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2009年8月25日 (火)

ブルー・オイスター・カルト

 70年代のアメリカン・ハード・ロック・バンドについてのコメントが続いているのだが、今回は最後にアメリカ東海岸を代表するバンド、ブルー・オイスター・カルト(以下BOCと略す)について述べさせてもらうことにした。

 このバンド、アメリカン・ロック史上で初めてヘヴィ・ロックという呼び名が使われたバンドといわれているのだが、実際はちょっと違う気がする。バンドのプレゼンテーションとしては有効だったかもしれないが、アルバムを聞くだけではハード・ロックと呼ぶにしても無理があると思う。

 彼らの1stアルバム「ブルー・オイスター・カルト」は1972年に発表された。音的にはハード・ロックというよりも、普通のロック・バンドが演奏しているという感じである。
 彼らが有名になったのは、音楽性よりもその歌詞の持つ世界観が今までに無いものを含んでいたからであった。

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 アルバムの曲の邦題を見るとわかるように、彼らの歌詞には“悪魔”、“地獄”、“汚れた天使”などの言葉を含むオカルト的な世界観や終末観が描かれていた。この路線はアルバムを発表するごとに深くなっていった。要するに“アメリカ版ブラック・サバス”といった感じである。

 彼らにもサンディ・パールマンという黒幕がいて、彼は詩人でありながらBOCをマネージメントし、曲作りやアルバム・プロデュースにも参加している。バンドのこういう方向性はこのサンディ・パールマンが掌握していた。

 ところがアルバム・ジャケットや歌詞はダークで黙示的な世界観に満ちているのだが、音的には結構明るくて、ニュー・ヨーク出身のバンドには思えないのである。
 また印象に残るようなメロディやリフも少なく、目立つギター・ソロも皆無に等しいといった感じである。はっきり言って、当時はどこがいいのかよくわからなかった。

 彼らがメジャーになるのは1976年に発表されたアルバム「タロットの呪い」がヒットしたからである。このアルバムに収められていた曲"The Reaper"が全米12位のヒットとなり、日本でもブレイクした。

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 このアルバムでも“懺悔”、“死神”、“吸血鬼”などの言葉が飛びかい、相変わらずの暗くて暴虐的な言葉が綴られている。

 だから彼らの音楽は、ある意味、歌詞と曲調がアンビバレンツな感じになっていて、そこが受けた原因の一つかもしれない。
 また、当時の音楽雑誌にも写真付きで載っていたのだが、彼らはライヴ・バンドとして定評があったようで、実際1972年から1982年までの10年間で3枚もの公式ライヴ・アルバムを発表している。

 またライヴのハイライト部分では3人のメンバーがギターを演奏し、いわゆるトリプル・ギターとしてステージ上に君臨し、聴衆をクライマックスに導いたそうである。ギターを演奏したのは、エリック・ブルーム、ドナルド・ルーザー、アラン・レニアーの3人だと思われる。
 ちなみにどうでもいいことだが、アランは博士号を持つ才人で、一時期ニュー・ヨーク・パンクの女王、パティ・スミスと交際していたミュージシャンであった。

 実際にライヴ音源などを聞いてみると、音はかなりハードでグイグイと聞く者を引っ張ってくれる。アルバムでは3分少々の曲が6分にも8分にもなる。演奏自体はしっかりしているので、安心して耳を傾けることができる。こういう点でも多くのファンを獲得することができたのであろう。

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 個人的な意見をいうなら、BOCはブルーズ系のハード・ロック・バンドではなく、キッスなどと同じメロディアスでポップ系のハード・ロック・バンドであった。そして彼らが売れたのはもちろんシングル・ヒットのおかげもあるのだが、盛り上がるライヴ活動を地道に続けていったからだと思っている。

 広大なアメリカ大陸で売れるためには、ラジオで広範囲に繰り返しオンエアするか、地道にライヴ活動をするしかない。70年代に売れたロック・バンドは、みんなその道のりを歩んできた。そしてラジオの役割は今ではインターネットへと移っているのである。


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