« プリティ・シングス | トップページ | パリス(2) »

2012年7月 7日 (土)

プリティ・シングス(2)

 今日は七夕なのだが、それに全然ふさわしくない内容であるが、お許し願いたいと思っている。なにせイギリスのバンド、プリティ・シングスの続きなのだからちょっとどうかなあと考えたのだが、これもめぐり合わせというものだろう。

 プリティ・シングスといえば、前回も述べたように、元ストーンズのメンバーが中心になって結成されたバンドであるということと、「S.F.ソロウ」というロック・オペラのアルバムを発表したことなどがロック史に刻まれていることなどがあるが、もうひとつ地味なエピソードを持っている。

 それは70年代にレッド・ゼッペリンのレーベル、スワン・ソングと2番目に契約したロック・バンドだったということである。(一番最初に契約したのは御存知バッド・カンパニーだった)
 これはジミー・ペイジが彼らのファンだったということもあったし、新興レーベルのスワン・ソング自身の経営努力という面もあっただろう。

 力作だった「S.F.ソロウ」はセールス的に不振だったし、しかも後発のザ・フーの「トミー」の方が評判、売り上げともに「S.F.ソロウ」を圧倒していたせいか、実際は先に制作されていたにもかかわらず、「S.F.ソロウ」は二番煎じというレッテルを貼られてしまった。
 ここでオリジナル・メンバーの一人だったディック・テイラーは嫌気を感じて、バンドを脱退。以後はプロデューサーとして活動を行うようになってしまった。また残されたメンバーも70年に「パラシュート」という傑作アルバムを発表するもこれまた不発。活動停止になってしまったのである。

 だからこのプリティ・シングスというバンドも、大雑把に行って60年代と70年代は違うバンドだと言ってもいいだろう。70年代はボーカリストのフィル・メイを中心に活動を続けていき、スワン・ソングと契約したせいか、サウンド面でも黒っぽいビート・バンドからハード・ロック・バンドへと変身していく。

 1972年に再結成した彼らはアルバムを1枚発表した後、スワン・ソングと契約を交わし1974年にアルバム「シルク・トーピード」を発表した。このときのメンバーはギタリスト2人にキーボーディスト、ベーシストとドラマーそしてボーカリストの6人編成だった。

 このアルバムは自分はけっこう気に入っている。ハード・ロックといっても金属的なメタル音でもなく、パープルやゼッペリンのようにゴリゴリ迫ってくる感じでもない。適度にメロディアスで適度にハード、そしてお約束のギター・ソロもあるという盛りだくさんなのだ。強いていえばバッド・カンパニーとローリング・ストーンズを足して2で割ったような感じか。3
 1曲目の"Dream/Joey"はミディアム・テンポで、最後のギター・ソロが割とカッコいい。2曲目の"Maybe You Tried"はアップテンポで、できればこの曲の方を最初に持ってきた方がインパクトが強かったのではないかと思った。
 続いてアコースティック・ギターで導かれる"Atlanta"、パーカッションと女性ボーカルのスキャットが強調された"L.A.N.T.A."やブラック・サバスの"Changes"を思い出させるバラードの"Is It Only Love"など、バラエティに富んだ内容になっている。逆に言えばまとまりのなさが目立つといえるかもしれない。

 それでも曲はよく練られていて、レベルは低くはない。むしろ後半の楽曲の方がノリもよく優れている。"Come Home Momma"と"Bridge of God"、"Singapore Silk Torpedo"はこのアルバムの最大の聞かせどころだろう。エネルギッシュでリズミカル、ジャケット・デザインのように魚雷に乗って駆け抜けるようだ。

 続いて1976年に発表されたアルバム「サヴェイジ・アイ」もなかなかの好盤で、フィル・メイのボーカルは高音がよく伸びていて、ミニ・ロバート・プラントといった感じである。
 "Under The Volcano"はこれこそアルバム・トップにふさわしい曲で、シャープなリズムとメロディアスなギター・ソロが印象的である。続く"My Song"は逆に分厚いコーラスが目立ち、まるで10ccを感じさせるし、"Sad Eye"はスコーピオンズのアコースティック・バラードのようにメロディアスかつロンリネスでもある。4
 このアルバムには"It's Been So Long"のようなレゲエっぽい曲もあって、前作よりもさらにバラエティに富み、ポップでもある。またノリのよい曲と聞かせるバラードがバランスよく配置されていて、全体的に前作よりは聞きやすく、個人的にはこちらの方が垢抜けていてよかった。

 彼らは当時のB級バンドとしては非常によく頑張ったのではないだろうか。そうでなければあのスワン・ソングが契約するわけがないからだ。ただ残念なことは、バンドとスワン・ソング側とで今後の活動方針に違いが生じ、ボーカルのメイはソロ活動を理由に脱退してしまった。結局、このあと彼らはまた解散してしまうのである。

 その後、何度かの結成やメンバー・チェンジを繰り返した後、前回のブログで述べたように、現在も彼らはプリティ・シングスという名前で活動をしている。今はオリジナル・ギタリストでもあったディック・テイラーも戻ってきていて、昔の曲を中心にライヴ活動をしているという。日本では確かに知名度の低いバンドでもあるが、きちんした評価が与えられてもいいバンドの一つではないだろうか。


« プリティ・シングス | トップページ | パリス(2) »

ブリティッシュ・ロック」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: プリティ・シングス(2):

« プリティ・シングス | トップページ | パリス(2) »