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2012年3月19日 (月)

トミー・ショウ

 アメリカン・プログレ・ハードの代表格であるジャーニーとスティクスは、それぞれ途中から大きく変化し、メジャー級になった。
 ジャーニーはスティーヴ・ペリーが参加した1977年からであり、スティクスはトミー・ショウが加わった1976年からである。それらの年を境に、両バンドは大きく羽ばたいたのである。

 それで今回は、そのスティクスの飛躍に貢献したトミー・ショウのスティクス解散後の主な足取りを確認してみた。

 トミーは1953年生まれだから、今年で59歳になる。スティクス参加時は23歳だった。当時の彼は地元アラバマ州モントゴメリーのボウリング場のバーなどで、ライヴ活動していたという。こういう下積みの生活から一気にメジャーになるという話は、アメリカ人にとっては大好きなのだが、アメリカにはこういう実力のあるミュージシャンはそれだけゴロゴロいるのだろう。

 彼が参加してからのスティクスについては以前にも述べたので、ここでは省略をして、バンド解散後の80年代終りにはソロ・アルバムを数枚発表している。

 90年代に入って、彼はダム・ヤンキースというバンドを結成してアルバムを発表した。このバンドは、今でいうスーパー・バンドで、ギターには70年代後半に一世を風靡したテッド・ニュージェント、ベースには元ナイト・レンジャーのソング・ライターであったジャック・ブレイズ、ドラマーはトミー・ショウと一緒に活動していた実力派のマイケル・カーテロンだった。彼らは1990年に1stアルバムを発表している。Photo
 当時のアメリカン・ハード・ロックの世界では、こういうスーパー・バンド結成が流行っていて、ミスター・ビッグやニール・ショーンのいたバッド・イングリッシュなども結成されていた。

 肝心のデビュー・アルバムの音であるが、カラッと乾いた典型的なアメリカン・ロックという感じである。それに2人のギタリストのソロと3人のコーラスが重なり合って、ハードでありながらライトな感覚を与えてくれる。
 このアルバムは商業的に成功した。チャート的には13位を記録し、80週以上にわたってトップ200位以内に入り、プラチナ・ディスクを獲得している。当時はグランジ前だったからこういうサウンドも好まれたのだろう。

 彼らは2年後の1992年に、2ndアルバム「ドント・トレッド」を発表した。基本的には1stと同じ路線なのだが、幾分ハードになった感じである。また3曲目の"Where You Goin' Now"は彼ら流のハード・バラード・ロックであり、6曲目の"Silence is Broken"もミディアム調のメロディアスな名曲である。

 当時の彼らのライヴは、ヒット曲のオンパレードだったという。要するにバンドの曲だけでなく、メンバーそれぞれの出身母体のヒット曲、スティクスやナイト・レンジャー、テッド・ニュージェント自身の持ち歌などを披露していたという。当然のことながら、客は大入り満員、ツアーは大成功ということで、引き続いて2ndアルバムを制作したのであろう。

 しかしそこはやはり一流プロ・ミュージシャンの集まりだけあって、エゴも強い。また1992年にもなるとグランジ・ブームの影響で、既成の音楽には逆風が吹いてきた。1stに負けず劣らずかなり素晴らしいアルバムだと思うのだが、残念ながらこのアルバムを発表したあと解散してしまったのである。

 彼らの2枚のアルバムは、今となっては誰も省みないかもしれないが、決して悪いものではなく、むしろ隠れたアメリカン・ロックの名盤といってもおかしくないくらいの出来なのだ。もう少し正当に評価されてもおかしくないと思っている。

 このあとトミーは、再結成されたスティクスのツアーやピンク・フロイドのトリビュート・アルバムに参加して、1995年にはダム・ヤンキースのメンバーだったジャック・ブレイズとともにアルバム「ハルシネイション」を発表した。このアルバムもまたなかなかの好盤だと思う。Photo_2
 全13曲(そのうち国内盤ではボーナス・トラックが2曲)あり、いずれも捨て曲無しのメロディアスで、適度にハードな仕上がりなのである。ダム・ヤンキースよりはアメリカの大地に根ざしたアコースティックでアーシーな雰囲気を湛えている。特に"I'll Always Be With You"、"Don't Talk"、"Down That Highway"などはポップでアコースティック・ギターが基調になっている。だからこのアルバムは、ダム・ヤンキースのハード・ロック路線から少しポップ・ミュージックの方に踏み出したような音作りになっている。

 彼ら2人はソング・ライター・チームとしても優秀で、エアロスミスの曲"Shut Up and Dance"、"Can't Stop Messin'"に共作者としてクレジットされているし、その他、アリス・クーパーやオジー・オズボーン、シェールなどにも曲を提供している。
 彼ら2人は、2007年にも「インフルエンス」というアルバムを発表しているから、2人組のプロジェクトとして活動は続けているのであろう。

 だから現在のトミーは、スティクスとともにジャック・ブレイズとも活動を共にしている。そういえばスティクスのアルバム「ブレイブ・ニュー・ワールド」にも2人の共作曲が収録されていた事を思い出した。

 今回のテーマは、アラバマ州の田舎?出身の青年がアメリカン・ドリームの体現者として成功したサクセス・ストーリーなのである。アメリカという国の懐の深さをあらためて認識させられてしまった。


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コメント

こんばんは、初めまして。
ダム・ヤンキースでトミー・ショウを知りまして
STYXも聞くようになりました。
実際には拝見した事がありませんが、一度は見たいと思っています。

ところで、トミーがTATOOを入れたのには衝撃を受けましたが、理由やデザインを知っていますでしょうか??

投稿: monta | 2012年5月15日 (火) 00時49分

コメントありがとうございます、monta様。これからもよろしくお願いします。
 トミーのTatooは、赤いハートに右上から斜め左下に矢が突き刺さっているもので、そこにはMOMMAと書かれています。
 英語に詳しい人に聞いたら、これは"Mother"という意味らしく、要するに“I Love My Mother”「ママ愛しているよ」という意味らしいです。欧米人にとっては、ごく普通の、よく目につくTatooのようです。洋の東西を問わず、何歳になっても母と子の絆は切っても切れないようですね。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2012年5月15日 (火) 19時22分

トミーショウについて語りたくてネットサーフィンしている者です。
日本ではあまり人気がないのかいまいち熱く語れる場がない感じです。
当のTommyは今現在も毎晩のようにライブしているというのに。
ダムヤンキーズ、ショウ&ブレイズをと被ってStyxの活動も盛んなトミーですが
リターントゥパラダイスライブ、スタジオアルバム「サイクロラマ」CYOとのライブ「One With Everything」や「グランドイリュージョンピーシスオブエイト」ライブなどの
レビューや感想も聞きたいな~^^

投稿: きーす | 2014年6月 5日 (木) 14時35分

コメントありがとうございます。トミー・ショウがお気に入りとは、これまた珍しいですね。90年代ならともかく、21世紀の今となっては、熱心なファンはそう多くはないでしょう。

 もう一度日本でライヴでもやれば、また人気に火が付くのかもしれませんね。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2014年6月 5日 (木) 20時54分

>トミーがお気に入りとは珍しい

いやいや、今も少年のような風貌でバリバリの現役でソロ活動、Styxの活動に飛び回ってるトミーは本国ではかなりの人気者でしょう。
今現在フォリナー&ドンフェルダーとやってるサウンドトラックオブサマーツアーも6月から10月までの長丁場、ほぼ毎日全米のどこかでライブやってますよ!


ちなみに私もStyxとは1977年グランドイリュージョンからのお付き合いですが当時は自分がトミーのファンだという事に気づかなかったのw
んで長いときを経て今70年代を思い出すと好きな曲ってトミーの曲ばっかりだったんです。
デニスの曲は最初の印象が凄くいいのだけど私は聴き飽きるんですね。

ということでトミーのファンなわけです^^;
Styxの方の記事にもなにか書こうかと思ったのだけどあっちはバリバリデニスファンの方がレスってるのでなんか出にくくて><

世の中のどのStyxの記事や動画をみてもコメントにはかならずデニス側とトミー側の対立があって悲しくなるので、あえてあちらにはなにもコメらないことに・・・w

私はもう二度とデニスとトミーが一緒にやることはないと思っているので(ここ数年Styxの記事を漁りまくってそういう結論に達しました。基本修正不能な仲なんですわ特にトミーがデニスを受け入れられない感じな気がします。)

「サイクロラマ」聴いてください。たしかにデニスがつくるドラマティックな70年代風のStyxの曲はありません。でも新たなテイストがあるとおもいます。
One With Everythingという曲は新たな風を感じます。

トミーの最新ソロアルバム The Great Divideも聴いてみて。トミーは今現在こんな音楽をやってるんですよ。100%ピュアカントリーです^^ブルーグラスっていう音楽らしいです。

長コメ失礼しました。

投稿: きーす | 2014年6月28日 (土) 12時45分

 コメントありがとうございました。トミー・ショウもこれを知ったら、きっと感極まって随喜の涙を流すことでしょう。

 トミーももう60歳になりますが、まだまだ現役ですね。スティクス時代の彼は、若くて小柄でロン毛だったから、まるで女の子のようでした。今はひげも生やしていますが、それでもイケメンは変わりません。


 彼はもともとロッカーだったから、デニスとは路線が違うのでしょう。ソロの彼の歩みを見れば、わかりますね。まさかテッド・ニュージェントと一緒に行動するとは思いませんでした。


 ブルーグラスとは、まさにカントリー・ミュージックですが、アメリカのルーツ・ミュージックを探ろうとしているのではないでしょうか。そのアルバムも2011年と3年前なので、また新しいアルバムも発表されるかもしれませんね。


 個人的には「サイクロラマ」を聞いてみたいですね。彼とはショウ―ブレイズまでは聞いていましたので、それからのトミー・ショウ第2部をアップするかもしれません。

 いずれにしてもコメントありがとうございました。また新しいニュースがありましたら、教えてください。よろしくお願いします。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2014年7月 2日 (水) 22時40分

トミーショウ第二部楽しみに待っています!!

投稿: きーす | 2014年8月 5日 (火) 14時37分

クリスタルボール(LP)のジャケットの帯?に書かれていたアルバム紹介のフレーズを検索していてこのサイトを見つけました。確か”アラバマ州出身のゴールデンボーイ トミーショウが新たに参加”云々だったと思います。きーすさんやプロフェッサー・ケイさんのやり取りには納得してしまいました。
確かにトミーの作品の方が飽きないような作風かもしれません。im okやgrand illusionやborowed timeはtommyとの共作もあり好きですが。tommyのsoloパートが好きで、man in the wildernessやgrand illusion,half-penny,two pennyのguitar partは大好きです。this old manのendigのguitarsoloではすでに完璧だった。tommyはいまだに大好きです。

投稿: allan65 | 2015年3月 6日 (金) 22時19分

allan65さま、コメントありがとうございました。トミーは本当に人気が高いようですね。本国アメリカでも地道にライヴを行っているようで、つい数日前の3月1日にもナッシュビルでオーケストラと一緒に共演していました。

 もちろん実力のあるミュージシャンだけに、それだけ需要があるのでしょうが、日本でもプロモーターが呼んでほしいですね。昔は「ライヴ・イン・ジャパン」というアルバムを発表しているくらいですから、日本に対してはそれなりの思い入れがあると思うのですが…

 私も地道にトミー・ショーの素晴らしさを綴っていきたいと思っています。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2015年3月 7日 (土) 22時19分

初めまして。
最近、トミー・ショウさんの刺青入りの動画を拝見して、ショックを受けて、刺青が本物なのか、シールでも貼っているのか、検索していたら、こちらにたどり着きました。刺青は、本物なのですね。私は、StyxのBabeも、Boat on thr riverも大好きで、デニスさんもショウさんも好きということになるのでしょうか。最近、動画で、トミーさんの弾くマンドリンの手さばきに見惚れて、やはり大好きだとわかり、動画を色々観ています。今の時代は、本当に便利になりましたね。CDは、Styxのベスト盤を1枚持っているだけです。はるか昔、学生時代、Styxが来日された時、大阪公演に行くかどうか、迷って、行かなかったのですが、行っておけばよかったです。デニスさんとは確執が深いのでしょうか、またトミーさんが、できれば、デニスさんも一緒のStyxとして来日されることを願っています。また、レアな情報を教えてくださると嬉しいです(*^^*)

投稿: j-girl1 | 2018年3月 9日 (金) 11時28分

コメントありがとうございました、j-girlさま。相変わらずトミー・ショーの人気はありますね。もう64歳ですが、うらやましい限りです。
 ところで、昨年スティクスのオリジナル・スタジオ・アルバムが出されていたのを知って、驚きました。

 基本はトミーとジェイムズ・ヤング、それと以前から一緒に仕事をしているウィル・エヴァンコビッチなどで制作されています。
 もちろんスティクスとしてのライヴ活動も盛んなようで、そのせいか、アルバムのチャートも45位まで上昇していました。再結成後では一番売れたアルバムではないでしょうか。

 この勢いで日本まで来てほしいですが、どうでしょうか。でも、デニスの参加は無理だと思います。スティクスがロックの殿堂入りをすれば、ひょっとしたら何とかなるかもという淡い期待を抱いています。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2018年3月10日 (土) 17時58分

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