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2009年9月 6日 (日)

ホワイトスネイク

 私の地域の近くに、貴船城というところがあって、何でも白蛇を祭る神社だという。夜になるとライトアップされて綺麗で、カップルなどが集まったりするらしいのだが、自分は1回しか行ったことがないのでよくわからない。というかもう10年以上も前のことなので、忘れてしまった。

 果たしてそこに白蛇がいたかどうかはわからないが、たぶんいるのであろう。ただご神体のようだから、めったに人様の前には出さないのであろう。そのぶん霊験あらたかというものである。

 それで欧米のバンドにもこの“白蛇”をバンド名にしていた人たちがいた。文字通り“Whitesnake”である。洋の東西を問わず“白蛇”には神秘的な力が備わっていると信じられているのであろう。

 このグループを結成したのが、元ディープ・パープルのメンバーだったデヴィッド・カヴァーデルだった。
 自分は基本的にはディープ・パープル関係のアルバムを集めるといった趣味はない。例外はリッチー・ブラックモアだけで、唯一彼のグループ、レインボーについてはすべて揃えている。

 しかしそれ以外のメンバーのソロ・アルバムにはあまり興味がない。イアン・ギラン・バンドやペイス、アシュトン&ロード、ロジャー・グローヴァーのソロなど1枚も持っていない。特に聞きたいという欲求が起きなかったからである。ただ、このブログでも紹介したトミー・ボーリンのソロやキャプテン・ビヨンドのアルバムは持っている。理由は聞きたかったからで、我ながら単純な理由だと思っている。

 だからホワイトスネイクのアルバムはベスト盤と3rdアルバム「フール・フォー・ユア・ラヴィング」しか持っていないし、カヴァーデルのソロ・アルバムは1枚しか持っていない。

Whitesnake's Greatest Hits Music Whitesnake's Greatest Hits

アーティスト:Whitesnake
販売元:Geffen
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 80年代のMTVの隆盛に乗って、またLAメタルやイギリスのネオ・ヘヴィ・メタルの成功で、ホワイトスネイクにも追い風が吹いてきたようだった。特にアメリカでの成功が大きく、MTVでもヘヴィ・ローテーションで映像が流されていた。

 それはそれでディープ・パープル・ファンとしてはうれしい出来事だったのだが、ちょっと産業ロック的で嫌だった。あまりにも完璧なサウンド・プロダクションだったし、売れ線メロディが悪魔に魂を売り渡したようで、70年代ハード・ロックを知るものにしてみれば、ちょっとコマーシャリズムに走りすぎだろうとも思ってしまった。

 そんなにいい曲が書けるのなら、なぜもっと前から書いて歌わなかったのかと不思議に思っていたし、ギタリストのジョン・サイクスやエイドリアン・ヴァンデンバーグが主に曲を書いているのなら、なぜどうして自分たちのバンドの時には売れなかったのかというのが不可思議だったのである。(ついでにこのホワイトスネイク以降も売れていないのか、あまり名前を聞かない)

 だからきっと曲のクレジットは、“カヴァーデル/サイクス”になっていても、きっと隠れたゴースト・ライターがいて、そういう職人が曲を作っているのに違いないと信じていたのである。たぶんそんなことはないだろうが…

 カヴァーデルに文句をいうつもりはないのだが、80年代中~後期のホワイトスネイクの音やカヴァーデルのボーカルを聞いていると、妙に華やか過ぎて、装飾しすぎのデコレーション・ケーキのようだ。例えていうなら、フェイセズで歌っていたロッド・スチュワートがアメリカに渡って、スタンダードを歌うようになったのと似ている。

 この当時のホワイトスネイクのアルバムは、ベスト盤しか持っていない。でも80年代のホワイトスネイクに関してはこれ1枚で十分だと思っている。もしホワイトスネイクのアルバムを聞くのなら1978年から1982年までのアルバムを聞いた方がいいと思う。

 そこでお薦めなのが1980年に発表された「フール・フォー・ユア・ラヴィング」(原題は“Ready An' Willing”)である。はっきりいってこれは名盤だと思っている。とにかく曲がいい。演奏がいい。メンバーもいいのである。

フール・フォー・ユア・ラヴィング+5 Music フール・フォー・ユア・ラヴィング+5

アーティスト:ホワイトスネイク
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 キーボードがジョン・ロードで、ドラムスがイアン・ペイスとくればディープ・パープルを思い出させるのだが、そういう分かり合える仲間を中心に制作されたからいい雰囲気がアルバムにパッケージされているのであろう。

 今回あらためて聞いてみて、このアルバムがまたまた好きになってしまった。シングル・ヒットした"Fool for your Loving"は当然のこと、"Sweet Talker"、"Ready an' Willing"の頭3曲でノック・アウトされ、"Blindman"では泣きのバラードに感動してしまった。
 後半はジョン・ロードのキーボードが目立ち、"Black and Blue"ではロックン・ロール調のピアノが、最後の曲"She's a Woman"ではハードなオルガン・プレイを聞かせてくれる。

 やはり自分にとっては、この時期のホワイトスネイクの方が、アメリカでブレイクした頃よりも好きなのである。それはカヴァーデルの音楽に対する純粋さがにじみ出ているような気がしてならないからである。

 ところでカヴァーデルは、ホワイトスネイク結成前に2枚のソロ・アルバムを発表しているのだが、自分はこの2枚目1978年に発表された「ノースウインズ」を持っていて、こちらの方が意外と彼のオリジナルなブルーズ・ロック、ハード・ロックを聞くことができて、うれしくなってしまった。

Northwinds Music Northwinds

アーティスト:David Coverdale
販売元:Video Arts
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 アルバムのプロデューサーはロジャー・グローヴァーであり、ギターはミッキー・ムーディ、ベースはアラン・スペンサー、ドラムスはトニー・ニューマンなどが担当しているので、演奏もしっかりと安定している。

 曲調もブルーズ系のハード・ロックが中心なのだが、タイトル曲の"Northwinds"などはアメリカ南部出身のボーカリストが歌っているようである。渋くスローな曲で感動的なものになっている。
 また"Time&Again"はキーボードだけをバックに切々と歌うバラードで、AORのよう。晩夏の夕暮れ時に聞くと、何となくこちらまでしんみりとさせられてしまう。

 ギタリストのミックー・ムーディという人は、何かの雑誌で読んだのだが、スライド・ギターも得意としているらしい。そのスライドの音がアメリカ的な大陸性を感じさせる音になっているのであろう。

 とにかくこのアルバムは、デヴィッド・カヴァーデルのハードな部分とソフトな部分の両面を楽しむことができる好盤に仕上がっている。ある意味、彼の素の部分を知ることができると思うのである。

 だから彼の本来の持ち味ややりたかった音楽のもとが詰まっている。彼の本当の姿は80年代後半よりもこの時期にあったのではないだろうか。そんなことを考えさせてくれるアルバムである。
 やはり人間は売れてしまった頃よりも、売れる前が一番輝いていて感動をもたらしてくれるような気がしてならない。


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