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2011年4月 7日 (木)

チューダー・ロッジ

 長い冬から解放され、いよいよ萌えいずる春がやってきた。万物が目を覚まし、その生命力を自ら伸ばそうとする季節でもある。こういうときにリラックスできる音楽がほしいと思うのは、私一人だけだろうか。

 今回も前回から引き続き、ブリティッシュ・トラッド・ミュージックとプログレッシヴ・ロック・ミュージックの境界線上に存在する音楽を紹介したい。ということで、メロウ・キャンドルと時をほぼ同じくして活動していたグループ、チューダー・ロッジの登場なのである。

 前回はピアノなどのキーボード中心の音楽だったのだが、今回のチューダー・ロッジは、確かにフォーク、トラッド・ミュージックを象徴するかのようなアコースティック・ギター中心の音楽なのである。

 最初から最後まで春の木漏れ日のような優しい音楽が続く。またメロディは、現代的なリズミックな曲もあれば、フルート、ピアノとコラボレートした古典派のような音楽もあり、音楽的な印象とは違って、このグループもなかなか一筋縄ではいかないのである。

Tudor Lodge (Dig) Music Tudor Lodge (Dig)

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 メンバーは、男性2人、女性1人の3人で、イギリス人、オーストラリア人、女性はニューヨーク出身のアメリカ人だった。
 イギリスのフォーク・ミュージックは、(というか基本的に60年代のイギリスの音楽シーンはアメリカからその影響を受けていたと思う)60年代後半から盛隆を迎えるのだが、彼らもそういう流行の波に乗って活動していたのであろう。

 彼らは1971年にシングル"The Lady's Changing Home"とアルバム「チューダー・ロッジ」を発表したのだが、残念ながら商業的には失敗した。翌年には女性ボーカルのアン・スチュワートはアメリカに帰国したために、代わってリンダ・ピーターズという女性が加入したのだが、結局、解散してしまった。
 リンダはその年に元フェアポート・コンヴェンションのリチャード・トンプソンと結婚して、デュオで活動を始めた。彼女はチューダー・ロッジに在籍していたことよりも、夫婦デュオで活動していたときの方が人気が高かったように思う。もちろん夫リチャードの力が大きいと思うのだが…

 シングルになった"The Lady's Changing Home"では、彼らには珍しくエレクトリック・ギターがフィーチャーされていて、商業的成功を狙ったせいか4分半もある長い曲に仕上げられているのだが、それ以外は基本的にアコースティックな曲で占められている。
 "Madeline"なんかはホルストの“惑星”の中の"Jupitar"も引用されているインストゥルメンタルなのだが、なかなか流暢に演奏している。ちなみにアルバム冒頭を飾る"It All Comes Back to Me"のサビの部分は、PP&Mの"悲しみのジェットプレーン"によく似ている。

 女性ボーカルのアンは、ピアノもフルートもできるということで、このアルバムでも"Two Steps Back"や"Help Me Find Myself"などで演奏している。特に"Help Me Find Myself"はなかなかの佳曲だと思う。
 また"Willow Tree"や"I See a Man"ではギターよりもフルートが目立っていて、演奏だけ聞けば、まるでキャメルである。この曲や次の曲"Forest"ではストリングスやオーボエなども装飾のために使用されていて、こういうところが“プログレッシヴ”・フォーク・グループと呼ばれた所以だろう。

 彼女はバンド解散後にイギリスのプログレ・バンド、カーヴド・エアの「ファンタスマゴリア」でフルート演奏でゲスト参加しているらしい。もう一度確認してみようと思う。そういう交流みたいなものもあって、チューダー・ロッジは純粋なフォーク・グループというよりは、プログレ系に近いと分類されたのだろう。

 しかしフォーク・グループには、なぜ女性ボーカルがフィーチャーされているのだろうか。これはイギリスのグループに多いように思われる。アメリカでは女性が強いせいか?もしくは同性愛傾向があるせいか?PP&M以外はあまりいないような気がする。ママス&パパスも男女同数だったし、女性一人で歌う場合の方が多いように思う。

 一方、イギリスではヒーリング効果があるのか、女性の声をフィーチャーしたバンドが多いと思う。次回はそんなフォーク系バンドを紹介したいと考えている。

 最後にこのアルバムは6面開きの変形ジャケットで有名になった。2000年に復刻盤でCD化された際も、それが忠実に再現されていて、コレクターの間では評判だったという。音楽的な面よりもそっちの方で話題になってしまったのが、彼らの悲劇だったのかもしれない。


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