« アルマゲドン | トップページ | サーカス »

2011年1月21日 (金)

スティームハマー

 キース・レルフの結成したルネッサンスから始まって、いくつかのバンドを紹介してきた。前回はルネッサンス後に、ギタリストのマーティン・ピューやドラマーのボビー・コールドウェルらと一緒に始めたバンド、アルマゲドンのことを書いたのだが、今回はそのギタリスト、マーティン・ピューがそれ以前に在籍していたバンド、スティームハマーのことについて書くことにした。

 自分はこのバンドのアルバムを1枚しか持っていないので、あまり大したことは書けないのだが、やはりいまだに名前が知られ、アルバムが再発されるということは、それなりに歴史に残るバンドだったのだろう。

 そのアルバム「マウンテンズ」は、一説によると、彼らの最高傑作と賞賛されている。確かにギタリストのマーティン色の強い、いかにもブリティッシュ・ロックと呼ばれるようなアルバムであり、その陰影の濃淡さ、ブルーズに影響を受けた霧の中に浮かぶようなメロディ・ラインなど、なかなか独特な味を醸し出している印象を受けた。

 このアルバムは、トールキンの「指輪物語」をテーマに制作されたようで、確かにアルバム・ジャケットには映画"ロード・オブ・ザ・リング"に出てくる“村落”や“塔”、“噴煙を上げる山”などが描かれている。

マウンテンズ(紙ジャケット仕様) Music マウンテンズ(紙ジャケット仕様)

アーティスト:スティームハマー
販売元:インディーズ・メーカー
発売日:2010/01/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 また、"Mountains"、"Leader of the Ring"などという曲名も見られる。このアルバムは1970年に発表されているので、混沌とした時代背景の中で模索しながら、自分たちの歩むべき道を探ろうとするメンバーの意欲が伝わってきそうな雰囲気に満ちている。

 アルバムには8曲収められていて、最初から6曲目までは「指輪物語」に題材をとったような内容であるが、最後の2曲はライヴ演奏になっていて、彼らのライシアム公演での演奏を収録している。

 個人的には最初の6曲よりも、最後の2曲の方を興味深く聞くことができた。これはまるで“クリーム”のライヴである。エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーにボーカリストが参加したような曲調で、ブルージィなベース・ソロ、ギター・ソロが強力で、たぶんボーカリストのキーラン・ホワイトが吹いていると思われるブルーズ・ハープも当時ブルーズ全盛だったイギリスのロック・シーンを彷彿させる演奏なのだ。

 しかも"Riding on the L & N"と最後の曲"Hold That Train"は連続していて、そのときのライヴをそのまま収録したのだろう。前者が10分少々という曲で、後者も5分30秒少々と長めの曲になっていて、両方あわせて16分近い曲になっている。

 このライヴ演奏から考えれば、最初の6曲などはおとなしいもので、確かにギターは突出して目立ってはいるものの、全体的な印象は地味な感じを受ける。
 ボーカリストのキーランの歌については、音域は広くはないものの、シャウト型ではなく、こぶしのきいたブルージィな歌唱である。またほとんどの曲は彼の作詞・作曲である。

 このスティームハマーというバンドの結成は、1967年にまでさかのぼる。68年にはボーカルのキーランとギター担当のマーティンが加入し、バンドの原型ができあがった。

 1969年にはアルバム・デビューを行うのだが、当初はセカンド・ギタリストがいたり、フルート、サックス奏者がいたりとメンバーも固定していなかった。
 またイギリス国内だけでなく、ドイツやフランスでもツアーを繰り返していて、特にドイツでの人気はイギリス国内を上回るほどだったという。まるでデビュー前のビートルズのようである。

 1969年にはデビュー・アルバムとセカンド・アルバムを、1970年には前述したサード・アルバム「マウンテンズ」を発表したのだが、イギリス国内でのセールス的はさっぱりだった。ただドイツをはじめとするヨーロッパでは、精力的なライヴを行っていたせいか好評だったようである。

 1971年にはベーシストが交代して、オリジナル・ルネッサンスのメンバーだったルイス・セナモが加入して活動を続けたのだが、今度はボーカルのキーラン・ホワイトがソロ活動を行うために脱退してしまい、インストゥルメンタル中心の音楽へと変化していった。

 結局、ゲスト・ボーカルを入れるなどして活動を続けたのだが、最終的には1973年の終わりには自然消滅するようなかたちで、その活動に終止符を打った。活動期間は5年にも満たないものであった。

 そしてギタリストのマーティンとベーシストのルイスは、キース・レルフとボビー・コールドウェルとで新しいバンド、アルマゲドンを1974年に結成し、翌年彼ら唯一のアルバムを発表するのであった。

 今となってはマイナーなバンドでしかないのだが、当時のイギリスのロック・シーンの雰囲気や空気を味わう上では避けて通れないバンドだと思う。当時はクリームをはじめとして、こういうブルーズに影響されたバンドが闊歩していた時代だったのである。ロックが発展していく過程を知る上では、重要なバンドなのかもしれない。


« アルマゲドン | トップページ | サーカス »

ブリティッシュ・ロック」カテゴリの記事

コメント

STEAMKAMMERのMKIIというアルバムのAnother Travelling Tuneをきいてみて下さい。

投稿: H | 2011年3月27日 (日) 17時15分

Hさん、コメントありがとうございました。是非聞いてみたいと思います。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2011年3月27日 (日) 22時41分

Martin Pughについては1970年ころの国内の音楽新聞に「最もハンサムなギタリストであるが、本人はルックスで評価されることを嫌って、長髪と髭で顔を隠している。そのギターの腕はピカイチである。」という主旨の記事が載っていました。昔話です。

投稿: H | 2011年9月23日 (金) 10時09分

コメントありがとうございました。今一度彼のルックスをみてみようと思います。アルマゲドンのアルバムはCDなので、よくわかりませでした。
 最近ではハワイのバンドと共演しているようですね。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2011年9月23日 (金) 15時35分

ボーカルのKieran Whiteは1971年にバンド解散後、1979年にはアメリカに移り、音楽界からは身をひいて、オレゴン州ポートランドでトラック運転手をしていましたが、1995年癌で他界しました。合掌。

投稿: H | 2011年10月 1日 (土) 17時00分

新しい情報ありがとうございました。トラック運転手だったとは驚きました。かつてのアルバムが紙ジャケ再発されたとは知らなかったでしょうね。それでも本人がそれでよしと思っていたのなら、それでいいのかもしれません。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2011年10月 3日 (月) 23時17分

Youtubeに何と、Another travelling song のライブ映像がアップされていました。途中から他の曲に変わりますが冒頭からの演奏は必見です。
http://www.youtube.com/watch?v=qfgG-dp9AMo

投稿: H | 2012年3月24日 (土) 07時49分

 コメントありがとうございます、Hさま。1969年当時?の映像があったとは知りませんでした。他の映像を見ると“Beat Club”でのライヴ映像もありました。"Junior's Wailing"、"When All Your Friends are Gone"などなど。
 ドラムがツイン・バス・ドラとは知りませんでした。できれば1本のDVDにまとめて見てみたいですね。貴重な情報をありがとうございました。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2012年4月 4日 (水) 22時20分

YoutubeのAnother Travelling Tuneの動画は削除されていましたが、またUPされていました。
http://www.youtube.com/watch?v=b8z82GMBrX4

投稿: H | 2013年5月13日 (月) 10時15分

 お久しぶりです。Hさま。コメントありがとうございました。早速見てみようと思っています。日本語紙ジャケ盤は廃盤になったようですが、輸入盤では入手可能のようです。
 1stはブルーズっぽかったです。次はMK2を入手しようと思っています。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2013年5月13日 (月) 21時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スティームハマー:

« アルマゲドン | トップページ | サーカス »