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2012年9月20日 (木)

マルーン5(2)

 この夏に聞いたアルバムの紹介シリーズ第4弾は、アメリカの5人組バンド、マルーン5である。このブログでも2007年に一度紹介しているのだが、そのとき彼らはまだ日本では新人バンド扱いだった。52

 あれから5年、その間に彼らは3枚のアルバムを発表した。しかもいずれも大ヒットアルバムになった。デビュー・アルバムだけで全世界1000万枚以上売り上げているので、その後のアルバムの売り上げは2000万枚近くは達しているだろう。

 そして今回4枚目のアルバムが5月に発表された。タイトルは「オーヴァーエクスポーズド」、日本語で言うと『露出過多』という意味だろうか。アルバム・ジャケットもそれに合わせてか、カラフルかつサイケデリックな色取りとデザインになっている。
 今回のアルバム・コンセプトは、アルバム解説には次のように書かれている。

 『今回は僕たち本来の姿を大切にしたかった。僕たちはポップ・ミュージックを愛している。長い間ロックとポップのハイブリッド・サウンドを生み出そうと取り組んでいたけれど、今は両方ではなく、どちらか一つを選ぶ時だと感じた。そして、選んだのはラジオでヘヴィー・プレイされるポップな曲を作って、それをライヴではオーガニックなアプローチで演奏するという道だった』

 確かにこのアルバムには、いま求められる究極のポップ・ソングが詰め込まれている。それはどういうことかというと、覚えやすいメロディと踊りやすいリズム、それに乗ってラップされる適度なライム、これらが微妙なバランスで釣り合っているような曲のことである。

 1曲目の"One More Night"はミディアム・テンポのレゲエのリズムにソウルフルな歌声が絡み合う。とても白人のアルバムとは思えない。1960年代や70年代では想像もつかないくらい、21世紀の音楽は融合してきたということだろう。

 そして究極のポップ・ソングと言ってもいい"Payphone"は鮮やかで軽快なメロディに乗り、途中にラップのライムが舞っている。これが売れなくてどの曲が売れると言うのだろうか。上のポップ・ソングの条件にフィットしているばかりか、その枠から大きく飛び出し、音楽のジャンルを越えて、無条件の美しさを提示してくれている。よくまあこういう曲を書けるなあと感心してしまった。

 最近のポップ・ソングというのは、耳に残る印象的なメロディ・ラインをサビにして、その前後を適当な音符でつないで曲を仕上げるというパターンが多いのだが、この曲はどこを切っても“金太郎飴”、売れる要素に満ち満ちている。この曲だけでもこのアルバムを聞く価値はあるだろう。5
 もちろん最初の2曲だけでなく、他にも聞くべき曲は多い。それこそサビの部分が壮大な"Daylight"、ノリノリのダンス・チューン"Lucky Strike"、"The Man Who Never Lied"、基本ダンスなのにメロディに哀愁が漂う"Fortune Teller"などなど。

 また1stアルバムの中の大ヒット曲"She Will Be Loved"や"Sunday Morning"を思い出させる"Sad"や"Beautiful Goodbye"、80年代のデジタル・サウンドをちょっと豪華にしたような"Doin' Dirt"などアルバム・ジャケットのように多彩でカラフルだ。

 これら以外にもボーナス・トラックが7曲もあり、中にはプリンスの"Kiss"やアメリカではシングルで1位を獲得した"Moving Like Jagger"も含まれていて、サービス精神も旺盛なのである。

 ただ喜んでばかりもいられない。今回の曲の大部分は外部ライターと共作していて、純粋にバンドだけで作った曲は4曲しかない。今回の大ヒットの影には、この外部ライターの協力もあったからだろうが、1stアルバムのように自分たちで制作した曲でも勝負してほしいものである。

 だからこのアルバムも大ヒットしているけれども、これがピークであとは下り坂を迎えるのか、それともさらにまだ頂点を極めていくのかは、次回以降のアルバムが示してくれると思っている。
 いずれにしてもアルバムを出すたびに大ヒットしているマルーン5である。彼らの勢いがまだまだ続くと信じているのは私だけではないであろう。


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