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2012年1月 7日 (土)

ギャラガー兄弟のこと

 昨年の話なのだが、イギリスのバンド、オアシスが分裂して、というか兄弟喧嘩が発端だったのだが、兄、弟ともにアルバムを発表した。

 先に弟の方がアルバムを発表したのだが、基本的に弟の方がオアシスを受け継いだような格好になった。要するに、バンドメンバーの全員が元オアシスだったからで、お兄さんだけがバンドから脱退したからである。

 権利関係のせいだろうか、それとも過去との決別か、オアシスという名義は使用せずにビーディ・アイという名称を使ってのアルバム発表になった。喧嘩別れしても兄弟の契りは切れないということで、たぶん兄弟そろっての場合のみに、オアシスという名前を使うのだろう。

 それで弟のアルバム「ディファレント・ギア、スティル・スピーディング」は待望のアルバムだった。彼らのファンとしては、かなり待たされたという感じがするのではないだろうか。出る出るといってなかなか発売されなかったからだ。逆にいえば、それだけ期待が高かったといえるだろう。Photo
 それで内容は待たされた甲斐あってか素晴らしく、まさにオアシスの血統を継ぐようなものに仕上がっている。"Four Letter Word"のロックン・ロールぶりや"Millionaire"のビートルズ~オアシス譲りのメロディライン、ノエル・ギャラガーの信奉するジョン・レノンを髣髴させる"The Roller"など、どの曲も輝く魅力を放っているようだった。

 全体的にこのアルバムはロックン・ロールの輝きに満ちていて、ライブ感もよく表れている。プロデューサーにスティーヴ・リリーホワイトが参加していることもその所以なのだろうか。"Bring the Light"なんかはリアムのロックン・ローラーの資質がよく表れていると思う。

 一方、兄ノエルのアルバム「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」は、中期ビートルズを想起させるつくりになっている。疾走感のあるロックン・ロールというよりは、ミディアム・テンポが目立つ楽曲が多く、聞かせるような感じだ。

 1曲目の"Everybody's on the Run"からコーラスや分厚いストリングスがかぶさってきて、壮大な雰囲気を醸し出している。Photo_2
 続くオアシスの「ディグ・アウト・ユア・ソウル」時期に作られた"Dream on"もオアシス的なメロディとテンポをもっていて、曲の展開や盛り上げ方が見事である。またアコースティック・ギターから始まる"If I Had a Gun..."、このアルバムの中ではリズミカルでアップテンポな"AKA...What a Life!"、"AKA...Broken Arrow"など聞きどころは満載である。

 ちなみに"Stop the Clocks"はオアシスのベスト・アルバムのタイトルにもなった曲で、わりと古くからの曲らしく、オアシス時代では歌わせてもらえなかったと弟ノエルが憤っていたようなことを雑誌で読んだことがあるが、アルバムの最後を飾るにふさわしい曲には違いない。(日本盤ではボーナス・トラックが2曲収められている)

 それで第三者として興味が尽きないのは、この兄弟対決であるが、セールス的には兄の勝利に終わったようだ。「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」はチャートのNo.1になったが、ビーディ・アイの「ディファレント・ギア、スティル・スピーディング」は3位に留まった。当時はアデルの「21」、「19」が大ヒット中だったから、そういう意味ではタイミングが悪かったのかもしれない。

 また2011年のデビュー・アルバム!の売り上げチャートでも、3位が兄ノエル、6位に弟リアムのバンドのアルバムになっていて、ここでも兄の勝利に終わっている。イギリス人は、兄のようなミディアム調の曲の方が好みに合うのだろうか。それともオアシス・ファンも年齢が上がっているから、テンポの速い曲よりもゆったりとした曲の方が聞きやすいのだろうか。

 いずれにしてもこの兄弟、今後も目が離せないだろう。このままいけば兄弟それぞれがアルバムを発表していくだろうし、“血は水より濃い”ことを考えれば、いずれまたオアシスが復活することもあながち的外れではないだろう。問題はその時期である。

 この2枚のデビュー・アルバムを考えた場合に、はやりオアシスは偉大だったといわずにはいられない。この両アルバムがもし合体していたなら、もっと強力なアルバムに仕上がっていたからだ。そんなことを考えながら、しばらくはこの兄弟のそれぞれのアルバムを待つことにしようと思っている。


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