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2011年9月 5日 (月)

アーロン・ネヴィルの新作

 アーロン・ネヴィルの新作が出た。といっても制作されたのは昨年の4月で、日本での販売は一年以上遅れの今年の6月だった。

 アーロン・ネヴィルは、自分のフェイヴァレットなソウル・シンガーで、このブログでもたびたび取り上げている。かつて自分はアーロンのことを、“黒いブライアン・フェリー”と名づけたが、微妙にビブラートする彼のボーカルは、ブライアン・フェリー以上に艶っぽく、まさに“シルキー・ヴォイス”、“ビロードの声”といっていいほど、聞くものを魅了してくれる。

 アーロンは1941年生まれなので、今年で70歳になる。まさかそんなに年をとっているとは思わなかった。60歳前ぐらいだと思っていた。それにとても70歳の人の声とは思えない。それほど美しいのだ。

 彼は、もともとルイジアナ州のニュー・オーリンズ出身だが、2005年のハリケーン「カトリーナ」のせいで自宅を流されて、ナッシュビルに避難し、以後3年間故郷に戻らなかったらしい。

 それで彼のニュー・アルバムは、そのカトリーナで犠牲になった人を慰霊するために、そして自身のデビュー50周年を記念するために、カリフォルニアのサウス・パサディナで録音されたものである。タイトルを「チェィンジ」という。

チェンジ Music チェンジ

アーティスト:アーロン・ネヴィル
販売元:EMIミュージックジャパン
発売日:2011/04/04
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 内容は亡くなった人を追悼するかのように、全曲ゴスペル・ミュージックで占められていて、アーロンは原点回帰を果たすかのように、あるいはまた自分のルーツを確認するかのように熱唱している。

 自分はゴスペルなどはとんと無頓着で、全く知らないジャンルである。でもアーロンが歌えば、話は別で、思わず耳を傾けてしまう。
 このアルバムでも"I am a Pilgrim"や"Oh Freedom"で聞かれる彼のボーカルは、本当にハート・ウォーミングだし、彼の温もりが伝わってきそうだ。

 また自分はローリング・ストーンズのヴァージョンしか知らなかったのだが、"You've Got to Move"がゴスペル・ミュージックとは知らなかった。ここではアラン・トゥーサンがピアノを弾いていて、全くの新しい曲のように聞こえてくるから不思議だ。

 最近のアーロンは、昔の曲をリメイクしているようで、ゴスペルだけでなく、ジャズのスタンダード集も発表している。そろそろ人生の総決算とでもいうかのように、精力的にアルバムを発表している。

Nature Boy: The Standards Album Music Nature Boy: The Standards Album

アーティスト:Aaron Neville
販売元:Verve
発売日:2003/08/26
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 また他のミュージシャンとの共演も行われていて、「ネイチャー・ボーイ」では、ギターにライ・クーダー、バッキング・ボーカルに、あのリンダ・ロンシュタットも参加していた。いかにもジャズのスタンダードですよといいたげなシンプルな演奏をバックに、お洒落で、なおかつ“熱い”歌心を聞かせてくれる。

 個人的に1989年のアルバム「イエロー・ムーン」が、彼と彼の兄弟の最高傑作だと思っているし、ソロの作品なら1991年の「ウォーム・ユア・ハート」、93年の「タトゥード・ハート」が名盤だと思っている。

Warm Your Heart Music Warm Your Heart

アーティスト:Aaron Neville
販売元:Universal Import
発売日:2005/12/06
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 できれば過去のリメイクだけでなく、オリジナルの曲で構成されたアルバムを聞きたいと思っている。まだまだ彼のキャリアを終わらせるわけにはいかないのだ。

 もう9月である。昼間はまだまだ暑いが、日が沈むとやはり秋が感じられる。秋の夜長にはアーロンのアルバムを聞きながら、しんみりとしてみたいのである。


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