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2016年11月 7日 (月)

マン

 今日は朝の4時くらいに目が覚めた。冒頭から変な話で申し訳ないが、何となくウ〇コ臭くて、その匂いで目が覚めたのだ。ひょっとしたら自分が失禁ではなくて、脱糞をしたのではないかという不安が頭をよぎり、思わず自分のお尻を触ったのだが、そんなことはなくてホッと安心した。

 それでも、もし失禁を通り越して脱糞をしていたのなら、これはもう病気ではないかと思ったりしたのだが、それならこの悪臭は何なのだろうかとも考えた。でも、そんなことを考えながら再び惰眠に落ちてしまったのである。

 結局、目が覚めてテレビをつけると、ニュースで火山の噴火による噴煙が12000m以上も上がり、その影響だったということがわかった。ウ〇コ臭かったのも噴煙と同時に上がった硫黄の臭いということで、改めて自然の脅威を感じた。そして、直下型大地震や南海トラフの実現性や重大性を再認識した次第である。

 イギリスに、マンというバンドがあった。1960年代の初期から70年代にかけて活躍したバンドだが、今も散発的に活動を続けているようだ。Manslowmotion
 自分は一時、“マンフレッド・マン”と、この“マン”というバンドを混同していて、同じものだと思っていた。つまり、マンフレッド・マンが中心となって結成したバンドが、マンだと思っていたのである。

 マンフレッド・マンは、キーボーディストの個人名である。のちに、マンフレッド・マンズ・アース・バンドやマンフレッド・マン・チャプターⅢなどを結成して、優れたアルバムを次々と発表していたが、後者のマンはバンド名だった。

 彼らは、1962年にイギリスのウェールズで結成された。もともとはザ・バイスタンダーズと名乗っていて、1964年から68年の間に8枚のシングルを発表している。そのうち67年にシングル・カットされた"98.6"や68年の"Jesamine"などはヒットしているようだ。

 当時のメンバーは専任のボーカリストを含む5人で、中心人物はギタリストのミッキー・ジョーンズだろう。彼は設立当初から21世紀に至るまで、バンドに所属していたからだ。
 彼らは60年代後半から頻繁にメンバーチェンジを行っていて、68年ごろからマンと名乗るようになった。

 69年にファーストとセカンド・アルバムを発表し、メンバーを一新したあとの1971年に3枚目のアルバム「マン」を発表した。61enhitd1zl
 当初のマンは、時代の流れを反映して、ビート・バンドからサイケデリック・サウンドを追及するようになっていったが、一時期、プログレッシヴなサウンドを追及していた時があった。

 3枚目のアルバム「マン」も、そんなプログレ期へ移行していくマンのサウンドが詰め込まれていた。全5曲だが、1曲目の"Romain"は、スライド・ギターが効果的に使用されている普通のロックン・ロールだった。
 2曲目の"Country Girl"は、タイトル通りの幾分カントリーっぽい雰囲気に満ちていて、時間的も3分8秒と短い。

 3曲目の"Would The Christains Wait Five Minutes? The Lions Are Having A Draw"は、タイトルも長いが時間も長くて、12分52秒もあった。普段からライヴでは演奏していて好評なようで、それなら今回スタジオ・アルバムの中に収録しようということで、収められたらしい。

 曲は、ゆったりとした曲調で進んでいき、特にギターやキーボードが目立つということはない。インストゥルメンタルなので、もう少し起伏があって、エンディングに向けて盛り上がりがほしいところなのだが、あまりパッとしなかった。

 なぜこういう音楽がライヴで好評だったのか、よくわからない。おそらくはライティングやサウンド・エフェクトなどのステージ上の演出と相俟って、印象的だったからではないだろうか。

 "Daughter of The Fireplace"は、ピアノとギターのリフが印象的なロックン・ロールで、疾走感があってカッコいい。こういうところが、このバンドの真骨頂ではないだろうか。こんな曲をもっとやれば、すぐにメジャーになったのではないかと思われる。5分少々のよく練られた曲だった。作曲者は、もう一人のギタリストのロジャー(デューク)・レナードである。

 最後の曲"Alchemist"は20分41秒という長尺曲で、“錬金術師”というタイトルが示すように、イントロのSEか、もしくはキーボードのピコピコ音がちょっとおどろおどろしい感じがした。

 この曲も20分もある割にはまったりとし過ぎていて、面白みに欠ける。プログレッシヴ・ロックというよりは、ホークウインドのようなサイケデリック・ミュージックである。
 ただし、ホークウインドのような躍動感はなく、酩酊状態のようなトリップ感覚を呼び起こすような感じだった。

 この時のメンバー構成は、ギタリストが2名(そのうち1名はキーボードも兼任)に、キーボーディストとリズム・セクションだった。
 同じ1971年には4枚目のアルバムを発表したものの、長いライヴ活動からくる疲労で、キーボーディストのクライヴ・ジョンが脱退してしまった。上に張っている写真は、その時のものであろう。

 ただこのクライヴは、5枚目のアルバム制作時に、新しいメンバーとともにバンドに復帰している。そして新しい5人組で制作されたのが、1972年の「ビー・グッド・トゥ・ユアセルフ」だったのである。51zhmwh3j2l
 このアルバムには4曲しか収められていなくて、これらの曲が収められたアルバムを聞く限りは、プログレッシヴ・ロックのフィールドに近づいたように思えた。

 1曲目の"C'mon"から11分という長い曲になっている。“急~緩~急”という構成で、リスナーを飽きさせないようになっていた。最初と最後のパートではグニャグニャしたギター・ソロとキーボードが強調されていて、それなりに緊張感が漂っている。

 そしてシームレスで2曲目の"Keep on Crinting"に続いているが、この辺は何となくカンタベリー系のバンドのアルバムのようだった。

 前述のアルバム「マン」よりは演奏がしっかりしていて、曲構成もよく考えられている。特にこの2曲目の"Keep on Crinting"はインストゥルメンタルなので、各自の演奏技術が試されているのだが、安定したリズムの上に、ギターやキーボードがそれぞれの個性を発揮していてなかなか良い。高速道路を走るときのBGMに相応しいような8分余りの曲だ。

 オリジナルのLPレコードではこの2曲がサイドAで、3曲目の"Bananas"からサイドBになる。

 この"Bananas"は9分28秒もあり、イントロのギター・リフから始まり“俺はバナナが好きだ、骨がないから”とか“俺はマリ〇ナが好きだ、気持ちよくさせるから”などという訳のわからない歌詞がついてくる。

 歌詞は意味不明だが、曲調はノリが良くて安定感があった。まあ歌詞よりも演奏を重要視しているのであろう。ただ、それぞれの楽器のテクニカルな要素というのは少なくて、総合的な曲構成やフレーズで印象づけている。

 最後の曲の"Life on the Road"はやや遅めのブギウギ風ロックン・ロールで、これはやはりプログレッシヴ・ロックとは言えないだろう。むしろアメリカ南部のサウンドで、レナード・スキナードあたりがやってもおかしくない曲だと思う。

 だからマンは、長いバンドの歴史の中で、どの時期かによるけれども、様々な様態を持っている。
 ただ言えることは、プログレッシヴ・ロックというよりは、サイケデリック・ロックやロックン・ロール・バンドに近いということだろう。

 彼らは、1976年に一旦解散してしまうのだが、1983年に元ジェントル・ジャイアントのドラマーだったジョン・ウェザーズを迎え入れて再結成し、アルバムを発表、活動を再開した。

 ただ残念なことに、中心メンバーだったミッキー・ジョーンズは、脳腫瘍が原因で2010年に亡くなっている。現在は、ベース&ギター担当のマーティン・エースが後を引き継ぎ活動を続けていて、2015年には「リアニメイティッド・メモリーズ」を発表した。

 マンというバンドは、日本では潜在的な能力は高いがそれを十分に発揮できなかったバンドとして認知されている。もう少し商業的に売れていれば、あるいはもっとアルバム・ジャケットを工夫していれば、もっと違う立場になったであろう。

 それは噴火した火山のようなもので、内に秘めた力を発揮できたかできなかったかによる差のように思えてならないのである。


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