ラヴ
自分の棚にあるサイケデリック・ロックのアルバムを探していたら、1枚のアルバムが見つかった。1枚といっても国内盤2枚組のベスト・アルバムなのだが、いつ手に入れたのか皆目見当がつかない。丁装や仕様から判断して中古盤ではなさそうである。
ということは、大金を払って2枚組アルバムを購入したということだろ うが、よほどお金が余っていたのか、それとも思いつきだったのか、その辺の事情を思い出せないでいる。もし今だったら、購入するのにかなり躊躇するに違いないのだが…
その2枚組アルバムとはラヴという当時アメリカ西海岸で有名だったグループのものだった。このラ
ヴというグループは、様々な音楽性を兼ね備えているようで、フォーク調の曲からロック系、日本のグループサウンズが演奏していたような曲まで、このベスト盤には本当に種々雑多な曲が収められている。
彼らの活動期間は1966年から1972年までと短かったのだが、その中で彼らの代表作は1968年に発表された3rdアルバム「フォーエヴァー・チェンジズ」である。このベスト盤にもこのアルバムの曲、全11曲すべてが収録されているから、いかにこのアルバムが彼らにとって誇るべきものだったかがわかると思う。
この「フォーエヴァー・チェンジズ」の基本はアコースティック・ギターであり、それもロサンジェルスという土地柄を反映してか、スパニッシュ系のギターがメインになっている。それにトランペットが加わったまさにメキシコ音楽という感じの曲もあって、国際色豊かな音楽を聞かせてくれる。
もちろんすべてがスパニッシュというわけではなくて、柔らかなアコーステック調のフォーク・ロックもあれば、エレクトリック・ギターを使用した曲もある。ただ比重としてはアコーステックの方が高いのである。
また中にはストリングスが重なってきて静かな落ち着いた雰囲気の曲もあるし、ホーンやトランペットを使用した曲も出てくる。ただ全体としては抑制されたいて、よく考えられ練られて制作されたという感じである。
最後の曲は6分を超える大曲になっていて、まさにアルバムの最後を締めくくるにふさわしい曲になっている。
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Forever Changes アーティスト:Love |
彼らは5人組のグループなのだが、リーダーが黒人のアーサー・リーという人だった。1966年当時では、いかにアメリカ西海岸でも黒人がリーダーのバンドは珍しかったそうである。アメリカではいかに人種問題が深刻な問題なのかがわかると思う。
ちなみにアーサーは、もともとメンフィス生まれで5歳のとき一家そろってロサンジェルスに引っ越してきたそうである。だから彼の作る楽曲にはR&Bだけでなく、子どもの頃に育ったロサンゼルスで身につけたフォークやロックなどの要素が備わっていたのだろう。
またジミ・ヘンドリックスとも共演しており、お互いに影響しあっていたようである。
彼らの与えた影響は意外に大きくて、レッド・ゼッペリンのロバート・プラントもラヴの音楽からも影響を受けたといっているし、80年代のイギリスのバンド、エコー&ザ・バーニーメン、スージー&ザ・バンシーズ、オレンジ・ジュースやXTCなどもラヴから様々な影響を受けたといっている。
確かにラヴは、現役当時でもアメリカよりイギリスでの評価が高かったグループである。だから今も昔もアメリカ人よりもイギリス人ミュージシャンの方に受けが良かったのであろう。「フォーエヴァー・チェンジズ」もイギリスでは100位以内にチャートインをしたそうである。
残念ながらリーダーのアーサー・リーは、2006年8月3日に生まれ故郷のメンフィスで亡くなってしまった。白血病が死因ということである。ラヴは70年代以降もたびたび再結成を行っていたようだが、もう二度と結成することはない。グループは“フォーエヴァー・チェンジズ”(永遠の変化)をもう手にすることはなくなったのである。
彼らはサイケデリック・ロックという範疇に入れることのできないバンドだった。時期的に“サマー・オブ・ラヴ”に活躍したグループだったが、むしろ一線を画した面が強かった。それもリーダーであるアーサー・リーの音楽的な才能の故だろう。
そしてその影響は80年代のイギリスに受け継がれ、今もなお着実に息づいているようである。解散した後、歳月を経るにしたがってその音楽性に光があたっていったバンド、それがラヴなのではないだろうか。
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