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2009年4月 3日 (金)

テンペスト

 ジョン・ハイズマンがコロシアムⅡ以前に結成したバンドが、テンペストであった。日本語では“暴風雨”という意味だろうか。1973、74年ごろのお話である。

 ジョンはボーカル入りのロック・バンドに執着していたようで、このテンペストもどちらかというとジャズ的要素をもったボーカル入りのロック・バンドだった。
 ちなみに、このテンペストでのメンバー構成は、ジョンとベーシストとして以前から一緒に活動していたマーク・クラーク、ギターにはアラン・ホールズワース、ボーカリストとしてポール・ウィリアムスの4人組だった。

 このバンドで2枚のアルバムを発表したが、72年に制作された1stアルバムではポールのボーカルとともに、アランの類まれな素晴らしいギター・プレイを堪能することができる。

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 1曲目の"Gorgon"では珍しくアコースティック・ギターから始まり、途中からエレクトリック・ギターが走り回っている。また最後の"Upon Tomorrow"ではヴァイオリンの演奏を耳にすることができる。

 彼の特徴はフレットの上を流れるようなフレージングであり、まさに“流麗”という言葉がぴったり来る。一度映像で見た事があるのだが、そのフィンガリングは芸術的であり、余人にはまねのできないものであった。とにかく指を広げると6フレット分以上は広がったような気がする。

 とにかくこのアルバムで一躍彼は有名になり、その後ソフト・マシーンやソロで活動するようになった。だからアランにとっては、このアルバムが世に出る第一ステップだったのである。

 ところがアランとポールは、この1枚を残して脱退してしまった。自意識の強いミュージシャンほどすぐにやめてしまうようだ。自分に自信があるからだろう。まるでどこかの化粧品のCMみたいだ。自信があるから宣伝をしないというアレである。

 翌年制作された「リヴィング・イン・フィア」では、彼ら2人の代わりにギター、キーボード、ボーカル担当にオリー・ハルソールが加入した。彼はパトゥというバンドでギターを弾いていたのだが、バンドの解散に伴ってテンペストに加入した。 61qhxqeb7vl

 どうもジョン・ハイズマンには、優秀なギタリストを発掘する、もしくは加入させるという不思議な力を持っているようで、彼が連れてきたギタリストはいずれもプロ・ミュージシャンとして素晴らしい力量を持っていた。

 この2ndアルバムでは、オリーもアランの穴を補って余りあるプレイを披露している。またこのアルバムは前作よりも熱いロックの息吹みたいなものを感じさせてくれる。

 前作ではクールな雰囲気もあったのだが、3人組になったせいか、3人で力いっぱい制作しましたという熱意みたいなものが伝わってくるのである。

 1曲目の"Funeral Empire"からその雰囲気が充満している。ソリッドでパワフルなテンペスト流ロックン・ロールである。2曲目は"Paperback Writer"で、ご存知ビートルズのカヴァーであるが、ビートルズよりもアップテンポになっており、激しいギター・ソロを聞かせてくれる。

 3曲目の"Stargazer"では、オリーのスライドギターを聞くことができるし、大作の"Dance to My Tune"、"Turn Around"では3人の見事な演奏を堪能することができる。まるで“鳴きのギター”のないクリーム、もしくはちょっとプログレがかったクリームのような感じである。もちろんテクニック的には十分クリームと対抗できる演奏だ。

 最近では未発表の音源も見つかっているようだが、彼らはこの2枚のアルバムを残して解散した。もう少しリーダーのジョンに我慢する気持ちがあれば、もっと売れていたのにと思うのだが、どうだろうか。

 コロシアムⅡでも、あのフュージョン路線を続けていれば、シーンの表舞台に出られたのかもしれない。たとえゲイリー・ムーアが脱退しても、ジョンのことだからすぐに次の優秀なギタリストを見つける事ができたであろう。

 また、このテンペストの場合でも、例え3人になったとしても、これだけ素晴らしいロック・アルバムを作ることができたのだから、あと数枚は制作できたかもしれない。かえすがえすも残念である。

 ジェフ・ベックもそうであるが、ジョン・ハイズマンもグループを作っては壊すということを繰り返している。これは職人気質のミュージシャンに共通していることなのかもしれない。やはり人間には我慢する心が大事なのである。“石の上にも三年”というではないか。

 最近では未発表音源やライヴ演奏を集めたコンピレーションも発表されている。この機会に彼らの魅力を再確認するのもいいかもしれない。知名度ではマイナーだったが、実力では超一流の音楽集団だったのである。

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