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2010年6月 8日 (火)

ポコ(2)

 3曲目はティモシー・シュミットが書いた曲で、リード・ボーカルも彼自身である。見かけとは違って?、繊細な彼の歌声を聞くことができる。この曲を聞いて、むかしから彼はこういう歌を歌っていたということがわかった。

 次の"Company's Comin'"は彼らのルーツであるカントリー色の曲で、バンジョーやフィドルが前面に出てきている。ただしメロディ・ラインは耳に馴染みやすいポップなテイストである。このあたりが初期の頃よりも洗練されてきたところかもしれない。
 続く"Slow Poke"は、前の曲"Company's Comin'"と切れ目無く続いていて、メンバーがソロを披露しているかのように、バンジョーやフィドル、アコースティック&エレクトリック・ギターが交互に曲を引っ張っている。

 "Rose of Cimarron"がラスティ・ヤングの曲なら、それに対抗するのはポール・コットンの"Too Many Nights Too Long"だろう。当時のLPではこの曲がサイドBの冒頭に来ていたからで、時間的にも6分近いものになっているからだ。当時のポコは、この2人がメイン・ライターとしてバンドを引っ張っていたことがわかる。

 サイドAでは5曲中4曲がラスティ・ヤングの曲で、サイドBでは逆に4曲がポール・コットンの曲が占めている。まるで前半はラスティ・サイド、後半はポール・サイドという感じだ。

 "Too Many Nights Too Long"ではバックのマンドリンが効果的な使われ方をしていて、それにフィドルが絡み、アーシーな雰囲気を出している。そして続く曲"When You Come Around"は初期のポコを髣髴させるカントリー・タッチの曲である。ただメロディは工夫されているのか、カントリーが嫌いな人でも聞きやすいと思う。

 8曲目の"Starin' at the Sky"はティモシーがリードを取っていて、彼のハイ・トーンのボーカルを堪能できる。このアルバムで聞ける彼の曲は非常にポップであり、お洒落な感覚も備えている。のちのイーグルスで聞ける彼の曲のオリジンはこの辺にあったのであろう。

 "All Along Together"では、ラスティのスティール・ギターがいい味を醸し出している。ミディアム・テンポの落ち着いた曲で、カントリーといえばまさにこういう雰囲気という典型的な曲でもある。
 そして最後を飾るのは、ポール・コットン作の"Tulsa Turnaround"である。アルバム・クレジットを見ると、ラスティ・ヤングがドブロ・ギターを弾いているようで、これもまたバックのフィドルがいい味を出している。

 このアルバムは基本はカントリー・ロックなのだが、曲によってはストリングスも使用されていて、カントリー一辺倒のアルバムというわけではない。60年代から脈々と流れていたカントリー・ロックの水脈を当時の音楽状況に合わせて再構築したアルバムだと思うのである。

 この時点ではバンド創設者だったジム・メッシーナとリッチー・フューレイは、バンドを去り、4人のメンバーになっていたが、このアルバムのヒットで、4人でも充分にやっていけるとますます自信を持ったのではないだろうか。

 自分は彼らのアルバムをもう1枚持っていて、それが1977年に発表された「インディアン・サマー」だった。

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 このアルバムは「シマロンの薔薇」の次に発表されたアルバム(1977年)で、前作がカントリー色が強かったのに対して、このアルバムではそれは押さえられて、ロック色が全面に出てきている。

 やはり1977年という時代の影響があったのかもしれない。あるいはイーグルスのアルバムに対抗して売れるものを作ろうという心理や、あるいは作りなさいというレコード会の指示があったのかもしれない。
 とにかくより多くのファンを獲得するために、力を入れて作ってみましたというアルバムなのである。

 アルバム・タイトル曲の"Indian Summer"は、アルバム冒頭を飾るには少し元気がないようなミディアム・テンポの曲なのだが、やはりポコ特有のコーラス・ワークの美しさやバックのスティール・ギターの響きが心地よい。初期の頃に比べれば洗練された彼らがそこにいるのがわかるだろう。シンセサイザーはドナルド・フェイゲンが演奏している。

 続く"Twenty Years"はまるでジョー・ウォルシュのようなハードなギターを聞くことができる。ただ曲のメロディ自体はポップである。ポール・コットンとラスティ・ヤングのギターの掛け合いが見事だと思う。

 3曲目はティモシー・シュミットの曲。前作でもそうなのだが、彼の作る曲はポップで聞きやすい。スティール・ギターが鳴っている上品なAORといった感じである。

 このアルバムでティモシーは3曲提供していて、もう1曲の"Stay(Night Until Noon)"はアップ・テンポな曲で、このアルバムの中ではかなりパンチの効いた曲だ。ラスティの弾くスティール・ギターとバンジョーが効果的で、こういうビートのある曲にも似合うということに少々驚いてしまった。

 このアルバムは大人しめの曲から始まって、段々とテンポが上がっていく感じだ。ラスティの作った"Downfall"も彼自身のボーカルやスティール・ギターが聞く側の高揚感を高めてくれるような曲で、なかなかよい。
 続く曲"Win or Lose"でもドナルド・フェイゲンがARP・ストリング・アンサンブルを演奏しているのだが、かなり黒っぽい曲になっている。まるでコーラスが入ったおとなしいスティーヴィー・ワンダーのようだ。

 このアルバム中一番ロックしているのが6曲目の"Living in the Band"で、ポール・コットンの生き生きとした姿が目に浮かぶようである。できればこういう曲をアルバムの冒頭に持ってきた方がノリやすいと思うのだが、どうだろうか。とにかく躍動感が感じられる曲で、もう少し評価されてもいいと思う。

 ティモシーのこのアルバム3曲目、彼の吹くハーモニカが印象的な"Find Out in Time"に続いて始まるのが、このアルバムのハイライト"The Dance"である。

 この曲は3部作の組曲形式になっていて、トータルで14分以上もある。メドレー形式でライヴをやることはあっても、スタジオ・アルバムでは珍しいことだと思う。

 最初の"When The Dance is Over"はゆったりとした曲だが、次の"Go on and Dance"でテンポが速くなり、最後の"Never Gonna Stop/When The Dance is Over(Reprise)"では何とファンキーなホーンやコーラス、はたまたストリングスまで加わって、まるでフィラデルフィア・ソウルのような曲になっている。
 確かに盛り上がることは盛り上がるのだが、そういう盛り上げ方をするのかとビックリしてしまった。このアルバム1曲目と最後の曲を聞いたなら、とても同じグループだとは思えないだろう。

 この後、ベーシストのティモシー・シュミットはイーグルスに参加し、ドラマーだったジョージ・グランサムも脱退してしまった。メンバーを補充するものの、このあたりから人気も下降し始めた。アルバムはコンスタントに発表するも、商業的には決して成功したとは言い難い状況が続くのである。

 ただイーグルスとは違って、彼らはずっと現役として活動を続けてきている。また一時1988年から90年代の始めまで、ジム・メッシーナやランディ・マイズナー、リッチー・ヒューレイなどが戻ってきて、オリジナル・ポコとしてアルバム発表やライヴ活動も行っている。

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 21世紀の今では、ラスティとポールを中心にアメリカやカナダ、オーストラリア、ヨーロッパを中心としてライヴ活動を中心に行っているようで、まだまだ現役のバンドなのである。

 日本ではイーグルスより知名度は低いかもしれないが、アメリカン・ロック史に名を残す優秀なミュージシャンを数多く輩出した点でも決して忘れてはならないバンドだと思うのである。


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