エヴァ・キャシディ
休みの日に例によってCDを漁りに行った。今回は目的があって、今まで自分でブログに書いたCDを手に入れようと思った。
それでやっぱり、イッツ・ア・ビューティフル・ディの2ndアルバムは廃盤だったが、1stと2ndを1枚にまとめた企画盤は販売されていた。ただ、ジャケット・デザインが版権の問題があって使用できないようで、黒字にタイトル名だけの非常に地味なジャケット・デザインだったし、値段的に高かったのでやめた。
またクィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスの「ジャスト・フォー・ラヴ」も置いてなかった。
しかし、ジャニス・ジョップリンの「ライヴ・アット・ウィンターランド」とエヴァ・キャシディの「ソングバード」はあったので、即購入してしまった。両方とも輸入盤である。
ジャニスのアルバムはビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーとのもので、1968年のアルバム「チープ・スリル」が発表されて間もない頃のライヴである。
地元サンフランシスコで4月12,13日の両日にわたって行われた公演から収録されているのだが、全14曲、通して聞くと、もうお腹いっぱいという感じになってしまった。
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Live at Winterland '68 アーティスト:Janis Joplin with Big Brother and the Holding Co. |
確かに素晴らしいアルバムなのだが、自分は「チープ・スリル」に聞きなれてしまっているせいか、コンパクトにまとまっている「チープ・スリル」の方が良かったように思えた。
途中でジャニスが休憩を取っているのか、ギタリストやベーシストがボーカルを取っている曲もあって、ほぼ当時のコンサートの再現をしているのはいいのだが、途中だれてしまう場面もあったことも事実である。
もう1枚のアルバム、エヴァ・キャシディの「ソングバード」、これはもう傑作である。1998年に発表された彼女のコンピレーション・アルバムなのだが、一度聞いただけで忘れられないアルバムになってしまった。
もともとこのアルバムは、写真芸術家の風呂井戸氏から教えられたもので、このアルバムを聞くとジャニスを思い出すということだった。それでエヴァ・キャシディがジャニスと同じような歌い方をするとか、何か共通性があるのだろうと思って聞いたのだが、1曲目の"Fields of Gold"を聞いて正直驚いてしまった。ジャニスと声質は異なるが、むしろ表現力や抑制されたボーカリゼーションはこちらの方が上だと思ったのである。
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Songbird アーティスト:Eva Cassidy |
ジャニスの場合は、若さからか迫力や突っ走っていこうとする衝撃などは十二分に兼ね備えているのだが、逆にそれが若すぎる死につながったのではないかと思っている。ある意味、自暴自棄というか充実した刹那主義というか、危険と隣り合わせの幸福感であったと思う。
その点、エヴァ・キャシディの方は非常に歌う事に誠実であり、しかも完璧に自分をコントロールする事ができる感情や表現力を身に着けていると思う。オリジナルのスティングが歌った"Fields of Gold"がこんなにいい曲だと知らなかった。エヴァのおかげで逆にオリジナルを聞きたくなってしまったのである。
ジャニスとの共通点は、両名とももうこの世にはいないということだろうか。エヴァは1996年に33歳の若さで亡くなっている。死因は皮膚癌であった。だからこのアルバムは、彼女の死後に制作されて発売されたということになる。
たった10曲しかないアルバムだが、私にとっては名盤である。基本的には「ライヴ・アット・ザ・ブルーズ・アレイ」「エヴァ・バイ・ハート」の2枚のアルバムから編集されているのだが、1曲だけジャズ・ミュージシャンのチャック・ブラウンとの共演アルバムから収録されている。
"Fields of Gold"、"Autumn Leaves"、"People get ready"などは、ライヴ盤から編集されているのだが、心に染み渡る曲というのはまさにこういう曲群を指すのだと思う。
逆に"Wayfaring Stranger"、"Time is a Healer"などでは、押さえるべきところは押さえ、シャウトすべきところはシャウトしている。この落差がたまらない。この辺はジャニス・ジョップリンと似ているかもしれない。
でも同一人物が歌っているとは思えないほど、ライヴ盤とスタジオ盤の曲は印象が違ってくるのだ。スタジオ盤の曲は本当に白人が歌っているのだろうかと疑問に思えるほど、艶っぽくてソウルフルなのである。
基本的に彼女はジャズ畑の人だとは思うのだが、その豊かな声量や確かな表現力などはジャズやポップスのフィールドを軽々と飛び越えている。まさにスィート・ヴォイス、彼女独壇の世界である。
確かに彼女の死後、その才能に対して評価が高まり、数々のアルバムが発表されている。生前よりも亡くなった後の方がアルバム数が多いというのも、彼女の人気の根強さを表しているようである。
事実、このアルバムは英米のチャートで1位を獲得しているし、2002年と2003年に発表されたアルバム「イマジン」、「アメリカン・チューン」はイギリスで1位を獲得している。さらには昨年発表された最新アルバム「サムホェア」はイギリスで4位、スゥエーデンでは12位、ノルゥエイーで11位を記録している。
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Somewhere アーティスト:Eva Cassidy |
確かにロックには初期衝動が必要なのだが、しかしこういうアルバムを聞くと、本当に心が洗われる気持ちになる。一服の清涼剤のようだ。
彼女が癌で亡くなったという事も、彼女の悲劇性に拍車をかけているようだが、でも彼女の生死に関係なく、彼女の歌は素晴らしいと思っている。今度は彼女の亡くなる前のライヴ盤である「ライヴ・アット・ザ・ブルーズ・アレイ」を購入したいと思っている。
ネットのユーチューブでは「ライヴ・アット・ザ・ブルーズ・アレイ」の動画が掲載されている。1曲だけではなく数曲あるようだが、ひょっとしたらこのときの映像が残されているのかもしれない。
だとすれば某国営放送で深夜にでも流してほしいものである。ジャニス・ジョップリンが放送できるのなら、エヴァ・キャシディもできるのではないだろうか。
いずれも27歳、33歳と若くしてこの世を去ったシンガーであるが、おそらく今後も彼女たちの名前はロック・ミュージックの歴史に刻まれて残っていくに違いない。
年をとっても新しい音楽やミュージシャンを知り、しかもそれが素晴らしいとわかったときの喜びは何ものにもかえがたいものがあると思う。
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コメント
プロフェッサー・ケイさん、エヴァ・キャシディの評価・感想を拝見しました。”心に染み渡る曲というのはまさにこうゆう曲群を指すのだと思う””ジャズやポップスのフィールドを軽々と飛び越えている”などなど、多くのロックを中心としての聴き込みをされているケイさんの感動が目に見えるようで嬉しく思っています。私もなんでかって生前に知らなかったのか?、こうしたものの日本盤がどうして発売されないのか?不思議に思っている今日この頃です。お互いに今は亡き彼女の歌声を大切にしましょう。^^)
投稿: 風呂井戸 | 2009年6月 2日 (火) 21時22分