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2009年10月 1日 (木)

スウィート

 スウィートといっても“おめざフェア”などの甘いものではない。70年代に活躍したイギリスのロック・バンドの名前である。

 彼らをグラム・ロックに属するかどうかは、意見の分かれるところでもある。ファッション的にはもろグラム・ロックなのだが、音楽的にはそう簡単に言い切ることはできない。

 彼らは活動歴の長いバンドで、だからその音楽性も大きく3期くらいに分けられる。バンドの結成は1968年で、ボーカル担当のブライアン・コノリーとドラム担当のミック・タッカーが中心となって結成した。彼ら2人はウエィンライツ・ジェントルメンというバンドに入っていて、このバンドにはのちにディープ・パープルに加入したイアン・ギランとロジャー・グローヴァーも所属していたという。

 それでベース担当のスティーヴ・プリースト、ギター担当のアンディ・スコットが加わってスウィートとして活動を始めたのだが、最初は泣かず飛ばずだった。

 転機が訪れたのは1971年で、このときに"Funny Funny"というシングルがヒットして、彼らはポップ・バンドとして人気が出た。ただしこれは自作曲ではなく、当時一流のヒット・メイカーだったニッキー・チン&マイク・チャップマンが制作した曲だった。日本の70年代でいうと筒美京平と松本隆もしくは阿久悠といったところだろうか。あるいは宇崎竜堂と阿木燿子か。

 だからこれ以降は出す曲、出す曲ヒットするのだが、すべて他人の曲で彼らのオリジナルではなかったのである。
 この状態は1975年まで続いた。だから71年から75年までが他人様の曲で人気があった第1期に当たる。

 第2期は1975年から1979年まで、この時期はクイーンと匹敵するほど?のロック・バンドだった。まず75年に"Fox on the Run"が全英2位、全米5位というビッグ・ヒットを記録したのだが、これはメンバー全員の共作だった。
 これに自信を持ったのかどうかわからないが、続いて発表した"Action"も同じチャート・アクションを記録し、人気だけでなく実力も兼ね備えたバンドという名声を得たのである。

 1976年に発表されたアルバム「甘い誘惑」にはこれらのシングルが収められており、全米で27位という好結果を出しているし、日本でもクイーン、キッス、エアロスミス、チープ・トリックと同等もしくはそれ以上の人気だった。Music Lifeなどの音楽雑誌には写真入で記事が載っていたような気がする。Sweet
 だからこの第2期はハード・ロック・バンドといった感じであり、ファッション、格好などまさにグラム的なイメージを発散していた。

 実際に"Action"のコーラスやギターの入り方、ギミックの使い方などはクイーンぽかったし、ギタリストのアンディ・スコットは実力派のギタリストだということもわかった。

 この「甘い誘惑」には生き物に関する曲があって、"White Mice"(ネズミ)、"Fox on the Run"(キツネ)、"Cockroach"(ゴキブリ)などがあって面白い。
 "Cockroach"なんてどんな曲かと思ったら、恋人のことをゴキブリに例えていて、“君はゴキブリみたいに僕のベッドに忍び込んでくる。だけど君が大好きだ”というわけのわからない曲で、欧米人はゴキブリに例えられてうれしいのだろうかと疑問に思ったりもした。

 またハードな曲だけでなく、"Healer"などは7分以上もあるハードでスローな曲になっているし、"Lady Starlight"はアコースティックでメロディアスな曲に仕上がっている。"Keep it on"でのリード・ギターはかなり聞かせてくれる。このアルバムは彼らの代表作だと思う。

 ところが1979年にボーカリストのブライアン・コノリーがソロ・アルバムを作って、バンドを脱退してしまった。ポップ化していったバンドに嫌気が差してきたのかもしれない。
 残った3人は活動を続け、3枚ほどアルバムを発表するのだが、だんだんとAORのような音楽になってしまい、1981年に解散してしまった。だからこの3人組での活動時期が第3期にあたるのだが、この時期が一番売れなかったと思うのである。

 結局、グラム・ロックとしての時期的なズレはあるものの、第1期のポップ・バンドのときはイメージとしてのグラム・ロックを、第2期では本格的なグラム・ロックを演じていたスウィートだった。だから彼らはグラム・ロックに分類されるのだろう。

 しかしグラム・ロック勢の中では、一時はクイーンと対抗していたのだから実力を持っていたバンドだった。だから80年代まで長続きできたのだろう。

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 グラム・ロックの初期におけるB級バンドは、新聞広告などでメンバーを集め即席のメンバーで活動を始めるというパターンが多かったのだが、中期以降になると実力も備えたB級バンドの活動が目立つようになった。そうやって淘汰されたバンドが歴史に刻まれていったのであろう。


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コメント

はじめまして。

“おめざフェア”を検索していて、
まさかこんなに素晴らしいブログに出逢えるとは・・・

『ブリティッシュ・ロック』の記事は
大好きなバンドばっかりで、
かなり勉強になります。

投稿: (★。・) | 2009年10月 1日 (木) 06時00分

コメントありがとうございました。ちょっと遅れましたが(かなりか?)感謝します。また何かお気づきの点がありましたら、教えて下さい。よろしくお願いします。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2010年5月 4日 (火) 23時16分

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