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2009年9月 1日 (火)

紫の炎

 つい最近のCMでキムタクこと木村拓哉が出演しているものがあった。○○ホームという住宅販売会社のCMなのだが、そのときに使用されている曲がディープ・パープルの1974年の曲"紫の炎"(Burn)だった。

 曲の中で本来は“Burn”と歌うべきところを“ホーム”と替えて歌っているのだが、なかなかインパクトがあって面白いものになっている。これも元歌に力がある証であろう。

 それでこの"紫の炎"(Burn)という曲は、第3期ディープ・パープルの門出を祝う曲となったもので、35年もたっているのにもかかわらず、いまだにCMで使用されるくらいロックの歴史に残った曲でもある。

 ディープ・パープル(以下DPと略す)の全盛期は、やはり第2期のメンバー時だと思う。これはDPファンの90%くらいの人は同意してくれるのではないかと思っている。それほどこの第2期のメンバーは歴史に残る曲や演奏を残しているからだ。

 とにかくDPはメンバーの変遷が激しく、第2期は1969年から1973年までのわずか4年間であった。
 そして第3期は1973年から1975年までの2年間あまりである。第2期の黄金メンバーであるボーカリストとベーシストが交代して、当時無名であった新人ボーカリストのデヴィッド・カヴァーデル、ベースにはトラピーズというバンドに在籍していたグレン・ヒューズが担当するようになった。

 グレン・ヒューズはボーカリストとして加入したかったといわれていた。またギタリストのリッチー・ブラックモアは、元フリーのポール・ロジャーズを希望していたといわれる。ところがポールはバッド・カンパニーを結成したため、この計画は実現しなかった。
 個人的にはポールが加入した音を聞いてみたいが、おそらくは数年を待たずに解散か脱退していただろうと思われる。あまりにもブルーズ臭がするからである。たぶんリッチーは嫌になるだろう。

 結局4000人あまりの候補者の中から、当時はガソリンスタンドで働いていたといわれたデヴィッド・カヴァーデルに決まったのである。ただしそれには、ダイエットすることと美容整形をすることという条件が課せられたそうだ。当時の彼は太っていて、顔もよくなかったらしい。さすが天下のDPであるが、そこまで彼に投資しても損は無いという判断があったのだろう。

 それで彼らの8枚目のスタジオ・アルバムである「紫の炎」は1973年の11月にレコーディングされた。場所は歴史的名盤である「マシン・ヘッド」と同じスイスのモントルーであった。

紫の炎 Music 紫の炎

アーティスト:ディープ・パープル
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2005/06/22
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 とにかくイアン・ギランとロジャー・クローヴァーが脱退したあと、バンドはいったいどうなるのであろうか、解散するのではないかという不安がファンの間で広がっていたのだが、それをものの見事に吹き飛ばしてしまうほどの傑作アルバムだった。

 いきなり表題曲の"紫の炎"(Burn)で始まるのだが、この疾走感や躍動感がたまらない。イントロのフレーズや間奏でのソロ、チャーチ・オルガンっぽいジョン・ロードの演奏やデヴィッドとグレンのツイン・ボーカルなどなど、どれをとっても文句の付けようの無い完璧な出来具合である。
 それにちょうど6分間の曲である。当時勉強が嫌いだった自分は、授業の残り時間が6分を切ると、"紫の炎"より短いや、などと思いながら耐えたものだった。

 また"紫の炎"以外にもミドル・テンポでブルージィな"Might Just Take Your Life"やノリのよいアップテンポな"Lay Down Stay Down"、珍しくジョン・ロードがシンセサイザーを使用している"“A”200"など、それぞれの曲のレベルも高い。

 中でもひときわ印象的なのは、"Mistreated"であろう。この曲はその後のステージでも必ずといっていいほど取り上げられるようになった曲で、DPだけでなく、レインボーやホワイトスネイクなどのDP関連のグループでも歌われるようになった。ロックの歴史に残る珠玉のバラードである。ステージでもこの曲を歌えば盛り上がったものだった。

 スタジオ盤では多少盛り上がりに欠けるところもあるのだが、ライヴでは映える曲なのである。ボーカルは切々と歌い上げ、ギターは叙情的にボーカルと絡み合いながら盛り上がっていくところが感動的である。
 この曲ではデヴィッド・カヴァーデルが一人で歌っている。グレン・ヒューズには歌わせたくなかったのか、メイン・ボーカリストは自分だというプライドがあったのかもしれない。

 とにかくこのアルバム“紫の炎”は第3期DPを代表するアルバムであり、DPの歴史を通しても5本の指に入るくらい優れたアルバムでもある。

 同時に"紫の炎"(Burn)をBGMとして使用する○○ホームのCM戦略は素晴らしい着眼点を持っているといえるのではないだろうか。販売戸数が増加することは間違いないであろう。


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コメント

こんにちは、jamkenといいます。ROCK好きのおじさんです。パープルは自分にとっては避けて通れないバンドであります。しかして、聞いたのはほとんどが第二期であります。第三期はこの曲はよく知っていますが、アルバムはまだよく聴いていませんでした。このレビューをみて聞くべきかなと思いましたよ。

投稿: jamken | 2010年12月15日 (水) 18時47分

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