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2016年1月

2016年1月29日 (金)

ジェフ・リンズ・ELO

 昨年末、エレクトリック・ライト・オーケストラ(長い名前なので、以下ELOと略す)の新譜が出ると聞いたので、喜んでいたのだが、アルバム・ジャケットを見ると、“JEFF LYNNE'S ELO”となっていた。

 ということは、ELOの単純な再結成ではなくて、ジェフ・リン名義の個人的なELOということになる。
 個人的なELOというのも変な話だが、要するに、ELOのリーダーが作ったアルバムということなのだろう。D0058360

 それなら、自分名義のソロ・アルバムを作ればいいと思うのだが、そこはレコード会社とのビジネス上の契約やセールス上の期待などがあったのだろう。やはりELOというブランド名は、まだまだ輝きを放っているようだ。

 ジェフ・リンとロイ・ウッドがELOを結成したのは、1970年。翌年にデビュー・アルバムを発表したが、ジェフとロイの双頭体制は、両雄並び立たずで、1972年にはロイ・ウッドが脱退してしまった。

 それ以降は、“世界で最小のロック・オーケストラ”という呼び名の通り、通常のロック・バンドのフォーマットに、2本のチェロとバイオリンを加えて、クラシックとロックの融合した音楽を創出してきた。
 1971年から2001年まで、13枚のスタジオ・アルバムを発表していて(オリジナル・サウンドトラックを含む)、全世界での売り上げは2500万枚以上という実績を誇っている。

 彼らのいくつかの曲は、日本のCMでも使用されていたので、サビのフレーズを聞けば、ああ、あの曲をやっていたバンドかと思うだろう。

 日本では1980年以降、人気に陰りが差し始め、今ではすっかり昔のバンドに成り下がってしまった。逆に、ジェフ・リン自身はプロデューサーとしての役割に目覚めたようで、トム・ペティやロイ・オービソン、元ビートルズのメンバー関連のアルバムをプロデュースすることで、名前が売れていった。

 一方、彼らの人気は母国イギリスでは、いまだに衰えてはおらず、2014年の9月には、ロンドンのハイド・パークで5万人を集めてのライヴが行われた。チケットは即日完売してしまい、相変わらずの人気ぶりだった。この模様は昨年、DVDとして発売されている。55f33178jefflynneselosignsglobaldea

 今回14年ぶりに発表されたアルバム「アローン・イン・ザ・ユニヴァース」も相変わらずのポップ・サウンドに満ちていて、どこを切っても金太郎飴的な音作りだった。ただ、往年の姿を知っているものからすれば、少々物足りないのも事実だ。

 アルバム冒頭の曲"When I Was A Boy"はファースト・シングル曲だが、いきなりのバラード曲だった。曲自体はビートルズ・ライクの良い曲なのだが、いきなりのバラードでは盛り上がりに欠けてしまうというもの。

 続く"Love And Rain"もミディアム・テンポの穏やかな曲だし、このアルバム、少々おとなしいのである。3曲目の"Dirty to The Bone"でやっと元気が出てきた。ただし、何となくトラヴェリング・ウィルベリーズの"Handle With Care"みたいだから、バリバリのロック・ミュージックという感じではなかった。

 "When The Night Comes"はセカンド・シングルになった曲で、これもまたゆっくりとしたミディアム・テンポの曲。バックのストリングスが目立って美しい。確かに70年代のELOを知っている人にとっては、郷愁を覚えるだろう。

 このアルバムでロックしているのは、6曲目の"Ain't It A Drag"だろう。2分34秒という短いながらも、ビートルズの初期の楽曲のようで初々しさを感じさせる。この辺はジェフ・リンの面目躍如といったところだろう。

 もう1曲サード・シングルになった"One Step At A Time"もアップ・テンポの曲で、80年代の初期にディスコ調に走った彼らの姿を思い出させてくれた。あそこまでビートは効いていないが、シニアな佇まいを見せている。

 ただ、全10曲で32分31秒とはあまりにも短いのではないか。CDは約80分の容量があるのに、ちょっと物足らない。
 さすがにジェフ・リン自身もそう思ったのか、デラックス盤にはもう2曲、日本盤には3曲のボーナス・トラックを収録していた。

 しかし、それでも約40分である。いくら“ポップ・ミュージックの魔術師”といっても、これはちょっと如何なものか。これでは“魔術師”ではなくて、お金儲けの“錬金術師”と言われても仕方ないだろう。
 それに、もう少し“キラキラとした”輝くようなポップさが足りないように思えた。70年代後半の「アウト・オブ・ザ・ブルー」や「ディスカバリー」にあった輝きや閃きが少ないのである。14795
 ジェフ・リンも68歳。相変わらずのポップネスを携えているのは流石というものだが、昔の栄光を完全に取り戻すのは困難かもしれない。
 だけど“The Show Must Go On”、ポップ・ミュージックはこれからも続く。彼にはこれからも“ポップ・ミュージックの伝道師”としての活躍を願っている。

 最後に一言。よく調べてみたら、“ELO”という名称を使用できる権利を持っているのは、ジェフ・リンとオリジナル・メンバーでドラムス担当のベブ・ベヴァンの2人ということだった。だからわざわざ“ジェフ・リンズ・ELO”と、ことわって使用しているのだろう。できれば、昔のメンバーでライヴを行ってほしいものである。

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2016年1月22日 (金)

SWフォースの覚醒

 もうネタバレしてもいいだろう。スター・ウォーズ・シリーズの第7作目を見てきた。見てきたといっても、実際に見たのは、昨年の12月19日土曜日と今年の元日だった。2回見たのだが、1回は通常の、もう1回は3Dの字幕版だった。3D字幕版はなかなかの迫力だった。Starwarsepisode7image

 見た後で、すぐに内容などを書いてしまうとネタバレになってしまい、まだ見ていない人や見ようと思っている人にとって迷惑になると思ったので、今まで書かなかった。

 でも、もう公開されて1ヶ月以上になるし、内容についてもあちこちでネタバレも起きているようなので、もうこの辺でいいだろうと思った。だから以下は当然のことながら大ネタばらしになっているので、知りたくない人は読まない方がいいだろう。

 みんなが言っているけれど、スター・ウォーズ(以下SWと略す)は、家族、特に父親と息子の物語である。また、善と悪、師匠と弟子、戦争と平和や帝国主義と民主主義との拮抗も表現しているだろう。だけど、自分にとってはやはり家族愛や父親と息子の物語なのである。

 当時国際的な映画俳優だった日本の三船敏郎は、SWは子ども向けの単純なSF映画だと思って、ダース・ヴェイダー役を断ったが、後になって後悔したと言われている。確かに誰もこういう歴史的な映画になるとは、予想もしていなかっただろう。 

 SWは3部作の3部構成、つまり合計9作品から成り立っている。最初の3部作は、1977年(日本公開は1978年)から1983年までで、エピソード4からエピソード6まではルーク・スカイウォーカーが中心となってのいわゆるルーク3部作だった。ここではルークとレイア姫の兄妹とその父親であるダース・ヴェイダーの物語だった。Starwars4

 次の3部作、1999年から2005年までのエピソード1からエピソード3までは、アナキン・スカイウォーカーを中心に描かれたアナキン3部作で、いかにしてアナキンがダース・ヴェイダーになったのかが描かれていた。また、ルークとレイアの2人の子どもの誕生も描かれていた。2a91g5d
 今回は2015年から2019年まで、2年ごとに発表されるようで、通称レイ3部作と呼ばれている。エピソード6から約30年後の世界が描かれていて、レイという強力なフォースを持った女性が新しい共和国軍のレジスタンスたちと協力して、銀河帝国の残党のファースト・オーダーと戦っていくというストーリーだ。8194392_9775e1c3a20b196d43fff4fd57a

 今後は、このレイを中心に物語は進んでいくのだろう。レイの両親は誰なのか、なぜ強力なフォースを宿しているのか、ルーク・スカイウォーカーは、これからどのような関わり方をしていくのかなど、興味は尽きない。

 ただ、今回のエピソード7に関しては、いい意味では“輪廻転生”、悪くいえば“過去の焼きまわし”という印象も残った。
 確かに“サーガ”だから、長い間語り継がれていくものだし、その年月の風化にも耐えうる内容が求められるだろう。

 中心テーマは家族愛だし、また弟子と師匠の相克も含まれるだろう。しかし、フォースの継承を遺伝的な面だけでとらえると、あまりにも物語が単純化しないだろうかと、不安に思ってしまう。

 たとえば、エピソード5でダース・ヴェイダーがルークに向かって、"I am Your Father"というシーンは衝撃的だったが、今回もハン・ソロと新しい悪のキャラクター、カイロ・レンが親子だったという点では、確かに驚いたものの、ああそういう流れなのかと急に覚めてしまった。

 たぶん、この調子でいくと、次回のエピソード8ではレイの両親の謎解きが出てくると予想されるが、レイとカイロ・レンが兄妹だったとか(ということはレイの父親もまたハン・ソロなのか?)、レイの父親はルークだったとか、そういうことも考えられる。

 さらには、エピソード6で、一応は帝国軍に勝利したはずなのだが、なぜか30年後にはまたレジスタンス運動に従事しているレイアがいた。姫ではなく将軍になっていたが。
 しかもデス・スターよりも巨大で強力なスターキラーベースが新共和国軍の惑星たちを破壊するのだが、この展開もエピソード4とほぼ同じで、上っ面をなぞっているようだった。

 だから、確かに新しいサーガが始まってワクワクしたし、ハン・ソロとカイロ・レンの親子対決にも驚いたのだが、全体的なストーリー展開が陳腐で、でてくるキャラクターもそんなに目新しく感じられなかった。要するに、このエピソード7はエピソード4と5を濃縮させた内容のように感じられた。私の感性が劣ってきたのだろうか。

 それにまた、SWはエディプス・コンプレックスの象徴だと思う。ドイツの精神科医のフロイトが提唱したこの学説は広く欧米社会に流布されていてるが、子どもが父親を殺す、もしくは父親を越えていくというSWの親子関係も、この学説に影響されている気がしてならない。

 ということは、次はレイが父親を殺すということになるのだろうか。でも女性がそういうことはしないだろうから、次作からは少し違った展開になるのだろう。
 たぶん、師匠と弟子という関係において、弟子が師匠を殺す(師匠を越えていく)という流れになるのかもしれない。なぜならそれもまた、違う意味でのエディプス・コンプレックスの反映だからだ。心理学でいう投射というものなのかもしれない。

 だいたいの流れは、次の映画でレイの家系が明らかになり、ルークも活躍するだろうし、最後のエピソード9では、カイロ・レンやレイなどの主だった登場人物が登場して、善と悪、新共和国とファースト・オーダーの決着など、シリーズのエンディングに向かうだろう。
 私のようなお馬鹿でも流れは予想できるのだから、ディズニー映画関係者にとって、次の2本の映画はかなりハードルが高くなったのではないだろうか。8ccab7a5

 できることなら、もう一ひねりしたシナリオを考えてほしい。若い人や新しくファンになった人には、今回のストーリーは受け入れられるだろうが、昔からのファンにとっては、先の展開が読めてしまうのは、困ったことなのだ。ぜひとも斬新なアイデアに溢れた新3部作を期待したい。

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2016年1月15日 (金)

クロスアイド・ハート

 今年は申年ということで、それにちなんだ内容のものを考えていた。それでふと“サル顔”のミュージシャンを特集してみたらどうかと思いついたのだが、よく考えたら外国人の(だけでなく日本人でも)サル顔ミュージシャンは結構いそうな気がしたので、それはやめることにした。特に、ステージで歌っているシンガーなどには、たくさんいそうな気がしたからだ。例えば、ミック・ジャガーとか…

 それでミック・ジャガーで思い出したが、同僚のキース・リチャーズが、昨年23年ぶりにソロ・アルバムを発表していたことをすっかり忘れていた。
 キースももう72歳。写真でキースの顔を見たのだが、かなりの皺くちゃで、しかもアイラインを描いているために、かなり不気味だった。また、彼や彼のファンには申し訳ないが、かなりのサル顔だと思った。

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 というわけで、前回のロッド・スチュワートに続き、第2弾はキース・リチャーズの23年ぶりのソロ・アルバム、「クロスアイド・ハート」について書くことになった。今年2回目も高齢ミュージシャンである。別に高齢ミュージシャンの特集を行っているつもりはないのだが、これも少子高齢化、自分が高齢化したせいだろう。

 キースの言葉を借りれば、彼のソロ・アルバムは、ローリング・ストーンズの活動休止中に作られるようだ。今回のアルバムも、ストーンズの結成50周年後に発表されたのだが、よく考えたらストーンズのオリジナル・スタジオ・アルバムは、2005年の「ア・ビガー・バン」が今のところ最後になっていて、それ以来作られていない。

 それでキースは、この10年くらいの間に曲を書き溜めしていて、偶然出会った?ドラマーのスティーヴ・ジョーダンとレコーディングを開始した。だから基本はキースとスティーヴの2人で演奏している。しかもキースは、ピアノやエレクトリック・シタールなど9種類の楽器を扱っていた。

 ちなみにスティーヴ・ジョーダンとは、1988年のファースト・ソロ・アルバム「トーク・イズ・チープ」からの付き合いだから、お互い何をやりたいかが分かっていたのだろう。

 一方、ゲスト陣も豪華で、旧友のワディ・ワクテルに、歌姫ノラ・ジョーンズ、ネヴィル・ブラザーズのアーロン・ネヴィルにアイヴァン・ネヴィル、それに忘れてはならないのは多くのストーンズのアルバムやライヴで演奏していたサックスのボビー・キーズだ。

 彼は2014年の2月に肝硬変で亡くなっている。70歳だった。彼とキースは同じ生年月日(1943年12月18日)で、生まれた時間も2,3時間ぐらいしか違わなかった。キースにとっては、ボビーはソウル・ブラザーズみたいなもので、彼の死は当然のことながらショックだったし、同時に彼の貢献に対しては心から感謝しているとインタビューで語っていた。

 さて、アルバムだが、いきなりロバート・ジョンソン風の曲"Crosseyed Heart"から始まる。キースがアコースティック・ギター1本をバックに歌っているもので、まさにいぶし銀の楽曲、演奏である。1分52秒ながらキースのルーツの一端が伺えた。

 続く"Heartstopper"はストーンズ風のノリノリの曲で、ストーンズのアルバムなら間違いなくアルバムの冒頭に置かれるだろう。ワディ・ワクテルがリードを、ラリー・キャンベルがペダル・スティール・ギターとヴァイオリンを演奏している。

 "Amnesia"はミドル・テンポの曲で、サックスはボビー・キーズが担当している。これも何となくストーンズ風だった。まあ、キースのソロ・アルバムなのだから、そうなっても当然のことだろう。
 ただ、このアルバムでは、キースはとにかく歌っている。歌って、歌って、歌いまくっている。だからギタリストのアルバムというよりは、シンガーのそれに近いし、ひょっとしたらクラプトン以上ではないだろうか。Photo
 "Robbed Blind"は、"Slipping Away"のようなキース流のバラード。ある日目が覚めたら、すぐ手の届くところにあった曲らしい。あっという間に曲が完成したそうで、こういうふうにできた曲は、彼の長いキャリアでも他には"Satisfaction"しかないらしい。

 "Trouble"は、何となくジャム・セッションから生まれたような曲で、イントロからラフっぽい。途中のワディのスティール・ギターがワイルドでカッコいい。この曲がファースト・シングルで、"Heartstopper"がセカンド・シングルになっている。

 ストーンズの「ブラック&ブルー」の中にあるような曲は"Love Overdue"で、レゲエ風味がいいアクセントになっている。この曲はオリジナルではなくて、グレゴリー・アイザックスというジャマイカ人のレゲエ・ミュージシャンのものだった。彼は2010年に59歳で亡くなっている。

 "Nothing on Me"もミックが歌うと、粘っこくてストーンズ風になるのだろうが、キースが歌うとストーンズよりも黒っぽくなるところが面白い。バックにアーロン・ネヴィルが参加しているからでもないだろうに。
 このアルバムの曲は何れも3分~4分と短くて、もっとキースのギター・ソロや歌を聞きたいと思ってしまう。これも彼の作戦の一つだろう。

 また、カバー曲を除いて、ほとんどの曲はキースとスティーヴの2人で作られているが、唯一キースひとりで作った"Suspicious"もバラード曲。TOTOのデヴィッド・ペイチがオルガンを弾いている。

 "Blues in the Morning"は、タイトルを見ても分かるようなブルーズ・セッションの中から生まれたような曲で、故ボビー・キーズのサックスがフィーチャーされている。ギター・ソロはキース自身で、さすが芸歴50年のテクニックが光っている。エンディングのラフっぽさがたまらない。

 "Something for Nothing"もミックがすき好んで歌いそうな曲。ギター・ソロはワディが弾いている。ミドル・テンポの曲にゴスペルのコーラスが加わるところが斬新だと思った。

 歌姫ノラ・ジョーンズが曲作りにも参加し、デュエットしているのが、ジャズ風味のバラードの"Illusion"で、ギターとピアノはキースが弾いている。ベースは熟練セッション・ベーシストのピノ・パラディーノだ。キースとノラ2人のデュエットがフェイド・アウトされているところが、マイナス・ポイントだろう。最後まで聞きたかった。3

 続く"Just a Gift"もバラードで、ここでもキースはピアノとギターを担当している。フィドルやビオラが使用されているところが珍しい。
 このアルバムには2曲のカバー曲が含まれているが、もう1曲はアメリカのフォーク・ソング"Goodnight Irene"だった。フランク・シナトラを始め、クラプトンにライ・クーダー、トム・ウェイツなど数多くのミュージシャンが取り上げている名曲で、ここでのバージョンは5分半以上もあり、このアルバムの中では一番長い曲になっている。

 "Substantial Damage"もラフな作りになっていて、いかにもキースらしい。ボーカルも酔っ払いが歌っているような感じだ。こういうジャム・セッションから、ストーズの数々の名曲が生まれてきたのだろう。

 最後を締めくくるのは、やはりバラード曲か。"Lover's Plea"にはトランペットやトロンボーンなどの金管楽器も使われていて、ルイジアナかミシシッピーのような南部の雰囲気を漂わせてくれる。

 このアルバムは好評だったようで、全英アルバム・チャートでは最高位7位を、全米では11位を記録した。いかにもキースらしい内容だったということもあっただろうし、ストーンズの新作を待ちわびているファン心理もチャートの上昇に拍車をかけたのかもしれない。

 とにかくこのアルバムは、キースによるアメリカン・ミュージックの再解釈になっていて、ブルーズからジャズ、ロック、R&B、フォークと若かりし頃のキースに影響を与えた音楽に満ち溢れている。

 そしてそこから、再び自分の音楽を追及していくのであろう。今年はストーンズのワールド・ツアーが噂されているし、スタジオ・アルバムの制作も噂されている。願わくば、もう一度この目で生の姿を拝見したいものである。恐らくは、もう最後になるであろうから。

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2016年1月11日 (月)

追悼:デヴィッド・ボウイ

 デヴィッド・ボウイが亡くなったということを、ヤフー・ニュースで知った。テレビでは午後5時30分現在では流れていなかった。いずれにしてもショックだった。Bowie_mandalay_3229845c
 普通は、こういう内容でのブログは書かないのだけれど、とにかく何かしないと、彼の死を悼むことができないのではないかと思って、急遽、一言だけ書こうと思った。

 実は、この前の土曜日(9日)に、彼の最新アルバムを購入した。タイトルは「★」というもので、「ブラック・スター」と読むらしい。
 買ったのはいいが、まだ聴いていない。先に今まで購入したアルバム群をブログでアップしたあと、彼の最新アルバムをじっくり聞いてコメントを書こうと思ったからだ。51sxk8rvhsl__sl1500_
 今となっては、もうどうでもいいことだが、1年半前から闘病生活をしていたというから、恐らくこの最新アルバムが最後のアルバムになるだろうということは、気がついていたはずだ。だから自分の誕生日に合わせて、発売したのだろう。

 しばらくはショックで仕事も手につかないかもしれない。やっと今6時を過ぎて、テレビで彼の死亡が報道された。69歳だった。謹んで彼の死を追悼したい。ご冥福をお祈りいたします。

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2016年1月 8日 (金)

ロッド・スチュワートの新作

 2016年の一発目は、お正月の雰囲気をまだ引きずっているようなゴージャスな人を紹介しようと思った。それで、とりあえず墓堀人の仕事からハリウッドのセレブに成り上がったロック・ミュージシャンのロッド・スチュワートについて少しだけ紹介しようと思う。

 ロッド・スチュワートといえば、50年以上にわたるキャリアの中で、2億枚以上のアルバムとシングルを世界で売り上げている超有名ミュージシャンである。2回のロック殿堂入り、18回のグラミー賞ノミネートを経験し、2007年にはイギリス女王から大英帝国三等勲章(CBE)も授与された。Rod2

 そんな彼が、昨年の10月に新作を発表したのである。ただ、アデルやE.L.O、コールドプレイなどの大物ミュージシャンもほぼ同時期か、やや遅れて新作を発表したので、ロッドの新作はあまり話題にならなかったようだ。(一応、記録だけ記すと、全英チャートでは2位、全米では20位が最高位だった)

 彼の新作は「アナザー・カントリー」といって、全12曲(国内盤と海外デラックス・エディションでは17曲)のオリジナル中心のアルバムだった。

 前作の「タイム~時の旅人」は2013年に発表された。オリジナルのスタジオ・アルバムとしては約12年ぶりになるものだったが、相変わらずのロッド節で、多くのファンは安心したのではないだろうか。

 それから約2年、こんなに早く彼の新作を聞くことができるとは思ってもみなかった。それだけ今の彼の状態が、音楽的に恵まれているのだろう。

 アルバムはスコットランド出身の彼に相応しく、フィドルやアコーディオン、アコースティック・ギターがメインの楽曲"Love is"で幕を開ける。最初にシングル・カットされた曲で、ケルト風のダンス・ナンバーのように軽快でノリがいい。彼のファンなら、この曲を聞いただけで、このアルバムのことが気に入ることは間違いないだろう。

 2曲目の"Please"は、ミディアム・ロック調のナンバーで、タイトルの“Please”をファルセットで歌うところが怖い。いや、つまり怖いほど力がこもっているという意味だ。また、バックの演奏陣も元気いっぱい頑張っている。音が若いのだ。

 "Walking in the Sunshine"もドライブに最適な曲になっていて、70年代の頃より元気良さそうな感じがした。"Gasoline Alley"を髣髴させてくれた。
 また、レゲエのリズムで始まる4曲目の"Love And Be Loved"や、続くスコッティ風味満載の"We Can Win"や"Another Country"など、今回のアルバムの曲はとにかく明るくて元気がいいのだ。Rod
 自分の立ち位置を理解しているというか、どうすれば2015年版のロッド・スチュワートを表現し、うまく伝えることができるかをよく把握していると思う。さすが芸歴50年以上のつわものである。

 また、今回もバック・バンドのギタリストでもあり、共同プロデューサーのケヴィン・サヴィガーが曲作りにも貢献している。彼のサポートや支えがあったから、一時、曲作りに自信を失いかけていたロッドが再生できたのである。今のロッドがあるのもケヴィンのおかげだろう。

 とにかくこのアルバムは、現在のロッドを楽しむことができる。ノリノリのロック調の曲も素晴らしいし、昔から定評があったバラードも素晴らしい。"Way Back Home"や"Can We Stay Home Tonight?"などは、まさに感涙ものだろう。

 ところで、ロッドには3回の結婚歴があるのだが、3度目の夫人とは2011年の2月に生まれたエイデン・パトリック・スチュワートという男の子がいる。その子のために作ったような曲も含まれていた。"Batman Superman Spiderman"という曲で、歌詞の一部に“Woody And Buzz”という言葉も見られ、読み聞かせの本を読んでいるような子守歌になっている。

 しかし、1970年代には世紀のスーパースターともてはやされていたロック・ボーカリストが、50年もたつと、こういう種類の歌も歌うようになるとは、時の流れを感じてしまう。

 逆に、昔の思い出を歌った曲もあった。ロッドが在籍していたフェイセズは、みんなが大酒のみだった。フェイセズに加入するには、大酒のみでないと入れないとも噂されていたほどだ。
 その当時の出来事を綴ったのが"The Drinking Song"で、ワインを飲み過ぎて半裸で歩いたり、電話ボックスの中で眠ったりしたことを歌っている。
 思い出は、過ぎてみれば懐かしく感じるものであるが、それを歌にする余裕があるところは、さすがロッドである。バックのスライド・ギターの爆音がフェイセズのようなロック・サウンドを思い出させてくれた。

 このアルバムには外部ライターの曲が2曲収められている。11曲目の"Hold the Line"はレディー・ガガやニッキー・ミナージュ、マライヤ・キャリー、エンリコ・イグレシアス等々に曲を提供したり、プロデュースを行っていたモロッコ出身のミュージシャン、ナディア・カヤット、通称レッドワンが手がけていて、これもスコットランド風の軽くてポップな曲になっていた。

 もう1曲は最後の曲"A Friend For Life"で、これはスティーヴ・ハーレイの作詞、ジム・クリーガンの作曲で、最後を締めくくるにふさわしい静かなバラードになっている。
 元々は2001年のスティーヴ・ハーレイがシングル用に作ったもので、当時は全英チャートの125位どまりだった。

 ロッドは、スティーヴの作詞能力を高く評価しているようで、彼の作詞家としての力量が低く見積もられているのが残念だ、と述べている。
 ちなみにスティーヴ・ハーレイとは、スティーヴ・ハーレイ&コックニー・レベルのリーダーだった人で、ジム・クリーガンは一時そのバンドに在籍していた。またジムはロッドのバック・バンドにもいたから、共通の友人というつながりがあったのだ。

 とにかく“原点回帰”というか、70年代当時のロックが輝いていたあの時期を思い出させる名盤だと思う。自分の生きざまや現時点での能力を忠実にサウンドや歌詞の中に生かし、飾ることもなく等身の姿を見せているところが潔いし、心地よい。

 また、自身のルーツであるスコットランドやアイルランドの音楽と、影響を受けてきたロックやソウル・ミュージックを上手にブレンドさせて、いまの時代でも安心して聞けるようにしているところも素晴らしい。

 いい音楽というのは“エイジレス”というお手本のような、サウンド・メイキングだと思う。個人的には、彼はバリバリの成金セレブで、金に飽かせて女や豪邸などに次々と手を出す悪趣味な人間のみならず、ついにはフランク・シナトラのようなロック・ミュージックとはかけ離れた分野に手を出してしまったシンガーだと思っていたが、実際には、冷静に自己分析ができるロック魂をもったミュージシャンだということがわかった。

 思えば、ロッドも今年の1月10日で71歳である。70歳を超えても元気いっぱい、老いてますます盛ん、こうなれば来日公演を期待したいというもの。しかし、ロック・ミュージシャンは、なぜ年をとってもこんなにも若いのだろうか。

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2016年1月 1日 (金)

今年は申年

  あけましておめでとうございます。皆様方にとりまして良い年になりますように。それでは2016年の第1弾、恒例の“アルバム・ジャケットにみる今年の干支シリーズ、申年編”をお送りしましょう。

 今年は申年ということで、サルにまつわるアルバム・ジャケットを集めてみた。やはり一番有名なのはこのアルバム・ジャケットではないだろうか。Monkey1
 ご存じ、UFOの「ノー・ヘヴィ・ペッティング」である。このアルバムの発表は、1976年。自分はこのときはまだ高校生だった。タイトルが何となく卑猥だったので、自分は敬遠して聞くことはなかった。

 UFOには、かの有名なギタリスト、マイケル・シェンカーが在籍していたが、まだこの時、日本では、そんなに有名ではなかったと記憶している。もちろん通好みのロック・ファンには、スコーピオンズのルドルフ・シェンカーの弟して名前は通っていた。

 76年当時では、ヤードバーズ出身の三大ギタリストやディープ・パープルのリッチ―・ブラックモア、クィーンのブライアン・メイの方が売れていて、マイケル・シェンカーが日本で有名になったのは、1980年のマイケル・シャンカー・グループ結成後だったと思う。邦題の「神(帰ってきたフライング・アロウ)」は、かなり売れたのではないだろうか。

 マイケルとくれば、マイケル・ジャクソン。彼の1991年のアルバム「デンジャラス」には、彼の額の上の冠に小さくサルの肖像が掲げられている。ひょっとしたら、彼のペットのバブルス君の写真だろうか。Monkey3
 このアルバムから、プロデューサーがクインシー・ジョーンズからテディー・ライリーに交代した。それでも、この当時のマイケル・ジャクソンはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったから、プロデューサーの交代程度では何も問題は生じなかった。
 日本ではそこそこの売れ行きだったが、全世界では3000万枚以上売れて、前作の「バッド」の記録を越えてしまった。自分はこのアルバムまでが、彼の全盛期だと思っている。

 続けてトーキング・ヘッズのアルバム「ネイキッド」から。自分は「リメイン・ザ・ライト」しか持っていないので、何とも言えない。Monkey4
 このアルバムは1988年に発表された彼らのラスト・アルバムだそうで、デヴィッド・バーンが好きそうなワールド・ミュージック風になっているらしい。今でも輸入盤で手に入れることができるので、興味関心のある方は調べてみるといいと思う。

 続いてトム・ペティのソロ・アルバム「ハイウェイ・コンパニオン」には宇宙飛行士に手を引かれるサルの絵が描かれている。(たぶんサルだと思う)Monkey2
 2006年に発表されたこのアルバムは、なかなかの傑作だと思っている。自分は雑誌の批評を読んで購入したのだが、買って正解だった。

 理由は、ジェフ・リンもプロデューサーの一人に加えられていたからで、トムの硬質なアメリカン・ロックとジェフ・リンの持つポップネスが絶妙にブレンドされていた。トラヴェリング・ウィルベリーズが好きな人なら、一度は聞いておいた方がいいのではないだろうか。
 ちなみに、全米アルバム・チャートでは4位まで上昇していて、相変わらずのトム・ペティ人気の凄さが証明されることになった。

 以上が、一般的なサルのアルバム・ジャケットだ。ただ、これでは終わらないのが「ろくろくロック夜話」のいいところ。

 ここからは同じ類人猿だが、正確に言うと、ゴリラのアルバム・ジャケットを紹介しようと思う。先ずは御大ローリング・ストーンズのベスト盤から。Monkey6
 ストーンズのベスト盤は何種類も出ているので紛らわしいが、このベスト盤は2012年に結成50周年を記念して発表された3枚組のもの。ただ、アルバム制作会社も(今まで数多くのベスト盤が出されていたので)これだけでは売れないと思ったのか、新曲を2曲と豪華ブックレットを付けて、しかも2980円という安さだった。

 ただ自分は、結成40周年記念時のベスト盤「フォーティー・リックス」を持っていたので、いくら安くても購入はしなかった。でもこの調子でいったら、2022年には結成60周年を記念したベスト盤が発表されるに違いない。

 続いて、今度は少し古いアルバムから。1967年のその名もずばり「ゴリラ」である。このアルバムは、ボンゾ・ドッグ・バンドの手によるもので、もとはジャズ・バンドとして活動を始めた彼らが、このアルバムではパロディ・ソングやボードヴィルなどを含む種々雑多な楽曲を展開している。ひょっとしたら日本のザ・フォーク・クルセダーズは、彼らから影響を受けたのかもしれない。Monkey7
 このバンドには、コメディアンかつミュージシャンのニール・イネスが所属していて、のちに彼はビートルズのパロディ・バンド、ザ・ラトルズを結成した。このザ・ラトルズのアルバムも一度は聞いてほしいと思っている。英国風のユーモアの一端が理解できると思っている。

 さて、最近のアルバムの中では、アメリカはハワイ出身のミュージシャン、ブルーノ・マーズのアルバムに、ゴリラの写真が載っていたことを思い出した。Monkey8
 この「アンオーソドックス・ミュージックボックス」は彼のセカンド・アルバムで、2012年に発売され、全英、全米、全豪でNo.1を記録し、2013年までには全世界で630万枚以上売れている。また、2014年のグラミー賞では、ベスト・ポップ・ボーカル・アルバム賞を獲得した。

 さらには、アメリカではこのアルバムから5曲のシングルが発表され、他の国でも別の2曲がシングル・カットされている。
 全10曲しかないのに、計7曲もカットされたということは、まさに捨て曲なしのアルバムだったということになるだろう。多くのファンが言うように、彼はマイケル・ジャクソンの再来といっていいかもしれない。

 最後に、もう一つだけ紹介して終わりたい。日本の誇るプログレッシヴ・ロック・バンド、四人囃子の1974年のアルバム「一触即発」である。Monkey5
 このアルバムについては、このブログでもすでに述べているので、詳細は割愛したい。アルバム・ジャケットにはサルではなくて、同じ類人猿のナマケモノが描かれている(と思う)。厳密に言えば違うのかもしれないが、まあおめでたいお正月ということで、お許し願いたい。

 「猿も木から落ちる」ということわざがあるが、自分は木にも登れずに、猿齢ならぬ馬齢を重ねてしまっている。今年は何とかして滑らないようにしようと思っているのだが、ブログの内容も含めて、この調子では今年もさい先が怪しいのである。

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