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2010年1月 9日 (土)

ジョン・サイクス

 今年は寅年。ということで、昨年、年賀状を作成するときにトラの絵のアルバム・ジャケットを探していたときに、真っ先に思いついたのが、イギリスのバンド、タイガーズ・オブ・パン・タンだった。(タイガーズといってもスペルは"Tygers"になっている)

 このバンドは1980年代初頭のNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)ブームにも乗って人気があったのだが、その人気の根源はギタリスト、ジョン・サイクスの鬼気迫るギター・プレイにあった。

 このバンドは、1980年から82年にかけて4枚のアルバムを残しているが、その中でジョンが参加したものは2ndと3rdの2枚だけで、その2枚ともジャケットにはトラの絵が使用されているが、評価が高いのは2作目「スペルバウンド」のようだ。今でも彼らの代表作と言われている。

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 ジョンはイギリス生まれで、今年で51歳。このタイガーズ・オブ・パン・タンでメジャーになり、このあとシン・リジィやホワイトスネイクでさらに名を轟かせている。

 彼のギター・スタイルは、ヘヴィな演奏から泣きのギターまでゲイリー・ムーアによく似ていて、シン・リジィのフィル・ライノットが“素晴らしいギタリストがいる。彼を入れてもう1枚アルバムを作り、解散しよう”といって他のメンバーを説得して制作したのが「サンダー・アンド・ライトニング」だった。

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 ホワイトスネイクでも全米2位、800万枚以上の売り上げを記録した「サーペンス・アルバム」に参加していたが、アルバムが発売された頃には既にバンドを脱退していた。そして1989年に自らのバンドを結成し、デビューした。それがブルー・マーダーである。

 彼はホワイトスネイクを追い出されたと自分で言っていたが、リーダーのデヴィッド・カヴァーディルとうまく行かなかったのだろう。“両雄並び立たず”とはよくいったものである。

 このブルー・マーダーではボーカルもジョンが担当していて、しかもかなりの出来映えなのである。このアルバムの中でも"Valley of the Kings"、"Out of Love"などのスローな曲では情感を込めながら切々と歌っている。特に"Out of Love"などは、ホワイトスネイクのアルバムの中に収められていてもおかしくない佳曲だと思う。

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 このブルー・マーダーというバンドは、メンバー的に見るとスーパー・バンドといってもおかしくないミュージシャンで構成されている。G&Vはジョン・サイクス、Bはジミー・ペイジと一緒にザ・ファームにいたトニー・フランクリン、Drはあの有名なカーマイン・アピスである。

 だから演奏面では各ミュージシャンの技量をじゅうぶん堪能できる。トニーのベース音は特徴があって、独特の音を聞かせてくれる。彼はフレットレス・ベースを用いているから、普通のベース・ギターよりもウッド・ベースに近い感じがする。要するにナチュラルな音なのである。
 そしてカーマインのドラムは、これはもう重低音が強調されたパワフルなもので、ロックのドラミングはこうするのだと言わんばかりである。彼の経歴を述べる事は、そのままハード・ロックの歴史を述べるようなものである。経験に裏打ちされた音とはこういうものを指すのだろう。

 ただ、このアルバムは話題になったものの、売れなかった。当時の(そして今も)ロック界では売れるという事は重要な要素であり、いくら才能豊かなミュージシャンでも売れなかったら単なる人という感じである。
 しかも80年代初頭からLAメタルという言葉で代表されるように、この手の音が世界中で流行した。またイングウェイに続けとばかりにニュー・ギター・ヒーローも期待されていた。

 しかし売れなければそれまでであった。1stアルバム「ブルー・マーダー」はブルーズに根ざしたハード・ロックという感じで、内容は優れていたにもかかわらず、前評判ばかり高くてあまり売れなかった。

 そして約4年半後、皆がこのバンドのことを忘れかけたころ、2ndアルバムが届いた。メンバーは一新され、そこにはトニーやカーマインの名前を見ることはできなかった。
 しかしその分、曲はコンパクトにまとめられ、中にはアコースティックな曲も収められていて、アメリカ市場をかなり意識したものになっているように思えた。

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 特にスモール・フェイセズというイギリスのバンドのシングルをアルバムに入れている点にはビックリした。("Itchycoo Park"という曲で、スティーヴ・マリオットとロニー・レインが作ったもの)

 ジョンはギターに専念するという事で、新しくV&G担当のメンバーを加入させたのだが、アルバムでは1曲を除いてすべてジョンが歌っている。相変わらずの熱唱で、天は2物を与えているという気がする。

 しかしこのアルバムも不発。日本ではそこそこ売れたのだが、欧米ではさっぱりだった。もう流行は過ぎ去り、時代はこういう音を求めてはいなかったのだろう。7曲目の"Save My Love"なんかはいい曲だと思うんだけどなあ…

 1994年にバンドの活動は終わったものの、ジョンはソロで活動を始めていて、来日公演も行った。その後2005年からシン・リジィの再結成に参加し、2009年まで活動をともにしている。
 まだまだ若いのだから、もう一花咲かしてほしいギタリストでもある。それにはメロディアスで印象的なフレーズや曲が必要である。後世に残るような曲やアルバムをと願っている。


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