になるが…

 ニュー・トロルスを聴いたのは、いつの頃だったのかよく覚えていないのだが、たぶん暇はあっても金はなかった大学時代の頃ではないかと思う。ということはすでに彼らは一時解散したあと、再結成されていたはずである。
 でも当時は、1971年に発表された「コンチェルト・グロッソ1」しか聞いたことがなかったように思う。

コンチェルト・グロッソ(紙ジャケット仕様) Music コンチェルト・グロッソ(紙ジャケット仕様)

アーティスト:ニュー・トロルス
販売元:ディスク・ユニオン
発売日:2004/11/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 初めて聞いた印象は、ジェスロ・タルのフルートにディープ・パープルの「ロイヤル・フィルハーモニック」を加えたような感じだった。だからあまり好印象は残っていない。
 キーボードもオルガン中心だったし、ギターも確かにワイルドでジミヘンのようなのだが、どうもジョン・ロードやリッチー・ブラックモアの影がちらついてしまって、何となくパッとしなかった。でも、もしパープルやタルよりも先にこちらを聞いていたら、もっと印象は違うものになっていたかもしれない。

 最近になって、「1」と「2」が一緒になったアルバムが発売されたので、聴いてみたのだが、「コンチェルト・グロッソ2」の方に結構ハマってしまった。特にメロディラインがはっきりとしていて綺麗であり、ハーモニーが美しい。非常に聴きやすいし、多少はポップな要素もある。

 「1」はニュー・トロルスがオーケストラと共演して映画音楽として制作したという事情があったため、ある意味、彼らにとって制約みたいなものがあったのかもしれない。確かに"アダージョ"や"カデンツァ"は美しいのだが、ロックとしての衝動性や疾走感には欠ける。それが残念でならない。
 その点「2」はオーケストラとの共演曲はあるものの、全体としては自分たちのやりたい音楽を自由に伸び伸びと演じているように聞こえてくるのである。

 たとえば最初の3曲はオーケストラとの共演にはなるものの、3曲目"モデラート"には躍動感があるし、後半の歌もの"静かの海"、"20才"などは、シンプルながらも美しいメロディを伴って聞こえてくる。それに意外にもコーラスがC,S&Nなみに綺麗なのにも驚いた。

 「2」は1976年の発表になるのだが、その間の72年に発表された「UT」はクラシックよりもむしろロック寄りの作品に仕上がっている。

UT     (紙ジャケット仕様) Music UT (紙ジャケット仕様)

アーティスト:ニュー・トロルス
販売元:ディスク・ユニオン
発売日:2004/11/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 「コンチェルト・グロッソ」シリーズでは、ギター演奏はかなり押さえられていたように思えるくらい、このアルバムでは全開で、バリバリ弾きまくっている。それというのもオーケストラとの共演はなく、彼ら自身でプレイしているからであろう。

 特に"誕生"、"大戦争"では日本語のタイトルがいみじくも示しているように、非常にイメージを喚起させやすい旋律で構成されている。
 "誕生"では静かなピアノのイントロで始まり、徐々に高まっていく。そのさなかに激しいギターが切り込んできて、テクニカルなインタープレイを繰り広げるのである。

 また"大戦争"では、のっけから轟音ギターが炸裂し、「コンチェルト・グロッソ」のような美しく可憐なフレーズは空の果てにまで飛んでいってしまったかのようだ。他の何かの曲に似ているように思えるのだが、誰の何という曲かは思い出せない。
 しかしはっきりいって、これはハード・ロック以外の何物でもないだろう。

 彼らは結成されたのが1966年頃という。それ以来、分裂や再結成を経て今に至っている。だから芸歴40年以上にもなる。こうなるとイタリアが誇る世界遺産、もしくはイタリアの至宝ともいうべき存在である。

 最近は「コンチェルト・グロッソ3」も発表されたそうであるが、こうなると「4」、「5」、「6」、「7」と遠慮せずにどんどん発表してほしい。きっと昔からのファンは買い続けるであろう。 
 サッカーを見てもわかるように、ヨーロッパの人には過激な人が多いから、音楽についても熱烈に違いないと思うのである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 7日 (土)

オザンナ

 “虎は死して皮を残す”という諺があるが、キング・クリムゾンの影響力というものは本当に凄いものがある。
 彼らのデビューした69年から21世紀の今に至るまで、彼らのフォロワーはあとを絶たない。30年以上の時を超え、ヨーロッパ大陸だけでなく極東のここ日本まで彼らの時空を超えた力は揺るぎないものがある。

 それで太陽の燦燦と照りつけるという印象があるイタリアでも、クリムゾンのダークで虚無的な面を受け継いだバンドがあった。ナポリ出身のオザンナという5人組である。

 彼らが1973年に発表した3rdアルバム「パレポリ」には、クリムゾンの影響力を咀嚼、消化し、地元の音楽と融合した独特の音楽観が溢れており、その醍醐味を味わうことができる。

パレポリ(紙) Music パレポリ(紙)

アーティスト:オザンナ
販売元:ディスク・ユニオン
発売日:2004/05/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 2004年のデジタル・リマスター盤には、20分前後の曲に挟まれて、短い間奏曲が収められている。2分少々の曲なのだが、フルートに導かれて、テープ逆回転のコラージュが印象的なものになっている。この曲はオリジナル盤にはなかったというから、うれしいボーナス・トラックのようなものである。

 全体的に、ジミヘンよりはアグレッシヴな音を響かせるギターと手数の多いドラミングをサックスやフルートがリードし、時折に郷愁を帯びたメロトロンが鳴り響いている。
 またナポリ地方の方言で歌われている歌詞は哀愁を帯びており、陽気なイタリア人とは対極の位置にあるようだ。

 このアルバムが優れているのは、単なるクリムゾンの二番煎じに堕しておらず、クリムゾンの前衛的アプローチと彼らイタリアのローカルな音楽とが有機的に融合しているからである。それがイタリアだけでなく、広く全世界的に認められていったのであろう。

 ちなみに「パレポリ」とは古代ローマ帝国以前に存在したという幻の古代帝国の名前である。その帝国の栄枯盛衰を歌いながら、現代人が直面しているアイデンティティの喪失や既成の価値観の崩壊を提示しているのかもしれない。

 また5人のステージ衣装は奇抜なものだし、顔にはペインティングをしてライヴ演奏をしていたようである。そういう意味ではイタリアの影の部分を代表するようなバンドだった。

 彼らは1971年にバンドを結成して、73年にこの名盤を発表したあと、もう1枚アルバムを発表するのだが、残念ながら売れずにそのまま解散してしまった。確かにこのような名盤をもう1枚作ることは、そう簡単なことではなかったはずだ。

 しかし今世紀に入って、バンドのオリジナル・メンバーだったギタリストとボーカリストがメンバーを募って再結成し、ニュー・アルバムまで発表したそうである。さらにはライヴ活動まで行っているということだから、ひょっとしたらこのアルバムの中の曲も演奏しているかもしれない。見てみたいものだ。

 自分は昔キング・レコードから出たイタリアン・コレクションで、このアルバムを知ったのだが、そのときはこのアルバムの良さがわからずにほったらかしにしてしまい、やがては中古ショップに売り飛ばしてしまった。

 だから今回リマスター紙ジャケット盤が出たということで買い戻したのだが、今になってやっとこのアルバムの良さがわかったように思える。

 だからクリムゾンと同じように、賛否両論の分かれる内容なのかもしれない。P.F.M.がイタリアの陽を代表するバンドとするならば、逆に影の部分を代表するのがオザンナではないだろうか。

| コメント (1) | トラックバック (0)

2009年2月 5日 (木)

ウィグアム

 先日、映画を見に行ったときに時間があったので、近くの本屋で時間をつぶしていた。すると、よくあるみたいに本屋に隣接しているCDショップがあった。
 そこで何気なくCDを漁っていると、何とそのCD棚に“プログレッシヴ・ロック”という仕切りがあるのに気がついたのである。

 とにかくびっくりするとともに、本当に今は21世紀か、ここはどこなのかと自問自答してしまった。“我が目を疑う”という言い方があるが、本当に目をこすって見たのである。

 しかも、あるわあるわアモン・デュール、クラウス・シュルツ、ファウスト、タンジェリン・ドリームなどドイツの音響系から、ニュー・トロルスやオザンナなどのイタリアのプログレッシヴ・ロックなど他店ではすでに見かけない、おそらく在庫もなく廃盤になったようなCDが所狭しと並んでいたのである。U.K.のライヴ・アルバムまであった。

 ただ自分はドイツの音響系には全く興味がなかったので、食指は動かなかったのだが、イタリア系にはちょっと心を動かされてしまった。ただ残念な事に懐具合が淋しかったので、欲しいものは思うように手に入れることができなかった。

 それでもキャメルの「ラージャーズ-別れの詩-」とウィグワムの「ニュークリア・ナイトクラブ」は手に入れることができた。

ニュークリア・ナイトクラブ(紙ジャケット仕様) Music ニュークリア・ナイトクラブ(紙ジャケット仕様)

アーティスト:ウィグアム
販売元:Webkoo
発売日:2005/11/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 特にウィグワムは以前から手に入れたいと願っていただけにあって、購入したときは望外の喜びで舞い上がってしまった。もう少しで007に遅れるところであった。

 知っている人は知っていると思うけれども、このウィグワムは、フィンランドのプログレッシヴ・ロック・グループで、60年代の終わりから77年まで活動を続けていた。特に有名なのは1973年に発表されたコンセプト・アルバム「Being」で、発表当時から高い評価を得ていて、今でも彼らの最高傑作と呼ばれている。

 特に演奏力と曲の構成力が見事で、キーボード担当のユッカ・グスタフソンとギター担当のユッカ・トローネン、ベースとバイオリン担当のペッカ・ポホヨラの3人の技量は、イギリスなどの本場のミュージシャン以上と言われていた。
 その中で、ベーシストのペッカは、ベースやバイオリンだけでなく、ピアノやギター、パーカッション等の扱いも見事で、フィンランドのマイク・オールドフィールドともいわれていたらしい。

 実際にペッカは、後年(といっても1976年だが)マイクと姉のサリー・オールドフィールドをゲストに招いて、一緒にアルバムを制作している。邦題を「数学家の空中広告」といった。Photo

 ところで話をウィグアムに戻すと、「Being」の大成功で、当時のイギリスのレコード会社ヴァージンが目をつけ、彼らと契約しワールドワイドで売り出そうとしたのである。

 しかしこのアルバムには、中心人物だったユッカやペッカは参加していない。脱退したのだ。5人メンバーが一気に2人になってしまったのである。ジェネシスはまだ3人残っていたが、このグループは1人少ない2人だ。グループ最大の危機といっていいだろう。

 しかし残ったボーカリストのジム・ペンブロークとドラマーのロニー・オスターバーグは、新メンバーを入れてアルバムを制作したのである。それが「ニュークリア・ナイトクラブ」だった。

 全体的な印象は、フィンランドのビートルズとも10ccとも言われているように、ポップな楽曲が目立つ。特に1曲目や2曲目はそういう印象が強い。また7曲のボーナス・トラックもまた時間的に短く、聞きやすい。
 ただビートルズや10ccと言い切ってしまうと誤解を与えるような気がする。それにプラスして、ザ・バンドのようなアーシーな雰囲気も携えているように思える。

 しかしそれだけでは、プログレッシヴ・ロック・バンドの沽券にかかわる。3曲目の"Bless Your Lucky Stars"は6分を超えるこのアルバムでは長い曲になっていて、シンセサイザーが全体をリードし、ギターが途中から絡んでいくという見事な構成力を発揮している。この曲だけ聞くと、何となくキャラヴァンのように思えてならない。

 他にもインストゥルメンタルの"Pig Storm"は結構ハードなリフを持った曲になっているし、決してポップなだけのアルバムではないのである。

 とにかく何回聞いても飽きない不思議な感覚を持ったアルバムだと思う。北欧のバンドはメロディ志向が強いのか、世界進出を意識して売れるような音作りをしたのか(そうではないと思うが)、いい意味でサービスに富んだ内容になっている。
 ひょっとしたら3人になったジェネシスは、彼らをお手本にしてアルバムを制作したのかもしれない。そんなことも想起させてくれた。

 彼らは77年に解散したのだが、93年に再結成してアルバムを発表。2001年にはライヴ盤を、2002年と2005年にはスタジオ・アルバムも発表している。そういう意味では、まだまだ現役のグループであるし、またジェネシスよりは売れていないけれども、彼らより活動的なグループだと思うのである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 3日 (火)

シュガーカルト

 前回のブログでカナダのバンド、シンプル・プランとアメリカのバンド、シュガーカルトの違いがよく分からないと書いたのだが、実際よく似ているバンドだと思う。

 両方のバンドともメロディックなパンク・ロックというふうに位置づけられているし、人気が出てきたのもほぼ同じ時期である。さらにメンバー構成もギター2本にベース、ドラムスと同じなのもよく似ている。

 シンプル・プランの2ndアルバムは2004年に発表されているのだが、シュガーカルトの2ndも同じ2004年に発表されている。
 彼らのそのアルバム「パーム・ツリーズ・アンド・パワー・ラインズ」はよくできた傑作である。

Palm Trees and Power Lines Music Palm Trees and Power Lines

アーティスト:Sugarcult
販売元:Rykodisc
発売日:2004/04/07
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 特に冒頭の3曲、"She's the blade"、"Crying"、"Memory"は必殺のキラー・チューンになっていて、これを聞いたらノック・アウトという感じである。
 またスローな曲もよくて"Back to California"や"Counting Stars"なんかもよくできた曲で、スローなテンポから一転してハードになるところは予想通りとはいえ、結構いけるのである。

 だから単なるパンク・バンドではなく、やがてはアメリカを代表するロック・バンドになるだろうと思われた。
 しかし2006年に発表された3rdアルバム「ライツ・アウト」では、ポップな要素は後退し、よりロック色を鮮明にしている。それは彼らの成長とも捉えられるし、逆に今までの彼らのファンからすれば、あのさわやかなメロディはどこへ消えたのかと悲しむことにもつながる結果にもなった。
 さらにジャケットも何となくダークなものだったし、今までと確かにイメージ・チェンジしている。

Lights Out Music Lights Out

アーティスト:Sugarcult
販売元:V2
発売日:2006/09/11
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 だから確かに彼らは成長しているのだろうけれども、大事な何かを失っている感じはする。彼らの良質なポップな要素はそのままにしながら、もっとロック色を強めていくということはできなかったのだろうか。あのグリーン・デイのように…

 彼らは今年でデビュー10年という。それでそれを記念して、2001年から2008年までのベスト盤を発表するらしい。しかしたったアルバム3枚と数枚のシングルで、ベスト盤とは少し早過ぎないだろうか。
 これはひょっとして彼らの音楽観が煮詰まっているのか、あるいはメンバー間がギクシャクしているのか、それともレーベルとバンド側の契約を消化するために企画されたアルバムなのか、謎は謎を呼ぶのである。

REWIND 2001-2008 + LIVE IN JAPAN!(DVD付) Music REWIND 2001-2008 + LIVE IN JAPAN!(DVD付)

アーティスト:シュガーカルト
販売元:カッティング・エッジ
発売日:2009/02/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 だから私の中では、シュガーカルトとシンプル・プランの立場は逆転して、今ではシンプル・プランの方が大きくリードしている。
 そして今これを書きながら、彼ら2つのバンドの違いがやっと分かったような気がする。シュガーカルトのこれからの飛躍を期待するばかりである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 2日 (月)

007慰めの報酬

 この前の日曜日は、映画の1000円の日だった。貧乏人の自分は、だから映画を見に行った。もちろんひとりである。

 それで今回見た映画は、「007慰めの報酬」だった。007シリーズ第22作目で、前作からボンド役を演じているダニエル・クレイグの2作目にあたるものである。

 個人的には007シリーズの冒頭約15分が一番スリリングで、かつ見せ所だと思っている。飛行機から飛び降りたり、逆に車に飛び乗ったりして、いきなり観客の心を掴み取ってしまう手法だと思っている。

 それで今回はアルファ・ロメオとアストン・マーティンのカー・チェイスから始まる。ただ今作では、前作「カジノ・ロワイヤル」の続きにあたるせいかそんなに長く続かない。ドラマとしてのストーリー性を大事にしているようだ。

 前作では工事現場での追跡劇が手に汗握るものであったが、今作ではイタリアの古都シエーナの家の屋根伝いに逃げていく犯人を追いかけるシーンがあったが、この辺は冒頭のカー・チェイス・シーンと並んでなかなか力の入った撮影になっている。

 70年代から80年代の007シリーズは、映画の内容よりもボンド・ガールの肢体や意味不明な発明品などのどちらかというとストーリー以外での話題が目立ったように思う。
 また、挙句の果てには宇宙にまで行ってしまう007もいて、ちょっと現実離れというか、ありえない設定が多かった。

 それがこの頃では、世界征服をもくろむ秘密組織ではなくて、実在する麻薬王やアジアの某専制国の軍部との対決など段々と現実路線をとってきている。これも東西の冷戦が解消したせいであろうか。

 冒頭にも述べたように、この「慰めの報酬」は前作の後編ともいうべき作品であり、前作に引き続いて何名かの人物も登場している。
 あまり内容をばらすと面白くないので詳細は差し控えたいのだが、前作で恋人を殺された007は、冷徹な殺人マシーンとなって彼の前に立ちはだかる難敵を次々と殺していくのである。僕はこうして殺人許可証を行使していますというような感じだ。ただそれは彼の内面(恋人を殺されたという)をあえて見せないということから来ているのであろう。

 相変わらず火薬の多い爆発シーンはあるし、車やバイク、飛行機同士の戦闘シーンなど見所満載である。これで1000円なのだから、身も心も満たされてしまった。

 主題歌"Another Way to Die"を歌っているのはジャック・ホワイトとアリシア・キーズで、デュエットで主題曲を歌っているのは007シリーズでは初めてということである。

007/慰めの報酬~オリジナル・サウンドトラック Music 007/慰めの報酬~オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,ジャック・ホワイト,アリシア・キーズ
販売元:BMG JAPAN Inc.(BMG)(M)
発売日:2008/11/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ジャック・ホワイトはストーンズの映画「シャイン・ア・ライト」にもゲストで出演していた人で、アメリカのバンド、ホワイト・ストライプスの片割れでもある。あのジミー・ペイジが最近のギタリストではNo.1だ、と言ったとか言わないとか、それほどの人気実力を兼ね備えたミュージシャンでもある。

 アリシア・キーズは、アメリカでは超有名なR&Bシンガーで、幼少の頃、両親が離婚したため、母親が日夜を問わず働いて彼女のレッスン代を稼ぎ出したのは有名な話である。
 そのため彼女はコロンビア大学を中退して、プロになり見事グラミー賞を獲得した。

 そんな二人が歌っているのだから、悪かろうはずがない。見事に今を生きる007を歌いきっている。今まで古くはシャーリー・バッシーやポール・マッカートニー&ウィングス、カーリー・サイモン、比較的最近ではデュラン・デュラン、a-ha、シーナ・イーストン、ティナ・ターナー、マドンナなどが歌った007主題歌と比べてみても決して遜色ないのである。

 それで前作「カジノ・ロワイヤル」は過去最高の興行収入を獲得しているので、今作もそれを上回るのではないかと言われている。
 こうなったら次作からは、いま流行の3D立体映画で制作してほしいものである。そうすれば飛び出す車の破片や実弾を浴びるのは役者だけではなく、観衆も巻き込まれてしまう感じになるだろう。さらなる収益も期待ができるし、ますます007が待ち遠しくなるのだ。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 1日 (日)

シンプル・プラン

 最近年をとってきたせいか、どこでどうやってどうなったのかと思い出せないことが多い。昔から人の名前を思い出すことは苦手だったのだが、自分の好きなロック・ミュージックでも思い出せなかったり、混同してしまったりして困ってしまう。

 カナダのモントリオール出身のバンドにシンプル・プランという5人組がいるのだが、これがいつ、どこで、どうやって知ったのか、さっぱり思い出せないでいる。
 たぶん、街のCDショップで視聴して気に入ったから購入したのではないかと思うのだが、よくわからない。もしくは雑誌のアルバム評を読んで気に入ったからかもしれないが、記憶に残っていない。

 彼らの2ndアルバム「スティル・ノット・ゲッテイング・エニィ」は、2004年に発売されているので、たぶんその年に購入したと思う。だから今から5年くらい前のことなのだが、既に忘却の彼方である。

 彼らの音楽性は、デビュー当初はポップ・パンクと言われていたらしい。基本はパンク・ロックなのだが、メロディアスで覚えやすいからだろう。1stアルバムはそういう音作りだったらしい。

 しかし2ndでは、パンクの荒々しさはほとんどなく、ロックの疾走感とパワー・ポップばりのシンガロングなメロディにあふれた楽曲で埋め尽くされている。

スティル・ノット・ゲッティング・エニイ Music スティル・ノット・ゲッティング・エニイ

アーティスト:シンプル・プラン
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2004/10/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 当時バンド・メンバーの平均年齢は25歳。だから年も若いが音も若いのである。でも若いばかりではない。きちんと曲が書けるし、しっかり歌も演奏もできる。若いのに大した者だと思っていたら、このアルバムは全米初登場3位、300万枚以上売れて、プラチナ・ディスクを獲得したという。日本国内でも10万枚以上売れたらしい。

 おそらく偶然なのだろうが、アメリカのバンドのグリーン・デイの軌跡を追っているような感じである。グリーン・デイも最初はメロディック・パンクなどと呼ばれていたのだが、「アメリカン・イディオット」の世界的な大成功のおかげで、今ではパンクというよりもレッチリのように、アメリカを代表するロック・バンドになってしまった。

 シンプル・プランも意識しているのかしていないのかはわからないが、今ではカナダを代表するロック・バンドになってしまったし、パンクから脱却し、アコースティックな曲からハードなロックまで実に流麗にパフォーマンスするバンドに成長してしまったのである。

 そんな彼らが2008年に発表した3rdアルバムがバンド名をそのままタイトルにした「シンプル・プラン」(邦題:シンプル・プラン3)であった。

シンプル・プラン 3 Music シンプル・プラン 3

アーティスト:シンプル・プラン
販売元:Warner Music Japan =music=
発売日:2008/02/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 このアルバムを聞くと、もうパンク・ロックという雰囲気は微塵もなく、大陸的な香りを感じさせる大物バンドに成長しているのがわかる。

 このアルバムからは3枚のシングル・ヒットが生まれているが、"When I'm gone"はサビの部分も覚えやすいミディアム・テンポのロックであり、"Your Love is a Lie"はグリーン・ディっぽい曲になっている。
 "Save you"は癌撲滅キャンペーンとして使用された曲で、アコースティック・ギターのイントロから徐々に盛り上がる構成になっていて、一度聞けば忘れられないメロディを含んでいる。

 これら以外にも、ラップ調のフレーズが珍しい"Generation"、映画のエンディング・ロールにふさわしいバラードの"I can Wait Forever"、ギターの音色がU2のエッジに似ている"Holding On"、ラスカル・フラッツのようなバラード"No Love"などバラエティに富む内容になっている。

 彼らも今年で30歳前後の年齢になった。年とともに音楽の方も進化しているようである。そして自分はというと、年とともに退化している。だからシンプル・プランとシュガーカルトの違いが分からなくなってしまった。

 新しい音楽を聞くたびに脳細胞も若返っていけばいいのだが、そういうわけにはいかない様である。

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »