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2009年9月17日 (木)

ジョーディー

 さてさて70年代のブリティッシュ・ロック東芝EMI編もいよいよ最後になった。四天王の最後を飾るバンドは、ジョーディーである。たぶんこのバンド、今まで紹介した4つのバンドの中で一番売れたのではないだろうか。

 彼らの音楽はシンプルでストレート、かつノリやすく思わず立って踊り始めるような音楽だった。彼らの音楽を聞いていると、やはり難しいことをやらずに、いいメロディを単純なリズムに乗って奏でるということが一番いいのだなあと実感してしまう。

 今までゼッペリンやクイーンのフォロワーや、はたまたボンデージ衣装をイメージさせる音楽を紹介してきた。確かに個性を表現することは大事なことなのだが、それに流されてしまい、肝心な“音楽を楽しむ”ということを二の次にしてしまうと、ミューズの神は微笑んでくれないのだ。Mr.Bigやパリス、ストラップス、そしてこのジョーディーを聞いてきて、このことを痛感したのである。

 とにかくジョーディーは単純でノリがいい。歌詞も日本人でも聴いててわかるところもある。当然のことながら本国イギリスでも売れた。ただし長続きはしなかったけれど…

 中心メンバーはギタリストのヴィック・マルコムでけっこういい曲を作っている。彼らの出身地は、イギリスのニューカッスルで、ニューカッスル地域の人たちや彼らの話す言葉のことをジョーディーというのである。
 特にこの地域の言葉、ジョーディーはかなり癖のある方言らしく、同じイギリス人でも理解は難しい場合もあるという。日本でいえば東北弁か薩摩弁を使って歌うロック・バンドという感じであろう。

 彼らは1971年に結成され、72年にロンドンに進出。その年の9月にはシングル"Don't Do That"がヒットし、第2弾"Electric Lady"もチャートインした。
 その余勢をかって1973年には1stアルバム「ロック魂」が発表されたのである。この頃の彼らは国民的人気バンドとまでは行かないけれども、けっこう名前が知れるようになった。

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 自分はこのアルバムの中に収められている"All Because of You"(君にすべてを)をラジオで知ってビックリしてしまった。当時はこんなヘンな音楽は聞いたことがなかったのである。
 何が変かというと、最初の歌詞の途中が音につながって同調するのである。また途中で、"Hey,Hey,Hey"と合いの手やア~という叫び声が挿入されてくる。

 当時は純情な少年だった自分は、こんなヘンな音楽は聞いたことがなかったので、ますますおかしくなってしまい、以後このような音楽を求めるようになってしまったのだ。そういう意味では、よりロック・ミュージックに興味関心を持つようになるきっかけとなった曲でもあった。ちなみにこの曲は全英6位と健闘し、彼ら最大のヒット曲でもある。

 とにかく40年近くたった今でも忘れられない曲のひとつである。そして他にもまだ名曲が収められている。
 ほとんどの曲はギター担当のヴィック・マルコムという人が作詞作曲していて、一人が作った割にはバラエティに富んでいて聞きやすいし、印象的な曲も多い。

 たとえば最初の2曲はハード・ロック系なのだが、全英32位になった"Don't Do That"や"Old Time Rocker"はハード・ロックというよりロックン・ロールだし、"Oh Lord"はアコースティック・ギターを使用したメロディアスなスロー・バラードになっている。途中でキーボードとエレクトリック・ギターが加わるのだが、メロディが美しくこのアルバムの中では異色の曲になっている。
 だからジョーディーはイギリスのロックン・ロール・バンドという位置づけが正しいと思うのである。

 言い忘れたが、このグループのボーカルはブライアン・ジョンソンで、後に死亡したボン・スコットの代わりにAC/DCに加入した人である。やはり若い頃からロックしていたのである。

 ところがこの後のアルバム、74年の「ジョーディー2」、75年の「セイヴ・ザ・ワールド」とアルバムを発表するごとに、彼らの人気は急落していった。ヒット曲が出なかったことと、メンバー間の関係が悪くなっていったのが原因だと思われる。

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 ボーカリストのブライアン・ジョンソンはグループに在籍していながら、シングルを発表するし、他のメンバーは彼抜きでアルバムを制作し発表してしまい、もはや誰の目にも解散は時間の問題と思われた。

 結局、2つのジョーディーが活動するという危機的状態に陥ったのだが、幸か不幸かブライアン・ジョンソンは1980年にAC/DCに加入したために、ブライアンの方のジョーディーは解散し、ヴィック・マルコムの方のジョーディは1983年にニュー・アルバム「ノー・スウェット」を発表した。

 しかし一方ブライアンの方も、昔の自分のバンドのジョーディーⅡに、負けじと参加し、AC/DCと並行してライヴ活動を行っているという。なかなか対抗意識の強い人である。

 実質の活動期間は、73年から75年の2年間で、3枚のアルバム発表という質量ともに少なかったバンドであったが、一時は熱狂的な人気を誇っていた時期もあったのも事実である。
 このバンドもパンク/ニュー・ウェイヴの熱狂の前に消えていったバンドであったが、残った楽曲や思い出は、それぞれの人の胸の中にいつまでも消えないのである。


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コメント

 ジョーディーはとても懐かしいです。いきさつなどは全然覚えてないのだけど、中学生のとき校内放送で放送室内だけでかけようと思ったら、間違えて全校に流れてしまった "All Because of You"(君にすべてを)。先生が飛んできて、学校の中で一番怖い先生にぶん殴られました。
 でも、あのイントロからの"Hey,Hey,Hey"まであたりを全校生徒に聞かせることができ、なんだか気持ちよかったです。でも生徒はぽかんとしていたような気が、,,。もう、40年以上前かなあ。

投稿: Tommy | 2013年6月25日 (火) 13時01分

 コメントありがとうございました。「人に歴史あり、曲に思い出あり」多少、痛かったかもしれませんが、今となってはジョーディを二度と忘れられないバンドにした出来事になったようですね。

 自分の中学校の担任の先生は何を思ったのか、自分の友だちの持ってきたレコードをホームルームか何かの時間に半分だけかけてくれました。それはピンク・フロイドの「狂気」でした。みんな押し黙って聞いていましたが、たぶん誰も理解できなかったと思います。当時はそんな時代だったのでしょうか。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年6月25日 (火) 21時58分

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