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2009年4月 1日 (水)

コロシアムⅡ

 先日、某中古ショップに行って読み終えた本やCDを売っぱらって来た。その時思ったのは買い叩くという事はこういうことを意味するんだなということだった。

 たとえば岡村孝子や米米クラブのベスト盤、布袋寅泰の「ギタリズム」などは10円、大黒摩季のベスト盤は50円だった。しかし個人的には安いとは思うもののまだ許せるだろう。
 ところがサザンの「世に万葉の花が咲くなり」が100円、RCサクセションの「ラプソディ」「シングル・マン」が200円、あのザッパの「フィルモア・ライヴ」紙ジャケ盤が300円ときてはこれはちょっと安すぎると思う。

 おそらく売れないCD、上記の例でいうと「ギタリズム」や岡村孝子のベスト盤などは580円くらいで、サザンやRCになると980円で売ると思う。「フィルモア・ライヴ」紙ジャケ盤になると1480円くらいだろうか。
 いずれにしても原価の5倍から50倍以上の値段で売るのだから、これはもう暴利を貪るようなものである。

 古物商という商いは、まさに言い値がそのまま通るような世界である。これはもう趣味の世界だから、他の人にとってはゴミ同然の品物がある人たちにとっては宝石のように輝くものに映る。だから欲しい人にとっては本当に欲しいわけで、原価がいくらだろうが、どういう入手経歴であろうが関係ないのである。

 話は変わって、イギリスのバンドのコロシアムⅡのアルバムを聞いた。彼らは3枚アルバムを発表しているのだが、そのうちの2枚「ストレンジ・ニュー・フレッシュ」と「ウォー・ダンス」を聞いたのである。

 コロシアムⅡというバンド名が表すように、コロシアムというバンドがあって、そこから進化発展した(?)のがコロシアムⅡであった。1976年4月のことでる。

 オリジナル・メンバーはギターにゲイリー・ムーア、ベースにニール・マーレイ、キーボードはドン・エイリー、ドラムス・パーカッションにジョン・ハイズマン、ボーカルにマイク・スターズという5人組で、リーダーはドラマーのジョン・ハイズマンだった。

 見てわかるように、いずれも当時のイギリスを代表するその道のテクニシャンばかりで構成されていた。知名度の低いマイク・スターズでさえも、その後ルシファーズ・フレンドなどマイナーながらもカルトなバンドを渡り歩いている。

 彼らのデビュー・アルバム「ストレンジ・ニュー・フレッシュ」では彼らの持てる技量を十分に発揮しようとした跡がうかがえる。何しろ1曲目から"Dark Side of The Moog"である。タイトルから見て人をおちょくっているのがわかる。
 確かにドン・エイリーのキーボード、特にムーグ・シンセサイザーは目立ってはいるのだが、ピンク・フロイドではないのだから、別に彼らのアルバム・タイトル(The Dark Side of The Moon)をパクらなくてもいいと思うのだが…これが英国的Sense of Humourなのだろう。

ストレンジ・ニュー・フレッシュ~エクスパンデッド・ヴァージョン(紙ジャケット仕様) Music ストレンジ・ニュー・フレッシュ~エクスパンデッド・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

アーティスト:コロシアムII
販売元:ディスク・ユニオン
発売日:2005/12/24
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 以降の曲ではマイクのボーカルも目立っているし、バックの演奏と十分渡り合っている。リーダーのジョン・ハイズマンは、ボーカル入りのジャズ・ロックをやりたかったのだろうと思うのだが、ちょっと期待外れの感がある。
 ボーカルは確かに素晴らしい。ロック調の曲だけでなく、5曲目のようなバラード系の曲も上手に歌いこなす事ができる。グラハム・ボネット以上だと思う。ただ印象的なフレーズ、魅力的なメロディラインに乏しい。せっかくの豊かな声量や艶のあるレンジを生かしきれていないと思う。

 バックの演奏陣が超豪華だけに非常にもったいないのだ。ここからは想像でしかないのだが、ジョンはボーカル入りを主張したのではないだろうか。ちょうど以前のコロシアムがメジャーになったときに、クリス・ファーロウという名ボーカリストがいたように。

 しかし彼以外のメンバーは、ボーカル入りよりもインストゥルメンタル重視を主張したのではないだろうか。だから2nd以降はボーカリストをいれずに、アルバム作りを進め、必要ならギター担当のゲイリー・ムーアがボーカルを担当した。

 ちょうど時代はフュージョンやクロスオーヴァーに焦点が当たっていた。1975年にはジェフ・ベックがオール・インストゥルメンタルの「ブロウ・バイ・ブロウ」を発表して、一躍、時の人となった。

 そういう時代の流行みたいなものもあったのだろう。2nd、3rdではインストゥルメンタル重視になり、ボーカリストの脱退で4人組になった。またベーシストも交代している。

 3rdアルバムの「ウォー・ダンス」は1977年に発表されたのだが、そういう意味でギターのゲイリー・ムーアとキーボードのドン・エイリー、それに絡むのがドラムスのジョン・ハイズマンという形になっていて、お互いが有機的に高めていこうとしているのがわかる。

ウォー・ダンス Music ウォー・ダンス

アーティスト:コロシアムII
販売元:MCAビクター
発売日:1992/08/26
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 アルバムの前半はどちらかというとキーボードが目立ち、後半はギターが目立つようである。
 アルバムの白眉は6曲目の"The Inquisition"ではないだろうか。3曲目の"Put it That Way"も捨てがたいのだが、3分少々とちょっと短いのが残念である。

 "The Inquisition"は、まるでジェフ・ベックとヤン・ハマーが「ワイヤード」で壮絶なバトルを繰り返したように緊張感の溢れる演奏を堪能することができる。ただしここでは、ゲイリー・ムーアとジョン・ハイズマンとのバトルである。
 さらに途中でゲイリーのスパニッシュ・ギターが入るのも素晴らしい。曲に彩を添えてくれている。この曲は隠れたロックのインストゥルメンタルの名曲である。

 5曲目の"Castles"ではゲイリーのボーカルを聞くことができるし、ラストの"Last Exit"では狂ったように弾きまくるゲイリーの姿を彷彿させてくれる。そういう意味ではこのアルバムはジョン・ハイズマンのコロシアムⅡではなくて、完全にゲイリーが主導権を握ったものになっている。

 このバンドを経てゲイリーは、シン・リジィに参加したり、ソロ活動を始めて、ワールドワイドな人気を獲得していった。彼にとっては自分と同等の実力を持ったバンド活動はこれが最後になった。

 このコロシアムⅡのCDも中古ショップに持って行けば、おそらく50円くらいになってしまうだろう。しかし値段は関係ないし、自分にとってはその何百倍以上の価値はあるのだ。
 もちろん中古ショップにもって行く予定はないし、もし持っていくなら、このアルバムの持つ意味を理解している人に査定してもらいたいのだ。

 そういう人から50円と言われたのなら仕方がないが、杓子定規に発売年数で判断されたくないのである。これはコレクターとしての意地みたいなものである。


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