« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »

2015年12月

2015年12月29日 (火)

師匠と弟子が語る「ラトル・ザット・ロック」

弟子:いよいよ今年も終わりですね、師匠。やはり年の最後はこのアルバムについて一言触れないといけませんね。

師匠:どのアルバムかな?まさかデヴィッド・ギルモアの「リトル・ザット・ロック」じゃなかろうな?

弟子:「リトル・ザット・ロック」ではなくて、「ラトル・ザット・ロック」ですよ。いきなりボケないでください。「リトル・ザット・ロック」だったら、“小っちゃいあの鍵”になっちゃうじゃないですか。

師匠:いまさらデヴィッド・ギルモアでもないじゃろう。奴も来年でもう70歳になるんじゃ。“昔の名前で出ています”という往年のアイドルみたいなもんじゃろう。

弟子:何を言うんですか、師匠。今年出した9年ぶりのソロ・アルバム「ラトル・ザット・ロック」は聞いたんですか?ヨーロッパでは9月の18日に発売され、翌週には全英1位になり、ベルギーやフランスでも軒並みチャートの1位を記録した怪物アルバムですよ。ちなみに全米では5位まででしたが。David1
師匠:奴はいまだにフロイドの遺産で食っているとしか思えんな。今回のアルバムもいきなりインストゥルメンタルで始まるし、それまでのフロイドの「鬱」や「対」、「永遠」と変わらんじゃないか。結局、フロイドを私物化したのは自分じゃと暴露したようなもんじゃな。

弟子:いえいえ、今回は彼のソロ・アルバムですから。ピンク・フロイドとは違うんですよ。何しろゲスト・ミュージシャンからしても違うじゃないですか。ソロ・アルバムだからこそ、デヴィッド・クロスビーやグラハム・ナッシュ、ロバート・ワイヤットにジュールズ・ホランドなどの多彩なゲストが集まってくれたんですよ。

師匠:単なる話題作りじゃな。参加したからといって、アルバムにそれほど貢献しているとは思えん。たとえば4曲目の"A Boat Lies Waiting"などは"リチャード・ライトに捧ぐ"とわざわざ記載しているところも気に食わんな。こういうことをするから昔の遺産で食っているといわれるんじゃよ。

弟子:誰もそんなことは言っていません。言っているのは師匠だけです。それにあれは良い曲じゃないですか。クロスビー&ナッシュのコーラスは素晴らしいし、バックのピアノもリチャード・ライトを髣髴させられますね。思わず涙がこぼれそうでしたよ。

師匠:何をセンチメンタルなことを。途中のSEなど、もろにフロイドのパクリじゃな。プログレッシヴ・ロックとは言えんじゃろ。

弟子:でも相変わらず彼のギターは艶がありますね。アルバム・タイトル曲の"Rattle That Lock"もそうだし、"Dancing Right in Front of Me"のエンディングもいいですね。今のギタリストで、ギターの音を聞いただけで誰だかわかるのはギルモアとクラプトンくらいじゃないですかね。

師匠:だから古典芸能というんじゃよ。確かに個性的なトーンじゃが、年のせいか出し惜しみしすぎじゃ。もう少しギター・ソロを聞かせてほしいところを、みんなフェイド・アウトで誤魔化しとるぞ。"In Any Tongue"でも、ファンならもっとソロを長く聞きたいと思ったはずじゃ。

弟子:そこが彼の意図したところで、もっと聞きたいと思わせているんですよ。あくまでもギター・サウンドだけでなく、楽曲でも聞かせようとしているんです。"The Girl in the Yellow Dress"なんかジャズっぽくていいでしょう。彼も考えているんですよ。

師匠:何を考えてるのかしらんが、今さらジャズもないじゃろう。いつからスティングになったんじゃ。単なる趣味的お遊びにしかすぎん。確かにソロ・アルバムじゃから、自分の好きなものを作って構わんが、果たしてリスナーはこんなものを聞きたかったのかな。もう少しリスナーを意識したアルバムを作ってほしいもんじゃな。David2

弟子:そうですかね。69歳になっても意欲的にチャレンジしていくその姿勢が素晴らしいんですよ。単なる古典芸能でない今の彼の姿が、このアルバムには詰め込まれているんです。彼は「対」は“回想”を、「オン・アン・アイランド」は“死”で、このアルバムは“生”をテーマにしていると述べてましたけど、“現役ミュージシャン”としての自負がまだまだ彼にはあるんですよ。

師匠:それは違うじゃろ。それなら今公演中のワールド・ツアーでは、なぜピンク・フロイドのようなステージングを行っているのかわからん。全21曲のセットリストのうち12曲がフロイドの曲じゃし、凝ったレーザー光線とライト・ショーに、ピンク・フロイド時代で有名だったおなじみの“円形スクリーン”も使用しているという話じゃ。ここまでくると、奴のソロ・ライヴなのかフロイドのライヴなのか、わけわからん。わしなら、規模の小さいライヴハウスでファンを目の前に、自分の曲を中心にしてやるけどなあ。

弟子:誰も師匠のライヴを見ようとは思いませんよ。それにそれだけ凝ったステージングをするということは、それだけファンを大事にしているし、それこそ師匠が言ったように、リスナーが聞きたいと思う曲を再現しているんですよ。ポール・マッカートニーのライヴと同じような趣旨じゃないですか。ポールの場合もソロ時代の曲だけでなく、ビートルズの曲も聞きたいとみんな思うでしょ。David3

師匠:いずれにしてもじゃな、今さら奴のアルバムを聴いてもしょうがないぞ。噂では、DVD付きのデラックス・ボックス盤では、写真集や「失楽園」のハードカバー本、ポスターやポストカード、果てはギターのピックまでついていたそうじゃが、中身がないものほど外側を飾りたくなるものじゃ。音楽で勝負せい!と言いたいな。

弟子:えらい詳しいですね。ひょっとして、師匠も購入したんじゃないですか。それに、天に唾すると自分に返ってくるんですよ。師匠ももう少し内面を磨かないと、弟子が増えませんよ。今年も私一人だけだったじゃないですか。来年はどうするんですか。

師匠:いいんじゃ。どうせここには、年に一回しか出てこないんじゃから。また来年の今頃話し合おう。でももうフロイド関連以外でお願いしたいな。

| コメント (5) | トラックバック (0)

2015年12月26日 (土)

ライフサインズ

 いよいよ今年もあと数日で終わってしまう。今日は大掃除ということで、昼過ぎから窓拭きをした。窓だけでなく、ついでに電灯の笠まで拭いてしまった。そのせいか、腰が痛くなってしまい、湿布を当てている。
 今はまだいいけれど、もう数年もすれば、高齢のせいで窓も拭けなくなるだろう。労働はしたくないけれど、せめて新しい年くらいは綺麗な環境で迎えたいものだ。これから一体どうなるのだろうか。

 という将来への漠然の不安を抱えながら、今年のトリを飾るアルバムを紹介しようと思う。それは、イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、ライフサインズの2013年のアルバムである。Life 
 ライフサインズといってもほとんどの人は、ご存じないかもしれない。このバンドは4人組で、結成が2010年頃だ。しかも今まで1枚しかアルバムを発表していないので、あまり知られていないかもしれない。

 ただ、ライフサインズといっても、基本的にはキーボーディストのジョン・ヤングのプロジェクトといってもいいかもしれない。Life4
 ジョン・ヤングといえば、元エイジアのキーボーディストだった人で、ジェフ・ダウンズが不在の時は、ジョンが演奏していた。
 また、80年代では元スコーピオンズのウルリッヒ・ジョン・ロートのワールド・ツアーに参加していたし、元ルネッサンスのジョン・キャンプとバンドを結成したり、90年代にはあのポール・ロジャーズのバンド、ザ・ロウにも参加していた。

 最近では、元イエスのジョン・アンダーソンや女性ボーカリストのボニー・タイラーとの共演、グリーンスレイドなどで幅広く活動をしている。今年で59歳になるので、意外と高齢というか、ベテラン・ミュージシャンなのだ。

 やはりサポート・ミュージシャンでいるよりは、自分もメインでスポットライトを浴びたいと思ったのかもしれない。2008年頃からアルバムの構想を練り、2010年にはそれを実現させるためにミュージシャンを集めた。参加したメンツは次の通りだった。

ベース   …ニック・ベッグス
ドラムス  …マーティン・ビードル
エンジニア…スティーヴ・リスピン

 なぜエンジニアの名前があるかというと、バンドの構想がジョンとスティーヴが話し合っていた時に生まれたものだったからで、その結果、彼の名前がバンド・メンバーにクレジットされている。

 ベースのニックについては、スティーヴ・ハケットのバンドでワールド・ツアーに出かけたり、スティーヴン・ウィルソンのアルバムに参加している。
 元カジャグーグーというアイドル・バンド出身にもかかわらず、チャップマン・スティックも操る技巧派ベーシストだ。彼もワーカホリックなミュージシャンに認定してもいいかもしれない。

 また、ドラムスのマーティン・“フロスティ”・ビードルは、元カッティング・クルーのメンバーだった。彼らの"(I Just) Died in Your Arms"は80年代半ばに大ヒットした曲で、スウェーデン出身のa-haの"Take On Me"と並び称されるくらい有名な曲だった。彼も多くのミュージシャンと演奏経験を持つベテランだ。 

 そんな彼らが集まって発表したのがバンド名と同じ「ライフサインズ」だった。メンバー的にギタリストが不在なので、スティーヴ・ハケットとジャッコ・ジャクスジク、ロビン・ボールトの3人がゲストとして参加している。
 また、元フォーカスのメンバーだったタイス・ヴァン・レアがフルーティストとして参加している。

 ちなみに、ギタリストのロビン・ボールトは、元マリリオンのフィッシュや現マリリオンのピート・トレワヴァスのアルバムに参加したり、ハワード・ジョーンズのライヴに同行したりしている著名なセッション・ギタリストである。

 そんな彼らが作ったアルバムだが、キーボーディストが中心となって作られたせいか、メロディが豊かで、抒情的だ。
 相互にテクニックを披露するような技巧的なものではなく、芳醇なキーボードの波の中を漂うような気分にさせられるそんなアルバムなのである。

 ボーカルはジョン自身だが、ベースのニックも歌っているし、2人のハーモニーも聞くことができる。
 全5曲という構成は、いにしえのプログレ・アルバムのようで、基本的にミディアム・テンポやスローな曲調で占められている。だから少々カタルシスを味わえないかもしれないが、ゆったりとした静謐な気分にはさせてくれるだろう。Life2

 1曲目の"Lighthouse"では、5分過ぎからタイスのフルートを味わうことができるし、10分前後ではスティーヴ・ハケットのギターが割と地味に聞こえてくる。12分近い長尺曲だ。

 2曲目は"Telephone"という曲。これも聞きやすい曲だ。決してポップなメロディではないのだが、バックのコーラスが効果的なせいか、プログレの曲というよりは、間奏の長いポピュラー・ソングという感じだった。たとえて言うならば、時間の長い初期のサッド・カフェといった感じか。

 3曲目は"Fridge Full of Stars"という曲で、冒頭のシンセサイザーが印象的だった。この曲にもジャッコの演奏するアコースティック・ギターやタイスのフルートなどが効果的に使用されていて、爽やかな印象を与えてくれた。転調も多いが、そんなに複雑な印象は与えない不思議な曲でもある。真夏の夜にじっくりと聞きこんでいきたい曲だと思う。

 次の"At the End of the World"は地球最後の日を表すような激しい曲になると思いきや、意外にも穏やかに最後の日を迎えようとする心境を表現しているような曲だった。エンディングに向かって盛り上がっていくところは流石だと思う。

 ひとつだけ不満を言うなら、もう少し一つ一つのソロ・パートを目立たせてほしいということだろう。ギターとキーボードのパートをもう少し際立たせてほしいと思った。
 確かにこの曲でもキーボード・ソロはあるものの、なんか弱い気がする。ギターのパートと対比するとか、掛け合いをするとか、目立ってほしかった。

 最後の曲の"Carousel"ではのっけからジャッコの演奏するギターがカッコいい。彼の師匠のロバート・フリップの魂が乗りうつったかのようだ。
 また、“回転木馬”というタイトルのように、歌~間奏~歌~間奏という展開が素晴らしい。このアルバムの中で、唯一テクニカルで躍動感を覚える曲だと思う。12分近いがもっと聞きたいと思った。

 とにかく、ジョンのバンドというよりはプロジェクトに近い。現在のバンド・メンバーには、ニックの代わりにジョン・プールというセッション・ベーシストが加わっている。彼はマルチ・ミュージシャンで、キーボードもドラムも演奏できるようだ。

 また、ライヴではニコ・ツオネヴというギタリストが参加していて、彼はジャズからロック、ブルーズまで何でも弾きこなすことができる。2012年にはスティーヴン・ウィルソン・バンドの一員として、“グレイス・フォー・ドラウニング・ツアー2012”に参加していた。彼もまた実力派ギタリストの1人でもある。Life3
 とにかくまだ1枚のスタジオ・アルバムと1組のライヴ・アルバムしか出していないバンドだが、次のアルバムが待望されている。

 プログレッシヴ・ロックの発祥地はイギリスだが、70年代のプログレ・バンドはレジェンドとなり、80年代のポンプ・ロック・バンドもすでにベテランの域を超えてしまった。
 そして、本国イギリスではプログレッシヴ・ロックは衰退し、逆に北欧や南欧、果ては中南米などで興隆し、その影響が拡散していっている。

 だからというわけではないが、本国イギリス出身のプログレ・バンドには頑張ってもらいたいのだ。このライフサインズにも世界的メジャーを目指して、来年あたりはニュー・アルバムを発表してほしいと思っている。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015年12月19日 (土)

ロンリー・ロボット

 プログレッシヴ・ロック界には、ワーカホリックな人が多いような気がする。一時期のジョン・アンダーソンやリック・ウェイクマンは、ソロ・アルバムを大量生産していたし、ロバート・フリップも様々なユニットや企画を打ち出していた。だいたい70年代後半から80年代初めの頃だった。

 21世紀の今でもそういうミュージシャンはいっぱいいそうだが、特にザ・フラワー・キングスのロイネ・ストルト、前回のスティーヴン・ウィルソン、そしてイッツ・バイトやアリーナ、キノ、フロスト*など、様々なバンドを掛け持ちしているジョン・ミッチェルの3人は、働くことが人生の生き甲斐のようだ。

 他にもアリーナのキーボーディストのクライヴ・ノーランや元ドリーム・シアターのドラマーだったマイク・ポートノイなども、その中に加えてもいいかもしれない。

 今回は、そのジョン・ミッチェルが今年の早春に発表したアルバム「プリーズ・カム・ホーム」を紹介しようと思う。
 もう少し正確に言うと、彼が中心となったプロジェクトが発表したもので、そのプロジェクト名はロンリー・ロボットという。だから、ロンリー・ロボットが発表したアルバム「プリーズ・カム・ホーム」といった方がより正しいだろう。

Photo
 このアルバムは、ジョンがすべての曲を書き、アレンジを加え、プロデュースして録音したものである。また、ギター、ベース、キーボードを演奏し、歌も歌っている。
 だから、わざわざ“ロンリー・ロボット”などと名付けなくて、ジョン・ミッチェル名義でもよいと思うのだが、なぜか違うのである。

 どうもこれは、バンド形式にこだわる彼の姿勢を反映しているようだし、配給元のレコード会社もそれを望んでいたらしい。この辺はアメリカ人とイギリス人は違うようで、イギリスのミュージシャンはバンドにこだわる傾向が強く、アメリカ人はバンドが解散したり、そこから脱退してしまうと、ソロ名義のアルバムを発表してしまう。

 古くはポール・マッカートニーはビートルズにこだわり、解散後はソロ活動はあったもののやがてはウィングスを結成してしまった。新しいところでは、オアシスを脱退したギャラガー兄弟もそうである。
 逆に、アメリカではこれはもう枚挙にいとまがないので省略するが、やはり開拓精神を受け継いでいる人たちは、個人主義が強いのだろうか。

 それはともかく、イッツ・バイトやアリーナのファンなら、もうすでにチェック済みだと思う。さすが現代を代表するプログレ界のマエストロだけあって、聴き応えのあるアルバムに仕上げられている。

 一言でいうと、プログレッシヴ・ロックというオブラードに包まれたメロディアスなハード・ロックといえば理解しやすいだろう。ジョンのソングライティングの技術の高さが十分に発揮されているし、彼を支えるゲスト・ミュージシャンも一流のレベルで彼をサポートしている。

 全11曲だが、輸入盤では珍しくボーナス・トラックが3曲もついていた。この3曲はこのアルバムの中に既発のもので、そのミックス違いのものだった。だから実質は、11曲と考えていいだろう。また、何かについてのトータル・アルバムというものではなくて、宇宙というテーマに基づいたアルバムだ。だから宇宙服を着たジョンの写真やSF映画に出ていたロボットのロビーが写っているのだろう。2

 1曲目の"Airlock"は、ジョンのエフェクティヴはギターが炸裂するスペイシーなインストゥルメンタルで、キーボードは盟友ジェム・ゴドフレーが担当している。ジェムはフロスト*のリーダーだが、現在は活動休止中らしい。

 続く"God vs Man"は5分半のハードな曲で、コーラス部分はメタルっぽい雰囲気が漂っているし、"The Boy in the Radio"はメロディアスなハード・ロック、サビの部分はポップで記憶に残りやすい。この辺はイッツ・バイトを想起させてくれる。

 この3曲目には、ゴー・ウェストのピーター・コックスがボーカルに参加している。ピーター・コックスといっても誰も知らないかもしれないが、80年代のポップ・デュオ、ゴー・ウェストの片割れである。

 現在60歳の彼は、ゴー・ウェストという2人組ボーカルデュオに所属し、一時は“イギリスのホール&オーツ”と讃えられるほど、ポップなブルー・アイド・ソウルを歌っていた。今はゴー・ウェストとマンフレッド・マンズ・アース・バンドのボーカルの掛け持ちをしているようだが、それほど彼のボーカルには艶があり、評価されているのである。

 4曲目のバラード"Why Do We Stay?"では、女性ボーカルのヘザー・フィンドレーとデュエットしていて、それにマリリオンのボーカリストのスティーヴ・ホガースが絡んでくる。なかなか聞き応えがあるが、面白いのはピアノを演奏しているのはスティーヴ・ホガースということだ。イントロやエンディングで聞くことができる。

 ヘザーはモウストリー・オータムというバンドのメイン・ボーカリストだった人で、現在38歳。今はバンドを脱退して、ソロで活動している。写真で見る限りでは、なかなかの美人で、アメリカのラナ・レーンのようだ。ただ、あそこまで顎はしゃくれてはいないが…Blog

 8分以上もある"Lonely Robot"は、このアルバムでの代表曲だろう。メロディ自体はポップなのだが、味付けがドラマティックになるように工夫されている。曲も疾走感があるし、動から静に、そしてまた動という変化が組曲っぽい。
 アルバム・タイトルの「プリーズ・カム・ホーム」は、この曲の歌詩から引用されていて、宇宙で作業をしている孤独なロボットに対して、地球に戻って来いと呼びかけている。

 この曲にはレベッカ・ニード-メニアーという人がボーカルを、ジェイミー・フィンチがギターを弾いているが、この2人はアナヴェー(もしくはアナヴァエ)というバンドを作っていて、ジョンとは個人的に親しいことから、このアルバムに参加したという。Anavae600

 一転してハードでメタルっぽい"A Godless Sea"はインスト部分に比重を置いた曲で、次の"Oubliette"は穏やかなミディアム・テンポの歌ものだ。
 この曲にもキム・セヴァーという女性ボーカリストがゲスト参加している。彼女はタッチストーンというイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドに所属していて、2007年の彼らのアルバムをジョンがプロデュースしたところから親交が始まっている。個人的には彼女の方がタイプである。Jm2_2

 "Construct/Obstruct"はポップでノリのよい曲で、何となく80年代のマイク&ザ・メカニックスの曲に似ている。
 また、"Are We Copies?"はオルタナティヴ系のややダークな曲だが、ギターはヘヴィでもメロディや歌唱法が聞きやすいので、受け入れやすい。この曲でもそうだが、ジョンのギターは流れるように華麗で、美しい。21世紀を代表するギタリストの一人だろう。Jm_2

 10曲目の"Humans Being"は事実上のラスト・ソングである。ゆったりとしたバラードで、後半にかけて徐々に盛りあって行くところが感動的でもある。この曲にもスティーヴ・ホガースがバック・ボーカルとピアノを担当している。切々と歌うところが詩情をかき乱してくれる。

 また、中間部のギター・ソロはニック・カーショーが演奏していて、この人も80年代に一世風靡したミュージシャンというかアイドルで、確かボブ・ゲドルフが提唱したバンド・エイドでも歌っていたように記憶している。まさかこんなところでギター・ソロをやっているとは知らなかった。

 彼は才能は豊かだが、ルックスが良すぎて?正当な評価をされなかった不運なミュージシャンだった。もちろん57歳の現在でも活躍中ということだろう。

 ちなみにこのアルバムでは、アディショナル・ベースとしてニック・ベッグスが参加しているが、前回でも述べたように元カジャグーグーにいた人だった。カジャグーグーといい、ゴー・ウェストといい、80年代に活躍した人たちが今でも顔をのぞかせてくれると、何となくこちらまでうれしくなってくる。自分もこういう年の取り方をしたいものだ。

 それにしてもジョンの交友関係は広い。これはとりもなおさず、彼自身が幅広く仕事をしてるからだろう。やはりジョン・ミッチェルはワーカホリックなのである。それはこんなところからも分かる。John_mitchell_1

 今回このプロジェクトが生まれたのも、イッツ・バイトのキーボーディスト、ジョン・ベックがフィッシュとツアーに出かけたため、バンドとしての活動が出来なくなったからだった。
 仕事中毒のジョンは、それならばソロ・アルバムを作ってしまえということで、このアルバムの制作を決意したのである。

 それにしてもこのアルバムは、名作である。歌ものとしても聞けるし、インスト部分ももちろん素晴らしい。非常によくバランスがとれているし、今どきのプログレッシヴ・ロックを代表する1枚である。ジョン・ミッチェルには今後も目が離せないのであった。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015年12月12日 (土)

3人のスティーヴ(ン)〔3〕

 さて、3人のスティーヴ(ン)という題目で綴ってきたが、いよいよ今回が最後になった。3人目を誰にしようかと迷ったのだが、今まで“スティーヴ”ばかりだったので、“ン”のつく人を探さないといけない。

 スティーヴン・スティルスやスティーヴン・ビショップ、スティーヴ・スティーヴンスでもよかったのだが、スティーヴ・ハケット、スティーヴ・ロザリーとくれば、やはりここはプログレ人脈の中で語られてしかるべきだろう。

 だから今回は、予想した人は間違いなく当たったと思うけれど、スティーヴン・ウィルソンにした。彼は、今年の2月に4枚目のソロ・アルバムを発表したからだ。2

 「ハンド・キャンノット・イレイス」と題されたこのアルバムは、孤独死して約3年間も発見されなかったジョイス・キャロル・ヴィンセントという女性についてのコンセプト・アルバムだった。
 彼女のことは、テレビのニュース番組やドキュメンタリー番組などで何度も取り上げられたそうで、スティーヴンはそれらの番組からインスパイアされて、このアルバム制作を思いついたという。

 もう多くの人がこのアルバムのことを聞いていると思うので、今さら自分がコメントするのもおこがましい。何しろ2月に発表されたアルバムを、今頃になって取り上げる方がどうかしているというものだ。

 ただこのアルバムは、優れた傑作アルバムだと思っている。コンセプト・アルバムというだけでなく、メロディの美しさや演奏レベルの高さ、曲作りの巧みさなど、最近のプログレッシヴ・ロック界のアルバムでは傑出している。

 個人的には、メロトロンも使用されているし、アコースティックな部分は幽玄的で、エレクトリックな部分は情熱的に盛り上がっているし、これはもう文句のつけようもない。

 アルバム・チャートでは、英国では13位、米国では39位を、またオランダでは2位、フィンランドでは4位と高位を記録し、セールス的にも素晴らしい結果をもたらしている。Photo_2

 全11曲、約66分にわたるこのアルバムは、悲劇的な死を迎えた女性の人生とは対照的に、音楽的には高貴さと優美さを保っている。

 たとえば2曲目の"3 Years Older"の冒頭3分までは、イエス的な硬質で技巧的構築美を誇り、ボーカル&コーラスが入ると、安息的弛緩が訪れる。そして再び怒涛のアンサンブルと、時折り織り交ざるピアノとメロトロン、7分過ぎからのハモンド・オルガンとエレクトリック・ギターのソロ・パートを迎えながらエンディングを迎えるのである。

 3曲目のアルバム・タイトル曲"Hand Cannot Erase"は、ウィルソン流ポップ・ソングといっていいだろう。覚えやすいメロディラインとテンポの良いリズムだけを取り上げれば、プログレッシヴ・ロックとは思えないほどだ。

 一転して女性歌手キャサリン・ベグレイのナレーションで始まる"Perfect Life"はウィルソン流のバラードなのだろう。後半部分の"We've Got a Perfect Life"というリフレインが哀しさを倍増させる。

 たぶんジョイス・ヴィンセントのことを歌っているはずだ。彼女はぜんそくの発作か胃潰瘍が原因で亡くなったとされているが、身近にいた家族や友人には、彼女の方から連絡を閉ざしていった。結果的に、それが孤独死につながったようである。

 "Routine"は静~動~静というドラマティックな曲展開になっていて、静謐の中から突如として現れるエレクトリック・ギターと強力なドラムの連打が衝撃性と破壊性を示してくれる。女性ボーカルと男性ボーカルの対比が、繊細さと哀切さをもたらしながら終局を迎えるところも見事である。

 一方で、"Home Invasion"はダークでアグレッシヴな演奏を聞かせてくれる。バックのフェンダー・ローズがジャズっぽいが、ボーカルが入るとロック的になり、後半は次の曲に繋がるブリッジとなっていて、"Regret #9"では、すぐにムーグ・シンセサイザーによるソロ演奏が顔を覗かせるのだ。

 バックのメンバーは前作からのメンバーのようで、相変わらずハイレベルな演奏を聞かせてくれた。ギター担当のガスリー・ギャヴァンは、一時エイジアにも参加していたし、キーボード担当のアダム・ホルツマンは、マイルス・デイヴィスやグローヴァー・ワシントンJr.などとセッション経験のあるベテランだ。

 ただベース担当のニック・ベッグスが、カジャグーグーの元メンバーということには驚いた。カジャグーグーは80年代の英国のアイドル・ポップ・バンドのようなもので、自分の中では"Too Shy"という曲だけの一発屋として位置づけられている。今は、彼がベースだけでなくスティックも演奏するテクニシャンとなっていたとは、信じられなかった。Img_1

 ラストの3曲("Ancestral"、"Happy Returns"、"Ascendant Here On...")はこのアルバムの白眉だろう。不穏なイントロから始まる"Ancestral"は13分30秒もある大作だが、ボーカル部分の静から演奏部分の動への変化、ドラマティックに盛り上げようとするギター・ソロとストリングスは聞き応え十分だし、その後の展開は現代に甦った74年頃のクリムゾンの亡霊を聞いているかのようだ。

 その亡霊を振り払うかのように、アコースティックを基調とした"Happy Returns"が始まる。"Hey Brother"というそれぞれのヴァースの出だしが、痛々しさを拭うかのように抒情的で、思わず涙をこぼしそうになった。ちなみにこの2曲をアレンジしているのは、ウィルソン自身と元エッグやカーンのキーボーディストのデイヴ・スチュワートである。

 確かにスティーヴン・ウィルソンは、21世紀のプログレッシヴ・ロックのパイオニアだと思う。多くのミュージシャンやバンドが、彼にアルバムのプロデュースやリマスターをお願いするのも、当然だろう。このアルバムを聞けば、誰でも彼の才能や見識の高さに納得するはずだ。

 過去の名盤の焼き直し部分もなくはないが、それでもウィルソン流に解釈しているところは流石であり、余人が口をはさむ余地はない。まだまだ48歳。これからのプログレッシヴ・ロックの興隆は、彼の双肩にかかっているといっても過言ではないだろう。

| コメント (2) | トラックバック (1)

2015年12月 5日 (土)

アンダーソン=ポンティ・バンド

 今回は予定を変更して、ついにベールを脱いだバンドを紹介する。元イエスのボーカリストだったジョン・アンダーソンとジャズ・ヴァイオリニストのジャン=リュック・ポンティの2人がタッグを組んだバンド、アンダーソン=ポンティ・バンドである。名前が長いので、以下APBと略すことにした。Apb1
 ジョン・アンダーソンは、現在71歳。2008年に、体調不良を理由にイエスでの活動を停止したあとは、ソロでの活動やリック・ウェイクマンと共同してアルバムを発表している。

 ジョンはなぜかキーボード・プレイヤーとのコラボレーションがお気に入りのようで、イエス以外での活動で有名なのは、80年代のヴァンゲリス、90年代の喜多郎、2010年代のリック・ウェイクマンなどが目立っていた。

 それで、今回もキーボード・プレイヤーとの共演と思いきや、実際はキーボードではなくヴァイオリンを組み込んだプロジェクトだった。しかもそのお相手が、フランス人のジャズ・ミュージシャンだったから驚いてしまった。

  ジョンのことだから、ヴァイオリニストといえば、エディ・ジョブソンとかダリル・ウェイを想像していた。ひょっとしたら、マウロ・パガーニという線もあるかもしれないとも考えていた。このところ2010年以降のジョンは、以前にも増してスロバキアやアイスランドなどのロック後発国のミュージシャンとコラボをしていたからだ。

 ところがふたを開けてみると、ジャン=リュック・ポンティである。彼とジョンとは昔からの知り合いのようで、70年代と80年代にそれぞれ2~3回会ったことがあり、いつかは一緒に音楽をやろうねという話をしていたそうだ。

 要するに、APBは、口約束から生まれたバンドということになる。“瓢箪から駒”とはこういうことをいうのだろう。

 以前このブログの2011年11月に、ジョン・アンダーソンは誇大妄想狂であるということを、もちろん冗談半分だが、載せたことがあった。
 アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン&ハウや、8人編成のイエス、あるいはオーケストラと共演したアルバム「マグニフィケーション」やヴァンゲリスをウェイクマンの代わりに加入させようとしたことなど、すべてはジョン・アンダーソンの自我の延長線上にあるものだった。

 誇大妄想狂というのは大袈裟で不適切かもしれないが、少なくとも自己陶酔型ミュージシャンであることは間違いないだろう。
 基本的に、ミュージシャンは自己陶酔型でないと務まらないだろうと思っている。そうでなければ、何万人もいるフェスの会場でパフォーマンスできないだろう。ジョンはその傾向が他のミュージシャンより、ややというか、かなり強いのではないだろうか。

 たとえば、彼は最近のインタビューでこう述べている。『僕は歌うのが好きだ。歌っていると、いろんなレベルでハイになれる。特に、世界中を回って観衆の前にいる時はそうなんだ。ステージに立っていると素晴らしい感覚が味わえる。すると、この声が出てくる。素敵じゃないか』

 こんなふうに、インタビュアーに強引に納得させようとするのも、彼のいい意味でもポジティヴな姿勢だろうし、そういう考え方が生まれてくるのは、彼の持っている資質からだろう。つまり自尊心が肥大しているのである。

 それでジョンとジャンは、2013年頃から活動を意識し始め、翌年には正式にバンドを結成した。
 彼らは昨年の夏に、インターネットで活動資金を集めた、7月から8月のわずか1ヵ月で約1200万円ほど集まったという。

 これは前回のスティーヴ・ロザリーのところでも述べたけれど、例のキックスターターというクラウドファンディング・サイトを利用してのことだった。

 この資金を元手にして、彼らはアメリカのコロラド州アスペンにあるオペラ・ハウスでライヴ録音を行い、それに手を加える形でスタジオ盤を完成させた。それが「ベター・レイト・ザン・ネヴァー~真世界への旅」だった。

 スタジオ盤は全14曲(日本盤は15曲)で、初回プレス盤にはその時のライヴ映像11曲分のDVDも収められている。(下の写真は通常盤である)Apb
 結成から録音時期までが短かったせいか、すべてがオリジナル曲というわけではない。冒頭の短い"Introduction"を除けば、純粋なAPBのオリジナル曲は3曲しかなかった。

 冒頭の"Introduction"は1分17秒程度の短いもので、キーボードの主旋律が何となくイエスの"And You And I"のそれに似ているのが可笑しかった。

 2曲目の"One in the Rhythm of Hope"はジャンの1981年のアルバム「ミスティカル・アドヴェンチャーズ」からアレンジされたもの。
 3曲目"A For Aria"はオリジナル曲で、ジョンのボーカルとジャンのヴァイオリンが美しく競演している。ヴァイオリンをバックにした讃美歌のようだ。

 イエスのファンなら誰でも知っている"Owner of A Lonely Heart"の主旋律はほとんど変わっていないが、バックの演奏陣がジャズ畑出身なので、安定していてキレがある。その中でジャンのヴァイオリンが宙を舞っている。

 "Listening With Me"はジャンの1979年のアルバム「テイスト・オブ・パッション」のオープニング曲をアレンジしたもの。ジャンの曲のオリジナルはすべてインストゥルメンタルなので、歌詞はジョンが創作して付け加えたものである。
 
 もともと、ジョンが歌詞をつけたものをジャンに送って、演奏してもらった。それがきっかけとなって具体的なバンド活動へと展開していったのである。

 6曲目はイエスの曲"Time and A Word"で、これが見事にレゲエ風にアレンジされている。これにはビックリしたが、昔からジョンはブラジリアン音楽やカリプソ風の音楽もアルバムに入れていたから、納得はできる。
 また、2011年のリック・ウェイクマンとのライヴでもこの曲をレゲエ・バージョンで演奏していた。ジャンとの共演でも、その場にいた観衆は驚いただろう。この雰囲気は付属のDVDで確かめることができる。

 続く"Infinite Mirage~Soul Eternal"の前半はジャンの1977年「秘めたる海」からの曲で、後半はAPBのオリジナル。後半の曲のタイトルは、何となくサンタナの曲に似ているが、曲調はサンタナというよりは、アップテンポでレゲエ風味を効かせたものになっている。

 9曲目と10曲目はイエスの曲、"Wonderous Stories"と"And You And I"だ。両曲とも原曲のメロディの美しさがあらためて認識できるアレンジになっていて、特にエレクトリック・ピアノをバックに歌われている"Wonderous Stories"は秀逸である。
 "And You And I"はボーカルの部分だけが取り上げられているから、2分56秒と極端に短くなっている。原曲を知らない人はバラード曲だと思ってしまうかもしれない。

 "Renaissance of the Sun"はジャンの曲で、1976年のアルバム「極光」に収められていた曲。ジャンのヴァイオリンがフィーチャーされていて、ジョンのボーカルは僅かしかない。プログレッシヴ・ロック版ムード・ミュージックといったところだろう。

 ライヴ本編での最後の曲は"Roundabout"だった。さすがにジョンは、全盛期よりもキーを下げて歌っているが、バックの演奏陣が優れているので、原曲とほとんど変わりがない。だから現在のイエスがやっている同曲よりも、よりロック的でダイナニズムに溢れている。

 残りの曲はアンコール曲で、最初の"I See You Messenger"はオリジナル曲だ。アンコールでオリジナルを演奏することによって、オーディエンスの反応を確かめたかったのだろう。
 サビの部分は、"Don't Kill the Whale"からのフレーズが引用されているのだが、たぶん本人はあまり意識していないのだろう。この辺も超ポジティヴ思考のジョンらしい。

 次の"New New World"も3分40秒程度のポップな曲だ。キーボーディストの弾くキラキラとしたサウンドが輝いていて、ジョンのボーカルを手助けしている。もちろんジャンの弾くヴァイオリンも技巧的で美しい。

 日本盤の解説ではオリジナル曲と書かれていたが、実際は違う。2011年のジョンのソロ・アルバム「サヴァイヴァル&アザー・ストーリーズ」の冒頭の曲を焼き直したもので、既出の曲よりもテンポが速く、よりロック的になっている。ジャンとのコラボが、リメイク曲に良い影響を与えているようである。

 日本盤では最後の曲になる"Re-Rembering Molecules"はラストでジョンのボーカルが入るものの、ほとんどインストゥルメンタルで、このバンドの演奏技術の高さを物語っている。まるでブランドXか、リターン・トゥ・フォーエヴァーのようだ。ちなみに演奏者は以下の通り。

 ベース   … バロン・ブラウン
 ドラムス  … レイフォード・グリフィン
 キーボード… ウォリー・ミンコ
 ギター   … ジェイミー・グレイザー

 いずれもジャン=リュック・ポンティ・バンドに在籍していたベテラン・ミュージシャンだ。特にキーボード担当のアメリカン人、ウォリーへの信頼は厚く、このバンドのリーダー的存在でもある。

 ギタリストはもともとジョン・アンダーソンのバンドにいたジェイミー・ダンラップだったのだが、契約関係や今後のスケジュールの調整などからジェイミー・グレイザーに差し替えられている。
 だから、DVDではダンラップの方が弾いているため、ほとんどアップのシーンがない。顔のアップもなければ、手元に寄ってのアップもない。ギタリスト好きな人にとっては、残念である。

 今回は彼らの旧曲の焼き直しがメインで、新曲は少なく、とりあえずバンドを結成しましたというあいさつ程度のアルバムだが、そのインパクトは強いものがあった。Apb2
 ただ問題は、あくまでもジョン主導のバンドということだ。つまりジョンの妄想というか自尊心肥大症にジャンの方が付き合っていけるうちはいいが、職人肌のジャンがとことん付き合っていけるかどうか、はなはだ疑問である。ジョンのバックで、ただ単にヴァイオリンを演奏するだけでは満足はしないだろう。

 だから、パーマネントなバンドというよりは、一時的なプロジェクトだと思っている。ジャンの方も73歳だから、オリジナル・アルバムといっても、そんなにたくさんは作れないだろう。
 ジョンの今までの思考法に従えば、おそらく彼は最終的には、イエスに戻るのではないだろうか。そんなことを考えながら、このアルバムを聴いていたのである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »