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2010年6月12日 (土)

ロギンス&メッシーナ

 ベスト・アルバムがチャートのNo.1になったという話をあまり聞かない。昔から不思議に思っていたのだが、ビートルズやエルヴィスなどのビッグ・ネームは除いて、あるミュージシャンのベスト・アルバムが売れに売れているという話は聞かないのである。

 普通に考えるならベスト・アルバムなのだから、よい曲やそのミュージシャンを代表する曲がズラッと収録されているはずである。だからアルバムのどこから聞いても感動するはずなのであるが、それと売れ行きを示すチャートとはどうやら別物らしい。

 あるいはそのミュージシャンのアルバムをほとんど揃えていて、もしくは揃えていなくても、代表曲はほとんど知っている人が多いということだろうか。映画のサウンドトラックは売れるのに、ベスト・アルバムはチャートの上位に顔を出さないというのも不思議なのである。

 それで今聞いているのは、ロギンス&メッシーナのベスト・アルバム「ベスト・フレンズ」なのだが、これがまた意外に良いのであった。

ベスト・フレンズ Music ベスト・フレンズ

アーティスト:ロギンス&メッシーナ
販売元:ソニーレコード
発売日:1995/06/21
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 久しぶりに聞いたのだが、こんなにバラエティ豊かで、なおかつポップな要素を含んでいたとは思ってもみなかった。

 基本的にこの2人、ボーカルのケニー・ロギンスと演奏のジム・メッシーナという組合せである。もちろん作曲能力は2人とも備えているのだが、ケニーのデビュー・アルバムのプロデュースをジムが担当したことからデュオ結成に至ったという経緯が表すように、自分たちを冷静にプロデュースをしているのはジム・メッシーナのようである。

 1曲目の"Angry Eyes"はオリジナルとはアレンジが異なるバージョンになっていて、まるでC,S,N&Yのようなボーカル・ハーモニーを聞かせてくれている。しかもかなりアグレッシヴで、ロックしている。ウェストコーストのロックとはこういうもんだ、と言わんばかりの演奏である。リード・ギターはジム・メッシーナのようであるが、まるでスティーヴン・スティルスが弾いているかのようだ。

 また2曲目の"Be Free"は6分59秒もある曲で、カントリー・ロックとプログレッシヴ・ロックが合体している。“プログレッシヴ・カントリー・ロック”というジャンルはないのだが、そういった趣の曲である。
 カントリー・ロックによく使われるマンドリンやフィドル、それにカントリー・ロックではあまり聞かないオーボエやリコーダーなどの管楽器などが微妙にブレンドされ、次々と登場してきて、聞いてて飽きないのである。こういう曲をベスト・アルバムに入れるあたりも彼らのセンスの良さを感じさせられる。

 ジム・メッシーナはソロになってからは、ラテン・ミュージックというかカリプソなどの中米の音楽なども取り入れていったアルバムを発表しているのだが、この時期にはあまりそういう感覚は感じられない。ただ3曲目の"Vahevala"にはカリビアン・ミュージックの影響を感じさせるものがあると思う。しかしこの曲はジムが作ったわけではない。

 彼の品の良さが上手に表れているのが、"Peace of Mind"だと思う。彼は単なるバラード曲をバックにピアノやフルートの演奏と効果的なリード・ギターを付け加えることで、大人のバラードに変えることができた。もともとポコに在籍していた頃に作った曲らしいのだが、確かにポコのイメージには似合わない。早すぎたAORといった感じでもある。

 自分が彼ら2人のことを知ったのは、ラジオから"My Music"や"Your Mama Don't Dance"が流れてきたのを耳にしたことから始まる。だから彼らを単なるポップ・デュオと思っていた。しかしそれは間違いだった。このベスト・アルバムを聞けば、そのことがよくわかった。

 自分がもう少し大人になって、自分で稼ぎ出したときに「フル・セイル」という中古レコードを買った。このアルバムは1973年に発表されたものなのだが、当然のことながらそのときは彼らのことは全く知らなかった。ただこのアルバムにも収められていた"Watching the River Run"はベスト・アルバムにも収録されていて、三拍子のシンプルな曲ながら美しいハーモニーや聞きやすいメロディが印象的なものになっている。

 フル・セイル フル・セイル
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 ケニー・ロギンスは、ロギンス&メッシーナが解散した後、映画音楽産業とタイ・アップして?、一躍メジャーな存在になったのだが、このアルバムを聞けば、その萌芽は昔からあったことがわかる。"House at Pooh Corner"や"Danny's Song"がそのことを証明していると思う。決して目立つような曲ではなく、むしろ地味な印象を与えるかもしれないのだが、それがまたいい味を出しているのである。
 ちなみのこの両曲は、それぞれニッティ・グリッティ・ダート・バンドとアン・マレーによってヒットしている。他のミュージシャンの興味を引くほどの曲とは思えないのだが、やはりケニーの作曲能力の高さを証明しているのであろう。

 そういうわけで、聞けば聞くほどいい曲なのである。彼ら2人は1972年から76年とわずか4年少々の活動期間だったが、バッファロー・スプリングフィールドやポコの流れを汲むアメリカン・ミュージック史に残るデュオだった。70年代前半で2人組ミュージシャンといえばこのロギンス&メッシーナなのである。

 ちなみに彼らのこのベスト・アルバムは、チャートでは61位を記録している。やはりベスト・アルバムはあまり売れないというジンクスは覆らなかったようである。

 P.S.
 ロギンス&メッシーナは、2005年に再結成を行っていて、昨年もリユニオン・ツアーを敢行したようである。まだまだ現役として、できればオリジナル・スタジオ・アルバムも発表してほしいものである。


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コメント

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投稿: Johng192 | 2019年8月 8日 (木) 22時56分

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