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2012年4月 4日 (水)

80年代のストーンズ(1)

 今年はローリング・ストーンズ結成50周年ということで、一部ではかなり盛り上がっているらしい。また現時点では、記念の行事などのアナウンスはないのだが、今年の後半ぐらいには何かが行われるかもしれないとのことである。

 彼らは1962年に結成され、ロンドンのマーキー・クラブに出演した。それから50年が経ったのだが、常にロック・シーンの最前線で活動を続けてきた。ロック界広し?といえども、一度も解散せず50年間アルバムを出し続け、その発表後はツアーを行ってきたバンドは、彼ら以外にはないだろう。

 まさに国宝級というか、世界遺産的存在なのだが、今回はそんな彼らの80年代のアルバムについて簡単なコメントを述べてみたい。
 なんで80年代なのかというと、クラプトンやボブ・ディランなどもそうなのだが、パンク・ムーヴメントの流れを受けた大物ミュージシャン、大物バンドなどが、どのように変貌したのかを知りたかったし、あるいは変わらなかったとしても、その流れをどう乗り切ったかを確かめたかったからである。

 一般的に、80年代のストーンズには低迷、沈滞というレッテルが与えられてきた。確かにそれまでのストーンズに比べれば、アルバム発表枚数も少なくなったし、当然のことながらセールス的にも伸び悩んだときもあった。

 原因はいろいろあるのだろうが、ひとつはバンドの中心メンバーであったミックとキースの意見の対立という事があげられるだろう。2人は一時、口もきかなかったといわれているから、そうとう深刻な状況だったのだろう。
 当時の2人の中をとりもったというか、橋渡しの役をしたのが、ロン・ウッドだった。彼がいたからこそ今のストーンズがあるといっても過言ではないだろう。

 あるインタビューで、ドラマーのチャーリー・ワッツは、“ミック・テイラーはバンドに品格と技巧をもたらし、ロニーはバンドにユーモアを運んでくれた”と語っているが、まさにロン・ウッドの存在がなければ、ストーンズはどうなっていたかわからない。そんな状況が彼らの80年代だったのである。

 それでは、まずは1981年のアルバム「刺青の男」であるが、このアルバムにはその後の彼らのライヴの定番になった名曲"Start Me Up"が収められている。またノリのよい"Hang Fire"や"Neighbours"、ミックの裏声が妖しい雰囲気を醸し出す"Worried About You"なども印象的だし、何といってもソニー・ロリンズのサックスが美しい"Waiting on a Friend"は感動的でもある。3
 このアルバムは前半がファスト・サイド、後半がスロー・サイドに分かれていて、自分にとってはわかりやすい構成だった。また新曲は数曲のみで、あとはミック・テイラー在籍時のものや、“ザ・グレイト・ハンティング”といわれた新ギタリストのオーディションに使用された曲をリメイクしたものなどが使われている。シャープでクリアな音はボブ・クリアマウンテンのおかげだろう。詳しくは以前のこのブログでも述べているので、アルバム名で検索してもらえるとありがたい。

 続いて80年代の一番の問題作であるアルバム「アンダーカヴァー」であるが、このアルバムは2年後の1983年に発表された。前作が過去と現在のミックス作品だったのに対して、このアルバムこそが80年代に制作された最初のアルバムとなった。

 個人的な意見で申し訳ないが、自分はこのアルバムが嫌いである。ノリはいいものの、印象的なメロディの曲が少なく、何度も繰り返して聴きたいとは思えなかった。しいてあげればシングル・カットされた"She Was Hot"やキースが歌う"Wanna Hold You"などはいいと思う。4
 ストーンズの優れているところは、時代に敏感で、その時々の流行を上手に取り入れることができる点である。特に黒人音楽のサウンドには敏感で、ディスコ・ブームのときには踊れる曲も作っている。

 このアルバムでもアフリカのミュージシャンからレゲエ・ミュージシャン、ジャズ畑のデヴィッド・サンボーンまでスタジオに招いていて、サウンド強化に努めている。こういう目ざとさというか、進取の気風に富んでいるところはミックの手腕であろうし、ロックン・ロールの原点に根ざしているのはキースの気風なのであろう。

 彼らの成功したアルバムは、その両方がハイレベルな状態で、絶妙にバランスを保っていたのであるが、このアルバムではどちらかというとミックの意見が多く取り入れられているようで、ダンサンブルでヒップホップ的な要素が強いのである。

 しかしミックもキースも当時は40歳。普通のロック・ミュージシャンならそろそろ保守的な音作りを行ったり、昔の曲を焼き直して発表するのであろうが、彼らはそんなことをしなかった。そういう潔さというか、貪欲に取り込んでいく姿勢というか、冒険心を失わないところが、さすが世界一のロックン・ロール・バンドだといわれた所以だろう。
(To Be Continued)


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