フィンチ
以前から聞きたかったバンドの中に、オランダのプログレッシヴ・ロック・グループのフィンチというのがあった。
以前にもオランダのプログレ・グループを特集したときには、このフィンチとトレースは未聴だったからコメントを書くことができなかった。だからチャンスがあればと日頃から思っていたのである。
しかもややこしいことにフィンチというグループはオーストラリアやアメリカにも存在し、前者はサーフ・ミュージックに近いような音楽で、後者はハードコア・パンクに分類されるようである。CDショップに行って、フィンチというグループを目にしても、実際に手にとって見ると、違うグループだったということはよくあった。
そして今回、まさに奇遇というか行幸というか、店頭で運良く彼らのCDを手に入れることができたのである。アルバム・タイトルを「ガレオンズ・オブ・パッション」という。1977年の作品である。
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Finch (Holland) / Galleons Of Passion 国内盤 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
アルバムは全5曲で、今回特別にボーナス・トラックが3曲収録されている。全曲ともにインストゥルメンタルで、ごく大雑把に言うと、オランダのフォーカスとイギリスのキャメルを足して2で割ったような曲調である。
音的にはだいぶ洗練されていて、非常に聞きやすいし、ギターのトーンもマイルドかつサスティーンがよく効いている。確かにフォーカスのヤン・アッカーマンのようである。
また、ギターが宙に舞い、キーボードが音に厚みをつけるという構図で、特に3曲目の"As one"などを聞くと、実感できると思う。
ただ1977年当時の流行としては、フュージョン/クロスオーヴァーというのがあって、あのジェフ・ベックもそれに便乗しながらソリッドで曲想豊かなアルバムも発表したりしていた。
このアルバムでも若干ベース音がそういう音を聞かせてくれるところもあった。(2曲目"Remembering the Future")
しかし何といっても一番の聞かせどころは4曲目"With Love as the Motive"であろうか。これはa) Impulse, b) Reaching, c) Sinful Delightに分かれている組曲で、フォーカスよりもジェネシスに近い調べを奏でている。
特にキーボードが一段落したあとのギターのアルペジオやフルートの入り方などがそういう印象をもたらしてくれた。9分20秒という長い曲だが、起承転結が明快で、あっという間に終わってしまう充実した楽曲である。
オリジナル・アルバムでは最終曲だった"Reconciling"も激情の嵐が過ぎ去った後のような、ゆったりとたよやかなバラード系の楽曲だ。あるいは映画のエンドロールのときに流される曲にしてもいいかもしれない。ただ惜しむらくは、できればシンセサイザーだけでなく、メロトロンも使用してほしかった。
彼らの1stや2ndアルバムではけっこう使用されているとのことである
。
彼らは3枚のアルバムを発表していて、1975年に1st「グローリー・オブ・ジ・イナー・フォース」、76年に「ビヨンド・エクスプレッション」、77年に本作という順番である。
その中では76年の「ビヨンド・エクスプレッション」のできが一番いいらしい。 しかも全3曲、1曲目から20分を超える超大作になっていて、キーボーディストが3作目と違う人なので、シンセだけでなくオルガンやグランド・ピアノ、メロトロン、エレピにソリーナ・ストリング・アンサンブルまで使用している。
しかしほんとにオランダのポップスやロックは日本人に親近感を与えてくれる。60年代のショッキング・ブルーから80年代のヴァレンタインまで、ジャンルを問わずメロディアスで耳に馴染みやすい。
これは長崎の出島のせいか、シーボルトのおかげか、鎖国中も関係があったからだろうか。とにかくオランダとの関係は、その音楽も含めて日本人の無意識の中に浸透しているのかもしれない。
というわけで、次はぜひ2作目をゲットしようと虎視眈々と狙っている。ただ店頭で見つけることは不可能に近いと思われるので、ネットで探すしかないようである。
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