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2017年3月20日 (月)

Suchmos

 最近、知人から2枚のCDが送られてきた。それには簡単なメモがついていて、テレビのCMで彼らのことを知った、デビュー・アルバムはなかなか気に入ったので、ぜひ一度聞いてほしい、というようなことが書かれていた。

 そのアルバムでパフォーマンスをしていたのは、Suchmosというバンドだった。自分はバンド名から想像して、きっとジャズか、フュージョン系のバンドだろうと思っていた。
 また、ルイ・アームストロングのような、トランペットのような管楽器もフィーチャーされているいるのだろうと、勝手に想像していた。Vhrwafie

 ところが、送られてきたCDを聞いてビックリした。全然、ジャズでもフュージョンでもなかったからだ。
 また、自分も某クルマ会社のCMに使われていた曲には興味をもっていたのだが、その曲をやっていたのが、このSuchmosだったとは知らなかった。だから、もう少し彼らのアルバムを聞いてみようと思ったし、彼らのことを調べてみようと考えた。

 それでわかったことは、バンド名の読み方が“サッチモズ”と思っていたら、実際は“サチモス”と短く読むということだ。
 しかも、最近のバンドでもあり、結成されてまだ4年程度で、平均年齢25歳程度の若者たちということも知った。

 出身は神奈川県の横浜や茅ヶ崎などで、遊び友達がそのままバンド結成に至ったようだ。そういう意味では、お互いに気心が知れた関係なのだろう。

 2013年頃からバンド活動を始め、2015年にデビューEP「エッセンス」を発表して、同年の7月にはオリジナル・アルバムの「ザ・ベイ」を発表した。
 全12曲入りのこのアルバムは、基本的には“Japanese R&B”もしくは“Japanese Funky Music”だろう。51ynob4y7l

 このCDを送ってくれた私の知人は、昔からこの手の音楽が好きだった。例えば、南佳孝とか寺尾聰などであり、ジャズはジャズでも渡辺香津美などのフュージョン・ミュージックなどだ。
 また、洋楽ではボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェルのようなモダンなR&Bやアール・クルーのようなフュージョン系も大好きで、ビルボードライヴ大阪までよく見に行く人なのである。

 よく考えたら、70年代後半に流行した“ソフト&メロウ”や“クロスオーヴァー”系の音楽だ。私も含めて、この時代に青春を過ごした人は、なかなか70年代の呪縛から逃れられないようで、どうしても耳がいってしまう。

 それでこのアルバム「ザ・ベイ」はとてもよくできていて、当時のその手の音楽が好きな人なら、一発で虜にさせられるような雰囲気に満ちている。

 まず、けだるいボーカル・スタイルで、厭世観や終末観と少しの希望が入り混じったシンギング・スタイルは、行く先不透明な現代社会の若者の声を代弁しているようだ。

 次にファンキーなリズム・セクションとクールなギターのカッティングは、まさに70年代当時の再現だろう。
 しかも、単なるモノマネで終わっているのではなく、洋楽とも対等に勝負できる高度なレベルまでもっていっているのだから、大したものである。若者のみならず、40代、50代のシニアの心までとらえてしまうのも当然のことだろう。

 このアルバム制作当時の彼らの平均年齢は、23歳ぐらいだっただろうから、本当に素晴らしい。日本の音楽制作レベルも、世界標準まで近づいたような、そんな気もしてきた。

 セカンド・アルバムの「ザ・キッズ」は、2017年の1月に発表された。この中に収められていた"Stay Tune"が、某クルマのCMに使用されたのだ。712hy3wjnnl__sl1094_
 自分は最初、CMで流されていた曲を聞いて、これは70年代のカシオペアやスペクトラム、もしくはT-スクエアなどのフュージョン系のバンドの曲に歌詞をつけたのだろうと思っていた。それくらい昔の雰囲気に溢れていたからだ。

 特にTV-CMで使用された“Stay Tune in 東京 Friday Night”のところのフレーズは、いつまでも頭の中に、それこそ“Stay Tune”していた。

 ただ、セカンド・アルバムは、1作目よりはキーボードの音が全体的に目立っていて、無機質で、かつ空間的な広がりを演出しているようだった。ギターの音も、例えば10曲目の"We Are Alone"の後半で聞かれるように、かなり頑張っている。
 それにまた、よりダンサンブルでファンキーなサウンドや曲で占められていて、彼らの成長した姿が伺えるようだ。

 逆に言うと、ハードなロック的部分は後退していて、彼らの今後の活動方針というか、音楽的に進む道がクリアになったような気がした。

 世間では“日本のジャミロクアイ”と呼んでいるみたいだが、確かに同様な音楽性は有しているし、メンバーの内の何人かは、ジャミロクワイの音楽が好きだと公言している。

 ジャミロクアイが好きであろうがなかろうが、そんなことはあまり重要ではないだろう。それよりむしろ、「~みたいな音楽」とか「~のようなバンド」と呼ぶことが問題で、それならオリジナルのジャミロクアイやマルーン5を聞けばいい話だ。

 だから、むしろSuchmosには、日本のバンドとしてのオリジナリティを確立してほしいのだ。日本風のファンク・ミュージックやR&Bサウンドをパッケージした音楽を創造してほしいと願っている。

 例えば、もっとDJのスクラッチやミキシングを取り入れたり、管楽器やストリングスを入れた日本人好みのウェットな感覚を取り入れてみても面白いと思う。

 それに歌詞に含まれている独特の世界観というか感性は、今の若者に受け入れられていることからも分かるように、他のバンドにはない素晴らしいものがある。この辺は今後も磨いていってほしいものだ。そうすれば、世界でも通用するバンドに大きく飛躍するに違いない。1

 とにかく、日本のバンドやJ-POPもこれだけ成長しているということを証明しているような存在感のあるバンドだった。これからますます輝いていくだろうし、日本のミュージック・シーンを牽引していくことは、間違いないだろう。ひょっとしたら、バンド名以上の存在になる日も近いのかもしれない。


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