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2013年8月21日 (水)

ブルーノ・マーズ

 “今年の残暑を涼しく乗り切るシリーズ”の第2弾は、21世紀の“キング・オブ・ポップ”、ブルーノ・マーズの登場だ。

 自分はつい最近になって彼のアルバムを買ったので、あまり彼のことは詳しく知らない。彼のデビュー・アルバムは、日本では2011年の1月に発表されているから、もうかれこれ2年以上前になる。

 彼のデビュー・アルバム「ドゥー・ワップス&フーリガンズ」は今だに全世界で売れていて、累積500万枚以上になるという。
 全米では最高位3位になり、シングル"Grenade"と"Just the Way You Are"は、ともに全米1位を記録した。加えてデジタル配信のダウンロードのセールスで、"The Lazy Song"もいれると、2011年で最もシングルを売ったミュージシャンに認定されている。

 ちなみにその前年には、トラヴィー・マッコイとB.o.B.というミュージシャン仲間に、それぞれ"Billionaire"(全米4位)、"Nothin' on You"(全米1位)というシングルを提供していて、それもまたヒットしたために、史上初めて2年連続して1000万枚以上の売り上げを達成したミュージシャンになった。またグラミー賞にも2年連続6部門にノミネートされている。まさに稀代のメロディ・メイカーであり、新時代の“キング・オブ・ポップ”の称号が与えられてもおかしくないだろう。

 特にこのデビュー・アルバムは素晴らしい。よいメロディとAMラジオでかかりやすい程度の長さ、バラエティに富んだ楽曲、耳によく馴染むシルクのような声と売れる要素がぎっしりと詰まっている。Photo_2
 自分が購入したのは輸入盤だったので、全11曲+ボーナス・トラック1曲という構成だったが、ポップスからソウル、レゲエ、ヒップ・ホップと自分のオリジナリティの幅の広さを充分に発揮している。

 何となくマイケル・ジャクソンが歌っているように聞こえる"Grenade"、サビの部分がポップな"Just the Way You Are"と、超強力な2曲がアルバムの冒頭からリスナーの心をひきつけて離さない。

 続いてレゲエ・バラードの"Our First Time"、イントロのベースのメロディがアグレッシヴでハードな"Runaway Baby"に明るいレゲエ・ソング"The Lazy Song"と、曲の配置も実に巧妙で飽きさせない。
 また"Marry You"などはすべてサビといっていいほどメロディアスで、一発で口ずさめるほどだ。(もちろん外国人はという意味だけど)まるでマルーン5の曲のようだ。

 そしてピアノ1台から始まり、途中で音が装飾されいく"Talking to the Moon"は、まさにこれぞバラードといっていいほどのものだし、"Liquor Store Blues"にはボブ・マーリィの息子のダミアンが参加して花を添えている。
 ノスタルジックなミディアム・バラード"Count on Me"は隠れた名曲だろうし、"The Other Side"は逆にロック的なパワー全開で、ダイナミズムに満ちている。

 ブルーノ・マーズは、ハワイ生まれの27歳である。父親はユダヤ系プエルトリコ人で、母親はフィリピンから移民してきた。彼女がフラダンサーをしていたときに、バックでパーカッションを叩いていたのがきっかけで一緒になってそうだ。

 またブルーノの叔父は、エルヴィス・プレスリーの物真似芸人をしていて、その叔父からの勧めもあって、幼い頃からロックやブルーズ、レゲエなどに親しみ、また人前でも臆せずにプレスリーのパフォーマンスをしていたらしい。幼い頃からその道に至るように準備されていたのだろう。まるでマイケル・ジャクソンの子どもの頃によく似ている。

 それで2枚目のアルバムが今年発表されたのだが、どうしても1枚目の印象が強すぎて、どうも好きになれない。時間もわずか35分程度だし、あっという間に終わってしまう。アルバムの解説によれば、10曲しか収められていないものの、それぞれ曲調が違うし、どれも印象的なメロディを含んでいるとあったが、似たり寄ったりという感じもしないではない。

 1枚目はかなりバラエティに富んでいたが、2作目「アンオーソドックス・ジュークボックス」は全体的にソウル・ミュージックよりになっていて、“キング・オブ・ポップ”が“ソウル・オブ・ポップス”に変化したように感じた。2_2
 1曲目の"Young Girls"は1枚目の"Just the Way You Are"のように、よくできたポップ・ソングで、続く"Locked Out of Heaven"はかなり黒っぽいロックだ。プリンスとジョージ・マイケルが共演して曲を作るとこうなりましたよ、という感じがする。

 3曲目の"Gorilla"は、かなりキワドいミディアム・バラードのラヴ・ソングで、こういう歌詞の表現では前作よりも成長したかもしれない。続く"Treasure"はご機嫌なダンス・ナンバーで80年代の匂いがプンプンする。まさにマイケル・ジャクソンが歌ってもおかしくないだろう。

 個人的に好きなのは、"When I Was Your Man"で、前作の"Talking to the Moon"のように、ピアノ1台で切々と歌っている。こちらの曲の方が最後まで装飾音が加えられていないので、彼の生の歌声や演奏が伝わってきて感動もひとしおである。

 8曲目の"Show Me"でやっとレゲエのリズムが出てきた。やはり暑い夏を乗り切るにはレゲエが必要と思うのだが、2枚目のアルバムにはその手の曲数は少ない。
 これら以外にもヒップ・ホップの要素がより一層に緊張感を高めていく"Money Make Her Smile"や、50年代のスロー・バラードを想起させる2分あまりの"If I Knew"など印象的な曲は多い。

 だけどやはり自分にとっては、2枚目のこのアルバムよりは、1枚目のアルバムの方がお好みなのである。
 自分がこの「アンオーソドックス・ジュークボックス」のアルバムを買おうと探していたときに、ロック/ポップス部門の棚を探しても見つからなかった。見つけたのはソウル/R&Bの棚だ。なぜこのアルバムがそこに置かれていたのか、このアルバムを聞いたときにその理由がよくわかった。

 結局、ブルーノは第2のマイケルを目指しているのではないだろうか。彼の子どもの頃のエピソードやミュージシャンになってからのソングライティング、パフォーマーとしての資質などがそう感じさせてくれるのである。
 これから彼がどんな足跡をたどるのか興味深いものがあるが、いずれにしても質の高い楽曲やパフォーマンスを見せてくれるに違いない。


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