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2010年9月30日 (木)

ジューダス・プリースト(2)

 ジューダス・プリーストのアルバムはもう2枚持っていて、そのうち1枚は「背徳の掟」の2年前に出された「復讐の叫び」である。このアルバムもなかなかの疾走感を持っていて、特に前奏曲のような"The Hellion"から続く"Electric Eye"~"Riding on the Wind"は素晴らしい。
 グレン・ティプトンとK.K.ダウンニングの2人のリード・ギターの織り成すスピーディな掛け合いは、このアルバムで完成の域に達したように思えた。

復讐の叫び Music 復讐の叫び

アーティスト:ジューダス・プリースト
販売元:Sony Music Direct
発売日:2004/08/04
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 ただこのアルバムには"Chains"や"Pain and Pleasure"のような、彼らにとっては少し似合わない曲もある。どういうふうに似合わないのかというと、"Chains"はバック・コーラスが多重録音されていて、何となくL.A.メタル風であり、"Pain and Pleasure"はスローな曲で、彼ら流のバラードになっている。
 たぶんこれはアメリカのマーケットや世界市場を意識して、制作されたからであろう。この辺は当時の彼らの立ち居地というか、時代との関係を感じさせてくれる。

 やはり彼らにはアルバム冒頭の曲群や"Screaming for Vengeance"や"You've Got Another Thing Comin'"のような曲がよく似合っている。しかも意外とメロディアスな"Fever"という曲もある。ある意味、このアルバムは彼らの音楽性がメタル一辺倒ではないということも物語っているのかもしれない。

 そしてもう1枚は1990年に発表された「ペインキラー」である。このアルバムは完璧にヘヴィ・メタルの様式美を備えている。

ペインキラー Music ペインキラー

アーティスト:ジューダス・プリースト
販売元:Sony Music Direct
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 特に1曲目のアルバム・タイトル曲はジューダス流究極のヘヴィ・メタルといった感じである。のちに発表されたライヴ・アルバムでもこの曲は演奏されているから、彼らにとっても自慢の1曲なのだろう。
 
 今でこそジューダス・プリーストはアメリカで市民権を得ているが、昔はさっぱり売れなかった。それこそKISSの前座でアメリカ中をツアーしていても売れなかったのだ。
 しかし、時代の風が吹いてきたのであろう。今では押しも押されぬヘヴィ・メタルの代表というような風格を備えたバンドに成長した。

 この2枚のアルバムを聞けばよくわかるのだが、「復讐の叫び」の方では、曲にっては割とメロディ・ラインがはっきりとしたものもあるし、シングルとしてもヒットしそうな曲も見受けられる。
 これはある意味、彼らがアメリカで受けようとして妥協したのかもしれない。あるいはそのために幅広い音楽性を身につけた結果なのかもしれない。しかし“らしくない”曲のような気がする。

 しかし「ペインキラー」の方は、これはもう徹頭徹尾ヘヴィ・メタル以外の何ものでもないのだ。一切の無駄を排し、装飾を外した結果の音がこのアルバムには詰められている。
 これは彼らがアメリカで市民権を得た結果、自信を持って制作したアルバムなのである。だから自分たちのやりたいことが、やるべきことへと転換され、提示されたものなのであろう。どこを切ってもメタルのような“剛音”で支配されている。

 自分はこのアルバム・ジャケットを見たときは、あまり好きになれなかった。アメリカン・コミックの中に出てくるダーク・ヒーローのように見えたからである。ちなみにこの人物がペイン・キラーであり、彼が乗っている乗り物をメタル・モンスターというらしい。

 でもそんなことはどうでもいいことなのだが、とにかくこのジャケットだけはいただけなかった。その前のアルバムもこんな感じのイラストだったから、80年代は鋼のようなイメージを出したかったのだろう。やはり自分は今でも70年代のアルバム・ジャケットの方が数段センスがいいと思っている。

 デビューから40周年である。ボーカルのロブ・ハルフォードが脱退したり、再加入したりと様々な出来事があったが、彼らはそれらを乗り越えてますますメタル道を邁進している。
 2008年に発表された「ノストラダムス」は2枚組のアルバムだったが、アメリカでは彼らの作品中一番売れた作品になった。

Nostradamus (Bril) Music Nostradamus (Bril)

アーティスト:Judas Priest
販売元:Epic
発売日:2008/06/17
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 ボーカルのロブ・ハルフォードは、今年で59歳になるが、いまだ衰えずである。この調子でメタル界のゴッドとして、若手に範を示してほしいと切に願っている。自分はひょっとしたらジューダス・プリーストの隠れファンなのかもしれない。


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