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2009年10月 4日 (日)

スレイド

 70年代のB級グラム・ロック特集もいよいよ大詰めである。今回はそのB級グラム・ロックの中で最大の人気と影響を与えたと思われるバンド、スレイドを紹介したい。

 この4人組のスレイドというバンドは、歴史の長いバンドでもある。結成は1966年というから、もう40年以上も前の話になる。ただスレイドという名前になったのは1969年頃らしい。

 結成されたのはバーミンガムで、そこからロンドンにやってきて、あのジミ・ヘンドリックスを世界に紹介したチャス・チャンドラーの力添えでアルバム・デビューすることができた。
 ちなみにチャス・チャンドラーとは、"朝日の当たる家"などのヒットを放ったアニマルズというグループのベーシストだったが、ミュージシャンよりもプロデューサーの方で有名になっている。

 “スレイド”という名前にしたのもチャスの指示だといわれているし、彼らにレコード会社との契約の橋渡しをしたのも彼だったそうである。ジミ・ヘンドリックスとスレイドではかなり違う音楽性だと思うのだが、有能なミュージシャンを発掘する嗅覚に優れていたのであろう。

 1969年のアルバム・デビュー後、最初はなかなか売れなかったようであるが、地道な活動と、おりからのグラム・ロック・ブームに便乗するような形で売れるようになってくると、イギリスを代表するグループにまで登りつめたのである。
 これにもチャス・チャンドラーのアドバイスがあったようで、ポップなメロディーや派手な衣装やステージングをメインに置いて活動を続けた結果だと言われている。

 特に1971年から74年にかけては、グラム・ロックの興隆と衰退にあわせるかのように、スレイド自身も黄金時代であった。チャート的にも12枚のシングルが連続してトップ5の中に入り、そのうち半分がNo.1になったし、アルバムもライヴ盤「スレイド・アライヴ」が2位、「スレイド?」、「スレイデスト」(ベスト盤)が連続して1位という快挙であった。

 自分が初めてラジオから彼らの音楽を聞いたのが、ジャニス・ジョップリンのカヴァー曲"Move Over"だった。実にカッコよかった。当時はまだジャニスが歌ったオリジナルの方を知らなかったので、スレイド自身の曲だと思っていた。

 そしてこの曲と"Gudbuy T'Jane"(グッバイ・ジェーン)が同じバンドが演奏しているとは思えなかった。"Move Over"の方はハードな曲だったし、途中でシンバルだけをバックに歌うところがカッコよかった。
 "Gudbuy T'Jane"の方は、シンプルで口ずさみ易かったし、子どもでもわかりやすい曲だった。だからこの落差が当時の自分には奇妙であり、かつまた刺激的でもあったのだ。

 この2曲が含まれているアルバム「スレイド?」は1972年に発表されていて、前述したとおり全英No.1を獲得している。この2曲以外にも"Mama weer All Crazee Now"(クレイジー・ママ)というヒット曲もあって、ベスト盤以外でとりあえず彼らを知るには最適のアルバムだと思っている。

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 彼らの人気が高かったのは、確かにノリのよいシンプルなメロディとリズムという点が大きいのだが、それ以外にも庶民的で労働者階級の出身というセールス・ポイントが効果的だったと思う。

 よく言われていることが、曲の表記方法で、例えば"Look at Last Night"→"Look at Last Nite"、"Goodby to Jane"→"Gudbuy T'Jane"、"Mama we're All Crazy Now"→"Mama weer All Crazee Now"などと正しい英語で書かれていないのである。
 
 これらは発音されたとおりにアルファベットを使って表記したものであり、庶民的ロッカーという受けを狙う戦略も含まれているように思える。こういうのもチャスの入れ智恵かもしれない。

 ところが当時のイギリスのティーンエイジャーたちは、喜んでこれらを受け入れたようで、まあ一種の流行になったのだろう。しかしそういう流行を作り出す影響力がスレイドにはあったのである。

 彼らはパンク・ブームの時には失速するのだが、80年代に入ってNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)が流行すると、スレイドを敬愛する若手バンドからリスペクトを受けて復活するのである。
 さらに1983年にはアメリカのヘヴィ・メタル・バンド、クワイェット・ライオットがスレイドの曲をカバーして、これが大ヒット。イギリスだけでなくアメリカでも一躍有名になり、曲もチャートの上位に上がった。

 とにかくスレイドは息の長いバンドであった。しかもその間、一度もメンバー・チェンジをしていないのである。活動期間が長いだけでなく、結束力も強かったのである。こういうギルド的協同組合のような雰囲気がイギリス人にはマッチしたのではないだろうか。

 メンバーのボーカル&ギター担当のノディ・ホルダーは、1991年に体力の限界という理由で脱退した。これでオリジナル・メンバーでの活動は終焉を迎えたのだが、他のメンバーは違う人を加入させ、現在でも活動しているらしい。還暦近い人たちであるが、ここまでくれば人間国宝ものである。

 とにかくB級といっては失礼に当たるかもしれないロック・バンドである。キッスのジーン・シモンズも彼らに影響を受けたといっているように、アメリカのバンドにも影響力が強かったバンドであった。まさにグラム・ロックという時流に乗って、歴史に残ったロック・バンドなのである。

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