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アイソトープ

 1970年代の日本人ミュージシャンであるツトム・ヤマシタと一緒に活動をしていた人に、元ソフト・マシーンのベーシスト、ヒュー・ホッパーとギタリスト、ゲイリー・ボイルがいるが、彼らはイースト・バンドという名前のバンドを組んでアルバムを発表している。

STOMU YAMASHTA’S EAST WIND/Freedom Is Frightening (1973/1st) (ツトム・ヤマシタズ・イ−スト・ウインド/Japan,UK) STOMU YAMASHTA’S EAST WIND/Freedom Is Frightening (1973/1st) (ツトム・ヤマシタズ・イースト・ウインド/Japan,UK)
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その後でギタリストのゲイリーが在籍していたバンドがアイソトープという名前であった。1974年前後である。

 このバンドはジャズ・ロックを追及するバンドで、特に2作目の「イリュージョン」ではゲイリーの華麗なギター演奏とそれを支えるヒュー・ホッパーのベースを堪能することができる。

 自分はこのアルバムで初めてこのバンドの演奏を聞いたのだが、ゲイリーのアラン・ホールズワース並みのテクニカルなプレイに驚いてしまった。しかもこれまでこの人をノー・マークだった。今までこの人の名前を聞いたことがなかったからである。

 どうしてこれほど上手な人が今まで無名だったのだろうか、普通これほどの技術があるならもっと有名になってもおかしくないと思った。また、もっと売れてもしかるべきと思ったりもした。

 ゲイリー・ボイルがドラマーのナイジェル・モリスやキーボーディストのブライアン・ミラー、ベーシストのジェフ・クラインと一緒にアイソトープを結成したのが1973年だった。
 それまでのゲイリーはセッション・ミュージシャンとして有名だったという。60年代はダスティ・スプリングフィールドのバック・バンドのメンバーとしてレコーディングやツアーに参加しているし、ブリティッシュ・ジャズ界の重鎮ブライアン・オーガーやジュリー・ドリスコールのバックでも演奏していたようである。

 その後はスタジオ・ミュージシャンとして、バート・ヤンシュやキース・ティペットのレコーディングに参加してさらに腕を磨き、1973年にアイソトープを結成した。彼は1941年11月生まれだから32歳のときになる。ちょっと遅咲きのデビューでもあった。ちなみにゲイリーはインド生まれのイギリス育ちである。

 ツトム・ヤマシタと共演したのはアイソトープ結成前だったようで、そのときにヒュー・ホッパーと親交を結んだと思われる。だから74年の2ndアルバム「イリュージョン」ではジェフ・クラインが脱退したので、その代わりにヒュー・ホッパーが参加したのであろう。

 とにかく、この「イリュージョン」でのゲーリーのギター・ソロは素晴らしい。何度も言うが、今まで名前が売れなかったのが不思議なほどである。Photo

Music イリュージョン

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 しかしアルバム全体を見ると、ギターが目立ちすぎて、他の楽器がそんなに自己主張していないところが気になる。ドラマーもベーシストも腕は確かなのだが、ギターの方が目立ちすぎる。また印象的なフレーズが少ないという点もどうかなと思うのである。

 ただ長めの曲と短めの曲を用意していて、飽きさせない工夫をしている点は評価できるのだが、どうも自分にはジャズは門外漢という意識が強くて、ついていけないのである。ソフト・マシーンとこのアイソトープの違いは何かと聞かれても答えられないだろうし、ほとんど似たように聞こえてしまう。ただ強いていえば、アイソトープの方が聞きやすいのではないかと思う。

 特に長い曲は、けっこう疾走感があっていい。また迫力もある。アルバムの2曲目である"Rangoon Creeper"や、後半の"Sliding Dog/Lion Sandwich"、"Golden Section"などは緊迫感も伴っていて、聞かせてくれる楽曲に仕上がっている。

 また"Marin Country Girl"では、2分少々と短い曲なのだが、アコースティック・ギターを使用していて、秋の夜長にふさわしいような渋めの演奏を披露している。ただフェイド・アウトしているから、いつ終わったのかわからなかった。もうちょっと盛り上げてほしい気がした。

 1976年に3枚目のアルバムを発表したあと、アイソトープは解散してしまう。ソロになったゲイリーはアルバム「ダンサー」を発表し、モントルー・ジャズ・フェスティバルではポップ・ジャズ賞を獲得して、ようやく彼の名前も世界的に有名になった。Photo_2

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 その後もコンスタントに活動していて、2006年にはゲイリー・ボイル・トリオとして来日公演を果たしている。もちろんジャズである。

 こうやってみると、昔からイギリスでもジャズやジャズ・ロックが、ブームではなくて、一つの流れ、音楽の分野として根付いていたことがわかる。ジャズといえばアメリカ産の音楽なのだが、アメリカからイギリスへと逆輸入した形になったのだろう。

 ただそれをそのまま演奏するのではなくて、ジャズ・ロックとして、ときにプログレッシヴ・ロックの範疇に入れられながらも昇華して行ったのが、ブリティッシュ・ジャズ・ロックなのかもしれない。その代表的な例がコロシアムやソフト・マシーンであり、マイナーな例が元アイソトープのゲイリー・ボイルなのである。

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