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2014年7月15日 (火)

ヨーロッパ

 “暑さも忘れるブリティッシュB級ハード・ロック”特集の第2弾は、ヨーロッパの登場だ。ヨーロッパと言えば、80年代にロック・ミュージックやMTVに頻繁に触れた人なら、あぁ、あれかとすぐにわかると思う。
 (正確に言えば、ブリティッシュ・ロックではないのだが、距離的に近いということで、勘弁してください)

・何しろ某TV洋楽番組では、"One Hit Wonder"(一発屋)として紹介されていたヨーロッパである。
・あの名高いシングル曲の"Final Countdown"で名前を馳せたヨーロッパである。
・当時は、世界で最も有名なヘヴィ・メタル・バンドとして雑誌の表紙を飾っていたヨーロッパである。

 彼らの名前を聞けば、この有名な曲のイントロがすぐに頭に浮かんでくるほど、"Final Countdown"はヒットしたのは確かだ。(あるいは逆に、曲名を聞けばイントロが浮かぶかもしれない)

 この曲は、1986年に発表された彼らの3枚目のアルバム「ファイナル・カウントダウン」
に収められていて、全世界26ヵ国でNo.1になり、780万枚以上の売り上げがあった。またアルバムは600万枚以上売れたし、いまだに再発盤が販売されている。

 まさに彼らを代表するアルバムになったのだが、正確に言えば、彼らはこのシングル以外にもNo.1ヒット、トップ20ヒットを放っているから、決して一発屋などではないのだが、どうしても"Final Countdown"の印象が強すぎて、そう思ってしまう。

 紹介が遅れたが、彼らはスウェーデン出身のバンドである。いわゆる“北欧メタル”というやつだ。
 北欧メタルといえば、彼ら以外にもTNT、プリティ・メイズ、ロイヤル・ハント、ストラトヴァリウスなど、このブログでも取り上げたバンドがいるし、個人では何といってもイングウェイ・マルムスティーンが有名だろう。

 いずれもメロディアスで様式美を追及したサウンドを特徴としていて、基本的にはリッチ―・ブラックモア的な速弾きギタリストとハイトーンのボーカリストを擁している。また、必ずといっていいほどキーボードも使用され、クラシカルな雰囲気を添えている。

 その北欧メタル・バンドの中で、ヨーロッパは1979年に結成されているから、先駆的な役割を果たしてきたバンドだ。

 もともとはキーボード&ボーカリストのジョーイ・テンペストとギタリストのジョン・ノーラムが意気投合して結成したバンドだった。元々のバンド名はフォース(Force)と名乗っていたようだ。Europe01
 当時は、スウェーデンのバンドがハード・ロックの分野でメジャーになれるわけがないという偏見にとらわれたレコード会社が多くて、彼らにはアルバムを発表する機会も与えられなかった。

 彼らにチャンスが訪れたのは1982年で、スウェーデン国内で行われたロック・コンテストにジョーイの友人が応募してしまい、結局そのまま優勝してしまった。しかも優勝賞品は、アルバムのレコーディング券だった。

 翌年、彼らはデビュー・アルバム「幻想交響詩」を発表し、本国スウェーデンとヘヴィ・メタ天国の日本で話題になり、ヒットした。
 1984年にはセカンド・アルバム「明日への翼」を発表。このセカンドからキーボーディストのミック・ミカエリが参加するようになった。

 そして2年間のライヴ活動とアルバム制作期間をおいて発表されたのが、3枚目の「ファイナル・カウントダウン」だった。61y9wv0txyl
 ただ一つだけ彼らのことを擁護しておくと、良い曲は"Final Countdown"だけではないのだ。このアルバムは、アメリカでは60週以上もチャートに留まるという大ヒットを記録したが、"Final Countdown"を含む4曲がトップ20まで上昇している。

 特にキラキラとしたエレクトリック・ピアノのイントロが美しい"Carrie"は、映画のクライマックスで使用してもいいほどのバラードの名曲で、ビルボードのシングル・チャートで3位を記録している。"Final Countdown"が、実は8位どまりだったから、これはまた違う意味で立派な結果だろう。

 それ以外にも堂々としたロック・ソングの"Rock the Night"では、ジョン・ノーラムの速弾きギターを味わうことができるし、日本の忍者をモチーフにした抒情的な"Ninja"や、ネイティヴ・アメリカンの歴史にインスパイアされた"Cherokee"、映画のタイトル曲になった"On the Loose"という曲も含まれていた。
 確かに名曲のオンパレードで、これが売れなければ、何が売れるんだというようなアルバムだった。

 ところがバンドの売れ線狙いという路線に、ギタリストのジョン・ノーランが反発し、1986年、アルバムがまだ赤丸印上昇中の時にバンドを去ってしまった。まことに潔いというか、自分に自信があるというか、下手に名誉や金銭を求めないその姿勢が日本では好意的に受け入れられ、ソロになったジョン・ノーラムの評価はますます高まっていった。

 彼らの楽曲のほとんどは、ボーカリストのジョーイが作っているため、ジョンとしてはもっと自分の活躍の場を求めようとしたのだろう。何となくその気持ちは、わかるような気がする。

 その後、彼らは3枚目、4枚目のアルバムを発表するものの、1986年当時のようなセールスを獲得することはできなかった。ジョンの代わりに加入したギタリスト、キー・マルセロもテクニックでは決して前任者よりは見劣りはしなかったものの、バンドとしてのマジックは失われてしまったようだ。

 そんな彼らの歴史を一望できるアルバムが、ベスト盤「ヨーロッパ1982-1992」である。これにはシングル"Final Countdown"の裏サイドだった"On Broken Wings"やアルバム未発表曲、シングルのアコースティック・ヴァージョンなど、熱心なファン以外でも思わず注目してしまう内容になっている。Photo
 また21世紀の2004年に、ジョン・ノーラムのバンド復帰が果たされ、ほぼベスト・メンバーで現在活動中である。

 結局、彼らに不幸なレッテルをつけたのは一部のメディアだけであって、彼らのことを知れば、決して“一発屋”などではないし、彼らの実力を認め、さらなる飛躍を願っている人たちは、まだまだ世界中に数多くいるのである。

 ジョーイやジョンは、51歳や50歳とまだ若い。まだまだバリバリやれるはずだ。決して過去の栄光にすがることなく、“一発屋”という評価を覆すためにも、次なる名曲、名盤を残してほしいものである。


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コメント

ご無沙汰してます。今日は悲しいお知らせです。最愛のギタリスト、ジョニーウィンターが亡くなりました。ヨーロッパツアーの途中だったみたい。明日は仕事できないかも。また、改めてコメントします。

投稿: 川崎の晴れブタ | 2014年7月17日 (木) 23時59分

 いつもコメントありがとうございます。いやー、ショックですね。もう少し長生きすると思っていました。今年の日本での車いすでのライヴが最後の勇姿になったとは、残念です。

 詳細についてはまた別に発表があるようですが、いずれにしてもジョニーは戻ってきません。ツアー中に亡くなるなんて、如何にも彼らしい話です。

 悲しいけれど、速報をありがとうございました。今夜は彼の曲を聞きながら過ごしたいと思います。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2014年7月18日 (金) 22時03分

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